もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

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ロシア杯 雑感 その4

ロシア杯 11月19日~21日
男子 ショート&フリー その2

仕事を持ち帰ってテレビをつけたら、BSのハイビジョン特集で、「人生をタンゴに刻んで~世界選手権に挑むダンサーたち~」という番組をやってました。

日本人女性(パートナーはアルゼンチン男性のようです)が優勝した、この8月にブエノスアイレスで開かれたタンゴの世界選手権を取材したものでした。

おお、アルゼンチンは8月は冬だったね、などと思いながら、久しぶりにアルゼンチンタンゴを見られて楽しかったけど、ダンスシーンがちょっと少なめだったのが残念。

見ながら思い出したのは、名バレエダンサーだったフリオ・ボッカのこと。
私は彼のバレエダンサーとしての引退公演を、NYCのMetで観ているんだけど(こちら参照)、向こうの新聞だったか雑誌だったかの記事によると、彼は引退後はアルゼンチンタンゴダンサーとしてやっていく、みたいなことが書いてあった記憶が・・・。
確か、現役のバレエダンサーだった頃から、ABTのオフシーズンにはアルゼンチンタンゴのカンパニーを率いて公演とかやってたと思うのだけど、その後、どうなったのかな?


●パトリック・チャン(19才) カナダ
SPはテイク・ファイブ、FPはファントム。
はぁ・・・。

アメリカ杯の雑感で、高橋さんに関して、概要、以下のことを書いたじゃないですか。
(1)舞踊面では抜群。
(2)だから、演技構成点が他の選手に比し抜群に高いのは理解できるし当然。
(3)でも、演技構成点と技術点のバランスが現状で良いのかは疑問。

ここから先について、私の説明が足りなかったのですが。
実のところワタクシの心の内ではですね、織田さんがジャンプを飛びすぎるというどアホなミスをしなければ優勝できたことを知って、(3)についてはですね、

ま、本来なら、今回技術が駄目だった高橋さんより、技術がちゃんとしてた織田さんが勝てるはずだったんなら、バランスはひどく悪いわけじゃないんだな~

ということで、決着がついていたんですよ。

しかし。
チャンさんを見て、次なる疑問が。
以前こちらに書いたように、チャンさんって舞踊面での魅力は極めて薄いんですよね。

この点、はっきり言わせてもらえれば、高橋君がトップレベルのダンスカンパニーでも主役をはれるレベルだとすれば、チャンさんはその辺の素人向けダンス教室で「上手ね~」といわれてる程度の生徒さん、というくらいのレベルの差があります。

たぶん、今私が通ってるスポーツクラブでも、ある一定程度以上に上手な方に頼めば、下半身のスケート部分は足踏みになっちゃうけど、チャンさんの踊りをそっくり真似て、チャンさんと同じ程度のインプレッションを残すレベルで踊ることができる人は複数いらっしゃると思いますよ。
(また関係ないところで出して申し訳ないけど、キムヨナちゃんの踊りもその程度だと思う。)

もちろん、チャンさんにある「下級貴族」な雰囲気や、ヨナちゃんにある「硬質なセクシーさ」という情感まで真似て表現できるか、という問題は次にあります。

が、肝心の舞踊面が素人レベルである以上、この雰囲気や情感というのは、演目の要求する要素と高いレベルでマッチングするか、自分自身の世界観の外界への表出としてほぼ100に近いレベルで生かしきれないと、評価に値しない、というのが私の意見。
(脱線するけど、私がダンサー系ではないけれども独特の世界観をいつも表出できるシュルタイスさん等のスケーターに対して高い評価を行うのは、私のこの意見によっています。)

だから、ヨナちゃんの007は彼女の「硬質なセクシーさ」を100%生かしきった演目として、評価に値すると思っているけれども(私は過去にも名SPだと評価してる。こちら)、「下級貴族」な雰囲気という演目の要求する一部の要素にしか合致しないチャンさんのファントムは、私の感覚ではかなり評価が低くなってしまいます。

したがって、どうしてチャンさんの「オペラ座・・・」の演技構成点が、81.96などという高橋さん以外では見たこともないような点数になるのか、私には全く理解不能です。
スケーティング技術はさておいても、他にも評価項目があるのに、そしてその「他の評価項目」は舞踊意的な魅力と非常に親和性が高いものであるのに、どうしてこんなことになるの?

これじゃ、あんなに一生懸命踊ってる高橋さんが、アホみたいじゃないですか。
まさに踊り損ですよ。

私はね、例えばベルネルさんのSP(雨に唄えば)は、動きが比較的少ないし、舞踊面に関してすごく高い技術が要求されているわけではないですから、時々皆さんがコメントに書いて下さる「省エネプログラム」という範疇に入るかもしれないと思っています。
が、私は別記事で2回書いたように、このSPについては、演目の世界観の表現や、傘が見えるような細かな演技が秀逸なので、評価してます。
だから、「省エネプログラム」を全て否定しているわけじゃない。

でも、基本はやっぱり、「動いてなんぼ、動けてなんぼ」だと思います。
だから、形式的な一般論になりますが、「省エネプログラム」をやり遂げた場合に比べて、その真逆をいく「燃費の悪いプログラム」をやり遂げた場合に、より高い演技構成点が与えられるべきだと思いますよ。

もちろん、「省エネプログラム」でも、ベルネルさんのように世界観の構築に成功しているような場合は、上乗せされて当然です。また、「燃費の悪いプログラム」に評価に値しないものが存在することも事実ですので、その場合に演技構成点を抑えることも当然です。

後者の例。
悪い例に出して申し訳ないけど、例えばこちらの記事で書いた町田さん。
町田さんのプログラムって、振付が必要以上にギュウギュウなんですよ。

高橋さんのプログラムも「燃費の悪いプログラム」なわけですが、彼は「燃費の悪いプログラム」をやり遂げるだけの踊り心がある。ところが、まだ踊りのレベルが拙い町田さんの場合は、「燃費の悪いプログラム」を未消化なまま披露するしかなかった。いくら元の振付に高度なものが詰まっていても、実際のパフォーマンスがこういう出来では、評価できない。

なので、いくら動いても演技構成点に結びつくのは難しいと思うし、実際結びついていなかったのは仕方ないと思います。

私の感覚は、以上のようなものです。

だから。

凡庸かつ簡単な振付を、凡庸なレベルでこなしているに過ぎず、特に独特の世界観を構築するわけでもなければ、演目と演者の個性がぴたりと合致して妙なる味を出しているわけでもない、チャンさんの演技が、演技構成点でどーしてあんな高得点を叩き出せるのか、どーしても解せない!!

