もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

五輪男子 その2

皆様、ごきげんよう!
今日の東京は春霞のようなもやった空でした。気温ほど暖かくは感じませんでしたが、確実に春はやって来ている気がします。

反面、まだ山梨とか埼玉とかで、雪の影響で孤立している世帯や、孤立こそしていないけれど積雪による被害がまだ続いている地域があることがとても心配です。被害が五輪開催時期に重なったため、報道が薄く、必要な支援が行き届いてないのではないかと、それも心配です。。。


<カザフスタン> 2枠
●デニス・テン(20歳) 総合3位
SP=サン=サーンス 死の舞踏(振付:ローリー・ニコル)
FS=バレエ「お嬢さんとならず者」「ボルト」、映画「馬あぶ」よりロマンス(振付:ローリー・ニコル)

一昨年NHK杯に一緒に行った友人(殆どスケートを知らない)から朝一番で届いたメール、「銅がカザフスタンって!?」が未だ忘れられないワタクシです。そうか、テン君はカザフスタンだったね。いつも個人として認識していて、あまり国籍を意識したことがなかったので、改めて書かれると新鮮だったわ。

SP、ジャンプミスがあり成績は振るいませんでしたが、ステップでの骸骨ダンス(死の舞踏なのでね)は、この楽曲らしいズバリな振付で楽しい。ただ、全体的に力みがあるかな。力むところは力んでいいんだけど、腕を骸骨っぽくカクカクするところなんかは、脱力して軽く茶化すように踊ることができれば、すごく素敵になると思いました。

FS、はだけたシャツの中に、首に結んだままのネクタイを入れているという、面白い衣装。
序盤その他で使用されているのは、ボリショイバレエ団(マリインスキーではないところもポイント)がソ連時代に発表した、ザ・ソ連!な演目のためのバレエ音楽。この時代のボリショイのバレエ音楽の特徴は、武骨で単純、華麗・繊細な装飾性は一切なく、男性的で粗野な雰囲気すらあること。ラトマンスキーが新振付を行った舞台(「ボルト」「明るい小川」)を私は見ているので、どうしてもそこに注目しちゃう。だけど、通常は中盤の人気楽曲「ロマンス」の方が記憶に残るのでしょうね。

武骨系の音楽での、テン君の乗り具合が素晴らしい。振付と音楽ととてもよく合っていました。元々テン君のムーブメントのタイプと音楽のタイプが良く合うことも、成功の一因だと思います。ただ終盤はテンポアップするので、疲れてしまいましたかね。

今回の銅メダルは、客観的に言えば、必然の銅というよりかは、他の選手(しかも複数)のミスに助けられた棚ぼたの銅、ということになるのかもしれない。

確かに、昔のテン君は、高い能力があることは認められていたにも関わらず、試合になると気迫が空回りして自滅することが多かった。自分をコントロールする術をじわじわと身につけて行き、ついに昨季のワールドでは実力を発揮し銀メダルに輝いた(この時はSP、FSともに自己ベスト更新)のだけれど。期待された今季は相次ぐ不幸が襲い、GPS中国杯に出ていますが(アメリカ杯は体調不良で欠場)、この時もまだ体調不良で成績は振るわず。体調が戻った後はスケート靴の不具合が発生。

そんなこんなで、昨季ワールド銀メダリストにもかかかわらず、事前の報道では完全に蚊帳の外に置かれてしまった感がありました。実際、五輪でもまだスケート靴がしっくりしていないという報道もあったので、本命視できないと思われていたのでしょうね(スケート靴の不具合って本当に大変みたいね)。

そんな中での銅メダルは、五輪開催中に書いたように(こちら)何か大きな力が働いた巡り合わせのような気がします。


●アブザル・ラキムガリエフ(21歳) 総合22位
SP: Swing Medley
FS: Once upon a time in America

バンクーバーにも出場されたとのことですが(このときはフリーには進めず)、私は初見の選手です。お顔を拝見した時、思わず記憶の中の「牛乳配達のお兄ちゃん」が思い浮かびました。って、今の若い人は牛乳屋さんが毎朝自転車とかで配達してくれてたってこと、知らないんじゃない!? ああ、昭和は昔になりにけり。

SPの衣装、抱っこ紐的なバッテンが胸にあって、なんだ?と思ったら、サスペンダーをクロスさせていたのですね。途中このロング・サスペンダーをビヨヨ~ンとさせる振付が、何度も入っています。多過ぎです。途中、本人も混乱をきたしかけていました。伸ばし過ぎてゴムが伸びかけているのか、肩に流れることも あり。見ててハラハラしました。コーチがモロゾフさんだそうですが、この振付も彼なのかな? 若干の手抜き感を覚えました。

