もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

<   2010年 06月 ( 4 )   > この月の画像一覧

サッカーの話じゃありません(笑)。

それにしてもW杯、決勝T進出、めでたいデスね。
皆さまそれぞれ、お気に入りの選手がいらっしゃると思いますが、私は松井さんです。W杯前の親善試合の頃は全く使ってもらえなくて、ワタクシ、悲しく歯がゆい想いをしていたのでした。決勝Tでも、ご活躍を祈念しております。

さて、信ちゃんの記事の続きを書く前に、一般論をできるだけ片付けておきましょう、ということで。
今回は、腕による表現について。

腕の表現って身体表現には必要不可欠なので、多くのジャンルの舞踊に「腕の型」があります。
「腕の型」を適正に行うためには、腕だけでなく、腕と連動する胸・首・肩・背中が適正なポジション&動きをしなくちゃいけない。そのため、ちゃんとした腕の型をマスターするためには、その連動したものも含めて覚えていく必要があるため、どうしても一定期間の修練がいるわけですわね。

ところが、そういう舞踊の専門的な訓練をそれほどやらなくても、あるいは全くやってなくても、先天的に「躍り心」がある人(踊りに対するセンスが全方位的に高い、くらいの意味で使っています)って、「腕の型」に近い、とても良い腕の動きができることが多い。

何が一番違うのかしら・・・とずっと考えていたのですが、現在のところ、ワタクシの答えは、「ひじ」。

ひじを横に張ることができて、かつ腕を動かすときにも「ひじ」を横に張った型のまま、動かすことができると、腕の動きはとても「舞踊的」に見える。
普通の人は、物を持って腕を曲げる時くらいしか「ひじ」を使わないため、横に張った「型」って殆ど日常で見かけない。だから、「ひじ」を横に張って動かすという動作は、地味だけど、とても「舞踊的」に感じるんだと思う。

そもそも、「ひじ」を意識した腕の動きって、なぜだか、とても綺麗な形になりやすいんです。
また、「ひじ」で腕を動かすと、肩が無駄に上がらない。肩が無駄に上下しなければ、上半身の動きがすっきりと美しくなる。加えて、手首の表情も、実はひじの形と位置がきちんとしていると、とても美しく見える。

要するに、「ひじ」は腕のカナメなのですわ。

ピンとこなかったら、ちょいと実験してみて下さいまし。
まず、鏡の前で、前でも横でもいいですから、腕を肩の高さまで「普通に」上げて下さい。
このとき、殆どの人は、主に肩、補助的に手首、にチカラを入れて腕を上げているはずです。
次に、肩のチカラを完全に抜いて、「ひじ」にチカラを入れて「ひじ」から動かすように、腕を上げてみて下さい。
最初のときより、腕に表情が出ませんか?

フィギュアスケート選手の中では、高橋選手と鈴木選手がこの「ひじ」使いが上手だと思う。
ただ、将来的には、村上佳菜子ちゃんが、この2人よりももっと上手になるだろうと思います。

佳菜子ちゃんは、肩甲骨の稼働域も広くてよく動くんですが、彼女の「ひじ」は本っ当~~~に素晴らしいです。あそこまで「ひじ」を動かせる方は、滅多にいないと思う。
適正位置よりもいつも若干上がり気味なんですが(笑)、下がっているよりも100倍良いです。
下がっている人は将来も上げられない可能性があるけど、上がりすぎている分には下げる方向への修正はいくらでもできますから。
それに、「ひじ」が上がっていると、若さやはつらつさが出ます。実際、バレエでも、若い娘の役のときは「ひじ」が上がり気味の振付で、奥様以上の年齢になると「ひじ」を上げない落ち着いた雰囲気の振付になります。

逆に、「ひじ」の動きの悪さが、惜しさを倍増させている選手は、ヨナちゃんです。
彼女の欠点としてよく挙げられる「手首から先がダラ~ンとしている」は、私は「ひじ」に根本的な原因の1つがあると思っています。そういうとき、彼女の「ひじ」は適正位置にありませんから。もう少し「ひじ」の位置と動きを意識すると、連動して手首の形も良くなると思う次第。

ヨナちゃんが「ひじ」を訓練した方が良い理由はもう1つあって、それは、以前指摘したように肩と肩甲骨の稼働域が狭いという、致命的欠点があるからです。

「ひじ」をちゃんと使えない人は、腕を主に肩で動かします。
ヨナちゃんも肩で動かしているんですが、肩甲骨の稼働域が狭いために、腕の動きのバリエーションという意味ではものすごく手前に限界があるんです。
「ひじ」の適正な動きをきちんとモノにすれば、肩甲骨の稼働域が今のままでも、多少は腕に表情がつくはずです。