やっぱり、政治色にしか思えないなあ。

政治色じゃないなら・・・

フィギュアスケートにおける「表現」に関する考え方は、私の感覚とは著しくかけ離れており、「世界があまりに違いすぎる」としか言いようが無い。
もちろん、私は、自分の感覚がフィギュアスケート鑑賞者の中でもかなり亜流だともともと自覚しているのだけど、この「あまりに違いすぎる」というは、かなりツライな~、と思う次第。
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by koharu-annex | 2010-11-26 01:15 | 2010-2011 フィギュアスケート

ロシア杯 雑感 その3

ロシア杯 11月19日~21日
男子 ショート&フリー その1

皆様、今週末は、とうとうGPS最終戦のフランス杯ですね!
フィギュアスケートのファンの皆様は、毎年、このような怒涛の秋をお過ごしなのしょうか?
いや~。皆様の集中力と体力に感服いたしますわ。

私サイドの事情としては、10月からバレエのシーズンも始まっていてですね。
12月のお能の納め会のためのお稽古もあったりしてですね。
ついでに、なぜだかとある仕事案件のために、複数の官庁のところに情報提供を行ったり、マスコミの取材を受けたり、果ては代議士のところに陳情に行ったり・・・
これらは全部、私の通常の仕事の範疇外なんですけど、なぜだか私がやらされてしまい、文字通りてんやわんや、でしたの(そしてその多くが上手くいったとは思えず、私ってデキナイ駄目人間だと落ち込むのでありました・・・)。

しっかし、有力な議員が動くと、行政って即行で動くんだな。よく分かった。
私が100のことをやるよりも、代議士が局長呼びつけると一発で変わるんだもん。
こちらとしてはありがたかったけど、なんだかな~。

そんなワタクシを見て、例の友が、私の好物の抹茶クリーム大福を20個も送ってくれましたの。
それが・・・冷凍で手配してくれたはずなのに、運送業者の手違いで冷蔵便で届いてしまい。
賞味期限が4日しかなかった!

ということで、20個消費するために、毎日5個食べてます。
旦那に「誰かにおすそ分けすれば?」と言われたけど、送ってくれた友に悪いっしょ!という言い訳のもと、せっせと食べてる。
もちろん、順調に太ってる。

今日もさっき5個目を平らげ、血糖値上がったところで、ロシア杯男子へゴーだ!

●ハビエル・フェルナンデス(19才) スペイン
SPは、高橋君と一部重なる、ある恋の物語ほか。
ジャンプの調子は悪かったけど、ギャグなところは前回よりねちっこくなったというか、完成度が上がっていて、楽しい。
この年齢で、こんなギャグっちいパフォーマンスを「イタさ」をまるっきり感じさせずに、こんなに上手にこなすなんて、本当に将来が楽しみだなあ。
観客に受けるのも良く分かります。

FPは、パイレーツ・オブ・カリビアン。
こちらもジャンプがまるで駄目で、そのために他の部分の動きにも勢いがなくなってしまいました。
が、酔っ払いステップとか相変わらず上手です。

この人は、少なくとも今季のパフォーマンスを見る限り(というか私は今季しか知らないんだけど)、同じ身体表現というジャンルであっても、ダンサー系というよりむしろコメディアン系(例えばガーマルチョバ)なのですが、身体がよく動くし、お芝居系の演技がとても上手です。
こういう人は、その特性を大いにいかすために、今季のSPやFPのような、具体的でかつ個性的な人物像とか役柄を想定している演目がいいのでしょうね。

酔っ払いステップといえば、バレエ「マノン」のレスコー(主人公マノンの実兄)のものが有名なのですけれど、これはこの人に似合うと思いますね。
この人が、マノンのドラマチックな音楽にのせて、胡散臭く自堕落だけど、娼婦達にはとても人気のある、馬鹿みたいな勢いのあるレスコーを演じるの、見てみたいなあ。

●アルツール・ガチンスキー(17才) ロシア
SPはSelection of Music by Pink Floyd、FPはバレエ音楽「ボルト」(byショスタコビッチ)。
カナダ杯のときは、FPについてかなり長く書いたので、今回はSPについて。

ピンク・フロイド。
いわゆるプログレの先駆けですね。

ワタクシには、おませな音楽少年だった兄がいましてね。
この兄、いろんなジャンルの音楽を同時平行で聴いてましたけど、プログレも大好きでしたの。
だから、小学生の頃から、隣の兄の部屋から垂れ流されるピンク・フロイドやレッド・ツェッペリン、クラシックは何故かドヴォルザーク、日本のニューミュージックの数々を聴かされていてですね、いつの間にか覚えていたのですわね。
おかげで、年上の方とカラオケに行っても、チューリップとか全部歌えるのであります(私の年齢の女性では、まずあり得ない)。
そんな記憶の宝物ができていたことを知ったのは、20才を過ぎてからですわね。
高校生までは、「うるさいっ!」とよく喧嘩してましたわ・・・。

という次第で、このSP、思いがけず兄との想ひ出を想起させてくれる、懐かしく聴きなじみのある楽曲が使われていて、何気に好きなのです。

ガチンスキーさんの10代らしいちょっと不機嫌というか気難しそうというか、よく言えば反骨精神があるような、自意識がいかにもアンバランスに過剰な若者の雰囲気は、ピンク・フロイドの哲学的で妙に「巨匠」感のある音楽と、合い過ぎなほど合ってると思います。
私の兄もそういうタイプでしたから、私の感覚がそういう風に出来上がってるだけかもしれませんが(笑)。

下半身に安定感とか力強さがまだ足りないですね。
また、スピードや勢いが欠けて、どんどん元気がなくなる。
ポテンシャルはあるのですから、スタミナと体力が課題でしょうか。

●トマシュ・ベルネル(24才) チェコ
SPは、シンギン・イン・ザ・レイン。
中国杯のときも書きましたが、この「雨に唄えば」は、本当に素敵な演目ですね。
手にした傘が何度も見えるようで、中国杯のときよりもずっと完成度が上がっている印象です。
特に若いガチンスキー君の後に思い出すと、1つの演目として完結させる力量の差は明らかで(申し訳ない、ガチンスキー君…)、さすがベテランって感じでしょうか。

中国杯の雑感でも触れているのですが、ジーン・ケリーの踊りを模した振付が随所にあるので、ジーン・ケリーのこのシーンをまだ未見の方は是非見て欲しいと思います。
ベルネルさんが、何をやりたいかが、すごくよく分かると思います。
ジーン・ケリーのこのシーンの踊りは、基本的にはタップダンスなんですが、多くの人が想像するタップダンスとは異なり、ゆったりとしたテンポでかなり移動しながら踊るんですよね。
音楽からも想像つくでしょうけども、このシーンを包み込む平和でハッピーな雰囲気を、踊りを見て感じて欲しいと思います。

GPファイナルでもう一度このSPを見られること、私はとても嬉しいです。

FPは、MJメドレー。
安定感はありましたが、相変わらず、ワタクシはこのFPについては辛口です(笑)。
中途半端なMJ風振付を多用し過ぎるというか。。。
まあ、SPのジーン・ケリー風振付の多用を考えると、統一されているとも言えるわけで。
なのに、なぜにFPだけ責めるのかと問われれば、私に「MJはかくあるべき」というこだわりが強過ぎるってだけの話で。
つまりは、私の感覚では、ベルネルさんは、SPでジーン・ケリーの世界は出せているけれども、FPでMJの世界は出せてないと思う、という話なんですけど。

