もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

<   2013年 10月 ( 9 )   > この月の画像一覧

カナダ大会 男子雑感

いい加減、自宅の机の上を片付けようとしたら、レビューを書いてないバレエやら、能やら、歌舞伎やらのチラシ類をまとめた山がうず高く・・・怖いもの見たさで高さを測ってみたら15センチ超えてた。一番古いのは一昨年だわ。。。あはははは!・・・どうしよう
もうここまで来たら、オ、オール無視、かな・・・

男子は録画しか見ていないので、追記はありません。

●総合1位 チャンさん(22歳)/カナダ/SP=エレジー(振付:ジェフリー・バトル)、FS=ヴィヴァルディ「四季」より

SPは昨季からの持ち越し。冒頭、顔が・・・ってか目がドアップで。例の友から地上波放送の時間に「Pちゃん、目が怖い」とメールが来ていたんだけど、その意味が分かりました(笑)。

チャンさんのスケーティングって、確かにスピードひとつ取っても凄いんだと思う。向こうに流れていく背景の速さが全く違うもの。でも、こういうのって今のテレビの捉え方では分かりにくいから、例えばジャッジ席の隣あたりで固定したカメラから、追っかけズームなしで撮影したものがあればいいのになあ、と思う。

特にこういう起伏の無い音楽で、舞踊的な動作を最小限に抑えて、スケーティングの高度さで魅せようとする演目って、今の映し方ではテレビのこっち側には会場での凄さが伝わりにくいですから。そういう意味では、これはまさに生観戦向きの演目なんでしょうね。

FSは天国の恩師に贈るプログラムだそう。こういう自分以外の他者に対する思いを込めた演目を演技する時の人間っていうのは、強くなれる。思いが背骨をシャンとしてくれるっていうか。一般論だけど、基本的に人間って、自分の利益のためだけに何かをする時よりも、大好きな他人の利益のために何かをする時の方が、強いししっかりした仕事ができる、と私は思ってる。自分のことだと「ま、このあたりで」って適当なところで折り合いつけて妥協しちゃうのね。チャンさんの今回のFSは、恩師のためという一事が、SPよりもずっと力を出す原動力になったのではないかと思う。

終盤は、四季の「冬」第一楽章。冷たい雪がしんしんと降る様子、風の中で思わず小走りになってしまったり、凍えて歯がガチガチするところを表す音楽が続きますが、ここのチャンさんのステップが素敵ですね。他の選手では見たことのないタイプで、とても好きだな。

●総合2位 羽生君(18歳)/日本/SP=パリの散歩道(振付:ジェフリー・バトル)、FS=ニーノ・ロータ 映画『ロミオとジュリエット』より(振付:デビッド・ウィルソン)

SP,位置につく前から緊張感みなぎっている・・・と思ってたら、冒頭から動きが硬いよ!こんなパリの散歩道、見たことないかも~って言ってるうちに、ジャンプの着地でぐるりん!?転倒しなくて良かった・・・ナイスなバランス感覚。続く2つのスピンはグルーヴきかせた音楽のテンポに合ってて、成長を感じました。

ワタクシは、羽生君に対して大きな愛を持っているので、敢えて言う。
ステップやつなぎのところで、身体のコントロールが行き届かなくて、不安定になることがあるし、また全体的に振付のこなしや動作が雑です。特にFSでは、伸び切る動きが殆ど出来ていなくて、振付の表面をなぞっているだけに近い。これは、やれるけどやってないのではなく、現時点での羽生君の身体ではやれないんだと思う。

もちろん、羽生君は、もともとバランス能力や身体のコントロール力が明らかに高い方ですが、この細く長い身体をコントロールして、きちんと振付をこなしていくためには、相応の体力と筋力が必要だわね。今は明らかに足りない。

昨季までは、その不安定さや雑さもを魅力に転化させていく、少年期特有のガラス細工の健気さみたいなものがあったけど、これに頼れる時期はもう過ぎました。儚いものなのよ、ああいうものって。要するに・・・昨季までの「鈴の音シャラン」(ごめんなさい。リンク貼る余力ないので、初見の人は過去記事見て下さい)なんて時期は、もう終わりを告げて、完全に次の段階に移行したってこと。

報道によれば、昨季に比べて筋肉をつけたし体力アップもはかったって話だけど、まだまだあの細さ。ちゃんとした「男子」スケーターになるために、筋力&体力の2つは重要かつASAPで解決すべき課題かな。ついでにバレエレッスンも受けておくれ。あなただったら、ムーブメントがとても綺麗になるはずだから。

ああ、羽生君にもこういう時期が来たわね。
往年の名作ギャグ漫画「パタリロ!」の中で、作者の魔夜峰央さんが登場人物に言わせたセリフに以下のようなものがあって(うろ覚えだけど)。

パタリロ 「翼がなくなった少年たちはどうなるんだ?」
バンコラン 「決まってる。男になるんだ。」

バンコランって27歳なので「あんたその若さで何をえらそうに」って感じなんですが、フィギュアスケートってこの年齢設定でも納得の種目だな~と思ったり。

マジどうでもいい情報だな。失礼しました。
何が言いたかったかというと、

羽生!(←敢えて呼び捨て) 男になれや!!

ってことです。

●総合3位 信ちゃん/日本/SP=コットンクラブ(振付:デビッド・ウィルソン)、FS=ウィリアム・テル序曲(振付:ローリー・ニコル)

SP,あらまこんなにキラキラした衣装だったんだね。冒頭、大笑顔の始まりが超アップにされてたよ!?カナダでもその表情を撮ろうとされてたってこと?!いんだか悪いんだか・・・。

逞しくなったよなあ、信ちゃん・・・と思いながら見てたら、信ちゃんの背中に嫁と子供2人の姿がちらほら見えた気がしたのは、私が親戚目線だからでしょうか(笑)。まあ、子泣き爺のような無駄な不安や迷いを背負っていた昔より、現実に大切にしている嫁と子供を背負っている今の方が、ずっと健全だよ。頑張れ、父ちゃん。
(しっかし子供までできていっぱしの家庭持ちになった以上、正直、コーチがママってのは何だかなあ~と思っちゃう。無良君もですが・・・他人様の家庭事情に干渉するのもどうかと思うケド、わたしゃ個人的には中学卒業したら、ここまで親子べったりで五輪目指すってやり方は避けた方が無難じゃないかと。むしろ潰すリスクが高いような・・・今更だけど)

ネーベルホルン杯の動画はPCの小さな画面だったから単純な比較はしない方がいいのかもしれないけど・・・今回のSP、スピードやダイナミックさが欠けていると感じました。冒頭でのジャンプの転倒が影響したのかもしれませんが、ちょっと小じんまりまとめ過ぎちゃったかなあ。つなぎ部分も、もっと大きく出来てたような気がしたんだけどな。最後のスピンの時は、信ちゃんのスポッティング(回転技のときに目が回らないためのダンスの技術)が分かって楽しかったデス。

FS、以前、ウィリアムテルというよりも妖精パックのような…という趣旨のコメントを頂いたのですが、本当に(苦笑)。まあ、衣装については何も言いますまい。

冒頭、丁寧に動きを音楽に合わせているので「おお良い感じ!」と思って見ていたのですが、4回転が鬼門でしたか・・・。ジャンプをどこかでもう1個連続にしていたら・・・銀メダルだったかも、なんでしょう?解説者がおっしゃっていた通り、ジャンプを跳んだ後に2つ目をつけようか迷ったようなそぶりもあって・・・でもこういうところを小器用に立ちまわれないのが、まさに信ちゃんよね。人生にIfは禁物だけど、特に彼のこの点に「たられば」は禁物(笑)。GPF出場を目指して、次また頑張ろう。

ところで、FSの終盤のあのThe・ウィリアム・テルの音楽。ローリーさんは御存じ無かったでしょうけれども、日本のある一定層には「家族団欒@お茶の間」を想起させるナイスな選曲。あれは土曜日の夜8時から放送されていた伝説のお笑い番組「オレたちひょうきん族」のオープニングテーマ曲。あれを聴くと瞬間的に、家族でテレビを見ているイメージが浮かぶ人は、かなり多いはず。凄まじい人気番組だったから。私は、小学校の音楽の授業で先生がこの曲をかけた途端、男子達が「ひょうきん族だ!」と大騒ぎしたのを覚えているわ(笑)。クラシックを殆ど知らない人にとって、あれはイコール「ひょうきん族」なの。

ちょうどあの音楽が流れたところで解説者が「このシーンでは子供を守る強い父親像が自分の中に生まれてくると話していました」とおっしゃっていたのですが。
もし信ちゃんが五輪に出られたと仮定して・・・五輪でしかフィギュアを見ない日本のおっちゃん・おばちゃん/じいちゃん・ばあちゃん達が、信ちゃんが家族を思いながらあのステップを踏むちょうどその時に、「ひょうきん族だ!」と思いながら四半世紀前後も昔になった家族団欒を思い出すことができれば、何だかとっても素敵じゃな~い?と想像してしまいました。

しっかし、偶然とはいえ、「ひょうきん族」。
信ちゃんって最後の最後まで・・・(笑)。

●総合4位 ブレジナさん(23歳)/チェコ/SP=山の魔王の宮殿にて byエピカ(振付:パスカーレ・カメレンゴ)、FS=映画『シャーロック・ホームズ』より(振付:パスカーレ・カメレンゴ)

SPは昨季からの持ち越しですが、今季もうまくいかないなあ。ラストであそこまでずれるってことは、体力的な問題は大きいのかもしれませんね・・・。前半のジャンプが複数失敗しているので、そこで体力が取られちゃうのかな。そうすると、やっぱりジャンプの精度を上げるしかありませんか・・・。

FS,冒頭のポーズ、シャーロック・ホームズが現場で座り込んでいる様子かな(ヤンキーがメンチ切ってるポーズではありません、決して!)。ブレジナさんはこういう小芝居的なことやってくれるから、楽しくて好きです、ええ。4回転が2本決まるまで張りつめた緊張感でした(楽曲も緊張感あるので妙に合ってる。逆に緊張を高めるんじゃないかと心配になったけど。笑)。が、4回転以外のジャンプにいくつかミスがあったせいか、他の表現面(小芝居もありそうです)までやりきれなかった印象です。

ブレジナさんは、演目の体力的なハードルを全体的に少し下げた方がいんじゃないかな。ここ数シーズンずっと、4回転を失敗しても失敗しなくても、体力的にかなり手前で限界がきてしまう印象です。

●総合5位 ジョシュア・ファリス(18歳)/米国/SP=リベルタンゴ、FS=映画『シンドラーのリスト』より (いずれも振付:デイモン・アレン、ジョシュア・ファリス)

今季からシニア参戦した、初見の選手です。
SPは変わったアレンジのリベルタンゴ。こういう聴きなじみのある音楽で、味のある変わったアレンジを採用した場合、振付が凡庸だとがっかり感倍増・・・というのが正直なところ。振付のこなしも凡庸の域を出なかったですが、ステップシークエンスのところでは、ハッとさせる動きが1か所ありました(しかし、このステップは音楽との調和がひどく悪い)。

FSの前半に使用した音楽、これを持ってくるあたり、そしてSP・FS両振付に名前を連ねているあたり、ジョシュアさん自身がアーティスティックな志向を持っていることが分かります。SPに変わったアレンジを選択したことも、その証左なんでしょうね。

凡庸で終わってしまったSPに比べると、FSは別人。身体全体を使って、祈りを表現(何の祈りかってのを書きだすともう大変なことになっちゃうので割愛)。ただ、惜しいのは、この振付で表現したいものを完全に表出するために必要な、スケートそのものの安定感に欠ける点。上半身は丁寧に伸びきって、最大限に表出しているだけに、足元がふらつくのは非常に残念。身体表現って何でもそうだけど、下半身って大事よ。土台だからね。(土台だけで終わられても困るんだけど・・・でも土台となれるのは基礎の基礎だわね)

層の厚いアメリカ男子に、また1人、楽しみな逸材が出てきました。

●総合6位 アボット君(28歳)/米国/SP=映画「ピナ・バウシュ踊り続けるいのち」より、FS=エクソジェネシス:交響曲第3部(振付:佐藤有香、ロベルト・カンパネラ、ジェレミー・アボット)

アボット君も28歳なんですね。SPの楽曲をPinaの映画のサウンドトラックにしてきたあたり、アボット君もアート志向を深めていると感じました。SPの冒頭、久しぶりに彼のクリーンな4回転を見ることができて嬉しかった。アボット君もこれで乗って来たのか、冒頭では少し縮こまっていたような動きが、ジャンプが決まって以降、急速に伸びやかになりました。

FSはアボット君のマスターピース。静かな中にアボット君の詩的な内面が溢れ出て充満していく、本当に素敵な演目です。今回はジャンプのミスが散見されて、充満させるところまで至らなかったのが残念でした。でも、今シーズンこの演目が再び見られることは嬉しいことです。

それにしても、有香さん、年々迫力が備わって行くなあ。

●総合7位 エラジ・バルデ(22歳)/カナダ/SP=BomBom(振付:佐藤有香)、FS=クレイジーダイアモンドbyピンクフロイド(振付:佐藤有香)