ただ、ヨナちゃんがえらいのは、「肩があまり上がってない」ということです。

腕を主に肩で動かすと肩に力が入ることから、普通、肩が上がり気味になってしまうことが多い。
肩にチカラが入って上がり気味になるのは、ずばり、舞踊的におブサイクです。
一般的に、腕を肩だけで動かしている選手は、腕に「ひじ」による表情がないことから「腕をぶんぶん振り回しているだけ。」と見えてしまう上に、肩が上がってさらにおブサイク、という悪循環を生んでいます。

ヨナちゃんは、肩を意識して下げているので、この悪循環は避けられていると思う。
ぶんぶん~のところは、彼女の振付のスローさからあまり目立たない。これはラッキーですね(笑)。
逆に言うと、アップテンポでこの悪循環は出やすい。安藤さんと信ちゃんは、時々だけどその悪循環が見られます。
[PR]
by koharu-annex | 2010-06-26 20:56 | 考察(フィギュアスケート含む)

近況報告!

皆様、おはようございます!

更新&コメント返信が滞っていて、スミマセン。

仕事がにっちもさっちも~な状態のところに、W杯に突入。

ワタクシ、いつもは自分の持てるパワーの3割~4割発揮くらいで生きているのですが(もともと体力ないんでそういう省エネな生き方が身についている…)、ここのところ8割~9割くらいのパワー発揮で生きているため、限界に近づきつつあってですね。
帰宅して、サッカーを見ることはできても、ブログ記事は仕上げ切れないという状況になってますです。

現在、「ヒジの動きに注目してみる」という題名で、腕の表現について書いています。
今週中のアップを目指します。

とりあえずの近況報告でした。
[PR]
by koharu-annex | 2010-06-21 10:07
2010年5月22日(土)午後3時 @東京文化会館
マラーホフの贈り物 プログラムB

Aプロの記事でも書きましたが、当初出演予定だったニーナ・カプツォーワとイワン・ワシリーエフが、所属カンパニーであるボリショイの急なリハーサルのために来日できなくなったため、出演者と演目が一部変更しています。

詳細にいうと、ボリショイでは6月4日にプティ振付の「若者と死」を初演する予定があり、この「マラーホフの贈り物」の公演期間中に、プティがモスクワに出向き、急遽リハーサルが行われることになったそうで、この作品に出演を予定しているワシリーエフがモスクワに留まらなければならず、カプツォーワとともに来日が不可能となったとのこと。
ちなみに、「若者と死」は、映画「ホワイト・ナイツ」の冒頭でバリシニコフが踊ってるやつです。


【第1部】
●「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第1幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クロウディオ・モンテヴェルディより)
出演:ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ

Aプロでも書いたけど、「どの絵か分からん」です。
この振付と衣装だと露骨に、ポリーナの筋肉が増えてるのがよく分かります(笑)。

●「ディアナとアクティオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
出演:ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

ヤーナさん、メリハリ、アクセント、タメ、全て修行の必要アリですね。
今のままじゃ、「よく出来たコンクールの出場者」を見ているようです。
頑張ってくらはい。
マタズラカルは技術は高いですが、1人じゃどうしようもないですな。
音楽と2人の踊りの間に距離ができて、単独で響きかけてましたよ。

●「カジミールの色」
振付:エリサ・カリッロ・カブレラ
音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
出演:エリサ・カリッロ・カブレラ、ミハイル・カニスキン

ごめん。眠かった。
演目のせいか体調のせいか、それは不明。

●「モノ・リサ」
振付:イツィク・ガリリ
音楽:トーマス・ヘフス
出演:マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー

タイプライターの音を模した、リズムだけでできた楽曲。

アイシュヴァルトは、体も小柄、顔も小さく、手足も長くはない。
ラドメイカーとは、身体的な大きさの違いから来るムーブメントの違いが、この演目では目立ってしまって、少々バランスが悪い。
しかも、アイシュヴァルトとラドメイカーとでは、この楽曲のリズムに対する感覚にちょっと違いがあるようで、2人の動きが微妙にずれることがある。
演劇的な演目では、バッチリなペアなんだけどな。不思議なもんです。

素敵な演目なので、この演目についてパーフェクトなデュオで観てみたい。

●「瀕死の白鳥」(2バージョン)
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:ベアトリス・クノップ

振付:マウロ・デ・キャンディア
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:ウラジーミル・マラーホフ

実は、プログラムには、ベアトリスの「瀕死の白鳥」しか書かれていない。
彼女のフォーキンの踊りは、「こないだのマラーホフのが最高だったからな~。見劣りするよな~」などと考えているうちに終了。
「まー、拍手しとくかー。合格点だったしな~」と思って拍手しようとしたら、サン=サーンスの「白鳥」が再び始まって・・・

カーテンが再び開いたら、スポットライトの中にマラーホフが!
そして、Aプロのキャンディア振付の「瀕死の白鳥」を踊っている!!!

