カナダ大会 男子SP
2011年 10月 30日
フラメンコ系の音楽が似合う風貌ですよね。
男性を抜群にかっこ良く見せるフラメンコを想像させる素敵な振付がたくさん入っていました。
スピード感とか、動きのキレが伴えば、もっとカッコよく仕上がるでしょうね。
●ロス・マイナー(20歳)US/Para Ti by Jorge Gomez
ブラジル系の音楽(と言っていいのかな?)だけど、激しさは控えめで上品に仕上がっているのが、マイナーさんに似合っていると思いました。
逆に言えば、技術で失敗した場合に、もう少し「踊り」を感じさせる何かがないと、ちょっと地味になっちゃうかなあ。
●デニス・テン(18歳)カザフスタン/エレジー(ラフマニノフ)
アメリカ大会のときは、BS朝日がテン君のSPを放映してくれなかったので、私は初見です。
昨年に比べて、音楽をよく聴いて、ちゃんと呼吸しているなあと思いました(アメリカ大会のときと同じ感想で申し訳ないが)。
エレジーのようなクラシックのゆったりした曲調で、自分の呼吸と動きを音楽に合わせることを覚えたら、テン君に似合う楽曲に移っていけるのではないでしょうか。
●アンドレイ・ロゴジーン(18歳)カナダ/ブロークン・ソローほか
衣装がちょっと理解できなかったけど、音楽によく合った振付を、大きく外すことなくよく動いてました。
●ハミュエル・フェルナンデス(20歳)スペイン/I love Parisほか
あらら、モロゾフさんのところから離れてオーサーさんのところに行かれたのですね。
私は昨年のフェルナンデスさんの演目が好きで、頂いたコメントの中に「モロゾフらしい」との記載があったので、何だか少し残念だわ。
元々コメディタッチの動きは、ひっじょーに上手な方ですからね、それ系の動きにはもちろん全くそつがないです。
点数は問題なくOKというか満足いくものだったのでしょうが、私ねえ、彼があんまり楽しそうに見えなかったの。それがちょっと気になったな。
少し緊張もあったのかなあ、4回転ジャンプが成功したにもかかわらず、のりのりになってなかったように見えたんですよね。
もっともっと彼の身体は、伸びがあるし、楽しそうに動くんですよ。
今回は顔の表情も身体の動きも硬い気がしました。もちろん、それでもあれだけそつない動きができるところは「ビバ」と言ってもよいでのしょうが。
●アレクサンドル・マヨロフ(20歳)スウェーデン/オースティンパワーズ
わー、面白いプリント!と思ったら、オースティンパワーズか。
この曲は難しいですよ。本当に難しい。
厳しいことをそのまま言わせてもらうけど、一刻も早く違う曲に変えた方がいいと思う。
●アダム・リッポン(21歳)US/Korobushka by Bond
あら、赤毛に染めたんですか。
コサックダンス風の衣装と振付ですが、泥臭さは完全に拭い去られていました。
本来のコサックダンスが大好きな人(例えばうちの旦那とかだが。笑)にとっては物足りないことこの上なし、というか、「こんな風にほぼ無色に近いまでにコサック色なくすんなら、コサック風にする意味、全くないでしょ」と突っ込みいれたくなるでしょうけどね。
が、私は、リッポン君らしいリリカルだけど上品な仕上がりで、これはこれで価値があると思います。
●バンデルペレン(29歳)ベルギー/シルク・ド・ソレイユより「キダム」
2週続けての出場は、さすがにつらいですよね。
テン君も連続出場ですけど、やはりここは年齢的な問題が出てきてしまうのでしょうか。
じわ~っとゆっくり確実に数えながら回転するスピンが、何度見ても、私には衝撃です。というか、一種感動的ですらありますね。
やっぱり競技ですから、決められた回転数は何としてもこなす、という姿勢は、若いスケーターも学ぶべき姿なんだと思います。
●パトリック・チャン(20歳)カナダ/テイク・ファイブ
ジャンプの調子は悪かったみたいですが、身体に無駄な力が全く入っていないんですよね。なのに体幹は外から見ても分かるほどすごくしっかりしてる。飛び抜けて、高いレベルで、そう感じさせます。
こういう身体のコンディションである限り、パフォーマンス自体は安定してると思いますよ。
楽曲の少し都会的でスノッブな雰囲気が、今年さらに自信と余裕が出てきたチャンさん自身の雰囲気(でも相変わらず男爵くらいの下級貴族って一応言っておく。笑)に、よく似合っていました。
さらにいえば、男爵が高級バーでくだけた雰囲気なんだけど行儀よくショートカクテルを飲んでるってイメージを感じさせる演目なので、チャンさんの社交ダンスのホールドを連想させる姿勢が、これまたひっじょーに合っています。
私はこれまで観てきたチャンさんの演目の中で一番好きですね。
●高橋大輔(25歳)日本/In The Garden of Souls
難しい楽曲で、高橋さんでないとこなしきれないでしょうね。
それにしても、彼は、音楽の把握の仕方が他とレベルが違います。
また、動きに本来のキレもスピードもない中で、ここまで踊れることが、表現の地力の圧倒的な大きさを物語っています。
本当に表現という意味では、他に比類ない人です。
いや~、アナウンサーは「完璧」なんてほざいていましたが、あほかいと思いますよ。
これが完璧なわけないじゃないですか。もっとずっと高みに行くにきまってるじゃないですか。今はせいぜい五合目。