もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

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皆様、ごきげんよう!
毎年この時期になると律儀にクソ忙しくなるのは何故なんでしょうね。師走に向かってまっしぐら。そんな時に足首を捻挫してしまうという、救い難いドジを踏んでしまい。ああ、もう、私のおたんこなすび!(お能のお師匠さんからは「六条御息所の呪いだな」と言われました。その話は機会があればいずれ)

さて、NHK杯男子1~4位です。日本と米国2人ずつ。このうち何人が五輪のステージに立てるのか・・・師走とソチが迫って来て、こんなこと考えると最近ちょっと胸が苦しい。


●総合1位 高橋大輔(27歳)/日本/SP=バイオリンのためのソナチネ(振付:宮本賢二)、FS=ビートルズメドレー(振付:ローリー・ニコル)

SP,フライング!で書いた「泣いた」以外に何を言えばいいのかって話ですが(笑)。
彼には珍しく音楽を早取りしていたのでは?というご意見を頂きました。確かに早取りと言える部分はあると思いますが、私は、例えば若い選手や緊張した選手に見られる浮足立った早取りとは異なっていると思いました。というか、早取りする場面においてすら(というか「そういう場面においてこそ」)、類まれな音楽性がむしろ際立ったという稀有な現象と言いましょうか。

前提として…バレエの舞台ってね、生のオーケストラ演奏なんですよ(たまに録音もありますけど、それは次善の手段)。当然オケには指揮者がいるわけですが、それでも主役によるPDDやソリストによるソロの踊りの場面の多くにおいて、ダンサーが「音楽のタイミング」(音楽がまだ始まっていない時は開始のタイミングだし、既に流れている時は「あるフレーズの始まり」のタイミングだったりする)と「音楽のテンポ」を決めるんです。視線やポーズあるいは動作で指揮者に合図を送ってタイミングを知らせたり、動作の速さでテンポを知らせたりするの。つまり、これらの場合に音楽を支配するのは、ダンサーなんです。ちなみに、1つの踊りの中でも、特定の技術毎にこれをやっていると考えると分かり易い。

指揮者はオケピット、つまりダンサーと観客の間に位置するので、このタイミングやテンポの合図は観客にも当然分かります。指揮者がこのダンサーの指示通りできなかった場合、ダンサーがごっつ指揮者を睨んでいたり(滅多にないけど熊さんはやってたわね)、観客が「そりゃ無理だろ!」と突っ込みたくなるようなテンポをダンサーが指示して、案の定踊り切れなくて観客の溜息を誘ったり(極端なものは少ないんですが、5年くらい前にイーゴリー・コルプが派手にやっちゃってたわね)、演目と関係ないところでプチドラマが生まれたりします。

指揮者にタイミングやテンポを知らせる方法としては、振付の一番最初の部分(ポーズや動作)をダンサーが音楽よりも先に行ってなされることが多い。なので一瞬動作と音楽がずれるんだけど、次の瞬間、わずかの間にダンサーは動作を音楽に一致させるの。一方、指揮者はダンサーの合図を見て瞬時にテンポを決めて指揮棒を振り始め、その後の流れを見ながらテンポを変更したりするの(ホントに指揮者って大変)。

こんな風に決まる踊りと音楽の関係が、ピッタリ合った時の心地良さは格別なわけです。音楽性の高いダンサーが指揮者に的確に指示を送り、指揮者もセンスが良くってダンサーのタイミングやテンポに抜群に音楽を沿わせている、その感覚。こういう時って本当にね、ダンサーが意のままに音楽を始めたり伸ばしたりして音楽を支配しているように見えるの。そして、この「支配しているように見える」のは、音楽よりも一瞬早くポーズや動作が始めることから、いや増すのかもしれない。

でね、今回の高橋さんの早取りもどきは、この生オケの際のダンサーと音楽のタイミングにとても近いものがあったのですよ。有能な指揮者がいないのに(録音だから当然なんだけど)、一人でそれをやってのけてるのよね。もちろん、それは早取りしちゃうような珍しい気合いの入りっぷりによる、偶然の産物かもしれない。けれど、おそらく彼は本能的に、自分の早取りとその後の動きをコントロールして音楽を支配していると思う。高橋さんって、いろんな意味で天才だけど、この抜群の音楽性は凄いと思ったわ。

FS、これまで見た中で一番仕上がりが良かったですが、高橋さん比ではまだまだですかね。
音楽について、2013年11月12日(火)付け日経新聞で、振付師のローリー・ニコルさんが、なぜビートルズだったのかという問いに対し、「大輔のタンゴ、あのパッションが大好きだった。『Come Together』のタンゴ版は気に入っていたけれど、何年もこれに合うスケーターに出会えなかった。この曲を使うとして、4分半もタンゴを滑らせたくなかったから、メドレーにした」、と回答されていました。

つまり、あのメドレーは、『Come Together』のタンゴ版を基礎に組み立てられたものなのね。これでワタクシ、あの各曲アレンジの極端な派手さや異なり具合の大きさについて、全て合点がいって膝を叩いたわ。叩きすぎて痛い、膝が(←故ナンシー関さんの言い回し)。

以前、『In my Liife』の中で足元でスケートの「S」字を描いた後に腕でハートマークを作るパートがあり、そこでは「スケートの歴史をつくってくれてありがとう、愛してくれてありがとう、見てくれる人にもありがとう」という感謝の気持ちを出していると、コメント欄で教えて頂きました(ローリーさんの振付説明だそうで、プラス常に笑顔でとの指示もあり、高橋さんも頑張っているそうです。情報ありがとうございます~!)。

あそこの部分、ジャッジに向けたハートじゃなくて、むしろお客様に向けたハートであるところが良いですよね。フィギュアスケーターって、プロのスポーツ選手よりもずっとファンや観客の皆様への感謝の言葉を口にすることが多いですけれど、その中でも高橋さんって、ファンへの気遣いとか感謝の気持ちを外に表そうとする気持ちが抜きん出ているような気がします。上のローリーさんの記事でも、「大輔にやりたいことを聞いたら、『何か違うもの、ファンに感謝の気持ちを伝える作品にしたい』と言われた」とありました。五輪シーズンのプログラムを決めるに当たって、こんなことおっしゃるんですよ!?すごいことだわ。ついでに言っちゃうと、あの記事で一番好きなローリーさんの言葉は、「大輔は全ての振付師の夢」。なんて有り難く、嬉しいお言葉~。と思うと同時に「そうでしょうとも!」と鼻高々になってしまった、客観的にはちと恥ずかしいワタクシでありました。

●総合2位 織田信成/日本/SP=コットンクラブ(振付:デビッド・ウィルソン)、FS=ウィリアム・テル序曲(振付:ローリー・ニコル)