FSの衣装、ストールまで巻いてえらくクラシックだなと思ったら、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」でしたか、なるほど。
切ない映画ですが、この演目ではサントラから喜怒哀楽の異なる様々な音楽がチョイスされていて、色んな表情を見せられる演目になっているようです。しかし、ジャンプミスが続いたので、演技がとぎれ途切れになってしまいました。おまけに、3連続ジャンプを2回やってしまうという痛恨のザヤックも重なり、点数も伸びず。


<カナダ> 3枠
●パトリック・チャン(23歳) 総合2位
SP=エレジー(振付:ジェフリー・バトル)
FS=ビバルディ 「四季」より(振付:デヴィッド・ウィルソン)

SPでもFSでも、冒頭の4-3が美しく決まった時、その後の展開は全く予想できなかったわ。昔アクセルジャンプが苦手と言われていたけど、それを克服したかのように思えていたチャンさん。ところが今回は、SPでもFSでも全てのアクセルジャンプについて安定性を欠いていたように見えました。免疫や体力が落ちると、普段は意識していなくても実は身体の弱いところにまずダメージが来るって言うケド(私の場合は腰痛になる)、そういうのと同じ仕組みなんだろか???

FSでは、ジャンプミスが何度も続いたからか、彼でしか見られない様々なターンや動きが詰まった素敵なステップが、今季、最悪の出来だったかも。苦しそうだった。SPでもステップでバランスを崩すところがあり、遅れ気味になってしまったのかラストのスピンを間に合わせようとしてちょっと慌てたようにも見えました。「らしくない」彼でした。

今回、祇園精舎の鐘の声を聞かなかったフィギュアファンがいらっしゃったでしょうか。嗚呼、我が世誰ぞ常ならむ! 盛者必衰とは大昔から言われますが、ここ数シーズンの強さ、それを象徴する今季GPSフランス杯の鉄壁の演技が記憶に鮮明に残っているだけに、その後のGPFからの劇的ともいえる世代交代を促す波は、言葉で表すのが何とも難しい。だって、チャンさんは、バンクーバー五輪後ずっと、圧倒的な「ソチ五輪金メダル候補」であり続けたから。

この「世代交代を促す波」の始まりは昨年12月。羽生君がSPで世界最高点を出してから、チャンさんのSPに狂いが生じ始めた。私がそのGPFで感じた諸行無常の響きは、ほんの幽けきものであったのだけど、チャンさんにとっては確実に感じられた響きだったと思う。五輪に入り団体戦のSP(FSはケビン君)でも、個人戦のSPでも、結局、チャンさんは立て直せなかった。

とはいえ、今でも私は、あくまで世代交代を「促す波」が来ているだけで、完全に世代交代したとは思えないの。チャンさんが波に動揺し過ぎて対処できなかっただけのような気がするんです。ワールドでは奮起を期待したいわ。ここで終わるチャンさんじゃないはず。

●ケビン・レイノルズ(23歳) 総合15位
SP=Back in Black、Thunderstruck(振付:シェイ=リーン・ボーン)
FS=Exceslsius(振付:ローリー・ニコル)

SPの衣装、半そで。Tシャツ?と思わせるほど地味な、半そで。転ぶと痛い、半そで。心配してたらやっぱり転倒して(2回)・・・腕は打ってなかったけど、いつも限界以上にチャレンジするあなたは、衣装くらいリスクヘッジをして身体を大事にして欲しい。

導入部のBack in Blackのリフ、そして最初のスピンあたりから流れるThunderstruckのリフは、いずれも映画だのドラマだのいろんなところで使用されているから、多くの人の耳に馴染んでいるとは思うんだけど、曲の発表時はバリバリのソ連時代(少なくともリアルタイムでは入ってないのでは?)。それでも、冒頭のリフを聞いた途端、観客が盛り上がってくれて良かったです。

演目としては、男子らしく盛り上がれるロックナンバーですが、この振付をケビン君がこなすのはかなり難しいと思います。良くも悪くも4回転へのこだわりが強く、いつでも全力で限界に挑戦するので、ジャンプでかなりの体力を消耗してしまう。あのテンポで、あの激しさのステップをこなすのは、ジャンプが全て成功したとしても難しいかもしれません。