なので、MJに私のようなこだわりさえ無ければ、MJ風振付をベルネルさんがちゃんとこなしている様子を見て、(それだけで)即「わかる!MJを感じるよ!カッコいいね!」ってな高評価が与えられるのだろうと思います。

なので、やるなとは言えませんが・・・

なんか物足りないのです。

ベルネルさんのパフォーマンスを見た後、ワタクシ、MJの「THIS IS It」(DVD)見ちゃいましたからね・・・。
関係ない話ですが、THIS IS IT のバックダンサー達って、MJが入るリハの前にすごい踊りこんでいるのですよね。彼らのダンスも必見でござるよ。
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by koharu-annex | 2010-11-25 01:34 | 2010-2011 フィギュアスケート

ロシア杯 雑感 その2

ロシア杯 11月19日~21日
女子 ショート&フリー その2

●アシュリー・ワグナー(19才) USA
SPは、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より。
当初、この映画のサントラを女性スケーターの演目に使用するのに、「なぜにアマポーラが使われてないの?」と、つい疑問に思ってしまいました。
が、想像してみると、アマポーラはレイチェルさんのイメージの一部と完全にかぶるので、結論としては使用しないで良かったかな、と。

FPはマラゲーニャ。
NHK杯のときよりも良く動けていたし、また安定した印象です。
レイバックスピンの後半で、ハープの細かいメロディと合わせて手首を動かしていたのですけど、それがとても綺麗でした。

ただ、SP、FPを通してどこかインパクトに欠けるのは、無理せず無難にまとめ過ぎているからでしょうか・・・?

●安藤美姫(22才) 日本
SPは、ブロークン・ソローほか。
ロシア杯の後の報道によると、SPの楽曲を変更するとのことでしたから、この楽曲でのパフォーマンスを見るのはこれが最後となりますね。
中国杯のときの雑感でも書きましたが、この楽曲は身体表現を行うには難しいので、変更は吉と出るのではないでしょうか。

直前の練習の際に男子選手と衝突して腰に肉離れを起こすというアクシデントのせいで、腰にはばりばりのテーピング。
SPもFPも衣装の背中がぐっと開いているので、テーピングの様子が良く分かります。
格好は悪いかもしれませんが、むしろ誰にでも分かってもらえるという点で、競技においては良かったのではないかと思います。

腰をやられているときに、腰を反らせることがキツイことは、腰にケガをしたことがない方にも想像できると思います。
が、実は、物を掴むなどの日常の動作ではなく、舞踊的な動作として「腕」を動かすことも、腰をケガしているときはキツイのです。
未経験の方が想像するよりも、ずっとずっとキツイ。
私も腰にケガをした経験があるので、今回の安藤さんの演技を見ている最中、痛さを想像してしまって身体が固まってしまいました。

今回のSPの振付は、腕の振りが激しいですから、かなりキツかったと思います。
が、安藤さん、気丈によく動いていました。
もちろん、全般を通して緊張した表情でしたし、肩も上がっていて、動きの端々に「痛いんだろうなあ」と思わせるニュアンスが感じられましたが、あの状態であそこまで動かすことができれば上等でしょう。

また、慎重に動いていたせいか、中国杯のときのような早取りではなく、音楽をジャストで取っており、そこも良かったと思います。

FPは、グリーグのピアコンイ短調。
顔がくもっていたし、テーピングは相変わらずなので、まだかなり痛いのだと想像。
やはり体に力が入っていない様子で、その入らなさ加減が、「あー、分かる~。そうなるよね~」と感じられる部分もあり、見ていると自分の腰にもなにやら痛さを感じるような・・・。

最後のスピン、つらそうでしたね。
あれは痛いよ・・・。

本当に良く頑張りました。
ロシアの観客の方々から送られていた温かい声援と拍手、こちらも嬉しくなりました。

中国杯のときもそうでしたが、SPのときもFPのときも直前に、モロゾフさんが安藤さんの首の後ろのホック(?)や襟(?)を整えていますよね。
その際、ごくナチュラルに「彼女がされるがままになっていた」というか、当然のように「彼女がさせている」というか、まあ、どちらでもいいんですけど、長く信頼関係を培ってきた人間達にしか出せない空気を漂わせていた様子が、可愛くて微笑ましかったです。

●鈴木明子(25才) 日本
SPは、タンゴ・ジェラシー。
中国杯のときよりも、踊りの完成度は更に上がっていると思いました。
男性の踊り手が高橋さんなら、女性の踊り手は鈴木さんですよね。

高橋さんと同様、鈴木さんも、身体全体のコントロール能力が抜群です。
ステップやつなぎの部分のムーブメントの全てが、理想的な美しい・カッコ良い姿勢で行われている。
これは一時停止ボタンを次々に押してみるとよく分かるので、面白いのでやってみて下さい。
どの時点でも、「変なカッコ~笑」みないなことが、この2人には殆どないと思います。

パーツで言えば、鈴木さんの背中や首の使い方に注目してもらっても、奥深く楽しいかもしれません。
ちなみに、首をよく反らせるためには、実は背中を使えないといけない。
普通の人が首を反らせた場合、客観的に見ると、頭を後ろに持っていっただけ、ということが多い。
見た目に美しい「首の反り」のフォルムというのは、首根っこのずっと下の、肩甲骨の間くらいから曲げているのですわ。
(ちなみに、私は昔から背中が硬いんですけど、どうしても首をきれいに反らせたくて無理して曲げてしまった時期があって、今でもこの部分に軽いヘルニアがある。)

FPは、屋根の上のヴァイオリン弾き。
衣装を、中国杯のときと同じ白地でも、黒いトリミングのあるものに変えましたね。
コメントも頂いておりますが、白地にこだわっていらっしゃるということは、やはり花嫁衣裳を意識なさっているのかもしれないですね。

軽やかで幸福感があって、相変わらず、とても良いですね。
彼女の踊り心が高いから、ものすごくナチュラルにこなしているので気づかず見流してしまいがちだけれども、すごく凝った複雑な振付ですよね。
これをここまで踊れるのは、文字通り、アッパレ。

安藤さんほど往年の固定ファンが多くない印象ですが、観客の方から温かい拍手と手拍子を頂けていたのが、嬉しかったです。
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by koharu-annex | 2010-11-25 01:25 | 2010-2011 フィギュアスケート

ロシア杯 雑感 その1

ロシア杯 11月19日~21日
女子 ショート&フリー その1

皆様、コメントありがとうございます。
特に、アーミン君に関する貴重な情報、感謝感謝です。

また、技術点と演技構成点のバランスの是非について、皆様いろんなご意見ありがとうございました。
特定の選手にかかわることなので、お気を遣って下さって鍵コメにして下さった方も多いので、皆様には全ての情報を届けることはできませんが、お勉強になるご意見ばかりで本当にありがたいと感謝しております。

