もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

カテゴリ:2012-2013 フィギュアスケート( 27 )

<五輪シーズンに重要と思われるコメントを頂いたので、末尾に追記しました。>

半年遅れてしまいましたが、ワールドの最後の記事をアップします。

●1位/キム・ヨナ(22歳)/韓国
SP: 映画「吸血鬼の接吻」より
FS: ミュージカル「レ・ミゼラブル」より

久しぶりに見たヨナちゃん。髪を茶髪にされているけれど、元の黒髪の方が、彼女の肌の美しさが際立つような気がするぞ。染めるにしても、もう少し深みのある色の方が良いかな(この茶色、肌を変に黄色く見せるような…)。

さて今回のヨナちゃんの演技を見て、ワタクシが最も驚愕したのは、


踊る男達の時代に 踊らない女が登場


ってこと。(踊る=音楽と身体で何かを表現するって程度に考えて下さい。)
いや~。これは衝撃的でした。もちろん、踊り見のワタクシ的には良くない意味で。

ここ最近の傾向として、(高橋さんの影響か否かはさておき)男性フィギュアスケーターがこぞって、それもトップ選手達が率先して、「踊る男達」になってきている。あのチャンさんですら、踊る男を目指して、自分に合う身体表現の方向性を模索している。

そうなると、もともと踊る人達が比較的多く存在していた女性陣だって刺激を受けるわけで。結果、少なくとも私が見てきた限りにおいてですが、今やフィギュアスケート界は、「踊り」への志向性が最も高まっていると感じています。(「さておき」と書いたけれど、正直、高橋さんの影響はかなり大きいと思う。世界を変えるのは、小さな力を結集した大人数のときもあるけど、1人の天才ってこともよくあるから。特に芸術の分野では。)

そんな流れの中で、この「踊らない女」というのは、「2000年に1980年代末期の巨大肩パット」を見た時のようなout-of-date感が漂うなあ。(肩パットまた流行り出してるから、敢えて2000年に限定してみた)

あのね、実はね、彼女の体は、私が想像していた以上にきちんとメンテナンスされてたんですよ。しかもね、試合に出ない代わりにアイスショーに出ていたからかもしれませんが、メンテナンスのベクトルが「踊る」方向に向いていたと思う。バンクーバーの時よりも、身体のストレッチ具合が踊る人により近くなってました。肩甲骨も昔よりも浮き出ているでしょう?ちゃんと、腕や肩、そして胸のストレッチをしていたはずです。
(ストレッチ具合って分かりにくいかもしれませんね。ええっとね、身体を踊る方向に訓練していくと、身体が最大限伸び切れるように、各部位がストレッチされていくんですわ。バレエダンサーの身体が筋張って伸びたように見えるのは、筋肉がついているだけでなくきちんとストレッチされているから。そうそう、別種目だけど、水泳選手の身体もストレッチ具合が良く分かりますね、伸びる動きだから。)

あ、ただね、柔軟性は・・・スケート技術のレベル取りには充分なのでしょうが、女性の身体表現者という観点で見ると、まあギリギリかな。後で触れるけど、彼女はむしろ男性的なムーブメントを主体にしているので、柔軟性は捨てているのかもしれません。まあ、表現者として見た場合、その選択はどうなの?と突っ込みたくなりますが。

ところが、踊れる身体をもっていながら、試合では踊ることを敢えてシャットアウトする。少なくとも、もう少し踊れるはずなのに、敢えて踊ってない。

踊らない理由は、そりゃ点数のためなんでしょうよ。
点数を稼ぐ主要な技術(ジャンプ、スピンetc.)のために、点数にならない踊りは全て犠牲にして・・・というか意図的に排除している。これはSPとFSを見比べると明らか(この点も後述)。

これってバンクーバー五輪シーズンの演技もそうだったから、そういう意味では彼女の戦略はぶれずに変わってない。点数にならないものは徹底的に排除して、その結果得られる余力でもって点数になる部分を死守するという戦略は、潔いほど男っぽい。そう、ヨナちゃんは、ムーブメントだけでなく、戦略そのものも本来の意味で男っぽいのよ。

これは今の時代の「踊る」トレンド(ジャッジがついてきていないので「気分的なトレンド」と言ってもいいかもしれない)には逆行しているように見えても、点数を上げる(あるいは下げない)という意味では最上の策なのかもしれない。その意味で、彼女は最も「勝ち」に拘るスケーターであり、そういう意味で「強い」と評価しても良いのだとは思う。

でも、私は、特に彼女のFSを見て、序盤から失望し、最後にはイラつきました。
イラつきの原因を自己分析すると、「あなた、トップの踊り手じゃないけれど、SP見てるからもう少し踊れること、私わかるわよ?踊れるところまでちゃんと踊りなさいよ!」と思っているってことが分かりました(笑)。いや、勝手な言い分だってことは分かっているんですが。

まず、SPから見て行きましょう。

SPの衣装、前から見るとドラキュラの被害にあって首から血が滴る様子を想像させる赤が、後ろでは深いVになっているという、ユニークなもの。ちょっとグロいと感じる人もいるかもしれませんね。私はこの手の冒険は好きですが。

このSPの振付、単純といえば単純ですが、私は嫌いじゃないですね。彼女の身体やムーブメントの特徴を知り尽くしているウィルソンさんが、その魅力を最大限に引き出していると思います。

彼女の長い手足は、華奢ではありません。女性らしい肌の美しさと白さに騙されがちですが(笑)、彼女の手足はね、少々男性っぽいというか、しっかりとした骨の太さのある、ガッチリ系です。長さがある上に、形も真っすぐなので、全体をぐいんと動かした場合、非っ常~に派手で目立ちます(今のようなストレッチされた「伸びた腕」になると、ますます派手)。彼女の演技のファーストインプレッションが良いのは、この派手さに負うところも大きいと思います。(そして何回も見てると退屈になってくるのも、この手の派手さには人間なぜかすぐに慣れちゃうから。振付やムーブメント自体は単純なので、プラスアルファで何かがないと、すぐに飽きる。)

その長い手足を使った、これまた男性的ともいえる若干ぶっきらぼうだけど、妙に思い切りの良い動きが、ヨナちゃんのムーブメントの最大の特徴で、振付にはこれを生かした大きな動きが随所に盛り込まれています。もちろん、時折アクセントとして、ケレン味のある動きも忘れない。

ヨナちゃんの振付のこなし具合も、素敵ですよ。
ストレッチされた長い派手な腕による、これまた派手で大きな動きを思い切りよくこなすところは、(単純ですぐに飽きがくることはあっても、少なくとも当初は)遠くからでも良く見えるだけでなく、視線を釘付けさせるに十分です。加えてヨナちゃんは、この本質的にはぶっきらぼうで思い切りの良い(だけ)の動きに、手首の美しさを加えました。これはアイスショーの成果かもしれませんね。バンクーバーの時は、SP(007)でも時々しかできていなかったけれど、今回のSPでは全体を通して手首の形づけや動きがとても綺麗でした。アクセントのケレン味のある動きも、この手首の動きの美しさにより、更に魅力的に映ります。

また、見事だったのは、大きな上半身の動きの「勢い」を殺さずに、下半身の動きに連動させて、スピードにつなげているところ。これ、例えば若いジジュンリちゃんなんかを見ると分かるんだけど、まだ筋力や訓練が行き届いていない選手が、上半身の動きを下半身に連動させることは、まず無理です。別々に動いているだけでなく、一方を動かしたりスピードを上げるために、他方の動きやスピードを殺さざるを得ないの。

だけど、ヨナちゃんは、双方連動させるだけでなく、動き(しかも上半身の動き)の勢いをスピードに変えることすらできる。これは、スケートにおける「踊り」の一つの醍醐味でしょう(昨シーズンのケビン・レイノルズさんの宮本さん振付の演技でもそう感じた)。個人的には、全体的な踊り度は低くても、この醍醐味が充分感じられるものである以上、SPについてはもう少し点数が出ても良いのにと思ったほどでした。(だって、「醍醐味」ができる人ほどSSが高いと思われますし、いわゆる「つなぎ」の評価も高くなるはずでは?)

