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もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

フランス杯 女子FS(地上波省略分のSPも)

●レナ・マロッコ(16歳)フランス/SP:No Hay Problema、FS:ノートルダム・ド・パリ
SP・FSとも衣装の色合わせが個性的です。SPは私には謎でしたが、FSの衣装はエスメラルダの雰囲気が出ていたので、理解可能。

SP、ラストの音楽が唐突に終わってしまって、なんだかな~。
あと、無駄な色気を入れ過ぎで下品に転びそうなキライを感じます(昨シーズンはSP・FS双方にこの懸念があったと記憶しています)。

FSは演劇的な演目で、やりようによっては表現力を底上げしてくれると思うのですが、いかんせん技術的・体力的な問題があるようで、振付こなしきる前に息切れしてましたね・・・。

●イリサ・シリテ(17歳)フランス/SP:映画「ブラックスワン」より、FS:エキゾチカ
フランスの黒人スケーターという一致点はありますが、メイテさんと比べると、衣装の色・デザインは良いのではないでしょうか。FSでは、首飾りのように動く飾りが面白いですね(ちょっと邪魔そうですが)。
マロッコさんと同様、ラストで音楽がぶつ切りになってて唐突感が否めないのは残念。

メイテさん陣営よりマシとはいえ、アフリカン向けの振付として良いとはいえないと思います。が、シリテさんも、楽曲に合わせて、もう少し躍動感があるスピーディーな動きが出来ればなあ、と。

●ソニア・ラフエンテ(19歳)スペイン/SP:クライ・ミー・ア・リバー、FS:アランフェス協奏曲
FSについては、感情を表に出さなさ過ぎというか、淡々とし過ぎているという感じがします。
もともと達観したような顔つきで情熱的なイメージは無い方ですが、SPのときは、衣装の華やかさも手伝ってかそこまで感じなかったのですけど。

●マエ・ベレニス・メイテ(17歳)フランス/SP:Derniere lettre du Prince、FS:フィーバーほか
衣装と振付がアフリカン向けでなく残念なことは、NHK杯のSPのところで書いたとおり。
SP・FSともに難しい楽曲だと思います。振付がよくないと負のスパイラルですが、ただ、演技自体はNHK杯のときより良かったのではないでしょうか。

●ビクトリア・ヘルゲソン(23歳)スウェーデン/SP:マイ・ファニー・バレンタイン、FS:サンセット大通り
SP・FSともに、アメリカ大会のときよりも季節が進んで、衣装が似合ってきましたね。

SPのマイ・ファニー・ヴァレンタイン。
いろんな方が歌われている曲ですけど、私、歌詞の内容を知らなかったんですよ。で、今回、ヘルゲソンさんの感想を書くために調べたの。ここでは紹介しませんけど(検索かけたらすぐに出てくるのでご興味あればどうぞ)、こんな歌詞だったんですね~。良い歌詞じゃないですか。
私、曲としては男性歌手が歌っているのが好きだったけど、歌詞を知ってからは女性シンガーのが好きになりましたわ。でも、歌詞を知ると、ヘルゲソンさんの演技が物足りないですね(苦笑)。もっと上から目線というか、はやりの「ツンデレ」というか、そういう女性上位の恋愛模様を見せられる部分があると良いかな、と。

FSのサンセット大通りは、アメリカ杯のときにも書いたけど(こちら)、「ラストで発狂する老女優」が主人公。これを演じたといえるためには、もう少し分かり易く悲哀が欲しいところ。

●かなこちゃん(17歳)日本/バイオリン協奏曲(メンデルスゾーン)
かなこちゃんはねえ、踊っているときでなく、普通の素の動きの時にも既に跳ねるように動くんですよね。で、彼女の踊りって、本来もってる素の動きを抑制・矯正した上でのものではなく、素の動きの延長上にあるんですよね。だから、ナチュラルに弾けるような動きが何より特徴で、静かに動かそうとしていても、どこかに小さな反動がついているように見える(笑)。だから、やはり静的な印象ではなく、元気とまで言わないムーブメントのときでも動的な印象がある。

こういう「弾ける」タイプの動きって、弓で演奏される弦楽器と相性があまり良くないような気がする。弓で演奏するときに特徴的に出る音の伸びと調和しないというか、真逆のムーブメントなので。
逆に、羽生君のように「しなる」タイプの動きは、弓で演奏される弦の音にとっても良く似合う。

かなこちゃんのFSは、SPよりかはテンポが彼女に合ってたと思う。だけど、やはりバイオリンの音がメインで出てくる楽曲であるだけに、彼女のムーブメントとちょっと違和感が出ることは否めないかなあと。

●アリッサ・シズニー(24歳)US/悲しきワルツ(シベリウス)
元来、悲しきワルツの曲想には死の香りがあるので、シズニーさんが狙っているものを確認するため、いつか完成版が見たいとアメリカ杯の感想に書いたのですが(あのときはジャンプの調子と流れが悪くて全体像を把握できず)。

今回、冒頭で、忍び寄ってくる何かに対する緊迫感とか恐怖感のようなものを演じているように見受けられたので、一瞬瞠目したのですが、冒頭だけで終わってしまいました・・・。この印象で作品をまとめることができたら新境地だったのになあ、とちょっと残念。

●カロリーナ・コストナー(24歳)/モーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」
振付がかなり細かく複雑ですよね。音の1つ1つに動きがついてる部分もあるほど。これをこなせる身体能力と、多少ミスっても追いつける落ち着きと経験値の高さは、コストナーさんの妙味といえましょうか。

ただ、何度も書いて申し訳ないのですが、やっぱり私は、彼女のいろんな意味でのスケール感に照らすと、この曲は若干軽いと感じてしまうなあ・・・。申し訳ないけどコストナーさんの演技を見てると、「この手のモーツァルトの音楽って小柄な人が軽やかに、がベストマッチだよな~」と思ってしまうのです。

●エリザベータ・トクゥクタミシェワ(14歳)ロシア/ラテンセレクション
あら。カナダ杯のときにつけていた頭の大きな薔薇、取っちゃったんですね。可愛かったのに残念。
FSをラストで滑るという緊張もあったのでしょうし、FSは体力が必要だからSPほど自信が無かったのかもしれませんが、SPのときの堂々さとはレベルが全然違いました(笑)。

また、特に、FS楽曲の一部にある明るい強さやエネルギッシュな曲調の部分については、まだ追いつけていないことが顕著でした。この点については、カナダ杯と大きく変化は無かったですね。そういう意味で、SPの方が成長が感じられました(もちろん、SPのタンゴについても、ザ・タンゴといえるほどの演技ではなかったといえばそうなんですが、カナダ杯よりずっと良くなっている)。

ただ、こういう演技の完成度については、求め過ぎというのも良く分かっています。そもそもSP・FSの楽曲ともローティーンの少女(=子供)が完成させられる演目ではなく、彼女の華奢な身体ではまだ到底無理です。せめて、体が通常の16歳くらいしっかりしてこないと、ね。
もし、彼女が「普通」の14歳にちょっと毛が生えた程度の方なら、「まあ、可愛い!よく頑張ってて素敵でした。」と褒めるだけで充分な出来だったと思うんです。しかし、彼女のポテンシャルが見るからに高いせいで、ついつい要求度が高くなってしまうのでした。
by koharu-annex | 2011-11-25 22:40 | 2011-2012 フィギュアスケート