むきゃーーーーー!!!嬉しい~~~~~~!!!!

ちゃんと目に焼き付けなくちゃ!
どうしよ、どうしよ、オペラグラスで細部を見るべき?
それとも普通に全体を見るべき?
あーもー、どうすればいいの!?

と、あたふたしているうちに、終わってしまいました・・・。あぁ・・・。

しかし。
拍手とブラボーは、特に多いとは感じられず。。。
マラーホフのサービス精神で、プログラムになかった演目を踊ってくれたのに。
なんだか申し訳ないような気持ちになったのでした。

わたしゃ、すぐ近くで鑑賞していた東京バレエ団の高岸さんに、思わず「マラーホフに白鳥をありがとうございました、と伝えて下さい。」と言いたい気持ちに駆られたのですが、結局言えずじまい。

【第2部】
「ラ・バヤデール」より“影の王国”
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
出演:ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ
   第1ヴァリエーション:ヤーナ・サレンコ
   第2ヴァリエーション:乾友子
   第3ヴァリエーション:エリッサ・カリッロ・カブレラ
  ほか東京バレエ団

群舞はさすがの仕上がり。さすがアンサンブルの東京バレエ団ですな。
ポリーナの古典を全幕でちゃんと見たいと思いました。

【第3部】
●「ロミオとシュリエット」より第1幕“バルコニーのパ・ド・ドゥ”
振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
出演:マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー

クランコ版は、マクミラン版・ノイマイヤー版・ヌレエフ版よりもずっと古いのですが、最も初々しいかも、と思いました。
ロミオに抱かれて、階段に腰かけさせてもらうジュリエットが可愛い。
アイシュヴァルトとラドメイカーは、こういうドラマチックな演目ではぴったりのペアです。

●「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第2幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クロウディオ・モンテヴェルディより)
出演:ベアトリス・クノップ、レオナルド・ヤコヴィーナ

●「レ・ブルジョワ」
振付:ベン・ファン・コーウェンベルグ
音楽:ジャック・ブレル
出演:ディヌ・マタズラカル

私は、技術が高いダンサーが踊る「酔っ払い」振付が大好き(例えば、「マノン」の中のレスコーの踊りとか)。
マタズラカルは、シャンソンの声に負けていないばかりか、フランス語の響きに良くあった素敵な踊りでした。

●「ファンファーレ LX」
振付:ダグラス・リー
音楽:マイケル・ナイマン
出演:エリサ・カリッロ・カブレラ、ミハイル・カニスキン

現代的でカッコイイ振付です。
男性も赤いレオタードを着ていました。別にどうでもいいですが。

●「ラクリモーサ」
振付:エドワード・スターリー
音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
出演:ウラジーミル・マラーホフ

音楽が・・・安藤選手の「レクイエム」です。
マラーホフが踊ってくれても、今年、この曲ではどうしても安藤選手のお顔が浮かぶのでした・・・。
[PR]
by koharu-annex | 2010-06-09 22:33 | バレエ(座長公演)
2010年5月19日(水)午後6時30分 @東京文化会館
マラーホフの贈り物 プログラムA

当初出演予定だったニーナ・カプツォーワとイワン・ワシリーエフが、所属カンパニーであるボリショイの急なリハーサルのために来日できなくなったため(プティ…相変わらずいろんなところでやってくれるぜ)、出演者と演目が一部変更しています。
また、マラーホフの強い希望により、ソロ演目が「瀕死の白鳥」に変更になっています。

【第1部】
●「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」
振付:クリスティアン・シュブック
音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
出演:エリサ・カリッロ・カブレラ、ミハイル・カニスキン

眼鏡にハンドバッグをかけた女性ダンサーと、男性ダンサーがPDDを踊るコミカルな作品。
最後に女性がリフトされながら、三方に広がるおもちゃの笛をピーっと吹いて終わるところが楽しい。
ガラ公演の導入にぴったりな演目ですな。