ところが!
FSでは、この手首の美しい動きや、連動・スピードアップによる醍醐味が、残り香程度にしか感じられなかった。これが失望&イラつきの最大の理由です。にも拘わらずあの点数。端的に言うと、非常にムカつきました。

中味を見て行きましょう。
演目のレミゼについては、こちらをご覧ください。

衣装は、随所にキラキラが施されている(しかも良く見ると複数のカラーストーンが使われている)、センスあふれるもの。レミゼの時代に合わせたデザイン(特に袖)ですが、この衣装だけではキャラは分からん(笑)。演技を見ても・・・誰、これ?分からんな~と思っていたら、以前の記事でコメント下さった方が教えて下さいました。韓国の報道によると、コゼットだそうです。

この点、もともとヨナちゃんのキャラ的にコゼットって?ってことは脇に置き、そもそもこの振付には、コゼットをキャラ立ちさせようとする意図は全くないと思います。というか、安定感という名前の「点数の出る技術死守」を最優先すると、出来なかったんだと思う。つまり、FSではSPよりも「点数の出る技術」が沢山あるから、それを本人比で完璧にこなすことを前提とすると、体力的な限界点がきちゃってあとは何もできない。ましてや、踊るなんてもってのほか。実際、ちょっとした味付け程度の動きがあったかな、程度。

何もしないでも過去にずっと点数が出てるから、キャラ立ちさせて何かを表現する必要もなければ、手首なんて些末なところに気を使う必要もなければ、上で述べた「醍醐味」を持ち込む必要もない(おそらくこの「醍醐味」は体力的にギリギリの状態でやるとバランスが崩れる)。そうである以上、そのために必要な体力増強などはやらんでいいと。そんでもって、ぐるっとまわって、今でも「体力的に破綻しちゃうから何もできない」と。むぅ~。

もちろんね、SPとFSの動きが違う選手は沢山いるんですよ。でもね、ヨナちゃんのは、トップ選手の中では、桁違いに「違いすぎる」。見直して下さいよ、ムーブメントが全く違うから。若い選手でもここまで違う人はいないと思う。疲れてへろへろになる人はいても、最初から狙ってここまで押さえこんじゃう人はいない。普通、SPよりもFSの方が見応えあるのに、その見応えが何もない。技術要素の観点からは見応えあっても、私のような踊り見には、文字通り全くもって「見応えがない」。

じゃあ、踊りその他の不要な(=点数にならない)部分を押さえこんじゃうのがいけないのか、と問われれば。
競技としてはいんでしょうよ。へろへろにならないように、演技が破綻せず点数を稼げるように押さえているわけだから。

でもさ。踊り見の私としては、そんな演技、何の価値もないってことになるわけよ。

結局、良く分かったことは、彼女は「点数の鬼」(言い方を変えれば、点数の出る技術の鬼)ってこと。決して表現力で勝負している人でもなければ、断じて「ダンサー」ではない。敢えて踊らないことを選択している人を、ダンサーなんて、絶対に呼んで欲しくない。前も書いたけど、全てのダンサーへの侮辱だから、それ。


<追記>
以下のコメントを鍵コメで頂きました。
五輪シーズンに入り、これから固定読者以外の方も沢山いらっしゃることと思い、「引用OK」とのお言葉に甘えて、ここでご紹介&ご返信させて頂きます。

koharuさんへ、記事に対する反論を投稿します。ダメでしたら読まずに削除してください。炎上を避けるために非公開にしましたが引用okです。また僕はケンカしにきた訳じゃない点と、基本的にあなたの記事を楽しみにしてる人間です。

以前から、ダンスを舐めるな。ダンサーへの侮辱という言葉が気になっています。
そもそもユナ・キムはスケーターでアスリートです。ダンサーを自称してないし、ダンサーとして評価してる人もいなければ、ダンスをしに来てるわけでもない。
「ダンサーへの侮辱」と言われても、それは一体誰への怒りなのか疑問です。
ダンサーじゃない人にダンサーとしての意識を問うのはおかしくないですか?
この言葉に対して、勝つために試合に来てるアスリートを舐めんな!と反論します。
koharu様ももしダンス界の頂点に立ってる人に対して、ダンス知識が無い方からスポーツ的な観点でスポーツ舐めるなと言われれば腹が立つはずです。
またkoharu様はスケートの表現を陸の踊りと混同している点が気になります。踊るだけならただの陸の踊りの劣化。スケートは滑ってナンボ何です。


おそらく、私のブログを昔からご覧になっている方ではないと思います。五輪シーズンに入りましたし、そろそろ新しい読者の方々を想定した書き方をしなければいけないな、と反省しました。

まず、私の基本的なスタンスを御説明したいと思います。このところ読者層が固定されていると思われたため、この点についてご説明することがなくなっていました。

私のブログは、まさに「陸の」舞踊系(中心はバレエ)の表現に特化した観点から述べた、極めて亜流のものです。つまりは、混同しているのではなく、敢えて、その観点から書き記したものです。詳しくは、以前のこちらの記事をご覧ください。また、誠に申し訳ありませんが、私は、どんなご意見がこようとも、上のスタンスを変更するつもりはございませんので、悪しからずご了承下さい。

次に、ヨナちゃんに対する云々のくだりですが、私は彼女に対して申し上げているのではなく、彼女を「表現力がある」「(スケーターというよりも)ダンサーだ」と評価する声に対して、異を唱えています。バンクーバー後のこちらの記事をお読み頂ければ、話の流れをご理解して頂けるかと思います。ただ、誰に対して言っているか、という点については、流れをご存知ない方には今回の記事だけでは理解できないですね。この点については、書き方が悪かったと反省しております。

以上です。
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by Koharu-annex | 2013-10-04 22:37 | 2012-2013 フィギュアスケート
勧められて購入したサルエルパンツ。言葉で「こんなやつ」と旦那に説明したら、「・・・アラブみたいな?」と言われて、そういえば起源は中東の民族衣装だったなと思いながら、帰宅してもう1回着てみたら。私が着ると、忍者だったわ・・・がっくし。

さて、引っ張るつもりはないんですけど、とにかく書くことが多くて・・・。とりあえず2位と3位を仕上げたので、先にアップします。

●2位/カロリーナ・コストナー(27歳)/イタリア
SP: 映画「ヤング・フランケンシュタイン」より「トランシルバニアの子守唄」、悪魔のトリル
FS: ボレロ by ラヴェル

コストナーさんも初見なので、書くこといっぱい。
久しぶりに見たコストナーさん、きちんと身体のメンテナンスをしている印象でした。全身のストレッチもよく出来ていて、肩甲骨の動きがとてもスムーズ。

振付は、SP・FSとも、例年通りローリー・ニコルさん。今更ですが、すごい才能ですね。感服するしかありません。大柄なのに良く動けるという、コストナーさんが持っている長所、それを生かし切ると、他の誰にも負けない「迫力」が出る。今季は、今までと比べても、特にこれを真正面から狙った振付のように感じました。

この「迫力」振付が非常に高い好感度を持って受け入れられるのは、彼女がどんなに迫力を出しても、彼女の「女らしさ」が失われないからだと思う。いや、失われないどころか、どんな時でも色濃く漂っているといいましょうか。まき散らしてるオーラに色がついているというか、フレクシアピンク~赤紫のグラデーションだもの(笑)。そうであるにもかかわらず、そこが変な色気に陥らず、むしろ清潔感や潔さを感じることができるのは、彼女のストイックさとか真っすぐな生き方の故でしょうか。

コストナーさんは、ここ数年、演目・振付についてアーティスティックな志向を強めているように思えますが、これはご自身のご意向でもあるのでしょうかね。そういう志向をしても、とんがり過ぎない所も良いと思います。にこやかでおっとりとした雰囲気が緩和するのかもしれません。

それにしても、コストナーさんは、努力の人ですね。後述するように、SP・FSともに非常に多彩な動きが数多く盛り込まれているのですが、昔は、こんなに綺麗なムーブメントでこなすことはできていなかった。表現の地力が突出していなくても(といっても普通以上にあるんだよ!)、地道にコツコツと努力していけば、この境地に立てるんだな。すごいな、努力って。「努力できることは才能」ってよく言うけど、本当にそうだと思う。