後日あらためて個別に返信させて頂きます。
が、取り急ぎ、遅れを取り戻すためにロシア杯の雑感を。

●クセーニャ・マカロワ(17才) ロシア
SPはフラメンコ。
ジャンプの調子は今ひとつながら、カナダ杯よりもムーブメントにキレがあったのではないでしょうか。
体力がある上、比較的大柄なのにチャキチャキ動けるので、テンポやリズムが速くてもOKなのは、強みではないでしょうか。

FPは映画「エビータ」より。
スピンの回転速度など、目を見張るところがありますね。
が、全般的に振り付けを適当に流しちゃうところが、目に付きます。
いろんな意味で余裕がないんだろうけど、「まだまだ感」な印象を残してしますので、もったいないです。

●バレンティナ・マルケイ(24才) スペイン
SPは、映画「レクイエム・フォー・ア・ドリーム」、「ロード・オブ・ザ・リング」ほか。
カナダ杯に比べて、ちゃんと全身で動けている印象です。
まだ音楽をものにしたところまではいってない感じですが、音楽に合わせるように動作やキメの努力をしていることはよく分かります。

FPは、オペッレッタ「こうもり」より。
ウィーンの大晦日の恒例行事ですが、この楽曲でバレエもあります(振付はプティで、ずばりプティ!なエスプリのきいた作品です)。

私は、この楽曲なら、ポニーテールじゃなくて、夜会巻きなどの大人っぽい髪型にして欲しいと思います。
衣装も同様で、もう少し「夜」な雰囲気と色の方が良いのではないでしょうか。

ついでにいうと、元気いっぱいに滑っていましたが、もし出せるなら、華やかさだったり、コケティッシュさだったり、という雰囲気を出せれば、より楽曲に近づけると思います。

●ソフィア・ビリュコワ(16才) ロシア
SPは、プッチーニ「トスカ」。
大人っぽく、トスカに違和感がないのは、16才としては珍しいのではないでしょうか。
もちろん、この悲劇を表現するところまでには至っておりませんでしたが、雰囲気を出そうとしているのは伝わってきました。

ソフィアさんはロシア系ダンサーの体型とはいえ、3歳年上のレオノワさんがサーカスピエロであることに照らすと・・・複雑な思いが胸中をよぎったりするのでした。

FPは、サンサーンスの死の舞踏。
今季は「死の舞踏」といえば、リストを使っている方が多いのでは?
少なくとも私は、今季、サンサーンスのものは初見ですね。

サンサーンスの死の舞踏は、とてもしゃれ味のあるフレーズと楽器使いがあるので、そこを生かした振り付けが欲しいなあ~と思ったりましたが、それは望みすぎでしょうね。

とにかく体力がなく、全てに乱れと荒れが散見されました。
テンポが速いからなおさらつらいですね。
なので、これ以上、振り付けを難しくするのは、今の段階では無理かな、と。

●アグネス・ザワツキー(16才) USA
SPは、マンボほか。
カナダ杯に続き、スピンは相変わらず綺麗だと思いました。
しかし、音楽がノリノリになった頃から、ちょうどスピードが落ちてきて、動きも悪くなってしまいました。
楽曲のテンポが速い上に、リズムも細かいので、今の彼女にはちょっと無理があるように感じます。
こだわりがないのであれば、楽曲変えればいいのに、と思います。

FPは、ツィゴイネルワイゼンほか。
カナダ杯よりかは良かったです。
力強さもありました。
が、ムーブメントが荒くて、まだまだ感は否定できません・・・。
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by koharu-annex | 2010-11-24 01:37 | 2010-2011 フィギュアスケート
アメリカ杯 11月12日~14日
男子 ショート&フリー その3

●高橋大輔(24才) 日本
SPはある恋の物語、エル・マンボほか。
今回は、NHK杯のときのような音楽の早取りをせず、ねちっこさを見せつつジャストで音取りしていたので、見栄えの良い出来だと思いながら見ていました。
が、ステップのところで若干遅れが出てましたし、後半は身体が重そうだなという印象がやっぱりありました。
原因は、動きのハードさでしょうか。

FPは、ブエノスアイレスの冬。
ジャンプの調子はかなり悪かったようですが、舞踊的な面からみると、かなり身体はキレてる印象でした。
いや、もうキレキレ。

緩急、タメ、そして絶妙のタイミングで決めるポージングも、NHKより良いどころか、「抜群」と言って良いのではないでしょうか。
滑り込んで踊り込んだ賜物なんでしょうけども、1つ1つのムーブメントも、決めのポーズも、全てがほぼ理想的なフォルムでコントロールされてるように見えました。
そのため、そこからかもし出される、舞踊としての美しさ、カッコ良さは、他の追随を許さないレベルでした。
また、スローパートの情感の乗り具合は、まさに別次元で、「圧巻」と言っても良いと思います。

ただ、ジャンプの失敗の影響か、それとも純粋にスタミナが足りなかっただけかは分かりませんが、後半にスピードが落ちてしまったことは、やはり検討課題でしょうか。

ところで。
このFPでは、高橋さんのジャンプの調子って、ぶっちゃけたところ、相当悪かったじゃないですか。
それを見て心配するアナウンサーに対して、解説の佐野さんが、「彼には演技構成点がありますから。」という趣旨のことをおっしゃったでしょう?
これは要するにジャンプやスピンなどの技術的な面で遅れをとっても、演技構成点でフォローできるし逆転も可能、ということでしょう?

もちろん佐野さんは独善的な解釈でそう言ったのではなく、今の採点基準ではそういうことが可能で、かつ高橋選手にはこれまでもそういうことがあったから、そのように言ったわけですよね。
実際、このFPの高橋さんの演技構成点、すごく高かった。

この点、高橋さんの今回のFPの演技構成点が、「他のスケーターに比べて圧倒的に高い」、ということには全く問題はないと思います。
スケーティング技術についてはコメントを控えますが、その他の項目(要素のつなぎ、演技力/遂行力、振り付け、曲の解釈)については、上述したとおり高橋さんは抜きん出ていましたから。

問題は、技術点と演技構成点の比率が、これでいいのか?ってことです。

私はご存知のとおりフィギュアスケートの採点基準については詳しくないですけれども、例えばバレエでも、技術で失敗しちゃったら、評価としては「ダメ」なんですよ。

例えば、ジゼルの2幕のアルブレヒト。
いくら、ジゼルへの愛と自分の行動への後悔といった情感をたっぷり乗せて演技ができて観客の涙を誘ったとしても、ウィリ達に踊り殺されそうになる「舞踊面での名場面」で、ジャンプと回転(ここは専門用語を敢えて出しません)に失敗したら、それはアルブレヒトのパフォーマンスとしては、圧倒的にマイナスなんです。