SPは、冒頭から表情も動きもノリノリ&ノビノビだったので、こちらも久しぶりに安心して楽しく見ていました。トリプルルッツ後のスピンのスピードが途中で少し遅くなり、テンポが上がった音楽にちょっと遅れてしまったことや、ステップのところで伸びる音楽に合わせた振付部分は、音と同調してスケートがもう少し伸びると良いなあとか、細かなところはありましたが(殆ど難癖レベルですわね)。本田さんは「3つのジャンプ、完璧でしたね~(感嘆)」「かなりの加点をもらえると思いますねえ」って言ってたのにな…。ま、ここでは何も言いますまい。

FSは衣装替え。こっちの方が好きだな。前半、少し落ち着きない様子で動きも悪かったので、もしかして昨日のSPスコア衝撃を引きずっているのでは?と胸が痛みました。が、後半は見事な盛り返しで嬉しかったな。なんといっても、あの笑顔のステップ(子を守る父)を見ると、彼はパパになって良かった、そしてラストシーズンにこの楽曲を選択して本当に良かったと、しみじみ思いました。

昔、全ての感情を「泣き」で表現する男という記事で、以下のように書いたことがあって。

私の、超一押しは、映画ライフ・イズ・ビューティフルのグイドです。
(メイン音楽はこちら。)

第二次世界大戦における市井のユダヤ人の愛と悲しい運命を描いた名作だけど、そんなこと信ちゃんは一切考えなくていい。
ひたすら、妻と子供への愛と、家族の小さな幸せだけを、想って滑ればいい(主人公のグイドがまさにそうなので)。

ただ、信ちゃんは表現力の地力(表現に乗っけられる情感のパワーの強弱、というくらいの意味で使ってます)が、生来的に強いタイプではないので、赤ちゃんができてパパ感情が増幅された後に、その増幅されたパパ感情をもって演じる方が出来がいいと思う。
できれば、つかまり立ちなどができるくらいの可愛い姿を見た後の方が良い。
だから、来シーズンじゃなくて、その次だな。


私はね、信ちゃんには哀愁があると思っています(これは表現の天才高橋さんとのライバル関係から生じた部分が大きいかもしれない)。この信ちゃんの哀愁は、ライフ・イズ・ビューティフルの方が出せるだろうなと、今でも思っています。が、それでも、「ウィリアム・テル」は、信ちゃんの子供への愛情とパパの自覚によって、自然に表現を底上げできる楽曲だと思います。

今や親になったスケート選手は信ちゃんだけではなくなりましたが(安藤さんの衝撃が大き過ぎて、織田・無良のパパスケーターってインパクト薄くなりましたよね)、信ちゃんが所謂できちゃった婚を決めた時は、ちょっとした賛否両論がありました。否定的な意見が出ることはおそらく百も承知で、(少なくとも「有名」)現役スケーターの中で、初めて親になるという選択をした信ちゃん。自分の道を突き進み、今や2人の息子のパパ。子育てぶりが何度も映像で流れましたが、そういう「我が道を突き進んだ」ということ自体が、彼を強くしたと思う。そして、この強さの中には、高橋さんを過剰に意識する気持ちとの決別も含まれると思う。

ところで、真央ちゃんFSのステップのところの「大の字ジャンプ」を、高橋さんと2人して楽しそうに延々と真似している様子が「豊の部屋」で流れましたが、微笑ましいことこの上なし。その後のNHKのスポーツニュースで、アナウンサーが信ちゃんに話をふったのですが(その場でやって欲しそうだった)、一生懸命「いえっいいですっ」と焦って拒否する様子もまた微笑ましくて。皆さん、本当に仲良しですね。(それにしても・・・男子っていつまでたっても子供のところがありますね(笑))

●総合3位 ジェレミー・アボット(28歳)/USA/SP=Let yourserf go(振付:ロビン・カズンズ)、FS=エクソジェネシス:交響曲第3部(振付:佐藤有香、ロベルト・カンパネラ、ジェレミー・アボット)

アボット君も今季で引退…寂しいことこの上なし。
背が高く手足も長く大柄でスタイルの良い選手ですが、その向こう側に、まだか細い少年のアボット君がぽつんと独りぼっちで佇んでいる…そんな繊細な空気を身に纏いつつ、心のピュアさと謙虚さ故の透明感も併せもつ、独特の詩的なオーラのある方です。

SP、ピナの音楽は映画公開後一気に採用されることが多くなりましたが、アボット君のこの手の繊細さ&透明感にとても似合っています。しかも振付が一貫して端正。洗練された滑りとともに、この振付をこなされると魅力倍増。

FSは2季前のもので彼のマスターピース。彼自身も振付に加わったからでしょうか、彼の内面の美しさを映し出す鏡のような演目。静かな湖のような景色と、澄んだ清浄な空気が広がっていきます。ここまで美しいと、彼の不器用な上半身の動きや、も少し気遣いがあっても良い指先なんか、どうでもよくなってくるのよ。

●総合4位 アダム・リッポン(23歳)/USA/SP=カルメン組曲(振付:シンディ・スチュアート)、FS=牧神の午後への前奏曲(振付:トム・ディクソン)

アメリカ大会でも、昨季までと顔つきが全く違っていることをまず最初に書きましたが、今回も書く(笑)。ここまで引き締まった精悍な顔つきになるなんて思いもよらなかった。ニヤけてたってことではないけれど、どこか適当さをにじませた笑顔で、どちらかというとリリカルさが前に出てくる選手だったのに。(その裏で、過剰な自意識と現実の自分との齟齬に処理しきれない感情を持っているように見えたこともあって、それが自信のなさのような臆病さを感じさせることもあった。)

お顔の引き締まり方は、単に気持ちのみによって引き締まっているのでなく、強い気持ちを持って高い目標に向かって身体を鍛え上げた結果故の引き締まりのようにお見受けします。ちょっと過剰だった自意識のレベルに、何としてでも現実の自分を引き上げようと決心しましたかね。言葉は悪いですが、「他を蹴散らしてでも」といったアグレッシブさすら感じます(もしかすると、これが苦手って人がいらっしゃるかも)。

SP,技術への意識ばかりが目立ったアメリカ大会よりも音楽を聴いていたと思いますが…
今まで比較的抒情性を前面に出した演目が多かったのに、今回のSPは力強さを前面に出しているがゆえに、そのムーブメントをまだモノにできていない感じ。特に目立つのはステップのところで、力強さを出そうとする意識が強くなればなるほど、反面で身体のコントロールを失っています(よろけた箇所はもちろんですが、それ以外の部分でもかなり危うい)。

FS,ここまでバレエ「牧神~」の振付(指を揃えた手を横向きにして直線的に腕を動かすもの)を繰り返していたのか~と、ちょっとオドロキ。アメリカ大会で見た時よりもずっと増えてる気がする。正直、あの振付の多用は頂けない。

というのは、あの振り付けは、あの演目におけるニジンスキーの実験(三次元の踊りを二次元で表現する、というもの。これは古代ギリシャのレリーフや壺に描かれた絵にインスパイアされたものと言われている)を端的に表すものだけれども、バレエの舞台とは異なり、全方位に開けたリンクで、しかもジャッジの前を左右に移動する動きのみで構成することが本質的に無理であるフィギュアスケートに組み込んだ場合、「バレエの振付を模した動き」であること以外に意味を持たせることが極めて難しい。そうである以上、アクセント的に要所で使用するのは素敵だと思いますが、あれほど多用するのは「バカの一つ覚え」ってなものです。