さて、SP。
今季見てきた選手のSPでは、アシュリーさんのレッド・バイオリンが一番難しい音楽だと感じていたけど、その上を行ったのがコストナーさんのSPでした。この音楽だと、間を持たせることすら難しい人が多いと思う。

私はこの映画は全く存じ上げなかったので検索したのですが、その限りにおいては、本家フランケンシュタインのパロディであるコメディ映画だとか。が、コストナーさんの演目は、コメディという映画の本質的なところではなく、純粋にチョイスした音楽の印象を中心に作り上げられたものなのでしょうね。

多彩な動きがちりばめられた振付ですが、動きにキレも緩急もありました。首を回すあるいは反らすところでは、きちんと、首の付け根よりもずっと下(肩甲骨の間くらい)からグルンと回し、あるいはグッと反らしていて(でも肩は上がらない)、美しい造形美を醸し出します。こういう動きって、氷上ではバランスが難しいかもなあ、と思っているのですが(知らんけど)、足元の力強さとか安定感には全く変化がなく危なげないですねえ。
あ、そうそう、両手を広げて「なにこれーっ!?」みたいなビックリ顔の小芝居も楽しかったです(笑)。

FS、まさかの刺客、「鼻血」!
人生における3つの坂が1年で全てやってくるとは。「3つの坂」・・・以前の記事で、北の湖を画像検索なさった若い方がいらっしゃったので、念のためご説明。人生にはね、3つの坂があるの。上り坂、下り坂、そして「まさか」。(使い古された言い回しで、もはやオヤジギャグと化している・・・)

昨シーズンの世界選手権を頂点とする好調さ、それはまさにコストナーさんにとって上り坂。その後の、婚約者の不祥事報道等、これが下り坂。そして、今回の世界選手権での刺客、それが「まさか」。

しかも「まさか」の楽曲は、ボレロ。
う~ん、なんて劇的なんでしょう。

ボレロはバレエ音楽として作曲されたのですが、当初の作品は今では殆ど上演されないと思います。少なくとも私は見たことが無い。今、バレエ「ボレロ」といえばモーリス・ベジャール版です。
エイズで若いうちに他界したダンサー、ジョルジュ・ドン(*)がメロディ(後述)を踊ったものが、おそらく世界で一番有名だと思う。元々は女性ダンサーに振り付けられたものなのですが、ドンが映画(**)の中で踊って一気に一般にも有名になったので。

*ドンの晩年のエピソードが以下の書籍に触れられているのですが、胸が締め付けられます…。

闘うバレエ―素顔のスターとカンパニーの物語

佐々木 忠次 / 新書館


**ドンの命を燃やすような「ボレロ」は、今でも映画「愛と哀しみのボレロ」の中で見ることができます。

愛と哀しみのボレロ Blu-ray

紀伊國屋書店



ベジャールのボレロは、赤い円卓の中心で踊るメロディ(1人)と、円卓の周りで踊るリズム(複数)で構成されています。「シャーマンと群衆のようで、宗教みたいで気持ち悪い」と言う人もいますが(うちの旦那とか)、それも外れてはいないと思います(笑)。ベジャールって、人間の心の底にある原始的な部分を刺激することが多いのだけど、この演目もまさにそう。

フィギュアスケートでベジャールのボレロを下敷きにする場合、当然「メロディ」のオマージュとなります。コストナーさんのものも、もちろんメロディ・オマージュ版です(昨季のマヨロフさんもそうでした)。私は、バレエ「ボレロ」の振付がほぼ頭に入っているので、バレエの振付を意識した振付を認知する度、いちいち「おお…」「おお~」「おおおおっ」と反応して忙しかったです(笑)。

しかも、フィギュアスケートの振付への転化の仕方が、とっても上手で、何よりセンスが良いのですよ。すごいなあ、ローリーさん。そしてね、コストナーさんもやっぱり凄い。この振付を滑りながらこなして、しかも、バレエのように周りに群舞(シャーマンに群がる群衆)を従えているかのように見えるほど、氷上に「ボレロ」の世界を作り上げるって、並大抵のことじゃないと思う。

いや~。感服しました。ナショナルで凄い点数が出たのも納得。
刺客無しのが見たかったけど、来季はまた別の演目なんだろうなあ。新しいものも、もちろん楽しみなんですが。

ちなみになんですが、私の場合はバレエを思い浮かべないで見ることが不可能なので、逆に、バレエ「ボレロ」をまだ見たことが無い方が、どういう感じ方をするのか伺ってみたいです。

●3位/浅田真央(22歳)/日本
SP: アイ・ガット・リズム
FS: 白鳥の湖

コーチを佐藤ご夫妻にお願いし、スケーティングと全てのジャンプの矯正を始めてから、3シーズン目が終わりますね。始めたばかりの頃は長いと思っていたけれど、過ぎてしまうとあっという間で、来季はとうとう五輪シーズン。

今回のワールドの時点で、スケーティングとジャンプの矯正や、3Aや3-3を取り戻したいという真央ちゃんの思いが、どのあたりまで実現しつつあるのかは、私には分かりませんが、来季は10合目までたどり着くことを祈っております。

思えば、1シーズン目は、佐藤コーチご指導のスケーティングにまだ真央ちゃん自身が試行錯誤している過程だったようで、試合においても、どこに重心を置いてどう力を入れて滑ればよいのか、意識的に確認しつつ修正していたからでしょうか、なんだか丹田に力が入ってないような、膝がおぼつかないような、今の滑りから比較すると「自信なさげ」な滑りを見せることもあった。(その時、感じた通りに書いたら、こんがり炎上して記事閉鎖に至ったのも、懐かしい思い出。)

震災(日本での世界選手権中止)も重なり、細くなりつつあった身体は、ますます細くなり・・・世界選手権@ロシアからの中継で真央ちゃんの体躯(とあまりに弱々しい滑りを見せる姿)を見たワタクシ、驚愕してしまいましたよ(コメント欄は心配であふれていました)。

そして2シーズン目の時は、お母様の他界と、その後の落ち込み。
そんなこんなを思い返してみれば、今の真央ちゃんの少しふっくらなさった体型は、それだけでもう充分な安心材料。ジャンプはミスが出たとしても、スケーティングからあの弱々しさが無くなったことも、上昇している証拠ですし。

SP、四大陸のときの印象が強烈だったので、3Aを跳んだとは言え、やはり、残念と思ってしまいました。傍目から見ても「おー。とばしてる!」と分かるほど、力強いスピードがあった四大陸と比べると、ちょっと違っていたので、不安はよぎったのですが。今季、鉄板だったSPなのに・・・難しいですね。

FS、NHK杯や全日本の感想をアップしていないので、ここでまとめて「真央スワン」について書いておこうかと。(なお「白鳥の湖」の魅力が二面性にあることは、こちらの記事をご参照ください)。

まず、このタラソワさんの振付ね。

とても「いい!」です。

何がいいってね、タラソワさんはねえ、バレエ「白鳥の湖」を理解している。ものすごく深く、理解してる。それと、真央ちゃんのことも理解している。真央ちゃんの現状(スケーティングとジャンプの矯正中)、真央ちゃんは何が得意で、何が不得意で、そして真央ちゃんの何が観客に好まれているのかを、全てちゃんと理解していると思いました。

真央ちゃんの振付のこなしも、良い線まで来ています。
もちろん、真央ちゃんは、特に何かを考えているわけではなく(例えば「白鳥とは何ぞや」とか)、タラソワさんの言う通りにやってるだけだと思う。だって、彼女、スケーティングやジャンプで、それどころじゃないから。だけど、タラソワさんが、「何点かのポイント」を押さえれば、素の真央ちゃんのままで振付をこなせば、「良い線」まで来られるように作ってくれている、と感じました。