SP,冒頭から、何だかスノッブな香りのする振付・・・と思ったら有香さんか!納得~!(笑)
お父様がアフリカのギニア出身、お母様がロシア出身、モスクワ生まれで(以上解説)、今カナダ人という、ダイヴァシティを体現しているようなバルデさんです。アフリカ系特有の腕の動きは、バルデさんにも引き継がれていますね。肩甲骨を奥から極限の上までぐわっと回すように動かして、大きく柔らかく空気を抱え込むような動きは、彼らのムーブメントのとっても素敵な特徴。久しぶりに拝見して快感を覚えたわ。

FS、おおピンクフロイド!ナイスな選択ではないでしょうか。バルデさんのように、外見が野性的でかつ身体能力が高いタイプに、ちょい難解で哲学的なプログレッシブ・ロックで知性を付加すると、野性味(それに付随する荒さや筋肉脳的なイメージ)がほどよく中和されて、深みを感じさせる(この方のちょっと寂しげな笑顔にも良く合ってる)。有香さんの都会的な振付もなお一層生きてくるってものですわ。あとは、もう少しムーブメントを洗練させて、もっと音に沿わせていくことですかね(明らかに意識はされているのだけど、まだまだ・・・)。

●総合8位 アンドレイ・ロゴジーン(20歳)/カナダ/SP=ヴィヴァルディ「四季」より(振付:アンドレイ・ベレジンツェフ)、映画「ミッションインポッシブル2」より(振付:シェイ=リーン・ボーン)

SP,チャンさんのFSと同じヴィヴァルディ「四季」なんだ・・・なんか同じ国でそんなのって、ちょっと微妙に・・・四季って市販されているだけでも色々なアレンジがありますが、ロゴジーンさんのSP楽曲は、彼にはちょっと荷が重そうというか、彼の滑りにとっては滑りにくそうと感じてしまいました・・・。どうでしょう。

FSは、前半がガタガタだったけど、後半のフラメンコの音楽から持ち直してきたかな。ただ、スケートでもっと魅せられるといいですね。特にフラメンコって、上半身よりもむしろ足がしっかりしてないとダメな踊りだから、下半身が心もとないと全く迫力出ないんですよね。。。スケートにスピードがあって、はっきりとしたキレのあるステップがあると、印象が全然違うと思うんですが。

●総合9位 ロス・マイナー(22歳)/米国/SP=映画「追憶」より(振付:ジェイミー・アイズレー)、FS=グローリー(テーマ:ボストン・ストロング、振付:マーク・ミッチェル)

SP,うっわ~、懐かしい音楽だなああ!!
アイビールックって言っちゃっていいのかな、映画の男性主人公に合わせたアメリカの学生の典型的スタイルの衣装。基本普段着なので、地味と言ってしまえばそれまでなんだけど、演目にも合っているし、アメリカ男子であるロス君には良く似合う衣装だと思う。

ジャンプの大きなミスが複数あったせいで沈んでしまいましたが、切ない音楽にのって流れるようなスケーティングをする部分もあって、私は好きなプログラムだな。

FSは、ロスさん自身がボストンに居住しているそうで、先だってのボストン・マラソン爆発事件の被害者に捧げるプログラムを用意されたとのこと(by解説者)。

思いを込めた演目でミスがあったのは、とても残念だったと思う(実際、表現という観点から見た場合、途中でぶち切れてしまってる。これでは思いが100%は表出できない)。次回は、技術的なミスなく、ロスさんの思い(祈り)だけを考えられる状態でありますようにと、切に願いします。こういう自分自身の衝撃に基づいた演目というのは、他の演目より「思い」を前に出し易い。でも、それをフルに出せずに終わった場合、後悔とか自責の念も倍増すると思うの。ロスさんの優しさから発せられた、何と言うか「正しい思い」(=FSを被害者に捧げたい)が、そのまま真っすぐに届けられるよう祈っています。

ロスさん、ボストン・レッドソックスはお好きなのかしら?
上原のあの牽制球に痺れてくれてたら・・・嬉しいなあ!

●総合10位 無良君/日本/SP=ミニーザムーチャー/ジャンピング・ジャック(振付:阿部奈々美)、FS=ドラマ『スパルタカス2』より(振付:トム・ディクソン)

SPの衣装、普段着っぽいんだけど、ナチュラルで、無良君のある種の濃さを薄める効果があって、私は好きだな。振付は、阿部奈々美先生。阿部先生って男の色気を出すのがうまいなあ。羽生君、高橋さん(シーズン途中で変えられて私はとっても残念だった)、そして無良君。三者三様の男の色気を引き出してくれましたね。無良君の武骨さも、色気が加わると一気に魅力的に感じられます。

が、無良君はまだ心に不安や自信の無さがあるようで、それが表情や演技の中に「ちょっとした躊躇」「ちょっとした遠慮」として滲み出ている。これが無くなれば、次のステップに上られる予感がしますが。

FSは、演目に合わせた衣装ですが・・・スタートする前から無良君の「気負い」が具現化したものに見えて一瞬で心配に。結果・・・いや~、ちょっとつらい結末でした・・・。もうこれほど得意のジャンプが決まらなければ、ステップ等を乗り良くやれってのが無理だと思う。途中のアクセント的なポーズを、一生懸命音に合わせているところすら痛々しかったというか・・・。

明らかにメンタルの問題でしょう?私なんぞが文句垂れるところじゃないけれど・・・やっぱり可愛い子には旅をさせろ、じゃない?どんなに厳しく育てても、どこまでも家族に囲まれた状況で、メンタル強くなれってのは無理じゃない?

って、今更言うな!だわよね~
どうすりゃいんだか・・・
[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-31 00:03 | 2013-2014 フィギュアスケート

カナダ大会 女子雑感

<追記>10月28日、青字部分を追記しました。

アメリカ大会と同様、BS録画を見たら、また追記します。

コメントのお返事が滞っていて、すみません~~が、とりあえずカナダ大会の雑感の方を優先します。
それにしても、楽天のマー君、すごいな。本当に今季負けなしだよ!(ここまでテレビ放送が延長されると、後番組を待っている身には、つらいものがあるけどネ・・・)

<女子>
●総合1位 ユリア・リプニツカヤ(15歳)/ロシア/SP=愛はまごころ(振付:イリヤ・アベルブフ)、FS=映画『シンドラーのリスト』より(振付:イリヤ・アベルブフ)

おお、フィンランディア杯でもあっこ姉さんと一緒で、こういう順位だったのですね。ほ~。安定してるってことだな。

表現面について昨シーズンからの飛躍があまりにも著しいので、昨季の私の感想をまずコピペした上で、今回の感想を。まず、昨季の中国杯。
素晴らしい柔軟性とポジショニング。
ですが、幼い方特有と言っていいのかもしれません、「ええっと、音楽ちゃんと聴いてますか~?」と言いたくなる仕上がり。また、身体能力が高い選手のもろ刃の剣といいましょうか、あらゆる動きを同等にちゃきちゃきとこなせるだけに、音楽に沿ったムーブメントを心掛けないと無機質になってしまう落とし穴が。

FSの方が腕の動きは良かったと思うのですが、ジャンプの失敗で振付と音楽がずれちゃいましたかね?遅れを取り戻そうと、音楽を無視してばーっと動いてしまったようにも見えました。音楽を無視すると、もう踊りとか表現とは言えなくなるからなあ。

一般論として、才能にあふれた年若い少年少女達の演技を見ることに、楽しみが存在することは確かです。
しかし、私はやはり身体表現が好きなので、当該少年少女達がまだ「表現」に手をかけていないレベルだと、正直に言ってしまうと興がそがれてしまいます。そのため、ワタクシ、今の彼女のパフォーマンスには、申し訳ありませんが殆ど心を動かされません。

当然のことなのでしょうが、彼女の意識の中心は技術的なことにあると思います。実際、スピンやスパイラル時に見せる柔軟性は、現在の選手の中で右に出る者がいないと思わせますし、私には良く分かりませんがジャンプの技術もすこぶる高いとのこと(安藤さんやみどりさんの14歳当時と比べてどうか、という点は聞こえてきませんので、私にはレベルが判断できませんが)。
そのせいか、特にSPでまず最初に感じられたことは、まさに子供らしいとも言えるほどの鼻っ柱の強さで、「すごいでしょ、ね、すごいでしょ?!」という意識(笑)。こういう意識は、表現という意味からは邪魔になることが多い。

とはいえ、このポテンシャルの高さは凄まじい。
ユリアちゃんも、少し上のタクタミちゃんやソトニコワちゃんのように(彼女らも表現的にはまだまだだが)、そのうち「表現」の方に目が行く日がきっと来るでしょう。
その時を楽しみに待っています。2シーズンくらい先かな~

次に、昨季のフランス杯。
高く上がる足、良く動く身体、柔軟性と身体の軽さは相変わらず抜群です。が、今のままだと単なる曲芸(特にSPの剣の舞って曲芸になり易い楽曲だし…)。表現という意味では、意識改革が必要ですかね。

FSは中国杯でも失速してしまいましたが、鬼門になっちゃってますかね。スピン以外の技術でミスを連発。SPで1位に立っちゃうことも、その結果FSではラストに滑ることになってしまうことも、彼女にはプレッシャーが大き過ぎるんでしょうね。難しいなあ。
昨年こんな感じだったのに・・・今シーズンは劇的に進化していて、ワタクシ、度肝を抜かれましたわ!しかも彼女の年齢と個性を生かしきった戦略が凄い(これは本人じゃなくて周りだわね)。ということで、今回の感動・・・あ、感想を。

SP、寂しげに地面に絵(ハートに見えた・・・ラストで再びハートを描いて空に飛ばして眺めていたのでハートに確定)を描いていた少女が、急な雷雨に驚いて顔を上げる・・・という印象的な始まり。季節は夏、です。

私、SPのこの「愛はまごころ」って曲は全く知らないのですが、今回のユリアちゃんの演技は、「思春期のアンニュイ」みたいなものが立ちこめていて、すごく良かった。客観的には本質的な解決方法じゃないのだけど、最後に空にハートを飛ばして、それがふわふわと飛んで行くのを下から眺めて、今ある心の靄はとりあえず解決ってことにしておこう、今日のところは・・・みたいな、そんな思春期の少女のとある一瞬。

すぐに思い浮かぶのは、サガンの「悲しみよこんにちは」(映画じゃなくて小説の方ね。ちなみに小説の設定はもちろん夏です)。あそこまで極端じゃなくても、っていうか取り立てて特別な理由がなくても、ユリアちゃんくらいの年齢の時に、妙にアンニュイな気分に陥った経験のある女性は多いと思う。そして、今考えると「思春期だった」としか言いようのない、訳わかんない解決方法を取っていたことも、あるかもしれない。もう忘れている人も多いと思うケド、私と同様もう若くはない方は、じっと胸に手をあてて思い出してみて下さいまし。

ユリアちゃんが演じているのは、こんな年増が持つうっすらとした幽けき思い出ではなく、ジャストナウ!な思春期少女なんでしょうが(当然だ)、年増だからこそ胸にキュンとくるものがあります(振付師も年増やおっさんのジャッジ達がそう感じるよう狙ってると思う)。年増にならないと分からない何かって確実にある・・・年齢を重ねるって悪くないです。

昨季よりもきちんと音楽を聴いていますよね。振付師から彼女に対しては、私の上記適当ストーリーではなく、明確に意識すべきストーリーが与えられているはずです。彼女は、それをちゃんと意識して演技していると思います。この点、ストーリーを咀嚼しきっているかどうかは分かりませんが、むしろ咀嚼しきらないで「ちょっと分からない・・・」みたいなモヤモヤがある方がいいかもしれない、この演目の場合。いずれにしても、彼女の年齢と、彼女の少し愛想が無いというか(失礼…)頑なに見える表情には、極めて有効な演目ではないでしょうか。

FS、ユリアちゃんの年齢で、しかもユリアちゃんのか細すぎる身体に、この衣装と髪型は反則だわ~~!寒い冬、最低限の荷物すら持たずにナチスから逃げ惑う、可哀そうなあの少女にしか見えないじゃない!映画を見た時の重苦しさや子供達の可哀そうさに潰れた胸の痛みまで思い出させるなんて、反則だわよ!!(笑)

この衣装と髪型で、こんな幸福感の無い孤独なお顔をされた日にゃ(←演技というよりも、地を使ってる部分もかなりある)、映画を背景に、可哀そう、可哀そうっ!!どうか、あの子を助けてあげて!・・・としか思えないわ。
あー、やられましたことよ・・・彼女の愛想なしのお顔を、こんな方法で100%以上生かし切るなんて。素晴らし過ぎる、凄まじい戦略。(ちなみになんだけど、ロシアにはこういう、えらく冷たい系のお顔・表情の方が一定割合いらっしゃるよね。バレエダンサーでも、白鳥なんか踊った日にゃ周りが凍りつきそうな方がいらっしゃいます)

SPもFSも、ステップシークエンス以外のつなぎの部分の小さなステップは、動きも小さく適当に流しちゃってるような仕上がりなんだけど、それすらも彼女の(SPでは「不安定な」、FSでは「守るべき」)少女性を前面に出す効果があるんじゃないかと思えるほど。

いやいや、これだからロシアは恐ろしい。あの民族には確実に、「踊るために生まれた民族」って部分があるからね。まことあっぱれでございました。

●総合2位 あっこ姉さん(28歳)/日本/SP=愛の賛歌(振付:マッシモ・スカリ)、FS=オペラ座の怪人(振付:パスカーレ・カメレンゴ)

SP、そもそも大人な楽曲ですが、アレンジが本当に素敵です。遠く苦しい日々も、今は楽しい思い出と同じように明るく笑って話せるわ・・・そんな風に思えるまで年齢を重ねた女性を表すような、苦しみを乗り越えたが故の幸福感を際立たせるようなアレンジ。ラストの祝福の鐘が涙腺ゆがませます。フィギュアスケート女子シングルでは大ベテランといえる年齢ですが、まだ28歳。なのに、えらい年寄り扱いするようで申し訳ないですが・・・(インタビューでも散々訊かれたみたいようで、なんか気の毒)。

あっこ姉さんのスケート人生を3部構成で表現したとのことですが(「序盤はスケートを始め、楽しくてたまらないジュニア時代。中盤は、摂食障害で苦しんだ大学生の頃を演じる。終盤は、病を克服し、再び五輪を目指す今の自分」byこちらの記事)、そんな細かな説明は不要なほど、胸に迫るものがありました。以前、アイスショーでこのプログラムを滑った際、SPなのにFSかと思わせるところがあると書いたのですが(こちら)、なんと濃密な思いを詰め込んでいるのでしょう。

FSも音楽が素晴らしいですね。冒頭は、あのオルゴールから。ミュージカルや映画を見た方に、一瞬であの世界を思い出させる、あのオルゴールの音色(シンバル猿まで思い出すわ!)。そして続くのは、このミュージカルで使用される様々な音楽。それも重畳的に重ねて使用する素晴らしいアレンジ。

録画を見直して思ったんだけど、冒頭のポーズは、(少しアレンジされたポーズだけど)あのシンバル猿?はっと動きだすところは、シンバル猿が久しぶりに動き出すところ!?