ニジンスキーの独創性をくみ取り、フィギュアスケート用の真に創造的なプログラムにするためには、例えばコストナーさんの牧神の振付がそうであったように、バレエの振付を一旦もう少し抽象的なレベルまで引き上げた後、スケート向きの具体的な振付に下ろしてくるという作業が必要。あの振り付けは、その作業を怠っていると思う。これは滑ってるリッポン君ではなく、振付師のクリエイティビティの問題だな。
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by Koharu-annex | 2013-11-24 01:21 | 2013-2014 フィギュアスケート
♪チョココロネ食べるの、どっちから~♪って歌がグルグルしてます。
Eテレ0655の「おはようソング」の一曲。チョココロネの食べ方について歌った曲で、今、ホームページで投票やってます(こちら)。

私の回答は、Q1:B(石澤典夫アナと同じく、チョコが入ってないしっぽをちぎって、頭のチョコをつけて食べる)、Q2:おしり(ちぎることを前提に「しっぽ」と呼ぶときもある)、Q3:なめちゃいます(というよりもしっぽにつける)、です。でも、投票はしてません(笑)。

さて、雑感ですが、長くなっちゃったのでまずは5~9位を先にアップします。


●総合5位 ハビ君(22歳)/スペイン/SP=Satan Takes a Holiday(振付:デビッド・ウィルソン)、FS=ドラマ『ピーター・ガン』より/ハーレム・ノクターン(振付:デビッド・ウィルソン)

ハビ君は日本やアメリカと違ってスペイン代表確定でしょうから、今からバリバリやる必要はないんでしょうけど・・・SPは2位だったのに、まさかのFSでの撃沈ぶり。

SPの冒頭、衣装から判断するに道化師(音楽からは悪魔?)が人を小馬鹿にしているような振付を、肩の力を抜き切ってこなす動作はとても上手です。この点に関連して…そもそも姿勢が良い人ですが、特に良いと思うのは肩に力が入っておらずストンと下に落ちているところ。

この肩の落ち具合が象徴する「力まない」ムーブメントは彼の特徴の1つで、振付もその特徴を生かそうとしているように見えます。が、冒頭だけでなく全体を通して脱力系で貫徹されると、力まないナチュラルな動きというよりも、若干「流している」ように見える(実際、今回は初戦ということで流していたのかもしれません)。が、もしかして振付そのものが小手先を使った小さめのもので、つまんないのかも・・・判断が難しいな。もしハビ君が流しただけなら、肘をもっとちゃんと使うと多少印象が違ってくると思いますが。

FSも冒頭は力まずオチャメ系の振付を上手にこなしました。続いて序盤はSPよりも肘を使っているような気がしたのですが・・・ジャンプの失敗があまりにも続いてしまったためか、中盤からはきちんと動けず、結果流していましたね。

うーん、ここまで動きが悪いと、立ち止まって行う小芝居的な動きすらも、魅力減退・・・というか立ち止まっているだけに、更に悪印象というか。動きが悪く「もっと動きを~」と誰しもが思う中、その意に反して完全に動きを止めてしまう点は、「立ち止まり系」振付の大きな短所かもしれません。流れの悪く淀んだ川を、大きな岩で堰き止めて濁らせてしまう感じ?(え、ちょっと違う?)

●総合6位 むら君(22歳)/日本/SP=ミニーザムーチャー/ジャンピング・ジャック(振付:阿部奈々美)、FS=Shogun(振付:トム・ディクソン)

SP,カナダ大会に比べて階段を上がっているとは思います。もう少し肩の力を抜いた余裕が感じられればいんですけど、それは今シーズンの特殊性から難しいかもしれませんね。が、例えば冒頭の振付なんかは、思い切ってもっと脱力した方がカッコイイと思います。

昨季のFSショーグンが復活。衣装まで気負っている印象だったスパルタカスよりも、安心感があります。同じ力技系の音楽とはいえ、スパルタカスのようなザ・腕力みたいなものより、鋭く尖ったような、あるいは刀の細身を感じさせるようなキレのあるものの方が、無良君には合ってるんだろうな。動きもさすがにこなれてて、スパルタカスとは比べ物にならない。

●総合7位 アーロン君(21歳)/USA/SP=ある恋の物語(振付:パスカーレ・カメレンゴ)、FS=カルメン(モダンアレンジ)(振付:パスカーレ・カメレンゴローリー・ニコル ←コメントでご指摘頂き修正。ありがとうございました~

アメリカ大会の時からあれ?と思っていたんですが、この方は・・・もしかしてご自身の肉体が結構お好きなのかしら?SP・FSともに、シルエットを誇示するような、Vネックのド級にシンプルなピチピチ衣装。あ、もしかして装飾とか無駄な膨らみがあると、気になって演技に差し障りがあるとか?

SP・FSとも、音楽や演目が必要とするセクシーさや男の色気は衣装で充分ということなのかもしれませんが、正直、音楽表現としては物足りないと思います。SPでは、「多少くねくねしとけばいいだろ」的な?おざなりさが感じられるというか・・・この楽曲ならもっとリズムを利かせるべきかな、と。FSでは・・・解釈によりけりだけど、もっと何かあるでしょーよ。

●総合8位 メンショフさん(30歳)/ロシア/SP=Coultergeist(作曲:フィル・コウルター)、FS=Allegro Rose Night Run(作曲:ルネ・オーブリー)

SP,個性的な衣装。あの「手」は・・・ミケランジェロだわね。

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システィーナ礼拝堂の天井画の一部「アダムの創造」

メンショフさんのSP衣装の左肩にプリントされているのは、この絵の中で創造主がアダムに伸ばしている手で(この指先からアダムを創った)、同右腹にプリントされているのはアダムが伸ばしている手。ふふ、相変わらずメンショフさんってば、面白いわ。

私はメンショフさんの、人知れず(←実況&解説者にはほぼ全て無視されてる)物語を紡ぐプログラムを、偏愛しています。ええ、心から愛しています。
トリプルルッツで転倒した時、偶然にも音楽の空白地帯で、舞台上(氷上)の時が止まったみたいで・・・そういうところもメンショフさんの紡ぐ物語の一つのようで、もう何もかも好きです。

摩訶不思議でシュールな絵の中のマジシャンが、魔法のPop Up絵本のページを次々と開くように、淡々とした音楽を背景に様々な絵画的場面を繰り出していくようです。中盤、どこからか取りだした小鳥を空に飛ばして、音楽に小鳥のさえずりを加えて・・・それでも畳み掛けるように淡々と、でも何かがどこかへ昇っていくかのように音楽は続いていき・・・最後は彼の手の平に収まる小さな小箱(絵本)の中に全てをしまって、おしまい。