このFSは、大きく分けて3つの場面で成り立っています(今、仮にこの3つを、①白鳥登場、②王子との出会い、③黒鳥、と呼ぶことにします)。

①白鳥登場
この場面で重要なことは、白鳥がどの場面よりも、孤独で、緊張しているってことです。動きも慎重で、少々重々しい。

演目の序盤なので、難しいジャンプが集中するところです。なので、普通にしてても緊張感があるので、そこに引きずられていたんですけども。
今回、はたと気づいて、今季の録画を全部見直してみたんですよ。そしたらね、真央ちゃん、やってますね、ここ。「悲しげに重々しく動く」という演技をやってます。③はもちろんだけど、特に②の後半と比べると、分かると思う。あからさまじゃないけど、やってるって分かって、それを指示したであろうタラソワさんに感動した(笑)。ただ・・・それだけに、「真央ちゃん、much more 指先の緊張感!」というのが、私の偽らざる気持ち。

振付が大分こなれてきた(=①の「悲しげに重々しく動く」ことがうまくなってきた)年明けから、序盤に3Aや3-3が組み込まれたので、ジャンプの緊張感による重々しさとしか捉えてもらえないかもしれず、そこはちょっと損かな。ここを損にしないためにも、ジャンプをビシーっと毎回決めてれば、重々しい演技に「作為感」が出てきて良いのかもしれないけど・・・うーん。

②王子との出会い
ここでは、王子に一目惚れされる白鳥の美しさが無いとダメで、かつ、王子により緊張がほぐれ軽やかになっていく様子が必要。

美しい白鳥の象徴的な動きは、後ろ手にする羽ばたき(視線は右斜め下。これいいよね~)と、小首を傾げる姿。両方とも回を追うごとに上手になっていきました。今回の世界選手権では、小首の仕草が、まるでゆったりと白鳥が首をもたげるように見えましたよ!

軽やかに軽いステップを踏んだり(つなぎ)、女性らしいポジショニングのスピン(これは一目惚れされるところかも。笑)は、緊張がほぐれていく白鳥の様子そのままで、可愛らしさも感じさせます。素敵な構成ですな。

③黒鳥
この場面は、オディール(あるいはオディール的要素)の部分。
オディールといえば、例えばワグナーさんの黒鳥のようなものを想像するかもしれませんが、オディールにも様々な演じ分けがあることは、上でリンクした二面性の記事に書いてあるので、ご参考になさって下さい。
真央ちゃんは、この部分について、力強く黒鳥らしくと指示されているようだけど(それが一番簡単な指示の方法だ)、私は、タラソワさんの狙いは、白鳥の中のオディール的要素の表出、と推測した方がしっくりくるように思います。

全部ツイズルって呼んでよいのかな、バレエで言うとシェネのように連続してくるくると回転するのが、真央ちゃんは上手ですけど(形が良くて速い)、このツイズルをステップに多用しており、非常に印象的です。
バレエのこの場面は、シェネではなくて32回転(フェッテ)なんですけど、フィギュアスケートでは同じ回転技であるツイズルを選択するのが王道でしょう。ツイズルが速いことによって、ある程度の余裕が生まれ、「テンコ盛りで物理的に実現不可能」というリスクも生じない。

真央ちゃんのツイズルが軽やか過ぎた場合、オディール(的要素)のように見えないかもしれないので、タラソワさんもそこここで工夫しています。
例えば、ステップに入る直前(音楽がジャン!と終わるところ)で、「両手を上に上げて、右側に両手首を倒す仕草」。この動きを音楽の終了とともにやられると、バレエ「白鳥の湖」が頭に入っている人間は、無意識に白鳥退場の場面を思い浮かべます。(私は、バレエ「白鳥の湖」が入ってない頭になれないので、そういう人がどう感じるかは分からん。)
また、「頭上で扇子を振っているような仕草」は、バレエ見なら一見して分かる、オディールを象徴する動きです。後ろ向きのバレエジャンプも、黒鳥の特徴的な動き(コーダのときに王子と一緒にやる)を転化したものだと思います。

ステップと最期のツイズルの間に組み込まれた、コレオ・スパイラルでの真央ちゃんの姿勢がまた、非常に美しい。この美しさは全選手中トップだと思います。いろんな報道で、このスパイラルでの真央ちゃんの写真が使用されていたけど、むべなるかな。何ともフォトジェニックなポジショニングでした。


なお、私は、クラシックのバレエ「白鳥」にとても厳しい理想を持っているので、白鳥の舞台を褒めることは滅多にありません(バレエの感想で「白鳥苦手」「白鳥嫌い」とよく言っているのはそのため)。なので、ものすごく正直に言うと、「雑魚(ざこ)は白鳥の音楽、使うんじゃねえっ」って思ってる部分もあったりする。そもそも危険だからね、曲が凄すぎて、演技が追いつかなかったときに音楽に完全に置いていかれちゃうから。
でも、こないだの全日本で、若い女の子の演目で、「白鳥の湖」と言いつつ、ディベルティスマン(宮廷での民族音楽による舞踊)の音楽ばかりつなげたものがあって、「ここまで避けるのは可哀そうだろ。ある意味、新しいけど…」と思ってしまった。まあ、昨年のアシュリーさんの黒鳥以来、少しブームが来てて(実際、全日本でも複数人いたからね)、目新しいところ狙ったら、ディベルティスマンにいきついたのかもしれませんが。

ということで、長々書いてきましたが、結論は、要するに真央スワンは、演目としての完成度がここ数年では一番高かったってことだな。完成版を見られなかったのは残念でしたが、そこはそれ。
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by Koharu-annex | 2013-04-09 01:41 | 2012-2013 フィギュアスケート
皆様、前回の記事(&追記)に対して、温かい応援コメントありがとうございました。
私の怒りの鼻息も、皆様の愛情によってすっかり収まりましたです。本当にありがたくて、涙ちょちょぎれました。また、このところコメントを頂いていなかった懐かしい皆様方からも、多くのコメントが入っていて、「まだ見てくれてたんだ~」と嬉しく思いました。

今後も、ワタクシ、自分が思ったことしか書かないので、激しい反応をくらって鼻息ぶひーっ!になる時があると強く予想されます。その時は、またよろしくお助け下さいませ。

ってことで、大変遅くなりましたが、ワールドの女子雑感です!
・・・が、上位陣の感想がまだ少しかかりそうなので、とりあえず4位以下をアップします。


●4位/村上かなこ(18歳)/日本
SP: Prayer for Taylor
FS: Oblivion、A fuego lento、Adios Nonino byピアソラ

表彰台には手が届かなかったけれども、SP・FSとも素晴らしい出来で、上等ではないでしょうか。

全身で踊るってこういうことだよな~と、彼女を見ているとそう思います。本当に踊りが上手なの。もう、笑っちゃうくらい。ただ、今は、その資質(だけ)でやり過ごしている感じです。あー、ポテンシャル有る人には要求が厳しくなるなあ、私。

何が言いたいかと言うと、素で踊りが上手いからそういう風に見えないかもしれませんが、今のかなこちゃんは、指示通りに振付をこなしただけだと思う。もちろん、試合で「振付をなぞって動く」ことすらままならない選手も多い中、「振付をこなした」ところまで至っているのは、それだけでエライです。実際、彼女ほどこなれた動きや踊りを見せられる選手ってなかなかいないし。

でもね、たぶんかなこちゃんは、もともと踊りが上手であるがゆえに、普通の選手よりも簡単にその段階に至れるはずなんですよ。その点に関しては、「血のにじむ努力」は必要じゃなくて、資質(=もともと踊りが上手い)でカバーできる範囲にあるというか。

だからこそ、私は、次の段階に行って欲しい。身体表現ってのはもっと奥が深い。なぜ、ここにその動きがあるのか、なぜこの動きとともに切ない顔をしろと指示されるのか、一歩先に踏み込んで考えて欲しい。究極的にいえば、「何を表現したいのか」。

こういうことを「頭」で考える必要が無い人もいる。踊りが上手という資質だけでなく、その領域までナチュラルに踏み込んでいける資質まで兼ね備えているって人。表現の地力が圧倒的に強い(というかほぼ天才)高橋さんは、まさにそういうタイプだと思う。

でも、かなこちゃんは、このタイプではない。踊りは上手いけれどね。つまりは、かなこちゃんは、身体表現が好きっていうよりかは、ダンスが好きな人だと思う。これ、かなこちゃんがデビューした年の感想で、そうじゃないかな~と思って「危惧」として書いたように記憶しているけど、当たってしまった感じです。