もう1つ例えば、ドン・キホーテのバジル。
いくら明るくお調子者でちょっと女好きのバジルを、お芝居の要素が強い小さなダンスやマイムの連続部分で表せたとしても、「舞踊面での見せ所」である、キトリをリフトするところやソロでの回転・ジャンプで失敗したら、それは、バジルのパフォーマンスとしてはダメです。

こういう場合、評価としては、「ダメだったけど、情感は感じられた。」「ダメだったけど、バジルの雰囲気は良く出てた。」、というレベルのものが与えられるだけです。
つまり、技術がダメなら、あとがどんなによくてもパフォーマンスとしてはダメなんですよ。

少なくとも私は基本的にこういう価値観でバレエを見ていますから、上記の佐野さんの言葉が端的に表している、今のフィギュアスケートの採点基準が、ちょっと引っかかる次第。
もう少し技術点が重視されるべきじゃないかな、というのが私の率直な感想。

この点、もし技術点と演技構成点の比率が変更され、より技術重視になった場合、高橋選手への点数が今よりも下がっちゃうという懸念はあるかもしれません。
が、その解決方法は単純明快。
「高橋選手が、技術をもっと安定して出せるようになればいいじゃん。」ってな話じゃないですか。
余計なことかもしれないけど、今の採点基準であっても、高橋選手は技術面をもっと安定させた方が良いと思うぞ。

余計ついでに言うと。
以前、技術は身体表現の大前提だ、だからフィギュアが芸術かスポーツかというのはトンチンカンな問題設定であり、芸術カテゴリであっても技術は絶対的である、という趣旨の記事を書きました(こちら)。
これを別の視点からいうと、レベルの高い身体表現者の最も土台となる基礎っていうのは、「技術をある一定の高いレベルで安定して常に出せること」にある、ということになります。
動きに情感を込めたり何らかの色付けをしたりすることは、その安定した技術の上に乗っかるものなので、順番としては技術の次、です。

高橋選手の今季は、その「技術の次にくる部分」を集中して頑張ってる印象です。
それはそれで魅力的なパフォーマンスを見せる結果に繋がってると思うし、実際、私自身も「これが高橋!」みたいな圧巻の踊り心と表現の地力を見せつけられて感服&感激しております。
しかし、今回のFPを見て、技術面がおろそかになったら元も子もないぞ、という一抹の不安を抱いたのでありました。

さて・・・GPFはどうなるでしょうね。

●織田信成(23才) 日本
信ちゃんについては、カナダ杯のときに書いたように、別記事でまとめたいと思います。
が、一点だけ。

高橋さんのFPを見て、上述したような感想を抱いたワタクシ。
信ちゃんが逆転されたことを見て、技術点と演技構成点の比率の問題がここで顕在化したのか?、と思ったのです、当初は。
そう、当初は。

後になって、ニュース報道で、信ちゃんがジャンプ構成を演技中に変えてしまって、「余計に飛び過ぎ」という以前にもやってしまった失敗を繰り返してしまった結果、ジャンプがゼロ点になってしまったことを知り、立腹しましたわ~~~
1点でも入ってたら、信ちゃんが金だったんでしょう?

信ちゃんは、ここで2つのものを失ったんですよ。
1つは、言わずもがなの金メダル。
もう1つは、「技術が高けりゃ高橋に勝てる」と世に知らしめる絶好の機会の完全な逸失。

前者も痛いが、後者も痛い。
本当に痛いよ。。。
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by koharu-annex | 2010-11-22 23:20 | 2010-2011 フィギュアスケート
アメリカ杯 11月12日~14日
男子 ショート&フリー その2

●アーミン・マバヌザーデ(19才) USA
SPはMario takes a walk、FPは映画「アバター」より。

私にとってアメリカ杯の一番の収穫は、この人でした。
エキゾチックな風貌ですが、どこ系の方なのかしら?
ご存知の方があったら、教えて下さい。

皆さん全員、お感じになったと思いますが、腕の動きが独特です。

私が特に注目して欲しいのは、なんといっても肩甲骨です。
稼動域がものすごく広くて、かつ、ものすごく滑らかに自由に良く動くの!
彼の独特の腕の動きは、この異常によく動く肩甲骨の賜物です。
バレエのような西洋舞踊のような動きとはまた違うタイプの動きなんですけど、あの肩甲骨は「一見の価値あり」なので、腕だけでなく肩甲骨の動きに是非注目してみて下さいまし。

風貌だけでなく、彼のこのインクレディブルな肩甲骨の動きと、肩甲骨が支えている独特の腕のムーブメントにも、エキゾチックなニュアンスがありますね。
強いていえば、南アジア風かな~。
ギャグとして表現すると、踊りの入ったヨガをやるインド人とか、インド人が出した蛇の動きとか?(←めちゃくちゃだな)

なので、SPのオリエンタルの香りがする民族調の音楽と振り付けは、とっても良く似合っていました。
ただ、ここまで独特のムーブメントだと、将来、演目の幅が狭まってしまうので、エキゾチックさを控えた動きも習得して欲しいとも思います。
もちろん、エキゾチックな動きは強烈にアピール力のある個性ですし、また彼の魅力でもあるので、これを維持したまま種類を増やす形でお願いします。

●アダム・リッポン(21才) USA
SPはチャイコのロミジュリ、FPはラフマのピアコン2番。

SPは、カナダ杯のときよりも演劇性を強くした感じでした。
彼のちょっとナルさんな雰囲気が、確かにジュリエットに恋してはいるんだけど、客観的には「恋に恋した部分」も多分にあるロミオな空気をかもし出してて、良いですね。

FPは、ジャンプの調子が悪かったことから、全体の流れも低調に終わってしまいましたね。
カナダ杯はもちろん、10月はじめのJOの方が良かったのではないか?と思ったほど。
私、このリッポンさんのFP、実は結構好きな演目だけにちょっと残念でした。

アナウンサーの方から、この楽曲はリッポンさんがご自分でどうしてもやりたくて選んだ、という話を聞いたことは収穫かな。

ラフマ自身もアメリカに随分救われていますけれど、アメリカ人もラフマの楽曲って本当に好きですよね。
特にこの楽曲は、複数のアメリカ映画にも使われていますし。
・・・というアメリカ一般論はさておき、リッポンさんがちゃんとご自分の個性と似合うものを分かっていらっしゃるということですね。

まあ、何度も言っちゃいますが、そこに安住するなよ、ってのが私の意見ですが。
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by koharu-annex | 2010-11-20 23:56 | 2010-2011 フィギュアスケート
アメリカ杯 11月12日~14日
男子 ショート&フリー その1

●アドリアン・シュルタイス(22才) スウェーデン
SP、NHK杯の方が良かったですね。
何だか悲しみの淵に沈んでいるように見えたのは気のせいですか?