あの天井画から衣装のモチーフを取ったことも、それが「手」であることも、リンクしたものを感じさせ、彼の物語の深奥をもっと探りたくなります。まあ、旧約聖書の物語の一部を再現したって考えるのが最も妥当な考えなんでしょうけど・・・最初のポーズがおそらくアダム創造で、鳥を飛ばす動作は、大洪水の後に水が引いたかどうか確認するためノアが鳩を放しているところで、ラストはオリーブの葉を銜えて戻って来た鳩を手に取ったところ・・・ってな具合にね。でも、私は、それを踏まえた上で、それを超えた設定を考えるのが好きだな。

ご本人は技術的な失敗にがっかりなさったようなお顔でフィニッシュだったけど、私はメンショフ劇場が拝見できて、大変満足でした。

FSは昨季からの持ち越し。随所にコンテンポラリーダンスの振付を模した動きが入っており、アーティスティックな演目で私は大好き(ただしそれ系ダンサーの動きを念頭に置くと、メンショフさんの身体が硬いんだが…笑)。しかも、なんだかレベルアップしてる気がする!中盤の打楽器が印象的な音楽に合わせたカクカクした動き、まるで身体が鳴っているようで楽しい。終盤の少し焦燥感のある音楽が、観客の皆様の拍手によって迫力をどんどん増してて・・・拍手の音も演目の一部のようでした。観客の皆様、ヴェリーグッジョブ!

●総合9位 セルゲイ・ボロノフ(26歳)/ロシア/SP=二つのギター(振付:イリーナ・ジュク)、FS=A Los Amigos(作曲:アルマンド・ポンティエル)、ポル・ウナ・カペサ(作曲:カルロス・ガルデル)、タンゲーラ(作曲:マリアーノ・モーレス)、振付:イリヤ・アベルブフ

SP,ロシア民謡にしては最後のテンポアップが緩やかで、動作が流れず音楽に充分に追いついていたのが良かったと思います。ただ、動きとしては、キビキビとして綺麗でしたが、若干単調かな。

FSは、様々な楽曲を使っていますが、振付の表面をなぞるだけの段階であることと、技術要素を失敗した関係で音楽とずれた箇所も複数あって、いずれも動作と音楽との合致が薄く印象がほぼ残らないのが残念。
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by Koharu-annex | 2013-11-19 23:52 | 2013-2014 フィギュアスケート
私のブログは基本的には表現面に絞って書いているのですが、今回のNHK杯では表現面じゃない部分で少々もやもやすることがあってですね。まるっきり無視するのも逆に変なので書き始めたら予想外に長くなってしまいまして。バランスが悪いので、この部分だけ抜き出して、先にアップします。

男子SPの採点に関するものです。きっかけは信ちゃんのSP。結果が出るまでえらく時間がかかっていたので不安がよぎったのだけど…あの点数はちょっと衝撃。

まず、回転不足やロングエッジに関する判断が妥当か否かについては、視聴者が見る映像とは異なる映像で判断されるそうなので、とりあえず脇に置いておく。また、ジャッジにある種の政治的判断が働いたかどうかについても、検証しようがないからとりあえず脇に置いておく。

そうであったとしても、今回の男子シングルSPのジャッジ体は質が悪いと思う。

というのは、私、今季のGPSのスコアは全てチェックしていて、今回のNHK杯の後ざっくり統計をとってみたんです(こんなことしてるから雑感が遅くなるんですが・・・)。その結果については別記事で報告出来たら良いなと思ってはいるのですが、取り急ぎ、今、言えることは、NHK杯男子シングルSPは、個々のジャッジが出す数値の幅がかなり広めの部類に属する、ということです。

もちろん、数値が揃い過ぎている(=数値の幅がひどく少ない)のも妙です。また、最終的なスコアを出すに当たって最高点と最低点を削除して算出しますから、飛び抜けて高い/低い点数のジャッジがいても大勢にはあまり影響しない、と大雑把に言ってしまうことも可能です。

だけれども、数値の幅が大きいってことは、個々のジャッジの判断がまちまちってことですわね。その原因は、上で「脇に置いた」事情が存在しないことを前提とすると、審査のためのルールやガイドラインの理解や咀嚼(当てはめ等)に差がある、ありていに言えばジャッジ体に理解不足・咀嚼不足の人間が入りこんでいる可能性が極めて高い。

そういうジャッジ体は褒められたものじゃないと思う。もちろん、主観的な好みや芸術的な演目への理解の差が出そうなPCS(の一部)に、ある程度差が出ることは仕方ないかもしれないけど、少なくともTESの判断について理解不足・咀嚼不足はまずいんじゃないの?

例えばこれは一例ですけれど、今回の男子SP、TESのGOEで個々のジャッジが出した数値の幅が「3点」あるのは以下の通り。
1 高橋 4T(-1~2)      分布: ‐1=1人、0=1人、1=2人、2=5人
2 高橋 CCSp4(-1~2)   分布: ‐1=1人、0=3人、1=4人、2=1人
3 織田 3Lz e (-1~2)   分布: ‐1=6人、0=1人、1=1人、2=1人
    (↑間違えて当初「4」にしてました。コメント欄で指摘頂きましたので訂正します) 
4 リッポン CCSp3(-2~1) 分布: ‐2=1人、‐1=1人、0=3人、1=4人
5 アボット CCoSp4(0~3) 分布: 0=1人、1=5人、2=2人、3=1人
6 メンショフ FCSp3(-2~1) 分布: ‐2=1人、‐1=2人、0=5人、1=1人

GOEに「3点」という大きな開きがある技術要素が6つもあるって、結構珍しいくらいの多さなんですよ。

ちなみに、女子SPでGOEに3点の開きがあったのは、以下の1つのみ
1 宮原 CCoSp4(‐1~2) 分布: ‐1=1人、0=2人、1=4人、2=2人

単純に比べることはできないでしょうが、やっぱり男子SPのジャッジ体の方が質が悪かったと思うなあ。こういうスコアを根拠に(だけじゃないでしょうけれど)、政治的な裏の動きがあるのではないかと感じる方がいらっしゃっても当然だな~と思った次第。
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by Koharu-annex | 2013-11-16 01:16 | 2013-2014 フィギュアスケート
今、男女シングルの雑感書いてるんですけど、ちょい時間がかかりそうです。(この記事アップした後、女子シングル雑感の下書き記事がクラッシュして消えました。ショックで倒れそうです…。また一から書き直すのにかなり時間がかかります…)
なので、前文で書いてたものや、ペアやアイスダンスに関するちょっとした感想、また「落ち穂拾い」などうでもいいものを先にアップしておきます。

<訃報>
NHK杯開催中、ちょっとショックだったのは、島倉千代子さんが他界されたこと。昭和がまた遠くなりましたわ。オドロキ話を聞くと「人生いろいろ」「島倉千代子」なんて合言葉のように言い合ったものだけど、そういえばここしばらく使っていなかった…。