SPもFSも、The音取り名人は相変わらず。特に現時点ではSPの仕上がりが顕著で、緩急を自在に駆使し(身体のコントロール力が当然の前提)、要所でのタメを作った上でなされる音の遅取り。まさに、いぶし銀です(あ、年配に使う言葉をまた使ってしまった・・・)。加えて今季は、「氷上の女優」と呼びたいほどの貫禄があります。いや~、ラストシーズンを、ストーリー性のある2本で揃えて大成功ではないでしょうか。

録画を見直して思ったんですが、FSの音楽の扱いも秀逸でした!すごいな。重畳的に音楽が使われているので初見では分からなかったのですが、メインじゃないサブの音楽(次のフレーズでこれがメインになる)に合わせているところがある。すごいなあ~。音楽の扱いが長けている表現者って、音楽にぴったり寄り添うだけでなく、音楽を自在に伸ばしたり縮めたりしてるんじゃないかと思わせる時がある。これが出来るのは、高橋さんと鈴木さんですわ。は~。良いもの見たなあ。

空席が目立つ会場ではありましたが、日本からのお客様だけでなくカナダのお客様方にも愛されているようで、とても嬉しかったです。

●総合3位 ゴールドさん(18歳)/米国/SP=3つの前奏曲byガーシュウィン(振付:マリーナ・ズエワ)、FS=眠れる森の美女(振付:マリーナ・ズエワ、オレグ・エプスタイン)

あら、ゴールドちゃんってば、相変わらずファニーフェイスだけど華がありますね。SPの衣装は、ブラック&ホワイトの片身変わり風。華やかなストーンも、髪飾りとお揃いの流線形なデザインも、とっても素敵。黒いピアスも真っ赤なルージュも、彼女がするとなぜかキュートな感じがするのは笑顔があまりに屈託ないから?
前からサイドにかけてツイスト、後ろでお団子って、柔らかい髪質と明るい髪色だとなぜかとっても華やかに映るわね(時々、私、こんな風にちゃちゃっとまとめるんだけど、おそろしく地味子デス・・・)。

ガーシュウィンの音楽が素敵で、彼女の雰囲気にも衣装にも、とても合っていると思いました。やっぱり、アメリカ娘@ニューヨーク風が似合います、ガーシュウィン。

指先まですっと伸びて、水分を多く含む若木のように勢いがあってしなるような動きをする美しい腕は、今季も健在。この腕の動きには、見ていて気持ちが良くなる素敵さがあります。昨年は少々雑さが目につくこともあったのですが、今季は殆ど気にならない程度になりました。SPのちょっと独特の振付も、彼女の腕のムーブメントの美しさと好相性でした(もち狙っているのでしょうが)。最後に2つ続くスピン、最初の方に組み込まれている腕の変わった動きも、とても好きです。

FS、お、髪型が編み込みになってる。何の衣装かと思ったら、眠りのオーロラ姫ですか。ちょっとアメリカチックかな(笑)。うーん、ゴールドちゃんのムーブメントは、バレエ音楽なかんずくザ・クラシックなチャイコだときついかなあ。妙にケレン味が際立ってしまいます、これほどケレン味あったかなって思うくらいに。アメリカの地方都市のバレエなら別ですが、これはロシアとかフランスのバレエを見慣れている人にとっては、少々違和感が出ると思うなあ。そういう意味では、彼女にはミュージカル系がジャストな気がします。

●総合4位 ガオさん(19歳)/米国/SP=Close Without Touching(振付:マーク・ミッチェル)、FS=天使と悪魔(振付:トム・ディクソン)

そういえば、昨シーズンはユリアちゃんの欠場で、GPFに出場したのですよね。
昨シーズンからの持ち越しSPで、音楽に馴染んでいるせいか、気持ちに余裕があるように見えます。ガオさんは、基本的に表現が苦手ですが、やはり持ち越しは下駄をはかせられるので、ガオさんのようなタイプには非常に有益ですね。

いえ、決して、皮肉ではありませんことよ!
音楽を頭で理解する以上に身体に染み込ませるのに必要な時間って、確実に個人差がある。例えば高橋さんのような天才肌の人は、本当に一瞬で理解することもできるけれども、本来的に不器用だったり、理屈から入って・・・等のステップをふまないとダメな人は、どうしても時間がかかる。おそらく、ガオさんは圧倒的に後者です。昨年もこの曲で一生懸命、表現面を磨こうとしていましたが、中途半端で惜しいというか、ちょっと可哀そうな印象すら残っています。2年かけてここまで身体に染み込んできたのを見て、彼女の努力が結実しつつあると嬉しく思いました。

身体、特に背中にもう少し柔軟性があればいんですけどね・・・表現手段がもっと豊かになるから。そうすれば、ガオさんの高い身長や細く長い手足を、もっと美しく際立たせられる。ただ柔軟って、持って生まれた天分でレベルが決まる部分もあり、それ以上は当人の努力で如何ともし難いってところもありますよね。。。

FSは長くて疲れるせいか、SPでは目立たなくなっていた姿勢の悪さが目につくようになりました。息が少し苦しくなって顎が上がったせいですかね・・・。ただ、最後のステップで笑顔が見えるなど、昨シーズンよりも随分表現面に気遣いをされていると思いました。今シーズンでどこまで伸びるか楽しみです。

●総合5位 ラコステさん(24歳)/カナダ/SP=最後の誘惑、FS=映画「アメリ」より
SP、演目を意識したエキゾチックな衣装です。赤と金の派手な色使いは派手さや女っぷりを出してくれるだけでなく、勇気と元気をくれそうです。
久しぶりに、これほど安定した滑りと、その余裕からくる演劇的な表情(特に匂やかな笑顔が素敵)を見ました。嬉しいことです。

FS、衣装がこのピンク・・・映画「アメリ」ならもう少し違う色の方が・・・と思ったけど、まあいいや。
SPほどの安定感がなかったのが残念。演じる意識があるのは分かるんですけど、音楽解釈や曲調に合った表現の選択という観点からは、ちょっと浅い印象です。


●総合6位 コートニー・ヒックス(17歳)/米国/SP=映画「ソウル・サーファー」より、FS=エビータ
お、私が知らない米国女子だわ。
SP、見たいと思いながら見られなかった映画だわ。サメに腕を食いちぎられてもサーファーになった女性の実話をもとにした話よね。衣装は、海と波を象徴する青、波しぶきをデザインしたストーン使い。メイクはもっとナチュラルな方がいいかな。

比較的、肉付きの良い体型ですが、割と軽くふわりとジャンプされますよね。なんかちょっと意外でした。それだけで、筋肉の固太りというよりも、ふわふわの脂肪系の肉感なのかな、と思ったり(←勝手に想像)。まあ17歳だから、今が人生で一番肥る時期かもしれません。

スピンで面白いポジションがありますね。印象的で、今後「コートニーさんのあれ」と言って通じそうです(笑)。
動作がもっさりと重く、肩甲骨の動きが悪く腕の動きの魅力に乏しい。このあたりは今のちょっと太めの体型とも関係していそうなので、将来、身体が絞れてくると少しずつ改善されていくのではないでしょうか。

FS、技術的には相対的にまとめられたようで点数もそれなりでしたが、舞踊的な観点から見ると、体力的な問題からか、SPに比べてスピードも遅く(そうなると脚だけでなく身体全体の動作の魅力に欠ける)、ムーブメントも完全にはやりきらないまま流して次にうつっていく印象でした。

キスクラで作られた人差し指と中指のハート、そんな方法が?と、自分でも思わずやってみてしましました(笑)。

●総合7位 ナタリア・ポポワ(20歳)/ウクライナ/SP=アランフェス協奏曲、FS=ラ・バヤデール
美しいスタイルの持ち主。が、もしかして長い脚を少々持て余していますかね?腕の動きの良さに比べて、脚の動きが少し不器用に感じます。あと、SPについては、音楽と振付の調和が今一つなような気がします。フィギュアスケートでは超がつく定番曲ですが、この流れるメロディーに沿ってスケートが伸びないと物足りない印象になってしまうような・・・。

FSはクラシックバレエの演目。舞台はインドの設定なので、インドを意識した金色の装飾が胸から腕まで施されたオリエンタルな衣装です。舞姫ニキヤの悲しみの舞(恋人ソロルが別の女性ガムザッティと結婚する際に踊る)から始まり、途中一曲入り(たぶん)、バレエでもラストの寺院崩壊の音楽で終わります。ストーリーを意識できる曲順ではあるんですけど、ストーリー仕立てにしているかどうかは微妙過ぎて分かりません。バレエでのインド風の振付を意識した腕のポージングが数か所見られるので、インドの舞姫の雰囲気だけ借用した演目といえるかもしれません。上半身の振り付けはわりと忙しいと思うのですが、どれも一定でメリハリがないのが残念。

●総合8位 ベロニク・マレー(19歳)/カナダ/SP=パピヨン、FS=ミュージカル「ファニー・ガール」より
ちょっと緊張されている様子でしたが、笑顔を絶やさないのは立派です。
カナダ女子特有(と言ってしまう状況ですわ)の、所作の粗さ・動作の荒さがありますが、にこやかで柔らかな雰囲気がそれを中和しています。

FS,数連の首飾りがデザインされたキャミソール型の素敵な衣装ですね。
SPよりも動きに丁寧さがあって、荒さが殆ど目につかなくなっていました。本来的にはエレガントな動きができるタイプなんだと思います。おそらく緊張や、振付の忙しさ、音楽のテンポなどによって、所作・動作に影響が出てしまうのでしょうね(そういう意味では、丁寧さ・エレガントさが根っからあるいは完全には身についていないとは言える)。

●FS棄権 ケイトリン・オズモンド(17歳)/カナダ/SP=SP=ミュージカル『Sweet Charity』より
おお、今季もこの手の楽曲できましたか。

高く蹴り上げる脚、ダイナミックにくねらす身体、ケレン味をつけて忙しく振り回される腕、何もかもが粗く、荒い。そこが若い彼女の乱暴な魅力、と言えば否定できないものもありますが・・・転倒は、身体のコントロール力が無いからって理由だけでなく、この動作の荒さが原因とも言えるのでは?改善を期待したいところです。


[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-28 00:47 | 2013-2014 フィギュアスケート
<追記>10月22日に青字部分を追記しました。

FSについても、BSの録画を見た後、追記する予定です。
それにしても、地上波放送ってなんでこんなに引っ張りまくるのか、理解を超えるよなあ・・・。
こんなんだからテレビ離れって起こるんじゃないの?テレビ制作の現場でもこういう見解は当然出ているはずなのに(出てないんだったら本当の意味で終わってる)、どうして改善されないのかなあ。

●総合1位 町田君/日本/火の鳥(振付:フィリップ・ミルズ)
SPは史上6位の高得点だったそうで、嬉しい限りです。アンソニー・リュウコーチ(温かいけど、ちょっと淡々とした冷静な感じで結構好き)も、さすがに嬉しさで破顔されていて妙に胸が熱くなりました。

FSは昨季からの持ち越しで、衣装も持ち越し。だからでしょうか、昨シーズンよりも肩の力みがなくなっています(と言いつつ、昨シーズンの妙に力の入った火の鳥も結構好きだったんですけど。笑)。

音楽が身体の中に入っていることが動きから分かるので、かなり安心して見ていました。ただ、去年よりも少し振付が簡単になっている気がする・・・見比べてないので正確なところは分かりませんが。いずれにしろ、余裕があってムーブメントもこなれてきてますので、複数あったジャンプ等の技術的なミスをケアしていけば、表現的にも、1ステップ上にあがりそうな気がしますね。楽しみです。

昨年には見られなかった、強気な発言も頼もしい限り。(実際は強気というより、自分を鼓舞して突き進むために敢えて頑張って言い聞かせるように言ってるんだと思う。一種の自己啓発っていうか。)

町田君が優勝を決めた後、いろんなニュースをネットで見ていたのですが、その中にこんな記事が。記者さん「不思議キャラ」ってちょっと・・・と思ったけど、そこはまあ捨ておきましょう。4回転について「高校2年のとき、メキシコのピラミッドの頂上でアルミみたいなものに触れたら完成した」とのこと。そして、このピラミッドはテオティワカンの太陽のピラミッドで、パワースポットとして有名なのだとか。

そうだったの?パワースポット?!ええっ!?
私、以前、テオティワカンに行ったことがあるのですけど(こちら参照)、何のご利益もなかったけど・・・。物売りにふっかけられないようにって、スペイン出身の旦那の友人に注意されまくってて、俗世感どっぷりだったからパワーもらえなかったのかなあ・・・。あ、もしかして、「アルミみたいなもの」(なんなの、それ?私は見てないと思う)がポイントなの?