●「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
出演:ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ

バランシンの振付って、本当に女性ダンサーが綺麗に見える・・・ということは差し置いても、ポリーナが本当に美しかった。
とても若い時期にマラーホフに見初められ(笑)、彼のミューズであり続けるポリーナ。
そのために凄まじい努力を続けていることは、ますます筋肉質になっていく身体を見れば一目瞭然。
しかも、すっかり女王の風格が出てきました。

マラーホフは誰に対してもサポートがとても上手ですが、ポリーナとのときは、特に、彼女をとても大切に扱っているような印象を受けます。

●「ボリショイに捧ぐ」
振付:ジョン・クランコ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
出演:マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー

短い作品。
ボリショイに敬意を込めた、ボリショイらしいアクロバティックなリフトを多用・・・とパンフレットには書いてありましたが、私は、クランコらしいリフトだと思いました(途中でどんどん姿勢が変わっていく。今回は、途中1回ひやりとした場面がありました)。

ラドメイカーは、肩と腕がとても大きくて異様に長い。Mサイズの体に、Lサイズの腕がつけられている感じ。
実は一昨年のシュツットガルトバレエ団の公演の時から、思っていたのでした。
気付いちゃうと、「なんか、こういう手の長いお猿さんっていたよな~」とちょっと頭がぐるぐるしちゃうんですけど、腕が長いと表現手段の幅がぐっと広がるので、ダンサーにとって非常に有利ですよね。
私は、彼の腕の表現をフルに使ったドラマチックな演技が、とても好きです。

●「アレクサンダー大王」
振付:ロナルド・ザコヴィッチ
音楽:ハンス・ジマー
出演:エリッサ・カリッロ・カブレラ、レオナルド・ヤコヴィーナ

濃厚なラブダンス。
下品にならない限界点をちゃんと意識して踊っているとお見受けいたしました。

今はPDDだけだけど、そのうち全幕を発表するそうです。楽しみ。

●「コッペリア」よりパ・ド・ドゥ
振付:アルチュール・サン=レオン
音楽:レオ・ドリーブ
出演:ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

ヤーナさんは・・・バランスを取るところは悪くないんですけど、動きに全体的に元気がないですね。
まだキャリアが浅いですから、このメンバーの中だと慎重に踊りすぎるのかしら。


【第2部】
「仮面舞踏会」より“四季”
振付:ウラジーミル・マラーホフ
音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
出演;
 冬: 上野水香、長瀬直義、宮本祐宜、梅澤紘貴、柄本弾
 春: 吉岡美佳、柄本武尊
 夏: ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ
 秋: 田中結子、松下裕次
ほか東京バレエ団

マラーホフの全幕バレエからの抜粋。全体的に衣装がよかったデス。

水香さんは、やっぱり音楽性が独特ですから、集団で踊るよりもソロがいいですね。
一回足が床にひっかかって、ひやっとしました。

冬の男性4人の踊りは、振付がいかにもマラーホフな振付でした(マラーホフが好きな、彼自身がとても綺麗に見える姿勢が随所に盛り込まれている)。
もう少し揃っていたら、良かったですね。まあ、複数の男性ダンサーの踊りを揃えるって、恐ろしく難しいですが。

吉岡さんの頭につけている花輪が可愛かった。
相手の柄本さんが半獣神の役なのですが、モコモコの毛皮を腰から足にかけてつけていて、笑ってしまいました(このブログの過去記事のコメント欄で、ニジンスキーの「牧神の午後」が半獣神なのに、なんで羊じゃなくて牛なのかという点について、ちょいと盛り上がったことがあったので)。

田中さんは、あまり脚を高く上げない上品な踊りでした。
古臭いという人がいるとは思うけど、私はこれはこれで好き。
逆に、ギエム以降、皆、脚上げ過ぎるようになったという批判も耳にしますが、場合によりけり・ダンサーによりけり、で良いのではなないでしょうか。


【第3部】
●「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第2幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クロウディオ・モンテヴェルディより)
出演:ウラジーミル・マラーホフ、レオナルド・ヤコヴィーナ

男性デュオによる踊り。
「カラヴァッジオ」は、既にNHKでテレビ放映されているので、一応、録画を見直していきました。

ただ、この作品、難しいんですよね。
カファヴァッジオの人生を、演劇チックに具体的に振付けているのではなく、彼の描いた絵でつないでいくという趣向なんです。かなり抽象的。