ラストの、「これがボクの地球」(←勝手に想像。笑)、みたいなポーズが個人的にはツボだったんですけど、今回はそれが見られませんでした。
本音を言うと、すごく残念。

FP、ロミジュリは初見なのです(NHK杯のとき地上波を録画したら、FPの彼の演技は省かれていた…)。
音楽に、映画のニーノ・ロータのものと、バレエのプロコのものがミックスされて使われていたのですが、これらのアレンジが良かったです。
フィギュアスケート界における数あるロミジュリ音楽の中でも、とても個性的な仕上がりで、彼にピッタリです。

振り付けも、手を見つめたり、すりすりしたり、相変わらず個性的で面白く、よろしいですわね。

静かだけどストーカーすれすれ、あるいは逆に客観的には「ねえ、ホントにジュリエットのこと好きなの?」と思わせるような態度なんだけど心の中では自分の片割れはジュリエットと勝手に断定しているような、そういう一風変わったロミオを想像させるものがありました。

あまりに変わっているので、ラストで毒をあおった際、「あ、一応、毒飲んで死ぬんだ!?」、と思ってしまいました(彼のロミオだと、思いもよらない全く異なる解決方法をごく自然に選択しそうなので。笑)。
見ることができて良かったです。楽しかった。

4回転は成功しましたが、その後のジャンプが良くなく、流れが若干悪くなったのが残念でしたね。

●デニス・テン(17才) カザフスタン
SPはブエノスアイレスの春、FPは死の舞踏。
ジャンプの調子は相変わらず良くなかったのですが、全体のパフォーマンスは、NHK杯のときよりもずっと良かったです。

何が悪かったのか、ちゃんと確認されたのでしょうね。
呼吸をちゃんとして、カウントしている感じがしました。
また、意図して落ち着こうとしている様子が見て取れましたし、実際、完全ではなくても落ち着きのある動きになっていました。

●村上大介(19才) 日本
SPは、トッカータとフーガ。
冒頭、「ど、どした?」と思わず尋ねたくなるような、派手に大きく口を開けた表情を、突発的になさったので、ちょっとビックリ。
が、その後もその「口の派手開け」表情を何度かなさって、そのうちこちらも慣れて・・・どころか何だかキュートに見えてきたのでした。不思議。

この楽曲は、ちんたら、あるいはまったり動かれたのでは全くつまらないので、村上さんの歯切れの良い勢いのある動きは、とても良かったです。

FPは、映画「アラビアのロレンス」より。
楽曲を知るよりも先に衣装を見てしまって、「なんだこりゃ」と思ったのですが、そういう趣旨ですか。
が、あまりデザインが良いとは思えないぞ。
コンセプトはアラビアのロレンスでも、もう少しかっこよく見えるものを作れるはずでは?

この映画は、ピーター・オトゥールの大出世作。
私達の世代には、漫画「T・E・ロレンス」(神坂智子著)もなじみのあるものなんですが、実際の歴史と実在の人物(軍人であり考古学者でもある)をもとにしたものです。
英国とアラブ双方の複雑な政治が絡みあうだけでなく、アラブの異国情緒と、砂漠を舞台にした珍しい戦闘シーンもあったりして、いわゆる大作映画のスケール感があるんですよね(あんま関係ないけど、ピーター、背が高いし)。

それに照らすと、あんな口開けできるようなキャラの村上さんに合ってるのかと問われれば、否定せざるを得ないんですが、まあ、オリエンタルな雰囲気だけをちょこっと借りるつもりだったんでしょうね。
毒舌吐かせてもらえば、「なんて安易な・・・」としか言いようがなく、もっと彼に合う演目を真剣に選んであげなよ、と私なんぞは思ってしまいますがね。
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by koharu-annex | 2010-11-20 14:56 | 2010-2011 フィギュアスケート
アメリカ杯 11月12日~14日
女子 ショート&フリー

遅れを取り戻すために、黙々と書く。

●ヨシ・ヘルゲソン(17才) スウェーデン
SPは、「サラバンド」。
ヘンデルのハープシコード組曲の第2番。
ピアノで演奏されることもあるのですけど、ヨシさんのは・・・器楽曲でしたかね?
まあ、いいや。見直す時間がナッシング。

大柄で背が高く、ダイナミックなところがある彼女に、この音楽のスケール感は合っていますよね。
スピードがありましたし(安定して出ているわけではないけれど)、動きにキレもありました。
ただ、その反面として、ちょっと動作が荒いのが残念ですね。

FPは、「パラディオ」ほか。
この曲ってよく耳にするけど、なんだろう?と思ってググッてみたら、ヤフーの知恵袋にこんなやりとりが。ありがたや~。
割と新しい楽曲だったのですね。

中国杯のときは、ベトベン「運命」ほかだったんですが、音楽を変えたのですね。
「運命」のときは、振付が音楽と合っていないというか殆ど乖離した印象でした。
一般的に大柄な方のハンデとして、スピードやキレがない場合に、のっそり・まったりとした印象を無駄に残してしまうことが挙げられますが、「運命」のときのヨシさんはまさにそうでした。

今回の音楽は、彼女の長所を引き出すようなタイプで、個性にとても合っていました。
そのせいか、スピードに乗ってよく動けていました。
レイチェルさんのパフォーマンスとスタンディングオベーションの後に、ここまで滑ることが出来たのは立派だと思いました。

●カロリーナ・コストナー(23才) イタリア
SPは、ガリシア・フラメンコ。
NHK杯のときも私は肯定的に書いているのですが(こちら)、振り付けを完全に自分のものにした感じで、キメが素晴らしく、完成度が高くなっていました。

キリっとすべきところを押さえていて、更にフラメンコ感が増し、フラメンコのスカートが翻る幻が何度も見えるよう。
赤い髪かざりも含め、彼女にとても似合う衣装も、これに一役買っていると思います。

FPは、牧神の午後への前奏曲。
スピードや雰囲気は良く出てて、これはスルメ系(噛めば噛むほど味が出る)のプログラムかも・・・と思ったりもしたのですが。
後半のジャンプの失敗で、流れが何度も切れてしまったのが残念でしたね。

●レイチェル・フラット(18才) USA
SPはサマータイムほか、FPは10番街の殺人より。
NHK杯のときよりも、スピード、ムーブメント、マイムや演劇的な表情などが、全てレベルアップしていた印象です。
NHK杯のときも書きましたが(こちらこちら)、彼女には「古き良き時代のアメリカ」というイメージがとても似合っているし、私はそんな彼女の雰囲気やパフォーマンスが好きです。

ただし、レイチェルさんのパフォーマンスに関する、解説の荒川さんによる「たくさんの表情を持っている」という評は、誤解を招くと思います。

荒川さんってよくこの「表情」という言葉で評価をするんですけど、ちゃんと聞いてると、身体の表情について言及しているのではなく、「顔」の表情を褒めているに過ぎないんですよね。