ところで、町田君ですが・・・。優勝おめでとう!って気持ちの高ぶりが一段落したので、敢えてここで書いておこう。
町田君は、頭でっかち過ぎるところがあります。もちろん、彼の熱い気持ちが、温度をともなってテレビのこっち側の人間にまで伝わるパワーはある。でも、表現においても、積み木のように理屈と解釈を積み上げて行っているところがある。優勝後に彼がヘーゲルの美学講義を愛読しているとの報道に接しましたが、なるほどヘーゲルっぽい(同時に私は、ヘーゲルかぁ・・・あちゃ~と思った)。

でも、もっと普遍的に多くの人に感銘を与える表現というのは、単純に言えば、もっと不完全な形あるいは捉えどころのない形をした、抒情的なものだと私は思う。結局、理屈と解釈という頭で作り上げたものを、その限度で(例えばロボットのように)体現してみても、そこは鑑賞者サイドにはなかなか伝わらない。実際、彼の演技から「熱さ」や「強い思い」しか伝わらなかったって人もいるかもしれない。そしてそういう人の中には、おそらく「暑苦しい」と感じる人もいると思う。もしかすると、そこに技巧的な匂いすら感じる人もいるかもしれない。

なので、ここまで律儀に理屈と解釈を積み上げてきたなら、どこかの時点で、それを忘れて音楽に裸で向き合うと良いのではないでしょうか。つまりは、理屈による解釈の先に行って欲しい、と申し上げたい。たぶん、そういう次元に立った時、町田さんはヘーゲルを本棚にしまっていると、そう思います。


●総合2位 リッポン君/米国/牧神の午後への前奏曲(振付:シンディ・スチュアート)
今大会のように調子の良いリッポン君を見たのは、本当に久しぶり。リッポンルッツがこんなに綺麗に決まるのを見るのは、いつぶりか分からないくらい。嬉しいことです。

SPでの成功が心の余裕を生みましたかね、FSではSPよりもずっと音楽に向き合っていると思いました。彼は本来的にはこういうタイプですよね。牧神といえばコストナーさんのものがまだ印象に残ってますが、リッポン君のものは、もっと中に出てくる牧神にフィーチャーした感じですかね。

最初のかなり痛そうな転倒の後、牧神の典型的なポーズ(@バレエ)が出てくるのですが、これは表現者を横向きに捉えないと良く分からないもの。その時ちょうどカメラは彼を後方から捉えていて、「あ、あれやってるけど見にくい!」と思った途端、慌てて横向きの彼を捉えているカメラにチェンジされました。編集、ナイスー!!

●総合3位 アーロン君/米国/カルメン(モダンアレンジ)(振付:パスカーレ・カメレンゴ)
(地上波放映なし)
おお、何だかズタボロ・ホセ君(こちら参照)を思わせるカルメンで、ちょっと期待しながら見ていました。

私はカルメンの音楽については聴くだけで「あの場面」と思い出すほど記憶に刻んでないので、今ここで特定して書くことはできませんが、メジャー楽曲だけでなく、様々な場面から音楽が選択され、色彩豊かな楽曲群となっています。

高難度のジャンプが沢山盛り込まれているためか、後半はかなり疲れて身体が重く、素でズタボロ・ホセ君に近づいていましたが、これはできれば避けたい事態なんでしょね。

●総合4位 高橋さん/日本/ビートルズメドレー(振付:ローリー・ニコル)
演技点はまあちゃんと出ていたので、まずは一安心。
しっかし、ジャンプって本当に難しいんだな。しかも全体に散りばめられているので、複数のミスがあると何度も途中で途切れる印象になってしまう。ただ、メドレーであることと、1つの楽曲の中でも空白地帯が存在するアレンジであることから、通しで1曲だった場合よりも、途切れまくった感じにならない気がする。そこはもしかしてラッキー?

彼がこの演目で表現したいものって、温かいですね。ふわりと温かい。冒頭、ただ、佇んでいるだけの姿からも、それが伝わってくる。失敗ジャンプや流れてしまったスピンなどがこんなにありながら、表現の方向性はもちろん表現そのものも見失わない彼は、やっぱり立派だと思う。

ただ、それだけにこの技術の不安定さは、大きな不安要素ですね。
まあ、これまで何度も技術的な危機がありながら何度も克服してきたので(以前にも「表現は全く問題ないのだから、技術を何とかした方がいいと思うぞ」と書いたら、「(これこれこういう理由でこうなっているだけだから)たぶん大丈夫」とコメントが入り、実際大丈夫だったことがあった)、今シーズンも、少なくとも全日本までには調整してくるとは思っていますが。

録画を見直してて思ったのですが、高橋さんって、動作にしてもムーブメントにしても、現役選手の中では随一の洗練さを誇りますね。どの動きも、ここまで美しい人っていない。意識しているところはもちろん、たゆまぬ努力と何よりこの人のセンスと表現の地力により、無意識下においてすら、とても美しいです。どこで「一時停止」ボタンを押しても、破綻がなく美しいのは、この人しかいないと思う(他の選手で「破綻してるけど美しい」ってのはある)。

●総合5位 ジェイソン・ブラウン/米国/リバーダンスより『Reel Around the Sun』(振付:ローヒーン・ワード)
おお、リバーダンスだから緑の衣装だったのね(リバーダンスはアイリッシュダンス)。ガッテン、ガッテン、ガッテン。

ジャンプにミスが散見されましたが、柔軟性のある美しいスピンはとても見応えありました。
上半身は良く動いていますが・・・全体的に見ると上半身にウェイトがあり過ぎるかな。特に今回の演目はアイリッシュダンスなので、足をもっと生かす動き(願わくば最高速度で動かす振付)が入って欲しいと思いました。まあ、体力的な点から見て難しいでしょうから、シニア1年生の彼に注文すべき所ではないと思いますが。

●総合6位 小塚君/日本/奏とロンド・カプリチオーソ(振付:マリーナ・ズエワ)
おおう、この演目の中で彼が着てきた衣装の中でデザインは最も好きだけど・・・この色は脇汗があまりに目立つ。絶対的にあっかーん!と思う。彼の爽やかさが帳消しにされてる。誰か何とかしてあげて。

小塚君は、視線がちょっと下過ぎて損してると思う。
顔の向きよりも、視線がたいていちょっと下がってる。これはいろんな面で損です。簡単に行っちゃえば、上向き視線よりも、表現やアピール力を一回り小さく感じさせてしまう。こじんまりと小さなことやってる印象になっちゃうっていうか。顔の向きよりも、少し上向きに視線を向けるよう、変更できないかしら。

もちろん、視線って技術的な動きをする上でとても大切だから、特に難しい技術ではどういう所を見るかほぼ決めていると思う。そうである以上、慣れてない視線の向きに変更することは、特にジャンプなどの高度の技術的要素には支障があり過ぎると思う。でも、そういう技術的要素に関係ない部分だけでも改善できないかなあ。。。と思ってしまいました。

●総合7位 マヨロフ君/スウェーデン/アーキエンジェル
(地上波放映なし)
後ろ姿を見てパーカーかと思ったら、マントをデザイン化したものなの?と思ってたら、最後はフードにして被ってた。なんだー!?

冒頭、アイソレーションのアラビアンみたいな動きが楽しいなって思ってたら、音楽にもアラビア風なものが入っているなあ。私、この楽曲全く知らないので元ネタを知りたくてたまらないわ。・・・と思い調べてみたら、予告編音楽の制作集団によるいわばイメージ音楽なのね(こちら参照)。こちらでは、アーキエンジェルの音も聴けたし、衣装の由来も分かりました。アニメやゲームっぽい衣装なのね(笑)。

さて、マヨロフ君ですが、ジャンプの調子が今一つだったのが残念でした。が、不可思議で印象的な音楽(そりゃそうだ映画予告編って耳目を引くように作られているから)が連なる中、ちょっと茶目っ気のある仕草も入れつつ楽しい感じで仕上げていました。


●総合8位 ガチ君/ロシア/FS=映画『アンナ・カレーニナ』より
(地上波放映なし)
冒頭の4回転を成功させたので、FSでかなり巻き返すか?と思ったのですが・・・まだ本調子にはほど遠い感じですね。不機嫌な表情はいつもの通りですが、心なしか顔色悪い気がする・・・もしかして体調がかなり悪いのかしら。練習で激しく腰を打って途中で引き揚げたみたいですから、身体がつらいのかもしれないですね。

アンナ・カレーニナで印象的な機関車(旦那と私は「恐怖のシュシュポポ」と呼んでいる)の音がちょっと長めに入った切ない旋律を用いた演目ですし、個性的でガチ君に似合う振り付けが多用されているだけに、完成すれば印象的な演目になること間違いなし。頑張ってほしい。

[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-22 18:34 | 2013-2014 フィギュアスケート
<追記>10月23日に青字部分を加筆しました。

BSしか録画予約していないので、後日追記します。
とりあえず、21日の帰宅後、地上波放送を見られた分だけアップします。
解説によると、どうも前半グループの方がミスが少なかったみたいですね。前半グループの選手の何人かが上の順位に来ているのはそういうことなのでしょうか。

●総合1位 真央ちゃん/日本/ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番(振付:タチアナ・タラソワ)
うっわ、めっちゃ集中して見てたら、なんか、あっという間に終わってしまったー。はぁぁぁぁっ(←息はいてます)

タラソワさんの振付の素晴らしさも前提としてあるとは思いますが、全体的にこの演目での真央ちゃんの音楽の捉え方は秀逸だと思います。前半部分でそれが顕著に分かるのは、2つのスピンでの音楽への寄り添い方。非常に細かく丁寧です。特に、2つ目のスピンを音楽とぴったり合うように終わらせ、次の音楽に合わせてパッと笑顔で顔を上にあげ、身体を反転させるムーブメントはとても素敵でした。

後半については、荒川さんのおっしゃる通り少々疲れが出ましたかね。後半のビールマンスピンの辺りから、わずかながらムーブメントに重さが表れてきました(そうすると音楽の捕捉がどうしても甘くなる)。ステップのところのバレエジャンプ(と呼んでいいのかな、大の字で後方に跳ぶやつ)も、JOの時はもう少し大きく跳べてたし(あそこ、とても印象的なので、JOの時も本音を言うと更に大きく跳んで欲しいと思った個所だったのですが・・・)。ちなみになんですが、ステップの一部や最後のスパイラルのところのカメラアングルがベスト位置ではなくて、微妙に残念。特にスパイラルは斜め前から見たかったわ~。

JOと今回見て思ったことは、やっぱ、この演目すごいわ!