ただ、こんなところまで要求するのは、愚の骨頂っていう気も充分してます。点数に反映されるわけじゃないしね・・・。

●5位/アシュリー・ワグナー(21歳)/アメリカ
SP: 映画「レッド・ヴァイオリン」より
FS: サムソンとデリラ

全米2連覇で今度こそワールド表彰台を狙うはずだったアシュリーさん。でも、なんだか影が薄くなってきている気がする・・・。
空気って残酷だからなあ。特にニューヒーロー、ニューヒロインを期待する空気って、すごく残酷。ワグナーさんだってまだ21歳なんだけど、フィギュアスケートにおける「若手」って10代だからなあ。ナショナルでそういう雰囲気に当たって、自信が少しゆらいじゃったかなあ・・・。

ただ、SPの緊張感ある楽曲では、この少し自信が揺らいだ感じや、アシュリーさんの例の「常にどこかが力んでいる」ような硬さのあるムーブメントが、楽曲と妙なマッチングを見せていました。すごいな、こんな偶然の化学反応もあるんだな。

FSでは丁度盛り上がるところで、思いがけず転倒してしまいました。それがかなり痛そうで、その後スピードが落ちて動きが鈍くなったところもあり気の毒でしたが、最後は力強くフィニッシュ。もちろん、例の「般若の御顔」ですわ。なんだか最後にこのお顔が見られて、少し嬉しくなった自分に少々びっくり。GPSの時に私が欲しいと言った艶めかしさや妖艶さは、やっぱり最後まで無かったけれども、まあ、いいや。

●6位/グレイシー・ゴールド(17歳)/アメリカ
SP: 映画『パジャマ・ゲーム』より「Hernando's Hideaway」
FS: 映画『ライフ・イズ・ビューティフル』より

アメリカ人特有の華やかなスター性のある方で、やってもらいたい演目が次々と浮かびます(どれもクラシックじゃないけど!笑)。

四大陸の時に、「若木のような勢いがあって元気なのね。それは表現面の未熟さの裏返しでもあるのだけど、瑞々しい若さが感じられてちょっと可愛い。」と書いたのですが、今回はこのフレッシュさよりも緊張による硬さの方がより目立ったかな。

が、もともと持っているポテンシャルからすれば、ムーブメントの硬さが除かれると、すごく素敵なパフォーマンスを見せてくれると思う。彼女の動きって、アメリカらしい大雑把なところがあるけれど(バレエダンサーにもこの傾向はある。笑)、決してガサツじゃないし。

層の厚いUS女子。5位のワグナーさんと合わせて、3枠の枠取り成功はめでたいことですわね。コストナーさんやヨナちゃんのように、母国で頭抜けた存在であるがゆえに枠取りの重圧を一人で負わなくてはならない場合も大変でしょうが、層の厚い国であるがゆえに、枠取り必須の重圧があまりにも現実的である場合のプレッシャーは相当なものだと思います。

そんな中でよく頑張りました。US女子は、ポテンシャルが高くてもフィギュアと別の世界に興味を持つ場合も多いように見受けられるので、ゴールドさんがこのまま真っすぐこの道を歩まれることを期待しています。

●7位/李子君(16歳)/中国
SP: 黒い瞳
FS: 眠れる森の美女byチャイコ

アイドルのような、王道を行く愛らしさ。遠目で見ると、愛玩犬に通じるものもあるなあ、「アドラブル~♡」って言いたくなるような(笑)。FSのスタオベは、アイドルデビューの拍手もあったと感じました。

まだ子供のような華奢でか細い体型、柔軟性のある身体、小さなキラキラするコマのように回る回転、とても魅力的です。SP・FSともローリー・ニコルさんヘレン・ジャンさんとの共同振付ですが、可愛らしい衣装も手伝って、彼女の愛らしさを十二分に引き出していました。ジジュン・リちゃんは、まだ振付をなぞっているだけなんですけど、その「なぞっているだけ」という動作が、むしろ愛らしく映ることを狙った振付だと思いました。

当然のことなのでしょうが、体力とスケーティングは今後の課題なんでしょうね。お姉さんスケーターや同年代でももっと大きな体型の選手に比べると、全般的にスピードが遅いし、スケーティングに力強さがないですね。良く言えば「軽やか」なんでしょうけど、普通に言えば「弱々しい」滑りというか。

●8位/ケイトリン・オズモンド(17歳)/カナダ
SP: Mambo No. 8、Gwendoline
FS: カルメン組曲

若い17歳で、カナダの枠取りを1人で背負ってのワールドでしたが、立派だったのではないでしょうか。
少々(でもないか。笑)ガサツながら、パワフルでエネルギッシュ。特にSPでは、ご本人はラティーノではないのでしょうが、明るく前向きで、短所も勢いでカバーしてしまうような、若さゆえの愛嬌がありました。

でも、やっぱり、ガサツ(笑)。来シーズンは、もう少しこの方面にも気をつけて欲しいなあ。18歳にもなると、若さの愛きょうで全てカバーするのは無理なので。

あと、少し太り易い体質だと思われますので、ジャンプのことを考えると、体重管理も必須でしょうか。この年齢の女子に、敢えて指摘するのは酷なような気もしますが・・・。ただ、このまま又は体重増加になると、絵にかいたような「むっちむち」で、それが今季の演目志向や乱暴と言っても良いガサツさと重なると、安っぽい下品さにつながり易い気がしますので、敢えて指摘。

●9位/アデリナ・ソトニコワ(16歳)/ロシア
SP: スペイン奇想曲
FS: 映画『バーレスク』より

昨年は難儀した「成長した身体」に、今季は少し慣れてきましたかね。動きを追うだけでアップアップしていた時期もありましたが、今回は振付をこなそうとしている段階に入っていました。

ただ、だからこそ、SPは惜しい!
こなそうとしていることが分かるだけに、「こなし」の未熟さの方に目が行ってしまう。というのは、ソトニコワちゃんが振り付けをこなそうとすればするほど、その振付が「狙っているところ」が分かってきちゃうわけですわ。端的に言うと、SPは、もっとタメなきゃいけないところが随所にある。

ただ、もちろん、この年齢でここまでこなせば、充分過ぎるほど充分なんですけどね。
ちなみに、来季まで持ち越しても、踊り的に「完成版」に至ることは難しいと思います。イレギュラーでユニークな動きに彩られたタラソワさんの振り付けは魅力的ではありますが、いかんせん詰め込み過ぎで、完成版の実現は、物理的にほぼ不可能だと思います・・・。

万華鏡のようにくるくると新しい動作が繰り出されて魅力的なんですけど、音楽に乗せて全ての動作をきっちり完成させることはほぼ困難というのは、タラソワ振付の諸刃って感じですかね。

FSは、長いだけに、SPほど詰め込み過ぎの印象は受けなかったけど、やはりキツイですよね(笑)。
16歳で、この演目をやりきったソトニコワちゃんを褒めてあげたい。

●10位/エリザベータ・トゥクタミシェワ(16歳)/ロシア
SP: アディオス・ノニーノ
FS: 黒い瞳

うーん、タクタミちゃんは、成長した身体にこれから慣れていく段階なのかもしれませんね。SPでの思いがけないところでの転倒や要素のすっぽ抜けは、そういうことも関係しているのかなと。
ただ、身体の成長に伴い、体力的な問題は解決したようですね。FSでも、最後までスピードが落ちず、きっちり踊り切りました。

指先から手首、そして腕~肩~首の美しい動きは、彼女の大きな魅力。そして、キレがありながらも繊細な踊りが出来る人です。手袋をして指先まで全て黒で覆った衣装(SPもFSもともになのね)は、これらの長所を、遠くまで見せつけるナイスな選択。が、目立つだけに、腕が伸びきらなかったり、適当に済ませてしまった場合も、必要以上に目立ってしまいますがね・・・。

独特かつセンスの極めて良い緩急の付け方は、彼女の踊り心の豊かさを如実に表すものです。これが、華奢な手指の繊細な動きと、何より彼女の少し影のある蠱惑的な雰囲気と合わさると、快感を覚えるほど。今シーズンの両演目は、いずれもフィギュアスケートではおなじみの楽曲ですが、タクタミ色満開でした。なかなかここまで染め上げられる人っていないんじゃないかな。