確かに、例えば「仏頂面のお姫様」を想像すると分かるように、身体表現でも顔の表情は無視できないですよ。
でも、やっぱり第一に褒めるべきは、同じ「表情」という言葉を使用するとしても、「身体」のムーブメントによりかもし出される表情であるべきだと思うし、実際、身体表現を評して「表情豊か」などという場合、そういう意味で使われることが多いと思う。

レイチェルさんは、比較的、顔の表情をつけるタイプですよ。
だけど、レイチェルさんのパフォーマンスにおける表現の幅というのは、現時点では、固定された1つのカテゴリ(私の言い方で言うと「古き良き時代のアメリカ」)しかない。
そのカテゴリにおける演目の完成度を高めるべく、彼女がいろんなムーブメントを入れて、それを完璧に踊りきっていることも確かですが、それでも、彼女の身体表現について「いろんな表情」があるとは言い難い、というのが私の感覚です。

●村上佳菜子(16才) 日本
SPはジャンピング・ジャック。
冒頭から顔に緊張が現れていましたが、全体を通して動きの弾け具合も、顔の表情の明るさも、NHK杯のときの方が格段に上だと思いました。
なので、ちょっとハラハラしたのですが、運動量が多い振り付けをちゃん踊れてて良かったです。

FPはマスク・オブ・ゾロ。
NHK杯のときよりも、ゾロのちょっとした重厚感あるかっこ良さが出てて、良かったのではないでしょうか。
ゾロの剣さばきが見えるようでしたよ!
お姫様の部分はまだまだだけどね(笑)。

彼女は他の同年齢のスケーターに比べて、高い運動量とスピードが落ちませんから、体力があるのでしょうね。
それは素晴らしいことです。

コメントを下さる方々から、彼女のジャンプに関して体のクセがあることや、年齢的に体型変化に差し掛かったときのジャンプの変化に心配があること、その他マスコミ報道の問題点についても、教えて頂いております。
確かに、彼女は、ジャンプがダメだと露骨に踊りもダメになっているので(NHK杯のFP)、この先ジャンプに懸念が生じた場合に、調子を崩す可能性はある程度高いと思います。

が、本来持ってる「ダンスが好き」という性質で、演目全体としての出来栄えについてフォローができるようになれれば良いな、と思います(この良い例は高橋選手ですね)。

ま、実は、この点掘り下げて言うと、「ダンスが好き」というのと「表現が好き」というのは、微妙にずれる部分があってですね・・・(高橋選手は、「ダンス好き」の「表現好き」です)。
私の懸念はジャンプよりもむしろそこでして。
佳菜子ちゃんが、ぶっちゃけ、「ダンスは好きだけど、表現って好きじゃない」と言い出さないかと、そこが心配です。
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by koharu-annex | 2010-11-20 12:59 | 2010-2011 フィギュアスケート

中国杯 雑感 その3

中国杯 11月5日~7日
男子 ショート&フリー その1

中国でのアジア競技大会、ひどいですね。
なんですか、あの審判の中国びいきと、中国人の応援のマナーの悪さは。
サッカー、試合前日の日本の公式練習にスパイクとボールの使用禁止って、嫌がらせにもほどがあるよ。

ま、裏で変なことされるより、ここまであからさまにやってもらう方がいんですけどね。
せいぜい恥ずかしいことやってもらって、世界中のできるだけ多くの人々に、中国がとんでもない国だって認識して頂きましょ。
世界中で中国警戒論や嫌中論が巻き起こる方が、地球の平和に資するってものです。

それにしても、アジア競技大会を見てると、フィギュアスケートのアジア杯での日本人スケーターへの応援が奇跡のように思えてきますね。

●ブライアン・ジュベール(26才) フランス
SPは映画「レジェンド・オブ・メキシコ」よりマラゲーニャ。
私、メキシコ好きなんですよね。
本館の記事には、「ビバ☆メヒコ!!」シリーズがあるはず(「旅」カテゴリ)。
(その一方でリゾート地カンクンを攻撃している記事もありますが…)

そんなことはさておき、ジュベールさんですな。
決して踊りが上手いわけではないのですが、随所に面白い振付があって、そこがピシッと決まって1つの世界観を作り上げていました。
(メキシコらしは出てないけど、出さなくていいです。変にフォークロアが出るとダサくてこの人に合わないので)

FPは、ベトベン第九。
日本人であるワタクシにとっては、どうしても「年末」が思い浮かんでしまう楽曲ですが、アレンジされていたので思ったよりか年末臭を感じなくて良かったです。

が、調子が悪く、ちぐはぐなムーブメントで、乗り切れないまま終わってしまって残念でした。
もともとの振付そのものは何らかの世界観を狙っていたように見えたのですけど、それができないまま不完全燃焼で終わった感じです。

●トマシュ・ベルネル(24才) チェコ
SPは「雨に唄えば」。
ジーン・ケリーの踊りを模した振付が随所にありました。
スピード感はないけれど、この楽曲の平和なテンポに良く合っていて、ほのぼのしました。

FPは、マイケル・ジャクソン・メドレー。
実は、ワタクシめ、MJにはかなりうるさいのです(こちらこちら参照)。

フランスのアモディオさんも、MJの楽曲をフリーで使用していますが、ベルネルさんと2人のうちどちらかと問われれば、アモディオさんに軍配が上がるでしょうか。
しかし、アモディオさんのパフォーマンスにも、全く満足できないワタクシなのでした・・・(こちら参照)。
ちなみに、高校の同級生だった例の「友」(昔も今も洋楽オタク)は、アモディオ君のパフォーマンスについて「むっちゃ良かった!」(←何故に大阪弁!?)とメールに書いて寄越しました。

●ブランドン・ムロズ(19才) USA
SPは、ロッシーニ「セビリアの理髪師」。
衣装が変・・・まいいや。
この楽曲については、信ちゃんの楽しいパフォーマンス(これはマスターピースだと思う)の印象が強烈過ぎますね。
ムロズさんのも先入観が全く無ければそれなりなのかもしれませんが、どうしても、なんかつまんなく感じてしまったのでした。

FPは、映画「波止場」?
いかにもアメリカ人の1類型、といったルックスと雰囲気なので、アメリカ映画は良く似合っていらっしゃると思います。
が、楽曲自体は、メロディもリズムも取りづらい、難しいものだと思いました。
音楽性が高いので、それをアピールしたかったのかもしれませんが。

それにしてもUS男子は、層が厚いですね。

●町田樹(20才) 日本
SPは「黒い瞳」、FPは映画「レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い」。

ええっと、よく動いているんです。
たぶん、踊ろうとしているんです。
それは分かる。

でも、動くたびどこか足りない印象が出るので、今の段階では動き過ぎが諸刃?とか思いつつ。
「踊る」ってなんだろう?
って根本的なところに立ち戻って考えてしまいました。