●総合2位 ワグナーさん/米国/プロコフィエフ ロメオとジュリエット(振付:デビッド・ウィルソン)
音楽については、JOの雑感(こちら)で書いたので、そちらをご参照ください。JOの時は音楽に9割方気を取られてしまったので、今回はワグナーさんの演技をしっかり拝見しました。

で、分かったことは、この振付は音楽との親和性が高くない、ということです。例えば、前半のステップ(ミルヒーのテーマのアレンジ部分に相当)は、殆ど音楽の起伏や特徴を紡ぎ出す意図がないのではないかと思うほど。うーむ。ちょっともったいない・・・と最初は思ったのですが、この演目で音楽と親和性が高い振付をするのは、かなり難しいのではないか、という結論に達しました。

というのは、JOの雑感で書いたように、このワグナーさんの演目は、プロコフィエフのロミジュリの中でも争いと死(別れ)の音楽だけで構成されている。しかも、かなりの割合を占める争いの部分、つまり、親友を殺されたロミオがぶち切れてティボルトに向かっていく場面の音楽と、モンタギュー家とキャピレット家が小競り合いをしている部分の楽曲(ミルヒーのテーマのアレンジ)は、バレエの中でも踊りではなく芝居風の動作が取られることを前提とする音楽です。こういう音楽は、舞台上の芝居(具体的な動作を含む)が印象的に頭と胸に入ってくるように、具象的に作られています(特にプロコはこういうところ天才なので、本当に具象的に作っている)。そうである以上、当然、この手の音楽と相性がいいのは、具象的な振付です。

ところが、ワグナーさんはジュリエットの衣装を着ているので、彼女がロミオ(モンダギュー家)はもちろんキャピレット家の男連中のように、剣を持って戦うような具体的な争いの仕草をするわけにはいかない。そうなると、紛争や緊張感そして悲劇に向かっていく様を、抽象的に表す振付を選択せざるを得ない。でも、抽象的な振付と具象的な音楽との親和性は、音楽の具象性が大きくなるのに反比例して、小さくなっていく・・・というわけですわ。

●総合3位 ラジオノワちゃん/ロシア/映画『フリーダ』より(振付:イリヤ・アベルブフ)
おおう。派手な衣装。SPと同じく頂上部でつくったお団子といい、まるで何かの置物のようです。

女流画家フリーダ・カーロを描いた映画ですが、これもまたSPと同様、この画家の波乱万丈過ぎる人生をこの年齢で演じるのはほぼ不可能なので、ラテンのリズムの楽曲を拝借したということなのでしょう。ちなみに、フリーダの絵(自画像が多い)を初めて見た中学生の私(美術部だったのだ~)の感想は、「なんで眉毛がつながってるんだろう?」でした・・・。

柔軟性だけでなく、音楽性も高く、踊りも上手そうです。ただ、基本的に私は子供の表現についてはあまり関心がありません。ポテンシャルの高さは分かりますが、このツィッギーのような肢体の「ザ・少女」な選手の、これからの身体の成長過程を見ないと何とも言えないというのが本音です。SPと同じで申し訳ないですが。

●総合4位 タクタミちゃん/ロシア/スペイン民謡マラゲーニャ(振付:ジェフリー・バトル)
(おそらく地上波でも放映されたのだと思いますが、帰宅が間に合わず見られませんでした)
SPの時と動きが別人(笑)。あのSPの重さはなんだったんだろう・・・?素晴らしくスピード感にあふれた演技でした。ホント、なんだったの、あのSPは?!(もったいなさ過ぎる)

彼女らしいタメを利かせた緩急、美しい手首の動き、時にエネルギッシュなほどの派手なポージング、そしてコケティッシュな笑顔。ああ、これこそタクタミちゃんだよ。久しぶりにタクタミちゃんに会えて、本当に嬉しいよ!


●総合5位 シザリオさん(20歳)/米国/カルメン(振付:Inese Buciveca)
(途中からしか見られなかったので保留)
衣装から分かりやすくカルメン。音楽には、主にメジャーなものが選ばれていますが、様々な音楽が詰め込まれていて非常に色彩豊か。迫力やセクシーだけでなく、輝きもあって、音楽自体がキラキラと発光しているようです。

シザリオさんは、はすっぱな悪女のカルメンと雰囲気が妙に合致していますね(←褒めてます)。フィギュアスケート女子のカルメンは、楽曲の派手で華やかな雰囲気を借りるだけのものが多いですが、彼女の場合は素でカルメンに近いので、掘り下げて演じるつもりでなくても、他の選手よりも演じた感がたっぷり出ます。ナイスな選択ではないでしょうか。

演技としても、全体に散りばめられている小芝居的な動作や、カルメンを象徴するような振付も、音楽とぴたりと合わせることができて、上々の出来。


●総合6位 メイテさん/フランス/Europa、We Will Rock You、La Grange(振付:サンドラ・ガルデ)
うーん・・・。なんだか随分間の抜けた振付だと感じたのは私だけでしょうか。メイテさんの能力を生かし切れていない気がします。もしかしてお怪我か何かをなさって、あまり動かないようにしているのかしら?と思ったほど。

●総合7位 マルケイさん/イタリア/映画「ミッションインポッシブル」よりNyah
映画の中で印象的なシーンの楽曲(ジョン・ウー監督らしいスローモーションの映像だったような気がする)。
影とエロさをもつ女性に似合う楽曲ですが、あか抜けたマルケイさん(大人の女性の香りがするようになりました)にも良く似合っていました。

動作が少し粗かったり不安定だったりする箇所があるため、全体的な完成度は高くはない。でも、要所要所で振付を「決める」意識がある。もちろん意識はあっても決め切れてない箇所もあるのだけど、この方、とてもスタイルが良いので、決まるととても素敵です。なので、まだまだ踊り的な表現面が伸びる印象はあります。ただ、そのためにも、まずは技術的な要素を安定させるのが大事なんでしょうね。

●総合8位 ビクトリア・ヘルゲション/スウェーデン/Harem Cobra Goddess、Harem Silks(振付:カタリナ・リンドグレン)
彼女らしいデコラティブな衣装なだけに、ここまでジャンプミスが続くと痛々しさが増すなあ。
何かを演じようとしているのだとは思うのですが、何度も途切れるし、体力はどんどん奪われるしで、うやむやに終わってしまった印象です。。。

●総合9位 ゲデ子ちゃん/グルジア/ジゼル
色もデザインもとても素敵な衣装です。露出度が高くてもスッキリしたデザインですし、ゲデ子ちゃんが着ると(巨乳にもかかわらず)何故か殆どいやらしくないという、不思議な現象が起こるのですな。

もちろん、この衣装でジゼルですと?という意見もあるのでしょう。が、音楽を見てみると、1幕と2幕の象徴的な楽曲を交互に使用して(2幕1幕2幕1幕の順。最後はジゼル狂乱死のシーンの楽曲)、単に明暗のコントラストをつけているだけで、特にストーリー立てたものは感じられません。なので、ジゼルを演じるというよりも、音楽と雰囲気を借りただけという感じなので・・・まあ、いんじゃないでしょうか。

パフォーマンスとしては、ミスが多くて見ててつらかったですね。何とか立て直して欲しいです。

●総合10位 キャロライン・ジャン/米国/ヴァイオリン協奏曲「梁山伯と祝英台」
ジャンさん、体調はどうなんでしょう・・・。SPの時は、別の人生の道を見つけたかなと思ったのですが・・・このFSを見て、体調の心配をしてしまいました。病気治療のための薬の副作用が肥満、ということは、実はままあることです(私の友人は、処方薬の副作用で毎日きっちり100gずつ太っていきました)。そういうことでなければ良いけどな、と心配しています。

[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-21 23:06 | 2013-2014 フィギュアスケート
<追記>10月23日青字部分を加筆しました。

冷たい雨の一日でした。こんな日はガゼボのI Like Chopinを聴きながらっと。
例によって地上波で放送された選手の感想をとりあえずアップし、後日、BS録画を見た後追記します。

●真央ちゃん/日本/ショパン ノクターン(振付:ローリー・ニコル)
ワグナーさんの直後に見ると、真央ちゃんのふわふわさがより強調されるなあ(笑)。どっちが良いとかそういう話じゃないですが、ここまでタイプの違う選手を連続して見るって、とても楽しい。

真央ちゃんはインタビューで「緊張で少し動きが・・・」というような話をしていたけど、アイスショー(直近のカーニバルオンアイスも含め)に比べると、良い動きをしていたと思いました。例年に比べて音楽を少し遅取りしてタメをきかせる部分もあって、余裕を感じられます。ローリーさんからはテーマの「初恋」について、「それ以上のことは、たとえあってもなくても、言わなくていいからね」って言われているそうですが(新書館「フィギュアスケート2013‐2014シーズンガイド」p42より)、演技を見る限り真央ちゃんの初恋は、割と良い思い出に属するみたいで何よりです(笑)。

手首~指先については、私の好みとしてはもう少し・・・というところもあるのですが、この時期にこういう細かいところを指摘できる状況にあるってことが嬉しいですよ、ええ。この状況に乗じて、議論百出となることを承知で敢えて書きますが・・・ふわふわとあまり重力を感じさせない軽いタッチで、次々と様々な動きを連続させていくムーブメントは、真央ちゃんの大きな特徴ですが、それを発展させていっても面白いと思うのです。例えば、上で述べたような今年顕著に表れてきた音楽の遅取りによるタメを、ステップやつなぎでもう少し利かせてアクセントをつけるとか。もちろんこの演目の雰囲気や彼女のムーブメントの特徴からして、ケレン味があると評価されるところまできかせる必要はない。ですが、あとほんの少しのタメと緩急、あるいはふわふわと真逆のキレや重みみたいなもの(「初恋」つながりで言えば「ほろ苦さ」みたいなもの?実際には無かったかもしれないけど、そこはそれとして)を、要所できかせて行くのはアリなのではないか、と思ったりもするのです。まあ、正直、こんなことを、しかも今の時期に求めるなんて、どんだけ~!?(←死語?)って感じですが。

日本人だけでなく地元の観客の皆様からもスタンディングオベーションを頂けたのが嬉しい。インタビューの真央ちゃんが嬉しそうで・・・あぁ、やっとここまで・・・と思いましたことよ!

●ワグナーさん/米国/クレイジー・ダイアモンド(振付:シェイ=リーン・ボーン)
おお、ピンク・フロイド。しかも、これ、「あなたがここにいて欲しい」に入ってるやつなので、妙に耳になじんでいるわ。子供の記憶って怖い。そういや、SF作家の新井素子さん(10代の頃によく読んでた)もこのアルバムが大好きで、「が」を「に」に変えて(←変更の理由について説明書きがあったんだけど内容は失念)「あなたにここにいて欲しい」って本出してたなあ。話は忘れちゃったけど。

ピンク・フロイドのこの曲(に限らず他の曲にもそういうの結構あるんだけど)って、エネルギーをぐーーっと下に押し込んで、ため込んで沸々させるようなところがある。いつも力んでいるワグナーさんに良く似合うなあ。彼女のようなタイプは、エネルギーを外にがーっと出すか、ぐーっと内に(イメージ的には身体を通り抜けて地下のマグマあたりに)押し込めて重さを出すか、そのどっちかを選択するのが常道でしょうが、あんがい後者の方が似合っているかも。この妙な重さのある力み、なかなか捨てがたい魅力を持っています。まあ、女子ではなかなかいないですよね。

●エレーナ・ラジオノワ(14歳)/ロシア/映画『アンナ・カレーニナ』より/Two Steps From Hell(振付:イリーナ・タガエワほか)
年齢制限から五輪には出られないとのことですが、14歳でシニアデビューした注目の選手。
個性的な衣装ですが、若々しいフレッシュさが感じられる色使いですね。楽曲については、この年齢の少女がアンナ・カレーニナを演じるのはそもそも無理なので、音楽の雰囲気を借用しただけということになるでしょうか(そういう意味では、なにもこの映画から取らなくても・・・とは思うケド)。

シニアデビューということで、他のトップ選手に比べるとスピード感やスケート自体の伸びがあまりないのは仕方ない所なのでしょう。が、柔軟性を生かした美しいポジショニングのスピンは素敵で、見ていて楽しい。
ただ、この年齢とこの体型から考えて、来シーズンあたりまではこういう感じで行けるのでしょうけれども、思春期の女性らしい体型になった場合にまたいろんな面で変わってくるのは必定で、現時点では何とも言えない、というのが正直なところです。

●マルケイさん(27歳)/イタリア/帰れソレントへ
おお、この曲をやるんですね。ベタにTheイタリアですが、世界中で愛唱されている曲だけに観客の乗りも良いことでしょう。

コーチを有香さんに変更してから、メイクも衣装もムーブメントも格段にあか抜けました。もともとの素質が悪くなかっただけに、あか抜けて美しくなった彼女を見ることができて、何だか嬉しくなっちゃったな。1人の女性として、本人も嬉しいことだと思う。有香さん、グッジョブ(←有香さんの助太刀じゃないかもしれないけど、一応チーム・マルケイの代表として有香さんを称えておく)。

●ビクトリア・ヘルゲション/スウェーデン/Mystery Waltz、ジャズ組曲(ショスタコーヴィチ)
印象的なピンク&黒の衣装。ちょっとゴシックロリータ風だけど、何だか可愛い。
ワルツが印象的に連なっていますが、彼女はストーリーをもって滑ることが多いので、今回も何らかのストーリーがあるのでは?(衣装といい、なんかありそうですよね)
もし、ご存知の方あれば、コメント欄で教えて下さると嬉しいです。

●ゲデ子ちゃん(23歳)/グルジア/「吹雪」より「ロマンス」
黒に近い紺(この色大好き)で、スッキリしたデザインの素敵な衣装ですね。

巨乳の愛嬌のある身体で、スピード感のあるスケートをする姿は、にこやかな人好きのするお顔と相まって、とても魅力的。しかし、少し影のあるような、ニュアンスたっぷりの楽曲を滑ると、普通にしているといつも前面に出ている「にこやかで愛嬌がある」ことだけが彼女の本質ではないことが、とても良く分かります。しっとりとした大人の面があること、深い悲しみを知っていること、世界と人生が起伏だらけであることを知っていること、そんなことがにじみ出てくるのです。

グルジアがロシアとの関係改善に向けて以前表明した通り、このまま無事にソチ五輪に参加されることを祈っております。

●メイテさん(19歳)/フランス/クエスチョン・オブ・ユー
(地上波放映なし)
相変わらずリズム感はあるし、ダイナミックさも兼ね備えてはいるのですが、いかんせんスケートが伸びないですよね・・・。特にステップなどの見せ場で伸びないと、身体が大きいだけに、まるで舞妓さんのように極小さい歩幅で歩いているように見えちゃう。

●サマンサ・シザリオ(20歳)/米国/
20歳だけどシニアデビューなので、私は初見の選手です。
口をあけて行うセクシーな動きは、ちょいと下品な方向に転んでいるかな。身のこなしも、そっち系の妙なケレン味のあるものなので、演目に合わせているわけでなく素でこういう表現しかできないタイプかもしれません。その場合は、それだけで好き嫌いの別れる選手かもしれませんね。

●タクタミちゃん(16歳)/ロシア/Gopher Mambo
素敵な衣装ですが・・・タクタミちゃんがどんどんゲデ子ちゃんの体型に似てきてるような気がするのは、私だけ・・・?