●12位/鈴木明子(27歳)/日本
SP: 映画「キル・ビル」より
FS: О (シルク・ド・ソレイユ)

うーん、身体の動きや踊り自体は悪くなかったと思うんですけど・・・やはりジャンプの失敗が多いと、点数は本当に上がらないですね・・・。NHK杯のときはジャンプも含めて本当に素晴らしかったので(特にFS)、調子を崩しただけでこんな風になるとは、なかなか信じ難いところもあって・・・。

高橋さんの所でも書きましたが、つい思っちゃうんですよね、疲れがピークになってるんじゃないかと。だって、少なくとも年明けから多忙すぎるというか、確か3試合目でしょう?・・・他にもアイスショーなんかにも出てるような? なんにせよ、この年齢の選手がベストの状態を持っていくには、キツイような気もするのです。

選手によっては試合を重ねた方がむしろ調子が上がる人もいらっしゃるかもしれませんが、全ての選手がそうとは思えず・・・鈴木さんに合ったベストの調整方法を選択できる状況にあるのか、ちょっと疑問で・・・気の毒な気がします。
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by Koharu-annex | 2013-04-06 23:11 | 2012-2013 フィギュアスケート

世界選手権 男子雑感

フジテレビはなあ、変なプロモーション映像をしつこく流さんと、もっといろんな選手の映像流してくれんかなあ。でも、こんな意見、もう数年前から山ほど届いてるでしょうに、それでも止めないんだから、これがフジテレビの考える「ベスト」なんだろうな。センスの悪さをここまで露呈していいのか、と心配になるけど。

センスの悪さの最たるものは、高橋さんのSPのとき、しかもステップのときに、「データ放送福引きキャンペーン実施中! 詳しくはdボタンで!!」てな帯を、あらんことか高橋さんの足元に張り付けたことですわねえ。
あれ、冗談抜きで「敢えて」でしたよね・・・。私がテレビマンなら、あんな映像が後世に残ること自体が恥ずかしくて、絶対にやれんがな。すごいな、あのプライドのなさ。

ところで、何かの報道で「男子フィギュア選手の絶頂期は22歳」というのを見たんだけど、そういや22歳って多いなあと思い、今回「22歳」と書くときは青字にしてみた。確かに多い。21歳が次に多いので、やっぱりこのあたりの年齢が一般的にイケイケの頃なのかしらね。


●1位/パトリック・チャン(22歳)/カナダ
SP: エレジーbyラフマニノフ
FS: オペラ「ラ・ボエーム」

SP、ジャンプに安定感を欠いた今シーズンでしたが、世界選手権には必ず間に合わせてくるところは、さすがですね。全体の滑りにおけるスピードはもちろんそうですが、最後のスピンの速さには、チャンさんの気合いを感じました。
この滑りのスピードを伴った安定感というものが、この静かに流れる音楽と合致した場合、フィギュアスケートに特有の一つの快感を感じさせます。これは、私が使う「表現力」とは別ですが、PCSに加点されるべきものなんだろうなあ。もしかすると、PCS的には最も重視されるところだったりして・・・とも思ったり。

FS、どこまでもチャンさん特有の端正さが崩れないので、ラ・ボエームらしいと言うよりはチャンさんらしいといったところでしょうか。
後半の3F+1Lo+3S、ああいう出来でも、GOEはマイナス1.3で最終的には9.7も貰えるんだ~などと、いろいろスコアを見て感じましたが、このあたりは私には分かりません。

●2位/デニス・テン(19歳)/カザフスタン
SP: 「アーティスト」より
FS: 同上

テン君がSPとFSの2本揃ってこんなに良かったのを見たのは初めて。彼がこんなに喜んでいるのを見るのも初めて。それだけに、金をあげたかったな。
かつてはぶっちぎりでチャンさんの点数が高く、「どうやって追いつけっちゅーねん」というレベルだったけれど、今回のテン君との点差は、ほんのわずか。そこで、思わず思っちゃう。もしかして、テン君にそれなりの実績があれば、PSCとかGOEとか、もう少し上がっていたんですかね?今のままでも、テン君のPCSの点数はかなり高いんだけど、それでも、あと2点弱・・・と思っちゃいましたよ。

それにしても、本当にすごかった。SP・FSを通してGOEにマイナスがないのは、表彰台の中では彼だけ。採点表を確認して、目がテン(最近オヤジ化がますます…)。

コンパクトな体型ながら、柔軟性とスピード感があって、分かり易い音楽性もある。今回は特に、これらに安定感が加わったので、ちょっとした華やかさも感じられるようになりました。
以前は、勝気だけが前面に出て破綻してしまうこともありましたが、気持ちのコントロールがきちんとできていました。まさにこの点から、ここ数年テン君が心身ともにコツコツと「修行」を積み上げてきた事実が感じられます。

SPとFSはともに映画「アーティスト」からですが、いわばSPはオン仕様で、FSはオフ仕様。
オフ仕様のFSのくだけた衣装は、時々スケーターの皆さんが採用する、蝶ネクタイをほどいて首にかけている状態。幼顔のテン君がやると、ピアノの発表会でママが用意したスーツを脱いだみたいに見えて、ちょっとかわいい。

とにかくおめでとう。
ポテンシャルがあることは知っていたけれど、こんなに早くテン君が頂点に近づく存在になるとは、全く思ってなかったよ。謝るわ!!
 
●3位/ハビエル・フェルナンデス(21歳)/スペイン
SP: 映画「マスク・オブ・ゾロ」より
FS: チャーリー・チャップリン・メドレー

フェルナンデスさん・・・NHK杯で生で見た際、ワタクシ、彼の印象がかなり変わりました。
映像では伝わらないような、繊細な表現力というか波動みたいなものがある方なんですよね。「表現力」と「波動」を並列にしちゃうと意味不明だと怒られちゃいそうだけど、でも、そうなの(笑)。

特に、FSのチャップリンの演技は、映像よりも生の方が、数倍も心を揺さぶられるものでした。音楽とか、音楽の向こうに流れる何かに、すごくフェルナンデスさんが意識を向けていて、気持ちが寄り添っているんですよ。
ああ、彼は若いながらに、孤独や哀感や理不尽さに対する怒りや悲しみ、それを超えて何かを成し遂げようとする、あるいは何かを曲げないでいる芯の強さ、といったものに共感する何かを抱えているんだなと感じます。

以前、私は、「フィギュア界のアンヘル君としてフェルナンデスさんを応援したい。」と書いたことがあるんですが、その本家のバレエダンサー、アンヘル・コレーラ君にもこれは通じるものでして。「サッカー王国スペインで生まれ育った少年にとって、バレエを選ぶということは、それだけで過酷な人生だ。」的な発言をしていたアンヘル君と同じ思いを、フェルナンデスさんは、やはり抱えて生きてきたんだろうなあ~と思う次第。

SPもFSも完璧とはいかなかったけれども、とにかく、世界選手権でのメダル獲得、おめでとう!
母国スペインで更に認められることを祈っているよ!

●4位/羽生ゆづる(18歳)/日本
SP: パリの散歩道
FS: ミュージカル「ノートルダムドパリ」

SPの時から、身体の動きが悪く、いつものキレもタメもないことから、身体のどこかに不具合があることは明らかでした。

シニアに最初に登場した頃から、羽生君について心配なことは、病気と怪我だけです。
一般論として、スポーツ選手の治療には、ドーピング検査との関係上、使用できる薬剤にかなり制約がかかります。持病に喘息があることは周知の事実ですが、その喘息治療においても四大陸後に罹患したインフルエンザの治療においても、「最も効く薬」が使えなかった可能性があるなあと。スポーツというのは、そういう意味でも過酷な世界ですよね。

インフルエンザの治療で遅れた練習を取り戻そうと無理をして怪我をした左ひざ。日本で精密検査を受けるとのことですが、大事ないことを祈っています。そして、今大会の練習中に新たに怪我をした右足首とともに、きちんと治せますように。

FS、冒頭から、健気さオーラ全開。しかも全身から。全ての動きで、「タメ」どころか最後まで動きを全うできないという、振付をなぞるだけの状態でした。しかし、この健気さオーラにやられた観客は多いと思う。スピンの速さが徐々に落ちていくことすら、ドラマチックでした。