以前、「動いてなんぼ、動けてなんぼ」、という文を書いたいたことがあるんですけど(こちら)、高度な技術が伴わないまでも、身体を「動かすことができる」人の数って、実は限られる。

だから、「一生懸命さ」が前に出てしまうことはさておいても、曲がりなりにもちゃんとここまで「動ける」町田さんは、大したものなのです。
悪い例として引き合いに出してばかりで悪いけれども、ヨナちゃんやチャンさんは、ここまで動けませんからね。

だけど、踊るってことは、この「動ける」ということの、まだ先にある。

もしかすると、今は単に「振付をなぞるだけで精一杯」の段階にあるだけで、振付をこなしていけばその先に、彼の「踊る」姿があるかもしれない。
実際、彼の振付はSPもFPも、忙しい(=動作がたくさんある)振付だったから、彼があっぷあっぷしちゃうのも当然だと思う。

そうはいっても、見る者の心に響く「踊り」は、振付を感じさせないものですから。
振付の先にある、その世界へ、彼には行って欲しいと思いますね。
繰り返しますが、ここまで「動ける」のですから。

あ、あと瑣末なことだけども。
忙しい振付のときに誰しもが陥りがちだけど、腕を肩だけで動かさないように気を付けた方がいいかな、と。

●小塚崇彦(21才) 日本
SPはソウル・メドレー、FPはリストのピアコン1番。

小塚さんの真面目でコツコツとした性格に、謙虚さのある自信が加わってきたようで、絵に描いたような好青年になりつつありますね。
実は、私の姪っ子ちゃんの男の子の好みは、世界の男子フィギュアスケート選手の中で選ぶとしたら、小塚君なのですって。
「あぁ、この子は結婚には失敗しないわ~。」と思って、アンティKoharu、至極安心したのでした(笑)。

アボットさんと同様、小塚さんもそのうち大化けするかもしれないですね。

特にFP、JOのときはダメ出ししてしまった(こちら)上半身の動きが、とても良くなっています。
動いているときの「腕の伸び」が、これまでよりも一伸び大きく伸びてて、腕が長くなったように見えるほど。
優雅さも加わって、私が感じたクラシックのピアノ曲に対する違和感が消えてて、もうびっくり。
ほ~。
育ち盛りってのは、すごいねえ!

ここまで来たらもったいないので、敢えて言うけど、もう少しヒジが使えたら、時々見受けられる「腕をぐるんぐるん回してる」という印象はなくなると思いますね。

あと、これはもっぱらこざっぱりした性格から来てるような気もしますが、あと一呼吸タメることを覚えても良いでしょうね。
(持って生まれた性質が違うので、どんな曲を使用したとしても、高橋さんほどタメる必要はないと思います。)

SPはFPよりも、動きが悪かったような気がします。
特に、これは小塚さんの悪い癖だと思うのですが、明確な振付以外の部分で、視線を下に落としてしまうことが割と見受けられるのですよね。
これは、アピール力の面でちょっと損するので、直した方がいいかな、と。
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by koharu-annex | 2010-11-19 20:51 | 2010-2011 フィギュアスケート

中国杯 雑感 その2

中国杯 11月5日~7日
女子 ショート&フリー その2

●鈴木明子(25才) 日本
SPはジェラシー。
目力のあるドラマチックな表現は相変わらず。
身体の動き一つ一つがまるで音楽そのもののようでもあり、また自在に音楽を操っているかのようでもある、音楽性の高さも相変わらず。
バランスをオフした際にも、きっちり身体の動きをコントロールできるし、なんといってもダンスのうまさは、他とは一線を画していると思います。
昨シーズンはスピードが目に見えて落ちることがありましたが、今回はスピードが落ちなかったことも良かったのではないでしょうか。

FPは屋根の上のバイオリン弾き。
きらきらした花柄の衣装が似合っていました。
明子さんのこのFPの踊り、メリハリと緩急も見事ですが、特筆すべきは明るく幸福感が漂っていることです。
その明るさは、例えば村上選手のそれとは質が異なるもので、闇を知っているからこその大人の明るさ、とでも言いましょうか。
そんな明子さんの踊りが、私は、本当に好きです。

●安藤美姫(22才) 日本
SPの衣装、背中が開いたセクシーさと、個性的な素材とデザインを併せ持った衣装ですね。
FPの衣装もぐっと背中が開いています。
今季の衣装は、大人の女性のあでやかさ、品格、貫禄を兼ね備えた衣装群だと思います。

もともと、彼女はおしゃれがお好きだそうで、衣装も多彩ですが。
これまでの彼女の衣装の歴史において、ワタクシの感覚的には、
① コンセプトは分かるけど、あと1歩か2歩か手前でも良かったんじゃあ・・・
とか、
② ごめん、ミキティ、コンセプトすら分からないわッ・・・!
と思ってしまうことも、少なからずあったのです。

そのため、私は、彼女にとって衣装(そしてメイク)というのは、他の選手のような演目や自己を表現するためのツールだったりパフォーマンスの一助となるものというよりも、いわば戦いに向かうために、弱さや恐れを覆い隠して自分を守り、かつ勇気を奮い立たせたり鼓舞したりするための「鎧」なんだと結論づけていたのですよね。

ところが、今季の衣装は、「鎧」度がぐんと下がる半面、純粋なおしゃれ度が上がっている印象です。

JOやCOIのときにも書きましたが(こちらこちら)、彼女の表現は今季格段の進歩を遂げており、精神的な安定感・充足感が強く感じられますが、この衣装からも、彼女から無駄な肩の力が抜けたことが伺えると思いました。

そういう意味でも、今季の安藤さんの衣装は、これまでの安藤さんの衣装とは異なる次元にあるものと感じます。
今の安藤さんにとても似合っていますし、私もとっても好きですね。

さて、SPの曲は、ブロークン・ソローほか。
敢えてそうしたのでしょうが、難しい音楽を使ってきたな、という印象です。
リズム取りが難しいのでしょうが、早く取りすぎていて、「落ち着け~」と思っちゃいました。

踊りの印象が、全般を通して強く・硬いという一本調子になりすぎましたね。
「うまい強さ」の印象を残すためには、全編強いだけじゃダメで、ふっと力を抜く部分(別に手を抜くわけじゃない)があってこそ、強い部分が引き立つわけで。
この点は滑り込んで緊張が解けてくると、また違うのかなとも思いますが。

FPはグリーグのピアノ協奏曲イ短調。
慎重に丁寧に滑ったことにより、スピードと情感を減殺してしまった部分があったかもしれないですね。
また、緩急をつけようとしているのは分かるんだけど、いかんせん弱い。
これらについては、JOのときの方が良かった印象です。

やはり、GPシリーズとなると緊張度が違うのでしょうかね。
もう少し思い切って勢いつけるとことはつけてもよいのでは?と思いました。
特に、ラストのポーズが音楽に遅れてしまったのが、残念でした。
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by koharu-annex | 2010-11-19 01:06 | 2010-2011 フィギュアスケート