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もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

中国杯 男子FS

●リチャード・ドーンブッシュ(20歳)US/いずれもモリコーネの楽曲で、A Fistful of Dollars(荒野の用心棒)、Ecstasy of Gold(続・夕陽のガンマン)
ところどころに、拳銃撃ったり、投げ縄ぐるぐるしたり、タバコ吸ったり、ブーツの金具をかちかち言わせたり、馬に乗ったり、様々な西部劇風のマイムが入るのね。アメリカ大会の時より、沢山マイムを見つけられた気がする(笑)。

・・・・だけどそれだけで終わっちゃうのが残念ですわね。。。

●ケビン・レイノルズ(21歳)カナダ/光田康典 ゲーム「クロノ・トリガー」より
SPの時より肩が下がってる気がする。また動くときの姿勢もSPの時よりも良い気がします。

いわゆる美男ではないけれど、日本の少女漫画から抜け出てきたように、細くすらりとして華奢で手足が長い。ジャンプ、特に4回転が得意ということで、どうしても演技の中心もトレーニングの重点もそこに行っちゃうのだと思いますが、このほっそりとしたスタイルを表現の面で最大限生かすことも考えて良いのではないかしらん。ちともったいない気がする。あと音楽性は良いのに、楽曲表現に工夫が見られないのも、損している気がする。

●ゴ・カリョウ(26歳)中国/タンゴ
わー、変な衣装・・・。
演技後半、気の毒なほど疲れてしまいましたね。

●ソウ・ナン(21歳)中国/フランツ・リスト「ハンガリー狂詩曲第2番」
右半分は上着を着たところ、左半分は上着を脱いだシャツにベストの状態。こういう半分に分ける衣装にする必要があるのか疑問で、気になって仕方がなかったです。去年、かなこちゃんの衣装はこのタイプでしたが、あれは半分がゾロで半分が姫だったからね。あれは納得の意味ありだったので、むしろ好感を持って観ることができたのですが。

スピード感が落ちずに、最後までテンポアップする音にも遅れることなく軽快に動けたことは評価に十分値するのだと思います。ただ、舞踊的な観点からすると振付もムーブメントもつまんない。また、楽曲表現という意味においても、「テンポに遅れない」というだけではあまりに不十分。特にこの楽曲は、世界の踊り子あっこ姉さんのSP楽曲なので(もちろん編集は随分違うので、イメージはかなり異なる仕上がりになってますが)、どうしても物足りなさが先に立ちます。

●織田信成(24歳)日本/シェルブールの雨傘
衣装をみて、フランスの花売り男はどこいった?と思ったけど、ま、いいっす(ジャズアレンジの楽曲には合ってましたし)。

冒頭のスローなピアノのソロと信ちゃんの滑りがかなりしっくりきていて素敵だったので、おおこの曲調いける?と思ったのですが。すぐにジャズアレンジになってしまい(苦笑)、予想どおりなんだけど・・・アレンジが難し過ぎると思う。ラストのところなんか、わざわざぶち壊す気かよ!と思いましたよ。アレンジし過ぎないで、原曲に近い方がずっと良いのでは?

正直、この楽曲で舞踊的に踊ることは高橋さんでも難儀すると思います。信ちゃんは、もともと身体にジャジーなスウィング感がある人ではありませんが、そもそも信ちゃんに限らず、この編曲の場合、通常の人はリズムやメロディをある程度無視して、大きな拍子で把握して滑るしかないと思う。ところが他方でリズミカルな部分やメロディアスな部分も目立つ音楽なだけに、結果的に音楽と動作の親和性が犠牲になってしまう。なんか不必要なハードルが設定されている感じで、なんだかな~と思います。

バランスを崩すことが散見され、まだ怪我した膝の回復具合に合わせた身体使いを模索しながら滑っている感じですね。スピードも本来はもっと出ると思いますし。私は、今年も信ちゃんは楽曲に恵まれないなあ~と少し残念な気持ちを持っていますが、シーズンが始まった以上は信ちゃん自身が納得できるベストの演技ができるよう、身体の調子が万全となることを祈っております。

●ジェレミー・アボット(26歳)US/エクソジェネシス交響曲第3部
佐藤ゆかさんオンリーの振付ではないことは承知の上で、ゆかさんの振付っていかにも「玄人受け用です」というオーラがある時がありますよね。素人は分からなくて結構、という雰囲気を感じる時もある(笑)。
今回もそっち系だと思うのですが、それにもかかわらず気取ったように見えないのは、アボット君の個性のなせる技でしょうね。

舞踊的に理想的な姿勢とは言わないけど、ほぼ同じテンポながら、流れるような連続した動作を静かに無理なく連綿と淀みなく繋げていく姿は、一種快感です。

アボット君のにじみ出る性格に負うところも大きいのでしょうが、非常に静謐で澄んだ空気が流れていました。清潔(ある種高潔)でストイックなんだけど、人に感謝する心が大きな人なんだろうなあ~と、そんなところまで想像させるものがありました。

●羽生ゆづる(16歳)日本/映画「ロミオとジュリエット」より
うわ~、顔色が悪い・・・
と登場の時から思ったんだけど、冒頭から身体はよく動いてました。序盤のジャンプは非常にクリアでしたしね。後半も、何度かのジャンプの失敗にもめげず、一生懸命全身で表現していく姿が健気で胸を打つものがありました。この健気さというのは、ロミオに通じるものですからね・・・。

あの顔色の悪さは体調が万全でなかったことを物語っていますが、そうであるにもかかわらず、体力の問題を感じさせませんでした。パワー配分など、随分考えて臨機応変に対応できるようになっているのかもしれませんね。パワー配分や体調に応じた力の入れ具合の調整は、体力が有り余っているとは言い難い羽生君にとっては身につけるべきスキルでしょうから、そういう意味では大きな収穫とも言えるのではないでしょうか。

今回は残念でしたが、これも経験すべきことだったと捉えて、次回に気持ちを切り替えて欲しいですね。

●アルツール・ガチンスキー(18歳)ロシア/映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』より
こちらも顔色が悪いと思うんだけど・・・若手だけが罹患する風邪でも流行っているんですかね、中国では?
後半、明らかにスピードも落ちて、体力も気力もついていってない感じで、羽生君よりもっと風邪がひどい感じですわね。

さて、JOの時と同じこと言いますけど、ガチンスキーさんの個性と楽曲が合っていますよね。
今回は、途中で明らかに失速したので、人間に恋したバンパイアの「葛藤」は感じられなかったけど、今後に期待していますよ!

今日は、ミーシンコーチとぬいぐるみでじゃれたり、不安を隠すようにぬいぐるみを抱える仕草が、演技でなく「素」だと感じました。。。。
by koharu-annex | 2011-11-06 23:03 | 2011-2012 フィギュアスケート