報道で島倉さんが歌っている「人生いろいろ」が流れると、改めて良い曲だな~と思ったわ。(旦那もニュースで島倉さんが映るたび、調子っぱずれの声で「死んでしまおうな~んて~♪」と歌っていました)
ご冥福をお祈りいたします。合掌。

<幸せな空間>
昨年NHK杯に一緒に行った友人が、先日KISSのコンサートのために上京したので食事をともにしました。彼女はスポーツ観戦もたくさんしてるし、エアロスミスの世界的おっかけ(←私が勝手に呼んでる)でもあり、多方面に感性の高い人で的確な意見を言うので、私はとても信頼しているのですが、その彼女がこんなことを言っていました。

私もいい加減いろんなコンサートだの舞台だの試合だのを見に行ったけど、去年のNHK杯ほど「幸せな空間」はなかったわ。間違いなく世界一幸せな空間やったわ。

今年も「幸せな空間」でしたね。テレビ画面からも伝わってくる日本のスケートファンの温かさ。男性も沢山いらっしゃいましたが、観客の皆様全体から母性すら感じるほどでした。

<クロコーチ>
NHK杯はLive放送なので長い…。HDD残量を確保せんと大会前は溜まっていた録画を一生懸命見ました。その中に旦那が録画していたドラマ「クロコーチ」があったのですが、面白かった~。視聴率悪いけど(笑)。

原作で男性刑事だったはずの相棒を女性刑事(剛力彩芽さん)に変更しているところは相変わらずテレビな感じですが、クロコーチ役の長瀬智也さんや、不気味な敵役の渡部篤郎さんの癖のある演技が楽しいです。(いつの間に長瀬さんはあんなに良い役者さんになったの?)

「はい、せいか~い!」(←だみ声で)が、今、私達夫婦のトレンド。

<ペア>
成美ちゃんと木原さん。今年結成した急造ペアが、あそこまで演技できるようになっていらっしゃるなんて、凄くないですか?天晴れです。五輪団体戦で更にレベルアップした演技を見せてくれると確信できるような、力強さがあります。頑張って下さい!

1位のボロソジャー・トランコフ組(ロシア)。すさまじい完成度の高さ。SPの仮面舞踏会も、FSのジーザス・クライスト・スーパースターも、まるで舞台を見ているようでした。技術的にも何もかも突出。驚異の同調と接近。つなぎやステップのところなんか、一瞬、「あれ、私、アイスダンス見てるんだっけ?」と思っちゃいましたよ。

<アイスダンス>
昨年NHK杯をずっと生で観戦し、「私が本当に見るべきものは、実はアイスダンスなんじゃない!?」と思ったのでした。ま、そこはそれとして、見続けているのはシングルを中心なわけですが。

1位のデービス・ホワイト組の突出具合は昨年同様。驚異の身体能力と言ってしまえばそれまでですが、メリルさんのあの超がつくほどストイックに鍛え上げられた肉体を見ると、全てが努力の上にあると思い知らされます。女性がどんな動作の時も常に身体をきちんと引き上げて自立しているし、リフトの時などに体重を消すタイミングがいつもベスト(これはバレエ等の他のペアダンスでも女性に求められる難しい技術。息も合わなくちゃいけないのでなかなかできない)。そのおかげで、おそらく男性側にかかる負担は最小限に押さえられているはず。

2位のカッペリーニ・ラノッテ組は、女性のお芝居的な演技力が高くて、演技中は素よりも数段美人に見えるほど。

3位のシブタニズ。昨年NHK杯で最も驚いたのは、マイヤちゃんの踊りの上手さ。彼女は、テレビで見るよりも生で見る方が数段上手いですよ。キレッキレ。今季FDのMJメドレーもきっと生で見た方がずっとキレキレだったはず!と思う次第。

リード姉弟は6位。クリスさんの膝が本気でヤバそうで心配しました。この順位は大健闘ではないでしょうか。FDショウグンだけでなくEXの陰陽師も日本色満載で楽しい。狩衣を模した衣装は、競技会では難しいでしょうからEXならではですね。

<豊の部屋>
NHK杯のお約束「豊の部屋」。今年は地上波でお目見え。

もし生まれ変わったら何になりたい?との質問に、米国の未来ちゃん、メリルさん、チャーリーさんが「犬」(A Puppyほか)と。メリルさんはチャーリーさんの返答を受けてのようでしたが、謎な一致でございました。

信ちゃんは衝撃の回答。なんと「公務員」。そりゃ確かに、おっしゃる通り生活のためには安定した収入が必要だけれども(笑)。例えば他の方の返答(アイドルか犬by未来ちゃん、小説家by成美ちゃん、野球選手by木原さん、超絶美人のアイスダンサーbyあっこ姉さん、メリルのパートナー等by高橋さん)のように空想にふけった遊びの部分がなく、生活に密着した現実的な回答をするところは、彼の愛すべき小市民(こちら参照)ぶりをいかんなく発揮している部分と言えましょう。非常に「らしい」回答で微笑ましいことこの上なし、ですが、敢えて突っ込んでおくわ。生まれ変わらなくても、公務員にはなれるわよ!

あっこ姉さんの回答「アイススケーター」については、口頭で「超絶な美人」との説明が。背が高くて脚も長くて顔も小さい…という言葉もあったような気がする。私、それ聞いて…ちょっと悲しくなったのよ。まるであっこ姉さんのコンプレックスを裏から聞いてるような気持ちになって。

コンプレックスとは関係なく、例えばガキンチョが「生まれ変われるなら~、アンジェリーナ・ジョリーみたいな顔で~、ガガみたいなスターになって~、ジョニー・デップみたいな人と結婚して~」ってほざいてるのとは、別のような気がしたのよ(高橋さんの「顔が薄めのイケメンで180センチ超え」「メリルのパートナー」ってのはこの類のような気がした。笑)。あっこさん・・・あなたは凄まじいタレントの持ち主なんだから、今のあなたのままで素晴らしいのよ、って私は言いたい。

真央ちゃんの「(スケートをしていない)真央」ってのも、意外なところにパンチを食らったっていうか、ちょっと胸を突かれた。本当に一途にスケートだけにずっと打ち込んできたんだなって、なんだかちょっと可哀そうになったの。いやもう今は五輪だけに真っすぐに向かっているのは分かっているんだけど・・・その次の将来、マスコミを始めたくさんの人達が放っておかないだろうけれど、彼女がやりたいことをやりたいだけ沢山やれると良いなあ、できればマスコミの目のないところで…と思ってしまいました。




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by Koharu-annex | 2013-11-10 21:27 | 2013-2014 フィギュアスケート

フライング!