FSは逆に静かでゆったりとしたナンバー。ローリーさんらしい流れのある動きをつないでいくもの。全体を通して流れを淀みなく出すレベルにまでは至ってないけれど、善戦していたのではないでしょうか。ただ、この手のタイプとしては、以前の宮本さんの振付の方が、ケビン君の身体の癖やムーブメントと相性が良いような気がします。

FSだけの順位を見ると10位だったのですよね。最初の2回は回転不足を取られたとはいえ、4回転を2種類・合計3度跳ぶことに挑み、成し遂げたことは立派です。SPは上手くいきませんでしたが・・・。

こんな大きなリスクを冒さず無難にある程度3回転でまとめて、点数を伸ばすことを重視すれば?という意見は、きっとカナダ国内にも当然あるでしょう(日本で真央ちゃんに対して同様の意見があるように)。また、私の個人的な亜流の見方(舞踊的な表現面重視)からすれば、体力と気力がジャンプに大幅に取られるが故に、彼の本来持っている表現力が発揮できないまま演目が終わって行くことが、残念だとは思っています。

でも、これがケビン君だからなあ。ケビン君が、SP・FSあわせて4回転を5回跳んだ達成感を得たい、そのために無謀と言われてもチャレンジをしたい、と思っているのであれば、誰がそれを止める権利があるでしょうか。ほかでもない彼の人生なのですから。ちょっと痛そうなのは、確かに、見てて辛いケド…。


<スウェーデン> 1枠
●アレクサンデル・マヨロフ(22歳) 総合14位
SP:ロシア民謡コロブチカ
FS:アーキエンジェル

おや、マヨロフ君、なんだか身体がコロコロしてないかい? 以前より丸っこくなっているのは気のせいかい? ・・・と一瞬心配したのですが、なんのなんの。
五輪の舞台で、これまで見て来たマヨロフ君の中で1番の出来。ブラヴォー!

ちなみに、GPSアメリカ大会の時の感想はこちら。
●アレクサンドル・マヨロフ(22歳)/スウェーデン/ロシア民謡コロブチカ
(地上波放映なし)
ロシア風の重厚な衣装・・・結構好きです。コサック風のお約束の振付も入ってましたね。
ただ、ロシア民謡独特のテンポの変化についていけない選手が多いので、最初から不安に思いながら見ていました。やっぱりついていけてなかった。最終的にテン ポが異常に速くなるところ、スケートでついていける方がまあ不思議といえばそうなんですが、テンポが速いだけに動きが更に愚鈍に見える恐ろしさがありますよね。そういう意味で、ロシア民謡ってスケートであまり使うべきじゃないような気がする・・・。

最後に音楽が余った所を見ると、どこかで何かがずれた・・・というか削除したのかなあ、それとも例年とは異なり敢えて振付を少なくしているのかしら。

●総合7位 マヨロフ君/スウェーデン/アーキエンジェル
(地上波放映なし)
後ろ姿を見てパーカーかと思ったら、マントをデザイン化したものなの?と思ってたら、最後はフードにして被ってた。なんだー!?

冒頭、アイソレーションのアラビアンみたいな動きが楽しいなって思ってたら、音楽にもアラビア風なものが入っているなあ。私、この楽曲全く知らないので元ネタを知りたくてたまらないわ。・・・と思い調べてみたら、予告編音楽の制作集団によるいわばイメージ音楽なのね(こちら参照)。こちらでは、アーキエンジェルの音も聴けたし、衣装の由来も分かりました。アニメやゲームっぽい衣装なのね(笑)。

さて、マヨロフ君ですが、ジャンプの調子が今一つだったのが残念でした。が、不可思議で印象的な音楽(そりゃそうだ映画予告編って耳目を引くように作られているから)が連なる中、ちょっと茶目っ気のある仕草も入れつつ楽しい感じで仕上げていました。

まず、SP、本人もロシア出身で演目もロシア民謡ということで、最初から観客に大受けで、本人もノリノリで演技。これが大きかったかもしれませんね。

床を片手でパシッと叩く動作、低く腰かけたような姿勢でのジャンプ、両脚を広げて跳ぶバレエジャンプ、高速での回転は、ロシアの民族舞踊に典型的なもの。続々と繰り出すこれらの振付が、ロシア人観客の歓声を一段また一段と大きくしました。テンポアップに完璧に着いて行ったとは言えないけれど、ここまでできれば充分ではないでしょうか。本人も会心の出来だったのでしょう、何度もガッツポーズ。