印象的な女性の高音の声が入った魅力的なラテン曲ですが、この楽曲に合わせるにはもう少しスケートの伸びや緩急が欲しいし、何より身体のキレが欲しい。もともと踊りは上手な人なので、動きにこのどっしりさが出てきた以上、身体を絞る必要があるかなあ。年齢的に難しい時期でしょうし、特に身長が伸びている場合は体全体のことを考えると体重制限が悪い方向に行く可能性もあるでしょうから、是非にとは言えませんが。

●キャロライン・ジャン/米国/オペラ座の怪人
(地上波放映なし)
ここでオブラートに包んで言っても仕方ないので、単刀直入に申し上げちゃいますが、まあ、太り過ぎですよね・・・。単純に考えれば、何かの御病気を抱えていなければ、将来を考える年齢にさしかかって新しい道への興味が出てきたのか、彼女の中でスケートの比重が軽くなったのでしょうかね。彼女のあの美しいスピンを見ることができないのは残念ですし、外野からはもったいないとも思えますが、そういう選択もありだと思う。そう、それも人生です。
[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-21 00:02 | 2013-2014 フィギュアスケート
<追記>10月20日、青字部分を追記しました。

とりあえず、地上波で放送された選手の雑感をアップします(余計なものをこれでもかと差し挟むよりも全選手放送しろよと思うのは私だけではないはず)。
BS朝日での放映を録画しますので、後日、録画で見た選手の雑感を追記する予定です。

あ、SPのプロトコル(こちら)を拝見したのだけど、日本人選手の足を絶対に引っ張ってやる!と呪文を唱えているジャッジが1人いるような(苦笑)。あと、ガチンスキー君へのジャッジもかなり気の毒だわね。

それにしても観客席ガラガラ・・・。で、最前列を含め日本人のお客さんが目立つ。日本のフィギュア人気が突出しているのが良く分かるけど・・・もっと地元の方々にも足を運んで欲しいわ~と思ってしまうワタクシでした。

●町田君(23歳)/日本/エデンの東(振付:フィリップ・ミルズ)
来たわねぇ!!来ると思ってたけど、やっぱり来たわね!!
私、泣いてしまったよ。

彼自身がインタビューでおっしゃっているように、彼は選手の多くが思うような「SPだから技術を失敗しないように」なんてことは思ってない。「僕の作品を見て欲しい!」と思ってる。自分の作品を芸術作品として、まるごと全体を見て欲しいと思ってる。それが真っすぐにこちらに伝わってくる。これは、インタビュー云々関係なく、スケートをしている姿からダイレクトに伝わってくる。しかも、その思いが、とても熱い。

彼は元来は不器用な人だと思う(少なくとも表現に関しては)。でも、不器用だからこそ、真っすぐ伝わって来た時の熱い気持ちの温度は、本当に「熱い」の。その熱さが、涙を誘うのだわ。

すぐさまスタンディングオベーションしてくれた観客の皆様の反応も、私はとても嬉しかった。

●ジェイソン・ブラウン(18歳)/米国/The Question of U(振付:ローヒーン・ワード)
シニアデビュー戦ですか。

柔らかだけどスピード感もキレもあるムーブメントができる人で、非常にポテンシャルの高い人ですね。男性でしかもジュニア上がりなのに、手首~指先まで気を使った丁寧な動きを余裕でこなすなど、伸びシロの大きさも充分にある。本当に楽しみな人が出てきました。

髪型や衣装がちと小ダサいので、改善してあげたい・・・

●リッポン君/米国/カルメン組曲(振付:トム・ディクソン)
おお、すごく逞しいお顔になったね。昨シーズンとは目が違ってるよ。こんなリッポン君の顔は見たことないなあ。五輪シーズンおそるべし。

カルメン組曲としては特に変わり映えのない音楽でした。また表現面としても、おそらく技術の方に気持ちの殆どがいっているのでしょう、特に書くべきことはありません。

●小塚君/日本/アンスクエアダンス(振付:シェイ=リーン・ボーン)
冒頭から、動きがちょっと硬いなあ。そのせいか、もともとそんなに豊富ではない外へのアピール力が、さらに制限されたような感じがします。スケールが小さく感じられ、印象が薄くなってしまったような。技術的なミスが大きかったようですが、いつもの滑空するようなスケートの伸びもない気がしました。演技点がいつもよりも伸びなかったのも仕方がないかなあ・・・。

●高橋さん(27歳)/日本/バイオリンのためのソナチネ(振付:宮本賢二)
ジャンプの不安があったのか、いつものスピード感はなかったような気がしましたが、表現面から見た場合、動きそのものはそう悪くはなかったと思います。
まあ、彼の場合は待ってれば何とかしてくれるので、さ、次いきまひょか、って感じですかね。

●マックス・アーロン/米国/ある恋の物語(振付:パスカーレ・カメレンゴ)
(地上波放映なし)
この選曲だともう少し色気が欲しいところです。また・・・ウっ!のところの決めも小さく、物足りなさが残ります。後半はもっと弾けて欲しいところですが(ご本人も分かっているはず)・・・疲れましたかね。

●アレクサンドル・マヨロフ(22歳)/スウェーデン/ロシア民謡コロブチカ
(地上波放映なし)
ロシア風の重厚な衣装・・・結構好きです。コサック風のお約束の振付も入ってましたね。
ただ、ロシア民謡独特のテンポの変化についていけない選手が多いので、最初から不安に思いながら見ていました。やっぱりついていけてなかった。最終的にテンポが異常に速くなるところ、スケートでついていける方がまあ不思議といえばそうなんですが、テンポが速いだけに動きが更に愚鈍に見える恐ろしさがありますよね。そういう意味で、ロシア民謡ってスケートであまり使うべきじゃないような気がする・・・。

最後に音楽が余った所を見ると、どこかで何かがずれた・・・というか削除したのかなあ、それとも例年とは異なり敢えて振付を少なくしているのかしら。


●ガチンスキー君(20歳)/ロシア/フラメンコ(振付:ジェフリー・バトル)
(地上波放映なし)
むうう、冒頭から心ここにあらずのムーブメント・・・ジャンプに集中し過ぎているのか?と思いながら見ていたら、やはり失敗続きで・・・。これが気になっていたのか~と。

男性フラメンコの動きを模した振付がそこここに入っていて、完成すれば素敵な演目だと思います。踊りの動き自体はそこまで悪くないと思うのですけれど(彼は勘所がいいので)、ただ勢いとかスピード感に欠けましたかね。

[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-19 19:57 | 2013-2014 フィギュアスケート
ただ過ぎに過ぐるもの
帆をあげたる舟。人のよはひ。春、夏、秋、冬。
(枕草子より。表記は私の好みなので受験生は気をつけて)

ってなことを思い出す今日この頃。
GPSもいよいよ今週末に迫りました。早く書かなくちゃと思いながら遅くなっちゃいましたが、女子雑感を。

●宮原さん/FS:ポエタ
何度も指摘しちゃうけど、年若い宮原さんには、まだまだ難しい楽曲ですわね。
年齢的に若く身体も小さいだけに、楽曲を大人っぽくして、五輪シーズンの前線に立たせたいのでしょうけれども。この楽曲は、今の彼女がどんなに背伸びしても、無理なところにあると思う。ここまで離れてると、ねらったところが逆効果というか、幼さや小ささがむしろクローズアップされるなあ、と。

●かなこちゃん/FS:映画「愛のイエントル」より、EX:King of Anything
FS、ブルーの濃淡のあるシンプルな衣装が素敵です。ブルーはカメレンゴさんご指定ということでしたが、やはり五輪を意識してのことかしら?

FS、随分ジャンプの失敗があって、ベソをかきたい気持ちでいっぱいなのに、懸命にそれを押さえて滑る様子が、天真爛漫なこの人らしくて妙に微笑ましかったです。

毎年のように、「大人っぽい」を極めて狭く解釈した、個性と真逆な楽曲選択をする彼女(というか周り?)。最後のシーズンにケチをつけたくないですが、最後のFSにもこの手の楽曲をもってきたか・・・と少し残念なのが正直なところ。

EXの方が、彼女の明るい可愛らしさが引き出されていて好きだな。佐藤有香さんの振付だそうで、当初はかなこちゃん、音の取り方が難しくて分からなかったとおっしゃっていたとのことですが、可愛くこなしていましたよ~。どうでもいいけど、有香さんの振付には、ちょっと都会的で、気取ったようなフレーバーがある(それをスノビッシュと捉えるかどうかは個々人で差があると思う)。そこには日本の80年代のポップカルチャーの匂いと少し親和性がある何かがあって、ちょうど80年代が10代とぴったり重なる私は、そこはかとなく懐かしさを感じる時があるの。有香さんの振付のそこが、実はかなり好き。(←こういう理由で好きってのは賛同者少ないと思うケド)

●真央ちゃん/FS:ピアコン2番byラフマ、SP:ノクターンbyショパン
FS、衣装もロシアで作られたとのことですが、最初に目が行ったのは、色。
バンクーバーの時は赤&黒で、五輪のラッキーカラーと言われる青でなかった点について、巷間噂もあったようで。そのためかどうかは不明ですが、今回は青系。が、単純な青ではなく、赤などの色が隠し味に使われている所が、タラソワさんらしいところでしょうか。

デザインも素敵ですね。あのお腹にある目のようなところ(パワースポット!?)から、光が放射されているようです。
実は、この夏、とある有名な(ずーっと昔に日本のテレビにも出たことがある)イギリス人男性のスピリチュアリストっていうか、サイキックパワー持ちっていうか、そういう類の人から、私が所属する女性だけの異業種交流会にビデオレターを頂いたんですよ(会員の1人が彼の日本での通訳なの)。その時、メインの話題とは別に、余興で彼の居間にある大きなスクリーンが映されたんです。そのスクリーンの中心部に、真央ちゃんの衣装にあるような目のようなものがあって、そこから光が放射されていたんですよ(動画だったので光が動いていて、とても不思議な映像だった)。彼曰く、この映像は24時間スクリーンに映し出されており、これにより宇宙のパワーをもらえるんだとか。

ほへ~と皆で見てたんですけど(一番耳目を集めたのは居間から見える豪勢な日本庭園だったんだが)、真央ちゃんの衣装を見て、ものすごく鮮やかにあの映像を思い出しました。あの時は宇宙パワーなんてホンマかいなって感じだったけど、今、私は全力で信じたいよ。真央ちゃんに、宇宙のパワーが授かりますように!

序盤から、こちらの期待感をあおるような演出感たっぷり。引き締まった表情で、「鐘」を彷彿とさせる動きから始まる冒頭。直後に、その動きを切り離すようなポーズが入り、別のステージに入ったことを感じさせます。その後の頭をゆっくりと左右に倒してぐるっと回す動きは、真央ちゃんの中にある新しい何かが頭をもたげたようにも感じます。ラストの上体をぐっとそらせて目線を天に向けて、胸をこぶしで突く仕草は、彼女の特異な神秘性と相まって非常に印象的。この演目を象徴するポージングになるでしょうね。拳を作った上でのムーブメントの多用や、仁王様のようなポーズでのツイズル(@ステップ)等を含め、全体を通して「鐘」と同様、真央ちゃんの「デモーニッシュな一面」(by中年ファン様)を表に出すことを狙った演目のように感じました。

まだ完全にこの演目のヴェールが取れた感じはしませんし、ジャンプのミスも散見されました。が、この楽曲を表現する上での確固とした方向性が感じられたところは、安心材料。どうでもいいことですが、中盤にある上に両手を上げてそれぞれ肩、次いで下に交互に下ろしてくる動きは、思わずラジオ体操を思い浮かべちゃうかも。ここは小塚君のFSにあるひげダンスと同様、日本人のみ受け取り方が違ってくるムーブメントですが、それもご愛嬌。

あとは、高難度のジャンプを複数入れ込んでも、ラストのステップを力強く決められるように、スタミナ消費のバランスに気をつけていくことですかね。無尽蔵のスタミナを持つ真央ちゃんという印象を持っていた私は、昨シーズンのワールド&国別対抗での電池切れには、本当に驚きました。と同時に、圧倒的な平等原則つまり年齢って誰でも重ねるってことに改めて思い至りましたよ・・・ああ無常。この点、今シーズンは、時差対策のためにGPS開幕戦に向けて余裕をもって渡米したとのニュースで、ご本人も子供のような体じゃないとおっしゃったということですから、佐藤コーチとともに調整されていくことでしょう。

SPはアイスショー雑感の時(こちら)とほぼ同じ。ご本人は柔らかくという意識で敢えてあまり力を入れないようにしているのかもしれませんが、指先はもう少し緊張感・・・というか気を使って力を入れた上での丁寧さみたいなものがあると、なお良いと思う。まあ、この時期にここまで注文するのは、どうかと思いますが。

●ロシェットさん/FS:ミュージカル「ノートルダムドパリ」より
やはりカナダの代表といえば、私の中ではロシェットさんだなあ。五輪シーズンだし、競技に戻って来て欲しい。