高橋さんのSP、テレビの生放送で見て、泣いてしまいました。

終わった途端モロゾフさんが泣いてるところが映されて、一瞬「げっ」と思いましたが(←脊髄反射)、そりゃあんたもあれ見たら泣くよね、と思いました。

代々木の会場は、あの瞬間、世界で1番幸せな空間だったと思います。



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by Koharu-annex | 2013-11-08 17:50 | 2013-2014 フィギュアスケート

中国杯 男子雑感

気付いたらどこにも行かぬまま連休が終わっていました・・・。

久しぶりに寝違えて首が痛くてつらい。
楽天優勝セールで買い物し過ぎたかな~と、懐も心もちょっと痛い(夜中のネット通販ってホント危険ですわね)。

中国のバナーってアニメチックなものもあって、日本とはまた違った趣で面白い。

●総合1位 閻涵(17歳)/中国/SP=マイナーワルツ/ヴァイパーズ・ドラッグ(振付:ローリー・ニコル)、FS=グルメ・ワルツ・タルタール/美しき青きドナウ(振付:ローリー・ニコル)

中国男子で初めてのGPSゴールドメダル取得。おめでとう!
まずは昨シーズンの私のハンヤン君の感想を引用(四大陸のものです)。
うん、この人が目指すべきは、ずばり、「香港ノワール」でしょう(笑)。
「インファナルアフェア」は世界的にみても傑作映画だと思っているワタクシ(ディカプリオ君でリメイクしたハリウッド版は…だったが)。フィギュア界にも、あの世界観を託せる人材が出てきましたよ!

ガチンスキー君の無愛想とは類型を全く異にする、この無頼漢のような無愛想。
FSで音楽にクラシックを使っても、隠しきれない「下手に触れると怪我するぜ」な雰囲気。
♪ ナ~イフみたいにとがっては 触る者みな 傷つけた ♪ なんていう10代特有のものではなく(この手のタイプは20代になると頼りになる整備工のあんちゃんになったりする)、本質的なものを感じさせる。しかも、そこに、うっすら哀愁すら感じてしまうのは、私の単なる期待?

間違いなく青リンゴでありながら(その匂いもちゃんとします)、本質的なダンディズムを感じさせる、恐るべき16歳だわ。
この人は無理して笑うことないし(今も笑ってないけど)、無理してクラシックなんか使う必要ないと思いますよ。
頼むからガチンコで行ってくれ、香港ノワールに。
お願いだから、単なる「ちょっと怒ってるらしい若い中国人」で終わらんで欲しい。

SP,これ、大好きになりそうだな。根底に常に哀愁があるんだけど、コミカルタッチな音も入っている魅力的な音楽。小芝居的な動作がふんだんに盛り込まれていて、彼の今の魅力があふれてる。いつかゴッドファーザーが誰よりも似合うようになるわ、きっと(香港ノワール系の音楽って世界的にはなじみがないと思うので、やっぱりゴッドファーザーだな)。

FS、序盤の美しき青きドナウの部分では、この曲をやるならムーブメントを洗練させないと(でもちょっと無理)・・・と思っていたのですが。途中から映画「ハンニバル」の音楽(グルメ・ワルツ・タルタール)が絡むようになってから氷上の景色が一変。

良く覚えていないんだけど(そしてもう一度見る気も起らない)、そういえば映画ハンニバルでも美しき青きドナウがかかっていたような・・・(気のせい?)。ということは、この演目はまさにあの映画の世界観なわけかしら?ってことは、ハンヤンさんが演じているのってレクター!?うわ~、面白い。そうすると右肩の赤いキラキラは・・・血!?

●総合2位 マキシム・コフトゥン(18歳)/ロシア/SP=フラメンコ、FS=チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番

昨年のジュニアDGF金メダリストで、今回シニアGPSデビュー戦だそうで。
軸が取り易く、回転の速度が上がり易い、細長い身体は4回転やスピンにはメリットなのでしょうね(この点は羽生君と共通する)。

SPは、フラメンコ。冒頭から、男性フラメンコらしい足の動きが入ります(氷を無駄に削るな!と叱られそうで、見ててビクビク)。腕の動き、線は細いですがしっかりしていますし、何より男子選手の中ではかなり綺麗な部類に入ります。何でもないところで転倒しちゃったのは御愛嬌(ここも羽生君と似てるな。笑)。

FSは音楽も衣装も王道クラシック。端正な身のこなしに良く似合っていましたが、FSだけでも3回の4回転にトライしたので(うち2回は成功)、やはり少し疲れましたか。よく音楽についていっていましたが、曲の大きさに動きのスケールが追いついていない(特に後半)。

●総合3位 小塚君(24歳)/日本/SP=アンスクエアダンス(振付:シェイ=リーン・ボーン)、FS=序奏とロンド・カプリチオーソ(振付:マリーナ・ズエワ)

ベストな出来には程遠いのでしょうが、アメリカ大会より良くなったと思いました。あとはご本人もおっしゃる通りメンタルな問題をクリアすることなんでしょうね。五輪シーズンって恐ろしい。

何も言えないけど・・・唯一これだけは再度言わせて欲しい。
FSの衣装、変えて!(汗やら氷やらでこんなにビショビショなのは、いただけないわ!)

●総合4位 テン君(20歳)/カザフスタン/SP=サン=サーンス 死の舞踏(振付:ローリー・ニコル)、FS=バレエ『お嬢さんとならず者』より、映画『馬あぶ』より、バレエ『ボルト』より(作曲:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ)(振付:ローリー・ニコル)

アメリカ大会を怪我で欠場したテン君。今回も万全の体調でなかったようです。早く治して、万全の体調で五輪に臨めますように。

SP、万全ならば、テン君のキレのある身のこなしや、勢いのある直線的な動きに良く合った演目だと思います。FSは、ショスタコーヴィチのバレエ音楽をはじめ様々な音楽が散りばめられた楽曲。当時ボリショイで活躍したラトマンスキーの新振付で岩田さんが踊ったことなどが思い出されますが、今回のテン君は不調が前に出て乗り切れなかったかな。

●総合5位 リチャード・ドーンブッシュ(22歳)/米国/SP=Sons of Italy(振付:マーク・ピレイ)、ビートルズメドレー(振付:マーク・ピレイ)

SP,姿勢の微妙な悪さは相変わらずちょっと気になるけれども、もともと得意としていたコミカルな動きや、軽快な音楽に合わせた細かなステップは上手くなってる気がする。

FSはビートルズメドレーだけど、当然のことながら高橋さんの楽曲とは全く異なる音楽。前半には面白いアレンジがありましたが、後半は割とムード音楽的な平板な印象で・・・って言ったら悪いかしら。パフォーマンスとしては、メドレー楽曲の色が変わるごとに演技を変化させようと努力していましたが、ジャンプ不調に邪魔された感じ。

●総合6位 アモディオ君(23歳)/フランス/SP=ラ・クンパルシータほか(振付:ステファン・ランビエール)、FS=Under The Moon/Happy、バラ色の人生ほか

今年6月にモロゾフさんを離れたのですね。今回は今一つだったようですが、今後この変更が吉と出るよう祈っています。

SP、音楽をがちっと捕まえてこねくり回すような、音に対する独特のラテンな感性は相変わらず健在。このSPの音楽アレンジは、その彼の魅力を存分に見せてくれるものでした。ランビエールさんの振付も秀逸。