FSは衣装を変更。音楽と合わせた、ファンタジー系のアニメやゲームに出てきそうな派手な模様です。ジャンプミスが続いて、少し体力的に持たなかった印象です。ただ、演目としては、なんだか面白いんですよね。


次回はスペインからです。



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# by Koharu-annex | 2014-02-26 01:56 | 2013-2014 フィギュアスケート

五輪男子 その1

<追記>書くの忘れてたので赤字部分を追記しました。

五輪なので、初の試みとして国別に選手を挙げて行こうかな、と。
基本的にフリーまで出場した選手を対象にしていますが、フリーの中でも録画から漏れてる選手もいますので、そこはご容赦下さい(HDD残量が…)。

一応、日本語での国名で五十音順にしてみようと思いますが、イレギュラーの部分もあると思います。

<アメリカ> 2枠
●ジェレミー・アボット(28歳) 総合12位
SP: Let yourserf go(振付:ロビン・カズンズ)
FS: エクソジェネシス:交響曲第3部(振付:佐藤有香、ロベルト・カンパネラ、ジェレミー・アボット)

全米選手権ではノーミスだったのに、五輪の団体SPでは想定外の連続ミス。涙を浮かべ頭を抱えて落ち込んだアボット君。ついでに言うと、団体の演技を始める前に、女子アナがコーチの2人を見て「コーチの有香さんと夫のダンジェンさん」と言ってしまっていて、あちゃ~。2人は今でもコーチ業は一緒にしているけど、婚姻関係は最近ディボース。こういう情報はちゃんと押さえておかないとね…。言われた側はもちろん、聞いてる側もツライ。

団体での心の痛みを引きずっているかのような、緊張した面持ちで個人戦SPに現れたアボット君。
冒頭の4回転で右体側から激しく転倒、そのまま壁に激突、あまりの痛みに瞬間動きが止まり、なかなか起き上がることができない。手を壁の上に伸ばすけど、壁の上まで届かず、そこに掴って起き上がることもできない。思わず、心が叫ぶ「壁、いつもより高いんじゃない!?」(んなわけないんだけど…)。

中継の映像では映りませんでしたが、アボット君の転倒位置は、コーチの目の前だったようです。下の写真(引用元はmsn産経ニュースのこちらの記事)を見た時は絶句しました。有香さんとダンジェンさんは、アボット君の手を引っ張って助け上げることは出来ないのでしょうね…。お互いなんと苦しい時間でしょうか。選手はなんと孤独なのでしょうか。
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プル様の棄権が発表された直後だったので、アボット君まで悪夢の連鎖か!?との思いが鑑賞者サイドの頭をかすめる中、ようよう起き上がり歩きだすように動き出したアボット君。審査員の席に行っちゃうのかと思ったら、演技を続け出して。大大大歓声。

もう何度も見てる演目(映画「ピナ」)なのに、ここがどの振付の部分か全く分からない(私が)。アボット君が必死に、足でスピードを上げながら、以後の演技構成を考えているのが分かる。簡単なつなぎをして、直後、見事な3-3。大きな拍手と歓声。スピンを終えると、手拍子が途切れることなく続いて。どんどん手拍子が大きくなったところで3A。歓声があがり、更に手拍子は続いていく。手拍子の中でスピンを2種類行い(★)、最後はステップ(★)。時間が間に合うかどうか、分からない。どこまで出来るかどうかも分からない。たぶん、途中で終わっているんだけど、本当に本当に、良く頑張った、アボット君!!スタンディングオベーション!なんと上記(★)マークの2つのスピンとステップはレベル4!!スコア見て涙が出たのは初めてかも(笑)。

FSでは、SPで痛めた右腰をかばうためにジャンプ構成を変更。元々小器用に身体を動かしまくる人ではないけれど、おそらく痛みもあり、身体のダメージによる動き難さも相当あるのでしょう、特に腰から上の動きが明らかにぎこちない。苦しい五輪となりました。

ただ、このFSは、演目として彼の良さが凄く引き出されていて、本当に素晴らしいですよね。今回のコンディションでさえ、アボット君のスケートの上手さが伝わってきます。

背景が、凄いスピードで飛ぶように流れていくのに、アボット君はとても静かな佇まいなの。帆に風を受けたボートのように、全く力みなく、ごく自然に流れていく。リンクがまるで、木立の間に人知れず存在する、明るく静かな湖のようです。どこまでも途切れることなく、淀みなく、一瞬の迷いもなく、続いていく確かな流れ。もしかして、あなたはボートに乗ってるのではなくて、風そのものですか。