衣装と爪が揃ってボルドーで、とても素敵でした。うん、秋はやっぱボルドーだな、と思わせる説得力ある大人の美しさ。羽生君の演技が印象深い楽曲ですが、ロシェットさんは品の良いエスメラルダで、カジモドが夢想する彼女ですかね(まあ、そこまでキャラ立ちさせてないと思いますが)。

●ソトニコワちゃん/FS:序奏とロンドカプリチオーソbyサン=サーンス、EX:オブリビオン
いずれも「超」がつくほど個性的な衣装&振付。素敵過ぎる。下手すると突飛なだけで終わってしまいますが、そうならないのは、ソトニコワちゃんの振付の咀嚼にセンスがあることと、音楽性が高いからだと思います。

今回のFS、ミスが複数ある中、丁寧に音楽を聴いていることが良く分かりました。(振付がテンコ盛りであったことも手伝って?)余裕がなかった昨シーズンよりも、ずっと音取りが細やかで丁寧になった気がします。音楽のフィッティング具合は良かったですが、全体的には半分くらいの仕上がり具合でしょうか。この調子で最後まで仕上げて行って欲しいです。身長の伸びは止まったかしらね。止まったのなら、あと少し身体を絞れば、バランスのとり方一つとっても好転すると思うのですが。

●ワグナーさん/FS:ロミオとジュリエットbyプロコフィエフ、EX:Sweet Dreams
彼女のFSは、今回の見どころの1つでした。
最初、ワグナーさんがジュリエットですと?と思ったのですが・・・これが凄かった。主に音楽から導き出されるストーリーですが、彼女のジュリエットはねえ、すごく特殊なジュリエットなの。

冒頭はロミオとジュリエットの別れの音楽。直後に劇的で派手な音楽が入りますが、これはモンタギュー家とキャピレット家の争いに堪忍袋の緒が切れたヴェローナ大公が、「今度、街の中で人殺したらソッコー死刑だから!むきーっ!!」と宣言するものです。(ただ、終幕つまりロミオとジュリエットが亡くなる3幕の序曲としても使われるので、バレエ見にとっては、1幕の始まりに「前提なのでよろしく」なんて感じで存在する大公の宣言というよりも、2人の死の場面に続く印象が強い)

その後、ティボルト(ジュリエットのいとこに当たる)に親友マキューシオを殺されたロミオの血が逆流していき、ぶち切れる場面の音楽が長めに入り、モンタギュー家とキャピレット家の対立を表す楽曲が続きます(ここは「のだめ」のミルヒーのテーマをアレンジしたものなので分かり易いと思う)。

後半は、墓場(本当はキャピレット家の霊廟だけど、めんどくさいので「墓場」で統一)でロミオが仮死状態のジュリエットをかついで踊るPDDの音楽が入ります。ラストはバレエで使用されているものとは異なり、死が大げさにクローズアップされる音楽、つまりティボルトの死の場面のものがアレンジされています(バレエでは、死後の両家の和解あるいはロミオと天で結ばれることを示唆するように、少し明るい希望の見える音楽で終わる)。

以前から指摘しているところだけど、いつも身体のどこかが力んでいるアシュリーさんは、表現の幅がどうしても狭い。その狭い中で得意とする楽曲、つまりは彼女の「力み」と特に親和性の高い緊張感のある音楽だけを使用するなんて。しかも、ジュリエットを、争いと死の音楽だけで造形するなんて。やりおったな!(←ダウンタウンの浜ちゃん風で)って感じです。今回は音楽ばかり聴いてて、ワグナーさんの演技自体は二の次になっちゃったんだけど、それはGPSでってことで。

なお、バレエ「ロミオとジュリエット」でご確認したい方にお勧めの動画は、マクミラン版のこちら
ジュリエットは「踊る女優」と呼ばれたイタリア人ダンサー、アレッサンドラ・フェリ。ロミオは、私が時々フェルナンデス君を「スケート界のアンヘル・コレーラ」と呼んでいる、その大元のスペイン人ダンサー、アンヘル・コレーラ。2000年スカラ座での公演です。

見どころはストーリー順に以下のとおり。(3)と(4)で別れの音楽が使われています。
(1)2人が完全に恋に落ちちゃう場面(マドリガルと呼ばれる音楽が奏でられる)は、40分45秒あたり~44分あたりまで。
(2)有名なバルコニーの場面は、50分30秒あたり~58分55秒(1幕の終了)まで。
(3)ロミオとの別れの場面(戯曲ではひばりとナイチンゲールのやり取りがあるところですわね)は、1時間33分30秒(3幕始まり)~1時間39分10秒まで。
(4)墓場でロミオが仮死状態のジュリエットをかついで踊るPDD、ロミオの死、そしてジュリエットの死に至る場面は、2時間03分30秒~です。

あ、私の小さなお気に入りは、ロミオがジュリエットの手紙を乳母からもらって読む場面(1時間13分18秒~1時間14分03秒)。ここの音楽は、ジュリエットのライトモチーフの1つで、明るかったりはしゃいでいたり、無邪気なジュリエットを表す音楽です。手紙がジュリエットからで、内容もとっても嬉しいもの、ということがこれだけで分かる仕組みになっています。
[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-17 01:41 | 2013-2014 フィギュアスケート
金木犀の香りが街に漂って、はるか昔の出来事であるのに10代の頃の文化祭とか体育祭とかを、何故だか思い出してしまうワタクシでございます。

さて、とうとう始まりましたね、今シーズン。

10月6日、日曜日午後の旦那と私の会話。
旦那: ぱちぱちキーボード叩いて何してるの?ブログ書いてるんでしょ(ニヤニヤ)
私:  うんにゃ(←なぜか否定したかった。笑)、コメントにお返事書いてるの。
旦那: またそういう季節がやって来たね~

うん、来た、そんな季節が!
では、カーニバルオンアイスも含めて感想を。

●信ちゃん/EX:映画「ラストサムライ」より
信ちゃん戻ってきましたね。お怪我からの快復が順調そうで何よりです。

ネーベル杯ではSPのコットンクラブのみ拝見したのですが、時折フィギュアで見られる蝶ネクタイほどき系の衣装も手伝って、少し肩の力が抜けた柔らかな雰囲気も感じられ、彼には珍しくベテランの余裕がありました。(まあ、映画「コットンクラブ」?と問われれば、そこのハードルには達してないのでしょうが)

EXのラストサムライは、アジア人の短い手足向きの速くてキレのある、武道に通じる振付が連続する終盤よりも、むしろ前半のゆったりした音楽に合わせた身体を大きく使う振付の方が、きちんとこなせていたと思います。思いのほか、この身体を大きくゆったり使う振付、足首や膝など下半身の関節の稼働域の広い信ちゃんにとっては、吉と出たかも。他の男性スケーターよりも土台としての下半身に弾力性があるというか柔軟に保てるので、上半身の動きを力強く伸びやかにするよう意識を集中しやすいし、またそういう動きが出来た場合に全体の造形がキレイ。

●町田さん/SP:映画「エデンの東」より
このSPは映画の原作を読み込み、構想1年以上だとか。原典を熱心に研究する町田さんの姿勢、好きです。

気持ちの入った(というか外にだだ漏れていた!)素晴らしい演技でした。時に大きくからみつく何かを断ち切るように、時にここではないどこかへ羽ばたくように、時に何かを求めるように、空(くう)に身を投げ出す町田さん(またこの姿勢が、ここぞという所に力を入れた美しい姿勢なのよ)。この人の、体温高めというか、野球のピッチャーだったら「一球入魂」というか、違うスポーツだったら「ザ・スポ根」って言われちゃうかもしれないような、この熱さ、いいですよね。表現の幅という意味ではそりゃ狭くなっちゃうんだけども、ここまで周りに熱を感じさせながら真っすぐに突き進む若者は、それだけで貴重。そのまま全速力で駆け抜けて欲しいです。

シーズンに入ったばかりで、技術的な小さなミスがいくつかあったようですので、「最高傑作」(by町田さん)SPの完成版を、試合で披露できると良いですね。

●小塚君/FS:序奏とロンドカプリチオーソbyサン=サーンス、SP:Unsquare Dance
髪型がちょっとおっしゃれーになってるような・・・

FSの衣装、まるで戦隊ものみたい、と思ってしまった・・・。いつものアメリカのおじいちゃんでなく、日本で作られたものでとても気に入っているとのことなので、私が文句言うところじゃないでしょうが・・・。

同じ楽曲(しかもアレンジされまくった難しいヤツ)をソトニコワちゃんが見事にモノにしているから、というわけではないですが。・・・なんというんでしょう、小塚君。昨シーズンから使用しているわりには、音楽ってものが身体に入っていないっつーか。うーん・・・テンポにはちゃんとついていっているんだけど、それ以上に音楽に踏み込めてないっていうか。。。もう、どうしたらいいか分かんないよ、わたしゃ。

そんな相変わらずなところもある小塚君ですが、SPの難しい拍子のジャズナンバーについては、以前も書いたとおり吉と出ると思います。この音楽って小難しくてスノッブで、だからこそ地味でもあり、「背景」になってくれる。つまりは、小塚君のスケーティングのうまさやSSにおける小技(があるように見える、私にも)が、前面に押し出されてきて、そこに注目が集まる気がするんです。特に、私のような亜流の見方をせず、王道でSSをしっかり見る方々にとっては、とても見応えのあるプログラムなのでは?(ちなみに亜流の私にも、地味に味わい深いです。スルメ系っていうか。)

●高橋さん/FS:ビートルズメドレー、SP:ヴァイオリンのためのソナチネ
FS、副音声(実況なし)で見たんですが・・・。ずっと耳ダンボで音楽聴いちゃいました。アレンジが強烈過ぎて、音楽が気になって仕方なかったんです(演技なんて半分も見られないですよ。良かった、録画しておいて)。「あれ?これ何の曲?」と思う曲もあって。。。実況では「ここから○○になります」と曲名言ってくれてましたが(録画で確認)、副音声ではそれがないので。私、ビートルズはほぼ全曲頭に入っているんですが、それでもね・・・いや、それだからこそ、かもしれませんが。

ただ、オリジナルの記憶が強過ぎることの弊害、ってだけの話じゃないような気がするんです。というのは、身体表現のための楽曲としてどうなのかな、と心配になる部分が思いのほか多くあって。いやもちろん高橋さんは、全ての使用曲について(もちアレンジ込みで)身体に入れてましたし、個々の曲について見た場合はもちろん全体像として見た場合だって「見事!」と言えるほど咀嚼して滑っていましたよ。というか、コロコロ変わる上に、余白が(無駄に)多いあの音のつながりを、全体的に統一させて滑りこなせるのは、はっきり言って高橋さんしかいないと思います。ローリーさんが敢えてあの楽曲を選んだのも、そこが狙いの1つだとは思うんです。

でも、これは賭けのような気がするなあ。ビートルズの曲って、審査員くらいの年齢ではおそらく相当頭に入っちゃってるから、私のように音楽への違和感を感じてしまう人も多いんじゃないだろうか。その上で、この音楽と身体表現をマッチングさせることを、「ナンセンス」あるいは「やり過ぎ」「狙い過ぎ」と決めてかかる人もいるんじゃないだろうか。そうなると、実際にはこの楽曲で最大限の身体表現をしているはずの高橋さんに対して、点数的に不利に働くこともあるんじゃないだろうか。。。杞憂であって欲しいですが。

SPは全く問題なし。高橋節満開。宮本節も満開(でも、ザ・宮本以上のものを見せるのが、天才高橋の天才たる所以だな)。宮本振付が引き出す高橋さんのセクシーさは、最も「色気」っていう日本語が似合うなあ。良いコンビです。

●ブレジナさん/FS:映画「シャーロックホームズ」より
うーん、ここ数シーズン、私が見る試合ではジャンプの調子が乗り切れないまま、若干低迷している印象です。小芝居的要素も盛り込んだ楽しそうな演目だけに、ノリノリに演技している彼を見たいところですが・・・。

●フェルナンデスさん/FS:ピーターガンメドレー&ハーレム・ノクターン、EX:80年代メドレー
FS、もはやギャグと化しているハーレム・ノクターンを、ピーター・ガン(探偵だよね?刑事だっけ?)の音楽と合わせるなんて、楽しいなあ。ベタなセクシーポーズがお約束ですが・・・ずばり!楽しい~! 