FSで見せてくれる茶目っ気あふれるコミカルなステップも、彼のとても素敵な特徴。今回はジャンプが不調で、全体的な出来は悪かった。でも、彼はジャンプの出来が最悪でも、落ち込んだ顔で委縮したステップに陥るのではなく、パッと切り替えて楽しそうな顔でステップを踏むところが立派。途中何度も立ち止まるのは振付なのか(ならばやり過ぎ感が)、単に疲れただけなのか・・・。

●総合7位 ペーター(ぺテル)・リーバース(25歳)/ドイツ/SP=Clocks 演奏:2CELLOS feat.ラン・ラン、FS=リヴ・フォーエヴァー スメルズ・ライク・ティーン・スピリット 演奏:デイヴィッド・ギャレット

SPもFSも水色を利かせた、面白い衣装。上半身の姿勢の美しさを強調したかったのかな。パフォーマンスとしては、いずれも抒情的なものに少々欠け、失敗を最小限に収めようと慎重にこなして終わった印象です。

●総合8位 宋楠(23歳)/中国/SP=ギターコンチェルト(振付:ローリー・ニコル)、FS=映画『ミッション』より(振付:ローリー・ニコル)

SP、以前小塚君が使用していた懐かしい曲。その印象が強すぎるのか、スケートがもっと伸びて、音楽と併せて爽快感を出して欲しいなあと思う。柔らかい雰囲気は良く出ていましたが。

FS、なぜこの音楽にこのデザインなの?という以前に、脇汗が目立つ衣装はダメ。以前よりずっと柔らかい動きが板についてきたのですが(ローリーさんの功績?)、後半からの音楽が変化するところでは力強さが欲しいと思いました。体力的な問題でしょうか。

●総合9位 王一(21歳)/中国/SP=A Beautiful Storm、FS=四季byヴィヴァルディ

SP、あまりにも淡々と平板に過ぎていってしまいました・・・。
FS、今季は男子でヴィヴァルディの四季を選択している選手が多いけれど、王さんの演目の振付はちとダサく、ご本人のこなしも一部適当な感じ。しかし、SPに比べてこちらの方がよく音楽を聴いているようで、ご本人のパッションも感じられました。
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by Koharu-annex | 2013-11-05 10:31 | 2013-2014 フィギュアスケート

中国杯 女子雑感

中国杯のカメラは謎なアングルも多かったのですが、時折ちょっと引き気味で人物を小さく映すときがあって。そういう時は、これまでの大会よりもスケートのスピードとかリンクでの状況(場所とか速さ)が分かり易くて、なかなかおもしろかったです。

●総合1位 アンナ・ポゴリラヤ(15歳)/ロシア/エル・チョクロ、ホワイトキャップ湾の人魚 映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』サウンドトラックより(作曲:ハンス・ジマー)

また1人、ロシアから楽しみな選手が出てきました。こんな隠し玉をもっていたとは、奥が深いな、ロシア。
シニアGPSデビュー戦でいきなりのゴールドメダル。アメリカ大会・カナダ大会と比べると、点数的には低いと言えますが、それでも立派な成績。

SPはアルゼンチンタンゴ。衣装は、派手な蛍光オレンジ赤のような若い色ですが、デザインは斬新でセクシー(素敵!)。15歳という年齢にしては大人っぽい選択ですが、とにかくスタイルの良い方で、しかも姿勢やポジショニングが綺麗ですし、ムーブメントに幼稚さがないため、年齢的な幼さを感じさせません。

特に、腕の作り出す造形が非常に美しい。
以前、コメント欄で「ロシアの女子はおしなべて腕の動きが美しい」というご意見があって、お話したことがあるのですが、これはバレエレッスンの成果だと思われます。バレエの世界では「腕のロシア、脚のフランス」と言われていて、ロシアンバレエの腕のムーブメントの美しさには定評があります。また民族的に腕が長い人が多いので、印象が倍増するんですよね。
こういう基礎があってこそだと思いますが、ロシアの選手の中でもアンナさんの腕は美しいと思います。

FS、映画に出てきたあの恐ろしい人魚の音楽!衣装もこれを念頭に置いた色とデザインで、アーティスティックで素敵です。振付のこなしが素晴らしいですね。若干の筋力不足とスケートの滑り・スピードの不足によるぐらつき等は見られるものの、舞踊的なムーブメントには年齢的な幼さはなく、成熟味すら感じることがあります。また、この年齢で、あの不可思議な重苦しさや不気味さを表現しつつあることには、大きなポテンシャルを感じます。

●総合2位 ソトニコワちゃん(17歳)/ロシア/SP=カルメン(振付:ピーター・チェルニシェフ)、FS=序奏とロンド・カプリチオーソ(振付:ピーター・チェルニシェフ)

SPはカルメン。もともとあったカリスマ性に加えて妙に貫禄が出てきた彼女は、「スペイン風の音楽に乗って少しアクセントをつけた可愛いカルメン」ではなく、「悪女の匂いのある迫力あるカルメン」になりそうで楽しみ。振付に組み込まれた印象的なアクセントも楽しい。

FSは、パンチの利いたアレンジが施された楽曲に、独創的な動作が組み込まれた魅力ある振付。コンテンポラリーダンスを見ているようです。

JOの時より身体が絞れて動きにキレが出てきましたが、SPもFSもまだ荒削りな仕上がり。が、昨シーズンまでの「テンコ盛り振付をこなしきれない。っていうか物理的に不可能」という落とし穴もなさそうで、今後が楽しみです。

●総合3位 コストナーさん(26歳)/イタリア/SP=ユーモレスク(振付:ローリー・ニコル)、FS=シェヘラザード(振付:ローリー・ニコル)

SPは、子供のピアノ発表会でもおなじみの楽曲。情報を聞いた時は、コストナーさんには音楽が弱いかなと思ったのですが、なんのなんの!

冒頭、ひらりと飛んできた蝶々が足元のお花にとまって・・・そっと手に取り空に放してあげる。どこか危ないと思ったのか、また追いかけてつかまえた蝶々を、自分の左肩にそっと乗せる。コストナーさんの周りに、ふわりと柔らかな風が吹いて、まるでプリマヴェーラの精のようです。途中、春の嵐が吹いたりしつつ、何度も左肩の蝶々を気にして・・・最後には左肩から再び飛び立った蝶々を見送って、ラスト。あの衣装は、縫い付けれらた立体的な蝶々も欠かせない要素で、演目の一部を担っています。

絵画のようでもあり、舞台の一場面のようでもあり・・・なんと素敵な演目でしょうか。

対してFS。衣装は即刻変更して欲しいです。
前半は、身体の一部だけが大きくアップにされ全身の状況が分からない部分があったのですが、ちょっと振付を流しているような印象でした。体力配分やジャンプへの集中などの問題があったのでしょうか。後半のステップは動きも大きかったように見えましたし、歓声が沸いた後ろ向きのスパイラルは見応えがありましたが、完成はこれからボチボチという感じでしょうか。