こういう、調子の悪さが確実にドラマチックな方向に働く、というのは羽生君の大きな力量。これは表現力の地力の大きさを如実に表すものです。

最後に氷上でがっくりと膝折れるところ、痛みをこらえて観客に挨拶するところ、コーチに泣きながら抱きつくところ、もしかすると羽生君のアンチファンの中には、「あざとい」と一言で切り捨ててしまう方もいらっしゃるかもしれません。が、これは、あざとさから出ているものではないと思います。自分の状況や心の内を、だだ漏れるように表出する(「できる」)表現者っているんですよ。ただ、それだけです。

「謙虚であること」を最も美徳と捉え、自分の状況や心の内を外部に出すことを恥と捉えることは、通常の生活では褒め称えられることだと思います。でも、こと身体表現の観点からみれば、状況や心の内を「言葉ではないく身体やオーラを使って」外に訴えることができることは大きな強みです。羽生君には、天性のこの才能がある。それは、素晴らしいことです。

●5位/ケビン・レイノルズ(22歳)/カナダ
SP: 「Chambermaid Swing」 by P.ステラー
FS: 「ピアノとオーケストラのためのホ短調4」byA.マシュー

SP、緊張したお顔ながら、冒頭から動きにキレがあり、期待をもって見ていました。
四大陸での勢いをそのまま維持した出来栄えに、とても嬉しくなりました。来たよ、チャッキーの時代が!あ、失敬、ケビンだった(笑)。あとは、PCSを伸ばしていくことなんでしょうけど、それってどうすればいんだろ・・・

ジャンプミスは散見されたものの、FSのあの見事な振付を美しく丁寧にこなして行こうとする姿勢は、美しく非常に好感の持てるものでした。このプログラムは来季持ち越しでも良いのではないでしょうかね~。

●6位/高橋大輔(27歳)/日本
SP: 月光byベトベン
FS: オペラ「道化師」

SPは四大陸から衣装替え。私は四大陸の方が好きかな。今回のは袖口がひらひらしてて、この演目での高橋さんの手首から先の繊細な動きを半分くらい見えなくしちゃってるので、ちと不満。

SP、冒頭から少し動きが慎重というか、硬いように感じました。四大陸の方が丁寧に動いていたように感じます。珍しいなあと思っていたのですが、四大陸後にありえないくらい練習をしたということで・・・もしかして過労?FSについても、過労と考えると、あの精彩の欠け具合もむべなるかな、ですわよ。このFSで、あんなに音楽とずれることってなかったもの。

過労の真偽のほどはさておいて、ピークをワールドに合わせるって、本当に難しい。結果論だけど、私はやっぱり、阿部先生のロックメドレーをそのまま使って欲しかったと思いマス・・・。

●7位/マックス・アーロン(21歳)/アメリカ
SP: 映画「トロン:レガシー」より
FS: ウェスト・サイド・ストーリー

SP、よく動いてましたけど、まだ振り付け以上のものを出すという意識が殆どないように見受けられます。

FSは初見。派手な赤い上着だなと思ったら、ウェスト・サイド・ストーリーか!なるほど!!
しかも、初っ端からあの「メンチ切る」シーンの音楽(笑)。いいね!と思っていたんだけど、ジャンプの調子が悪くて乗り切れなかったかな。壁にぶつかったのは気の毒でした。やっぱり、変則的なリンクは、経験が浅い人ほど難しいのでしょうか。

●8位/無良崇人(22歳)/日本
SP: スペイン組曲「アンダルシア」より「マラゲーニャ」byレクオーナ
FS: Shogun

日本選手の中では、大舞台での経験が浅い無良君。四大陸に引き続き、SP・FSでの4回転の失敗は、ジャンパーである彼にとっては痛恨でしょう・・・

さて、舞踊面というか表現面に関することなんですが。
無良君のような力強いパワフルな演技を志向する場合、パフォーマンスに当たっては、ウソでも「俺は世界で一番カッコいい!」と思いこんで欲しい。

そんな大ウソ無理、と謙虚な彼は拒否するでしょう。でも、そう思いこんで欲しい。思いこむと、絶対、何かが違ってくるから。無良君のパフォーマンスを変える、最も簡単で、最も効果的なことは、これだと思う。よくスポーツで言われる「メンタル」というのとは別だと思うんだけど、こういう思考というか想念も、理屈抜きに強いパワーがあるから。

●9位/ブライアン・ジュベール(28歳)/フランス
SP: 「Genesis」ほか
FS: 映画「グラディエーター」より

年齢を「28歳」と書いて、あらためて驚嘆。
若いスケーターが悪いわけじゃないけれども、彼がリンクに立つと、「こういう色気のある男の方が、やっぱ好きだな!」と思わせる、匂い立つオーラ。各国にファンが多いのも当然ですわ。

しかし・・・バレエダンサーだと、このくらいの年齢から熟成が始まるんだけど、スケーターの場合はなあ。
プロになってアイスショーっていう道は確かにある。私は、これまで競技会3回、アイスショーは2回しか行ったことないけど、アイスショーはアイスショーなりの良さがあるのも分かる。でも、競争という緊張感の中で張りつめた演技を見せる競技会だからこそ見られる先鋭さ、というのものはフィギュアスケートの大きな魅力だと思う。そう思うと、なかなか切ないものがあります。

SPでやってくれた、彼独特の「その場駆け足」、何度見てもやっぱり好きだな~。
FS、衣装からこれだろうなあと思っていたら、まさにグラディエーター。よく似合う演目ではないでしょうか。彼の舞踊的には少々不器用な動きは、主人公の武骨な力強さに転化されています。そして、彼から発せられる微かな繊細な芳香が、そこに色を添えています。演技終了後はもちろん、演技途中で思わず出たガッツポーズも含め、素敵なショーでした。

FSで、例の「繰り返し禁止ルール」が適用されちまったのは、ご愛嬌ってことで。

●10位/ミハル・ブレジナ(22歳)/チェコ
SP: 「In the Hall of a Mountain King」 byエピカ
FS: アンタッチャブル

ペトレンコさんが新コーチということで、ほぉと思って見てたら、ペトレンコさんがすっかりおっちゃんになってて、微妙にショックを受けてしまったワタクシ・・・。

ブレジナさんのジャンプについて気になっているんですが、助走が割と長くないですか?
特にSPの前半やFSの中盤のジャンプで感じたんですけど、跳ぶタイミングまで時間がかかると、かなり冗長な感じがするもんですね。仕方ないと言われればそうなのでしょうけど・・・。表現的にはジャンプの助走のところは時間が止まっている感じがするので、そこが長過ぎると損かなあ、という気がします。

2年続いたこのFSも、今回で見納めでしょうか。少し寂しい気もしますね。完璧に近づきそうで、結局、惜しいところで完璧にはできなかった印象で、残念でした。

●12位/フローラン・アモディオ(22歳)/フランス
SP: 「ソブラルの思い出」byダミアーニ
FS: セバスチャン・ダミアーニ・セレクション

SP、少し身体が重いような気が・・・と思っていたら、思いがけないところで転倒。荒川さんが同じことやったことがあると解説でおっしゃってて、「身体も痛いけど、心も痛い」と。・・・想像に難くないです。
冒頭の4回転、リンクの幅の狭さが影響しているようにも見えました。これが4回転になっていれば、最後のスピンの取りこぼしがあっても点数がちょっとは違っていたかと思うと、残念でした。

FS、アモディオ君の魅力を感じさせる上半身の様々な動きは、見ていて楽しい。けれど、上半身だけで完結してしまって、全身を使った全体の動きに魅力が乏しいのは、踊りとしては物足りなさを感じます。
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by Koharu-annex | 2013-03-19 01:30 | 2012-2013 フィギュアスケート

ワールド、女子

私はまだネットニュースしか見てないので、演技の映像一切見てないんですけど。

例の友から、メールが。
PCで視聴したので、昨夜からずっと不機嫌なんですって。
ジャンプは仕方ないにしても、ステップの審査基準がやっぱりどうしても分からんとも書いてあったな。