以前にも書いたのですが、彼は生で見ると、テレビ画面で見るよりもずっと繊細で、素敵な演技(小芝居も含め)をしているのですよね。今回も、もっとセクスィ~で楽しかったと思います。あまりに見事なジャンプなだけに、そこだけに注目が集まりがちですが、彼の表現者としての部分も見て欲しいと切に願います。

衣装も面白い。ネクタイかと思ったら、シャツの前立て部分が赤いのですね。黒い帯状のものは、ガンホルダーをもじったものかな。

EXは・・・今季もずっとこれなのかしら。それはそれで良しとも思える彼の代表演目ですが、アイスショーで複数回見たので、やっぱり別のも見てみたいなあ。
[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-12 02:47 | 2013-2014 フィギュアスケート
<五輪シーズンに重要と思われるコメントを頂いたので、末尾に追記しました。>

半年遅れてしまいましたが、ワールドの最後の記事をアップします。

●1位/キム・ヨナ(22歳)/韓国
SP: 映画「吸血鬼の接吻」より
FS: ミュージカル「レ・ミゼラブル」より

久しぶりに見たヨナちゃん。髪を茶髪にされているけれど、元の黒髪の方が、彼女の肌の美しさが際立つような気がするぞ。染めるにしても、もう少し深みのある色の方が良いかな(この茶色、肌を変に黄色く見せるような…)。

さて今回のヨナちゃんの演技を見て、ワタクシが最も驚愕したのは、


踊る男達の時代に 踊らない女が登場


ってこと。(踊る=音楽と身体で何かを表現するって程度に考えて下さい。)
いや~。これは衝撃的でした。もちろん、踊り見のワタクシ的には良くない意味で。

ここ最近の傾向として、(高橋さんの影響か否かはさておき)男性フィギュアスケーターがこぞって、それもトップ選手達が率先して、「踊る男達」になってきている。あのチャンさんですら、踊る男を目指して、自分に合う身体表現の方向性を模索している。

そうなると、もともと踊る人達が比較的多く存在していた女性陣だって刺激を受けるわけで。結果、少なくとも私が見てきた限りにおいてですが、今やフィギュアスケート界は、「踊り」への志向性が最も高まっていると感じています。(「さておき」と書いたけれど、正直、高橋さんの影響はかなり大きいと思う。世界を変えるのは、小さな力を結集した大人数のときもあるけど、1人の天才ってこともよくあるから。特に芸術の分野では。)

そんな流れの中で、この「踊らない女」というのは、「2000年に1980年代末期の巨大肩パット」を見た時のようなout-of-date感が漂うなあ。(肩パットまた流行り出してるから、敢えて2000年に限定してみた)

あのね、実はね、彼女の体は、私が想像していた以上にきちんとメンテナンスされてたんですよ。しかもね、試合に出ない代わりにアイスショーに出ていたからかもしれませんが、メンテナンスのベクトルが「踊る」方向に向いていたと思う。バンクーバーの時よりも、身体のストレッチ具合が踊る人により近くなってました。肩甲骨も昔よりも浮き出ているでしょう?ちゃんと、腕や肩、そして胸のストレッチをしていたはずです。
(ストレッチ具合って分かりにくいかもしれませんね。ええっとね、身体を踊る方向に訓練していくと、身体が最大限伸び切れるように、各部位がストレッチされていくんですわ。バレエダンサーの身体が筋張って伸びたように見えるのは、筋肉がついているだけでなくきちんとストレッチされているから。そうそう、別種目だけど、水泳選手の身体もストレッチ具合が良く分かりますね、伸びる動きだから。)

あ、ただね、柔軟性は・・・スケート技術のレベル取りには充分なのでしょうが、女性の身体表現者という観点で見ると、まあギリギリかな。後で触れるけど、彼女はむしろ男性的なムーブメントを主体にしているので、柔軟性は捨てているのかもしれません。まあ、表現者として見た場合、その選択はどうなの?と突っ込みたくなりますが。

ところが、踊れる身体をもっていながら、試合では踊ることを敢えてシャットアウトする。少なくとも、もう少し踊れるはずなのに、敢えて踊ってない。

踊らない理由は、そりゃ点数のためなんでしょうよ。
点数を稼ぐ主要な技術(ジャンプ、スピンetc.)のために、点数にならない踊りは全て犠牲にして・・・というか意図的に排除している。これはSPとFSを見比べると明らか(この点も後述)。

これってバンクーバー五輪シーズンの演技もそうだったから、そういう意味では彼女の戦略はぶれずに変わってない。点数にならないものは徹底的に排除して、その結果得られる余力でもって点数になる部分を死守するという戦略は、潔いほど男っぽい。そう、ヨナちゃんは、ムーブメントだけでなく、戦略そのものも本来の意味で男っぽいのよ。

これは今の時代の「踊る」トレンド(ジャッジがついてきていないので「気分的なトレンド」と言ってもいいかもしれない)には逆行しているように見えても、点数を上げる(あるいは下げない)という意味では最上の策なのかもしれない。その意味で、彼女は最も「勝ち」に拘るスケーターであり、そういう意味で「強い」と評価しても良いのだとは思う。

でも、私は、特に彼女のFSを見て、序盤から失望し、最後にはイラつきました。
イラつきの原因を自己分析すると、「あなた、トップの踊り手じゃないけれど、SP見てるからもう少し踊れること、私わかるわよ?踊れるところまでちゃんと踊りなさいよ!」と思っているってことが分かりました(笑)。いや、勝手な言い分だってことは分かっているんですが。

まず、SPから見て行きましょう。

SPの衣装、前から見るとドラキュラの被害にあって首から血が滴る様子を想像させる赤が、後ろでは深いVになっているという、ユニークなもの。ちょっとグロいと感じる人もいるかもしれませんね。私はこの手の冒険は好きですが。

このSPの振付、単純といえば単純ですが、私は嫌いじゃないですね。彼女の身体やムーブメントの特徴を知り尽くしているウィルソンさんが、その魅力を最大限に引き出していると思います。

彼女の長い手足は、華奢ではありません。女性らしい肌の美しさと白さに騙されがちですが(笑)、彼女の手足はね、少々男性っぽいというか、しっかりとした骨の太さのある、ガッチリ系です。長さがある上に、形も真っすぐなので、全体をぐいんと動かした場合、非っ常~に派手で目立ちます(今のようなストレッチされた「伸びた腕」になると、ますます派手)。彼女の演技のファーストインプレッションが良いのは、この派手さに負うところも大きいと思います。(そして何回も見てると退屈になってくるのも、この手の派手さには人間なぜかすぐに慣れちゃうから。振付やムーブメント自体は単純なので、プラスアルファで何かがないと、すぐに飽きる。)

その長い手足を使った、これまた男性的ともいえる若干ぶっきらぼうだけど、妙に思い切りの良い動きが、ヨナちゃんのムーブメントの最大の特徴で、振付にはこれを生かした大きな動きが随所に盛り込まれています。もちろん、時折アクセントとして、ケレン味のある動きも忘れない。

ヨナちゃんの振付のこなし具合も、素敵ですよ。
ストレッチされた長い派手な腕による、これまた派手で大きな動きを思い切りよくこなすところは、(単純ですぐに飽きがくることはあっても、少なくとも当初は)遠くからでも良く見えるだけでなく、視線を釘付けさせるに十分です。加えてヨナちゃんは、この本質的にはぶっきらぼうで思い切りの良い(だけ)の動きに、手首の美しさを加えました。これはアイスショーの成果かもしれませんね。バンクーバーの時は、SP(007)でも時々しかできていなかったけれど、今回のSPでは全体を通して手首の形づけや動きがとても綺麗でした。アクセントのケレン味のある動きも、この手首の動きの美しさにより、更に魅力的に映ります。

また、見事だったのは、大きな上半身の動きの「勢い」を殺さずに、下半身の動きに連動させて、スピードにつなげているところ。これ、例えば若いジジュンリちゃんなんかを見ると分かるんだけど、まだ筋力や訓練が行き届いていない選手が、上半身の動きを下半身に連動させることは、まず無理です。別々に動いているだけでなく、一方を動かしたりスピードを上げるために、他方の動きやスピードを殺さざるを得ないの。

だけど、ヨナちゃんは、双方連動させるだけでなく、動き(しかも上半身の動き)の勢いをスピードに変えることすらできる。これは、スケートにおける「踊り」の一つの醍醐味でしょう(昨シーズンのケビン・レイノルズさんの宮本さん振付の演技でもそう感じた)。個人的には、全体的な踊り度は低くても、この醍醐味が充分感じられるものである以上、SPについてはもう少し点数が出ても良いのにと思ったほどでした。(だって、「醍醐味」ができる人ほどSSが高いと思われますし、いわゆる「つなぎ」の評価も高くなるはずでは?)

ところが!
FSでは、この手首の美しい動きや、連動・スピードアップによる醍醐味が、残り香程度にしか感じられなかった。これが失望&イラつきの最大の理由です。にも拘わらずあの点数。端的に言うと、非常にムカつきました。

中味を見て行きましょう。
演目のレミゼについては、こちらをご覧ください。

衣装は、随所にキラキラが施されている(しかも良く見ると複数のカラーストーンが使われている)、センスあふれるもの。レミゼの時代に合わせたデザイン(特に袖)ですが、この衣装だけではキャラは分からん(笑)。演技を見ても・・・誰、これ?分からんな~と思っていたら、以前の記事でコメント下さった方が教えて下さいました。韓国の報道によると、コゼットだそうです。

この点、もともとヨナちゃんのキャラ的にコゼットって?ってことは脇に置き、そもそもこの振付には、コゼットをキャラ立ちさせようとする意図は全くないと思います。というか、安定感という名前の「点数の出る技術死守」を最優先すると、出来なかったんだと思う。つまり、FSではSPよりも「点数の出る技術」が沢山あるから、それを本人比で完璧にこなすことを前提とすると、体力的な限界点がきちゃってあとは何もできない。ましてや、踊るなんてもってのほか。実際、ちょっとした味付け程度の動きがあったかな、程度。

何もしないでも過去にずっと点数が出てるから、キャラ立ちさせて何かを表現する必要もなければ、手首なんて些末なところに気を使う必要もなければ、上で述べた「醍醐味」を持ち込む必要もない(おそらくこの「醍醐味」は体力的にギリギリの状態でやるとバランスが崩れる)。そうである以上、そのために必要な体力増強などはやらんでいいと。そんでもって、ぐるっとまわって、今でも「体力的に破綻しちゃうから何もできない」と。むぅ~。

もちろんね、SPとFSの動きが違う選手は沢山いるんですよ。でもね、ヨナちゃんのは、トップ選手の中では、桁違いに「違いすぎる」。見直して下さいよ、ムーブメントが全く違うから。若い選手でもここまで違う人はいないと思う。疲れてへろへろになる人はいても、最初から狙ってここまで押さえこんじゃう人はいない。普通、SPよりもFSの方が見応えあるのに、その見応えが何もない。技術要素の観点からは見応えあっても、私のような踊り見には、文字通り全くもって「見応えがない」。

じゃあ、踊りその他の不要な(=点数にならない)部分を押さえこんじゃうのがいけないのか、と問われれば。
競技としてはいんでしょうよ。へろへろにならないように、演技が破綻せず点数を稼げるように押さえているわけだから。

でもさ。踊り見の私としては、そんな演技、何の価値もないってことになるわけよ。

結局、良く分かったことは、彼女は「点数の鬼」(言い方を変えれば、点数の出る技術の鬼)ってこと。決して表現力で勝負している人でもなければ、断じて「ダンサー」ではない。敢えて踊らないことを選択している人を、ダンサーなんて、絶対に呼んで欲しくない。前も書いたけど、全てのダンサーへの侮辱だから、それ。


<追記>
以下のコメントを鍵コメで頂きました。
五輪シーズンに入り、これから固定読者以外の方も沢山いらっしゃることと思い、「引用OK」とのお言葉に甘えて、ここでご紹介&ご返信させて頂きます。

koharuさんへ、記事に対する反論を投稿します。ダメでしたら読まずに削除してください。炎上を避けるために非公開にしましたが引用okです。また僕はケンカしにきた訳じゃない点と、基本的にあなたの記事を楽しみにしてる人間です。

以前から、ダンスを舐めるな。ダンサーへの侮辱という言葉が気になっています。
そもそもユナ・キムはスケーターでアスリートです。ダンサーを自称してないし、ダンサーとして評価してる人もいなければ、ダンスをしに来てるわけでもない。
「ダンサーへの侮辱」と言われても、それは一体誰への怒りなのか疑問です。
ダンサーじゃない人にダンサーとしての意識を問うのはおかしくないですか?
この言葉に対して、勝つために試合に来てるアスリートを舐めんな!と反論します。
koharu様ももしダンス界の頂点に立ってる人に対して、ダンス知識が無い方からスポーツ的な観点でスポーツ舐めるなと言われれば腹が立つはずです。
またkoharu様はスケートの表現を陸の踊りと混同している点が気になります。踊るだけならただの陸の踊りの劣化。スケートは滑ってナンボ何です。


おそらく、私のブログを昔からご覧になっている方ではないと思います。五輪シーズンに入りましたし、そろそろ新しい読者の方々を想定した書き方をしなければいけないな、と反省しました。

まず、私の基本的なスタンスを御説明したいと思います。このところ読者層が固定されていると思われたため、この点についてご説明することがなくなっていました。

私のブログは、まさに「陸の」舞踊系(中心はバレエ)の表現に特化した観点から述べた、極めて亜流のものです。つまりは、混同しているのではなく、敢えて、その観点から書き記したものです。詳しくは、以前のこちらの記事をご覧ください。また、誠に申し訳ありませんが、私は、どんなご意見がこようとも、上のスタンスを変更するつもりはございませんので、悪しからずご了承下さい。

次に、ヨナちゃんに対する云々のくだりですが、私は彼女に対して申し上げているのではなく、彼女を「表現力がある」「(スケーターというよりも)ダンサーだ」と評価する声に対して、異を唱えています。バンクーバー後のこちらの記事をお読み頂ければ、話の流れをご理解して頂けるかと思います。ただ、誰に対して言っているか、という点については、流れをご存知ない方には今回の記事だけでは理解できないですね。この点については、書き方が悪かったと反省しております。

以上です。
[PR]
by Koharu-annex | 2013-10-04 22:37 | 2012-2013 フィギュアスケート