テレビ放映のときはベルリンでのフルだったので、どの絵について踊っているのか、ちゃんとその「絵」がバックに掲げてあったんですよ。
が、今回は、それがない。
予習していったとはいえ、そこまで覚えていなくて、「えーと、この踊りは見た記憶はありますよ~。・・・何の絵だっけ~?」という有様。

踊り自体は、非常に高度なパートナーシップを必要とする振付で、見ごたえはありました。


●「ゼンツァーノの花祭り」
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音楽:エドヴァルド・ヘルステッド
出演:ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

ヤーナさん、もっと元気出しましょう、ということで。

●「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
出演:マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー

多くの方にとって、今回の白眉だったのではないでしょうか。
最も大きな拍手とブラボーをもらっていました。
私もincredibleだと思いました。(が、私にとっての白眉はラストの白鳥。)

マルグリット役のアイシュヴァルトが、マントをはおって中央に立つ登場シーンから、既に情感あふれてました。
彼女は小柄だけど、技術も高くて演技派でもある、とても良いダンサーですね。
ラドメイカーの大きく長い腕の動きが、振付にとても合っていて、演技がダイナミックでした。

このPDDは、マルグリットとアルマンが、それまでの確執を乗り越えて激情に身をゆだねて愛を確認するシーンですが(もどかしげに、マルグリットのドレスを脱がせる振付まである)、アイシュヴァルトとラドメイカー2人の演技は胸を熱くするものがありました。

●「トランスパレンテ」
振付:ロナルド・ザコヴィッチ
音楽:アルシャク・ガルミヤン、マリーザ
出演:ベアトリス・クノップ、ミハイル・カニスキン(レオナルド・ヤコヴィーナから変更)

女性ボーカル入りの曲。
振付のザコヴィッチも、音楽のガルミヤンも、ベルリン国立バレエ団のダンサーなのだとか。
ポルトガルの民族音楽、ファドの歌姫マリーザの楽曲にフューチャーしたものだとか。

とても良かった。
が、すごく短い作品だったので、もう少し見たかったな。

●「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:ウラジーミル・マラーホフ

私の白眉はこれ。(パブロワが踊って有名なフォーキンのものではありません。)
キャンディアの振付は、とーっても難しい。
パンフレットによると、キャンディアは、イタリアのアルテ&バレットの芸術監督を務めながら、様々なカンパニーに作品を提供している新進気鋭の振付家だそうです。

ご存知の通り、サンサーンスの「動物の謝肉祭」の「白鳥」の音楽なんですが。
この曲は、チェロ1台、ピアノ2台の、合計3台の楽器で演奏されます。
  チェロは、水の上の白鳥の動きを表し(これが主旋律)、
  ピアノ1(細かい音形が連続)は、水の下の白鳥の水かきの動きを表し、
  ピアノ2(ゆったりとした音形の連続)は、水面の動きを表す、
とされています。

有名なフォーキンの振付は、このうちチェロとピアノ1、つまり白鳥の動きにフォーカスした振付です。
しかも、脚のパドブレが水下の水かきの動きを表し、上半身が水上の白鳥の動きを表す、というかなり具象的な振付。
もちろん、これに死に行く白鳥の最後のきらめきみたいな情感をのっけて踊るわけですが。

今回マラーホフが踊ったキャンディアの振付は、ピアノ2の水面の動きをも取り込んで、全体をちょっと抽象化しつつ、時折、見ていて「皆さん、はい、注目。この状況のとき、白鳥はこんな動きしますよね~」と説明したくなるような、具体的な味付け(翼をはためかせるところや、ククーッ、カクンッ…みたいな白鳥の首の動きを、腕などで表す)が施されている。
これが絶妙なバランス。

この振付を真正面から踊って賞賛を受けられるダンサーとして、マラーホフは筆頭に上がると思う。
彼のエンターティナー性、お茶目なところもあるダンス大好きキャラクター、そして、それを単なる「ギャグ」にしない超絶技巧を支える技術の圧倒的高さ。
これらがあるために、この演目における彼の演技は光り輝いてる。
マラーホフ自身が、この演目をやることを強く意向した、というのは頷けます。

本当に、見ていて楽しかった。
また、マラーホフの演じた「瀕死の白鳥が見せる、最後の生の煌き」が、とっても美しかった。

私は、嬉しさの笑いをこらえるのに必死で、声を殺してひーひー言ってましたよ。
[PR]
by koharu-annex | 2010-06-06 10:58 | バレエ(座長公演)