●ジェイソン・ブラウン(19歳) 総合9位
SP=The Question of U byプリンス(振付:ローヒーン・ワード)
FS=リバーダンスより『Reel Around the Sun』(振付:ローヒーン・ワード)

4回転を持っていないので、今は上位陣には食いこんでいけない彼。でも、逆にそうだからこそ、余裕を持って演技に集中できる面もあるのでしょう。五輪初出場ながら、団体戦でも頑張りましたし、個人戦でも安定感がありました。

柔軟性があり身体のコントロール力が高い。また、手先・足先・首まで気を使った丁寧なムーブメント、正統派のジャストな音取りも、とても好感が持てます。FSの最後のステップでは、さすがに体力的にきつかったようで、「リズムにギリギリ遅れないように頑張ってます感」があったものの、上等の出来。

他の選手では、ステップなどの際に足元を確認するように下を向いてしまうことや、緊張しないためか観客を見ないように視線を水平より若干下方向に泳がせること、または視線自体は水平(以上)に上げていても、心の中で観客や外界を遮断していることが分かる「クローズドな空気」を出しちゃうことがある。

そんな中でジェイソン君が何より偉いと思うのは、彼の場合、「常に」視線が下に下がらないことです。視線を意図する方向にきちんと向けて、そこにいる誰かと(それがカメラであっても)「視線を合わせる」ことに躊躇がないことに、表現者としてのポテンシャルを感じます。彼は、とてもオープンにパフォーマンスします。ベテラン勢をいれても屈指のオープンさ。彼の魅力の1つでしょうね。


<ウズベキスタン> 1枠
●ミーシャ・ジー(22歳) 総合17位
SP: Still Got Blues, Still Got Rock
FS: World Dance Collection

モスクワ出身で中国等で育ち、ウズベキスタン代表となったジー君。
多様な文化的背景があるからか、目立つことが大好きだからか、いつも外見、演目、パフォーマンスが個性的。今回の振付も手掛けたそうですね。

今回も髪を赤くして「俺はちょっと違うんだぜ」感満載。ただ現在また中国に住んでいるせいか、色と染め方が何となく中国人旅行者に時々見られる「えっと…」的な微妙さであることは、気のせいってことにしておきたい。

観客へのあいさつの仕方(四方それぞれ違う挨拶)から始まって、リンクからの引き上げ方、キスクラでの振る舞いに至るまで、見事に「対観客」で自分を演出。アスリートというよりも、また身体表現者というよりも、観客の目の前で自分を出して注目を集めたいというパフォーマー気質が強いですよね(後で述べるボーカルもどき楽曲使用も)。アモディオ君にも、昔、そんな気質が少々見受けられましたが、ジー君はもっとずっとぶっ飛んでいるというか、はっちゃけてます。ここまで行くと、かなり好き嫌いが分かれるかもしれない。

FSはワールド・ダンス・コレクションと銘打たれていて、序盤はタンゴ。ねちっこいです。女性は想定しておらず、自己陶酔して1人で踊っているタイプです。苦手な人もいらっしゃるでしょう(笑)。次の「ある恋の物語」は、高橋さん他が過去に使用していた、おなじみのねちっこいアレンジのもの。導入部こそねちっこく(笑)ポーズしてたけど、その後は余裕が無くなったみたいで・・・「ウッ!」のところでも何もなし。ちょいと寂しい。

終盤はアップテンポの楽曲が続くので、体力が持たなかったかな。ステップは、彼らしい派手なパフォーマンスの見せ場であることは確かでしょうが、脚・足があまり動かないのですよね(笑)。空回りとまでは言いませんが、頭や腕を激しく動かしても、全身の動きになってないところが、いかんせん。どっちかって言うと、舞踊的な表現というより、ロック歌手の自己表現に近い。

なお、この終盤部分、一部ボーカルが入っていて(だからロック歌手の自己表現なのかもしれないけど。笑)、今季はこれを理由に殆どの試合でマイナス(1点)されていたそう。マイナスするかどうかは、その時々のジャッジが判断するのですってね(by本田さん)。今回、五輪の場でマイナスされなかったのでガッツポーズ(笑)。

マイナスされ続けても、この曲に拘って使い続けてきた頑固なジー君、良かったね。もちろん、この確信犯とも言える行為を不快に思う方もいらっしゃるだろうけど、私は「ルールはどんな場合も絶対でなくてはならない」という考え方が薄いので、こういうのは楽しいです。


次回は、カザフスタンからです。



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# by Koharu-annex | 2014-02-24 18:29 | 2013-2014 フィギュアスケート