EXはイマジンなんですね。(他にもイマジンをEXに選択している選手がいることは存じ上げていますがそれはさておき)五輪でもイマジンのEXを見るとしたら、コストナーさんのものが見たいと思わせる、素敵なパフォーマンスでした。

●総合4位 かなこちゃん(18歳)/日本/SP=スウィング・メドレー(振付:シェイ=リーン・ボーン)、FS=映画『愛のイエントル』より(振付:パスカーレ・カメレンゴ)

シニアデビューの頃の、初めてが故の怖いもの知らず、真っすぐ前向きで天真爛漫、元気はつらつ弾ける笑顔!(本当に大好きだったわ、あのシーズンのかなこちゃんの演技)、ってのに比べて、もう顔の表情から違うから、見てるこっちも悲しくなっちゃう。不安げで、自信なさげで、動きまで委縮しています。なんだか衣装も(SP・FS両方)、この不安・自信喪失・委縮に同調したような濁った色合いで・・・変えてあげて。

もともと動ける人なので、平均以上に良い動きはされていますが、本人比では3割程度。あんなに踊れる人なのに、本人比では全くと言っていいほど踊れていない。SPは山田コーチが「かなこらしい曲を」と選んだそうですが、調子が今一つである彼女の背中を押してくれるほどのパワーはなかったみたいです。

FS、名ダンサーの平山素子さんがかなこちゃんを指導されている様子がCSでは映っていました。平山さんは本当に素晴らしいコンテンポラリーダンサーで、振付の動きをただ指導するだけでなく、「むせぶような音だよね。そこ」(←うろ覚え)と音楽も含めて的確にアドバイスなさっていました。

でもさ!
そもそも論として、このFSの音楽、やっぱりかなこちゃんの背中を押してくれるような、そして彼女の踊りのうまさを前面に出してくれるような、そういう「助太刀」ができる音楽じゃないと思うのよ。

かなこちゃんが素晴らしい踊り手で、明るくはつらつとしてて、元気でポッピングしているような動きがいつでも出来て・・・そういうありそうで滅多にない個性を持っているだけに、私はこの極端に「大人っぽい」を狭く解釈して選択された楽曲が、本当に残念です。明るく、楽しく、晴れやかで、弾けるような軽さのある楽曲だって、人を感動させることができるのに!ってね。

●総合5位 ニコール・ゴスビアーニ(17歳)/ロシア/SP=テンペスト(ピアノソナタ第17番byベトベン)、FS=前奏曲ト短調byラフマニノフ

シニアデビュー戦。SP,FSの両方ともクラシックのピアノ曲で揃えています。
SPはまだ振付の表面をなぞっている感じでしょうか。表現しようとする意思はみえるのですが、余裕がなくて動作を順にこなすことで精いっぱい。

FSは曲調に合わせるよう、流れるような滑らかな動きを意識されているのが分かりました。が、スピードがあまり出ていないために音楽に置いていかれるところがあって、動きの稚拙さが目立つことに。こういう事態を見ると、音楽の選択って難しい、とつくづく思います。

●総合6位 はるかちゃん(20歳)/日本/SP=メンデルスゾーン 無言歌集 作品19(振付:佐藤有香)、FS=恋人達の夢(振付:パスカーレ・カメレンゴ)

SPは2シーズン前SPを復活。この楽曲ははるかちゃんの雰囲気との合致具合がとても素敵で、私は大好きだったので嬉しい。SPもFSも彼女のリリカルな雰囲気に合わせた素敵な衣装。特にFSは、ワンショルダー風の繊細なもので洒落てて素敵です。

水分をたっぷり含んだような女性らしい抒情的な雰囲気、「たおやか」という言葉がこれほど似合う動きはないと思える独特の美しい腕の動きは、ともに健在。得難く、魅力的な個性です。

報道によれば、アメリカで原因不明の体調不良が続き、身体のために日本へ拠点を移したのだとか。体調が今どれほど快復したかは存じ上げないのですが、ベストな状態で全日本を迎えられることを祈っています。

●総合7位 ザワツキーさん(19歳)/米国/SP=映画『Sex and the City 2』より(振付:デビッド・ウィルソン)、FS=ラ・クンパルシータ/ジェラシー(振付:デビッド・ウィルソン)

SPは昨シーズンから持ち越し。上半身と下半身の動きがほぼ連動しおらず、動作がぶつ切りに見える。音楽的な表現としては、時折入るアラビア風のポーズが断片的に認識できますが、ここはザワツキーさんのアクセントの付け方が弱い。

FSはアルゼンチンタンゴですが、動きにキレとスピード感が無いのが至極残念。セクシーが持ち味の彼女には合っていると思うので、何とか仕上げて欲しいですが。

●総合8位 張可欣(18歳)/中国/SP=黒くぬれ、悪魔を憐れむ歌(作曲:ローリング・ストーンズ)、FS=ポル・ウナ・カベサ(作曲:カルロス・ガルデル)、ラ・クンパルシータ(作曲:ヘラルド・マトス・ロドリゲス)、映画『トーク・トゥ・ハー』(作曲:アルベルト・イグレシアス)、A Los Amigos

真面目に頑張っている雰囲気がすごく見受けられる選手なので応援しているのですが、今一つのところで停滞したまま。ジャンプ中心に考えているのでしょうが、全体的にスピードや勢いに欠け、何より何かを表現しようという意欲が感じられないのが、私としては残念。

●総合9位 郭小ブン(16歳)/中国/SP=映画『ハウルの動く城』サウンドトラックより(作曲:久石譲)、映画『ドンファン』サウンドトラックより(作曲:マイケル・ケイメン)

シニアデビュー戦。初々しくまだか細い少女で、両演目の、童話のようなファンタジーのような音楽が良く似合います。スタイルが良く、肘~手首~指先の動きがとても綺麗です。今後スケーティングが安定し、筋力がアップしてポジショニングが良くなると、もっと綺麗に踊れるようになるでしょうね。楽しみです。

●総合10位 李子君(16歳)/中国/SP=ダンサリン(振付:ローリー・ニコル)、FS=バレエ『コッペリア』より(振付:ローリー・ニコル)

彼女が10位に沈んでしまうとは。
昨年の無邪気ではつらつとした愛らしさを振りまくような演技からは程遠く、顔が曇っていて動きも冴えない。初めての五輪シーズンで「エース」扱いされるプレッシャーの負担が、若い彼女には大き過ぎるのかも。何もかも委縮しきっていますが、一番の問題は心の萎縮。何とか乗り越えて欲しいです。

FSはバレエ「コッペリア」で、冒頭の動きはまさにそれに沿ったものなので楽しく見ていたのですが・・・途中から操り手がなくなった人形のようになってしまいました。やはり、身体のスタミナではなく、心のスタミナの問題のような気がします。
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by Koharu-annex | 2013-11-04 21:53 | 2013-2014 フィギュアスケート