・・・なにごとも予想(期待)通りにはいきませんな。
特に今季の真央ちゃん、SPは盤石でしたからね。SPで先行、勢い付けてそのままフリーで逃げ切りってのがパターンだっただけに、動揺が走るのもやむを得んかな。

たださ、アメリカ勢だって微妙な順位だと思っているだろうし、ロシア勢はため息ついてるでしょう。
中国勢はまずまずって思ってるのかなあ・・・。
そんなことを考えてみると、全てのトップスケーターが集う大会で、3、6、7位発進という日本勢は、悪くはないと思いますよ。そもそもヨナさんの復帰で真央vsヨナが前面に出てるけど、来季のオリンピックを見据えると、今大会での最優先課題は枠取りだとも思うのです。(←踊り見の私の発言とは思えんな、自分でも。笑)

そうすると、充分良好なスタートと言えるのではないでしょうか。

・・・とはいえ、私も、なーんか、録画見る気がちょっと削げたなあ~。
コストナーさんの今季の演技が未見なので、そこだけでも見たいという気もしますが・・・。ただ、録画の確認っていろんなものが目に入るからな(苦笑)。
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by Koharu-annex | 2013-03-15 22:20 | 2012-2013 フィギュアスケート
むあ。

録画見る前にスポルト見ちゃったんですけど。

今日のベストショットは、羽生君が泣くのをこらえながら笑おうとするんだけど、果たせなくて、がっくりと顔を覆ってうなだれるところ。

後味わるすぎるだろ、フジテレビ。

「今日のベストショット」って、サッカーでも野球でも、しばしば趣味の悪い映像(ネガティブ系や顔歪みor悲惨系)があったように記憶してるんだけどもさ。

サッカーや野球って、チームスポーツじゃない?
しかも、選手の年齢もそれなりに上でしょ。
翌日、チームメイトと笑いながら、「○○さん、やられましたね」「まったくよ~、あの顔チョイスするかよ~」とか言えそうだから(←てか確実だと思う)、まだ見てる方も許せるじゃないですか。

でも、個人がひとりぼっちで技を極め系のジャンルで、しかもまだ10代の選手なのに、この選択はひどすぎるよ。

あとね。
あたしゃ、被災地で羽生君のことを我が子のように思って応援している沢山の人達が、「今日のベストショット」っつってあの映像みせられて、私が感じた後味の悪さだけでなく、悲しい思いすらしているだろうことが、つらいっすよ。

2年たっても復興が道半ばっつーか、殆ど進んでないところすら多いってこと、日本人なら皆わかっているでしょう?
ただでさえ被災者にはつらいこといっぱいなのに、まったく必要ないのに無駄につらいこと増やすの、やめようよ。

報道機関がこれやってしまってるってのが、ほんと、目も当てられんよ。
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by Koharu-annex | 2013-03-15 01:14 | 2012-2013 フィギュアスケート
どあーーーーーっ!!!

間に合いました、確定申告!
明日提出してきまっす。

確定申告のせいで、ちっともスポーツニュース追えてないんだけど、ちらっと数日前に視界に入った限りでは、リンクがホッケー用でかなり狭いとか。GPSで、リンクが狭くて泣きを見た無良くんのことが記憶に新しいけど、なんだか羽生君も高橋さんも微妙に困っている感じですか?それとも、氷との相性が良くない?

ちょっと不安なんだけど、日本時間では、明日の明け方から男子SPが始まるのね。
は~、どうなるかな~。

あと、ほんの一瞬しか見てないんだけど、ヨナちゃんって相変わらず肌がとっても綺麗だわね(そこしか印象残ってなくてスンマセン)。やっぱアカスリ? 
私は肌が弱くて、アカスリとか糸を使った顔の脱毛とか、韓国系の美容はことごとくダメだったので、韓国土産で頂くクリームやパックも怖くて使ってないんだけど、怖がらずに使うべきかしらね。

かなこちゃんの容貌がだいぶ変わっている感じがしたけど、一瞬だったので、よく分からなかったわ。あっこ姉さんと真央ちゃんは映像見れていないのだけど、とにかく、誰かと比べてどうこうという前に、自分のベストが出せることを祈っていますわ~~!

あー、書いてて、なんだか緊張してきた。
やっぱり、ワールドって違うね。
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by Koharu-annex | 2013-03-14 00:19 | 2012-2013 フィギュアスケート

世界選手権!

気持ちよく、ワールドの録画が見られるように、確定申告がんばる。
まだ、なんもやってません・・・。

ぐあーーーーっ!!!めんどくさーっ (><)
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by Koharu-annex | 2013-03-09 11:24 | 2012-2013 フィギュアスケート

四大陸 女子雑感

相変わらず、日本語の不自由さにかけては右に出る者がいない塩原アナの実況。年を重ねるごとに日本語の壊れ具合に拍車がかかっているけど、大丈夫かしらね。

ジジュン・リちゃんのSP実況では、「(ダークアイズの曲とともに)演技の方が始まりました。」って、ここ10年以上ずっと指摘され続けてるファミレスバイトのトホホ語まで披露し、アナウンサーの自覚すら持ち合わせていないことまでも披露。

北京の大気汚染なみのポエム公害以前に、職業人としての人となりに疑問を感じるよ。社内で給料泥棒として問題にする声は挙がらないのかしら。挙がらないのなら、そこも問題だと思うけど、どうなのよ。


●1位/浅田真央(22歳)/日本
SP: I Got Rhythm
FS: 白鳥の湖

SPでは、トリプルアクセルが美しく決まり、GOEも加算されました(最終的に10.07)。踊り見の私ですら、点数がどんと出たことはやっぱり嬉しかったですよ。
ただスコア(こちら)を見ると、左から4番目のジャッジ、真央ちゃんへの評価が異常に辛いな(特に5コンポーネンツ)。このジャッジ、真央ちゃんへの採点に限らず、他のジャッジの採点からしばしば浮いちゃってる。
例えば、あっこ姉さんへの評価は異常に高く、かなこちゃんやガオちゃんへの評価も上昇気味。他方で、ジジュン・リちゃんやクエイシン・ジャンちゃんへの評価はかなり下降気味。
あくまで他の方の採点と比較しての話だけど、この方、個人的な好み・偏見を反映させたと邪推されても仕方がないほどの偏りがあるように感じられ、なかなか興味深い。

まあ、採点についてはどうでもいいや。
真央ちゃんのSPでの圧巻は、ステップでしょう!
これまでの中で最高に勢いがあって、楽しそうで、力強くも軽やかで、素晴らしいステップでした。最後のポーズが勢いあまった感じで終わったことも、むしろ見る者の興奮を後押ししました。

また、3Aを取り戻したこの方の笑顔が、どんなに沢山の人に幸せを運んできたか。当の真央ちゃんは想像もできないだろうけれども、そのパワーは凄まじいものがありました。3Aの復活まで長かったけど、本当に忍耐強くよく頑張られましたよね。

FSの新衣装、羽がたくさんついてて、とても可愛い。バレエの白鳥の湖の衣装では、昔に比べて最近は羽根をつけない(付けても少量)のものが多いように感じていますが、やっぱり羽根のたっぷりある衣装は白鳥の王道でしょう。

3Aだけでなく3‐3も入れるなど現在考えられるマックスのプログラム構成で臨んだためでしょうか、前半はかなり慎重な様子で、スピード感や勢いが前日のSPとは随分違うように感じられました。
動きがいつものFSとも違うと感じたのは、前半のコンビネーションスピン。序盤で入れられているウィンドミル・スピンが、これまでの真央ちゃんからは考えられないくらい微妙なポジション。録画で確認しましたが、NHK杯でも全日本でも、もっと頭が下がって角度が出ています。

なので、ワタクシ微妙に心配しながら見ていたのですが、後半は素晴らしい巻き返し。3‐2‐2の3連続が決まったのは大きかったですね。また、ステップの中で3回ほど組み込まれているイリュージョンでは、ウィンドミルの時とは異なり、いずれもいつもの通り頭がすごく下までさがってました。

さすがにステップの後半では少々疲れてしまったように見受けられましたが、これは3Aと3‐3を入れた構成にしたことを思えば、仕方のないことなのでしょう。ギリギリのところまでやっているというか、非常に体力の必要なFSですね。
が、「練習通りでしたね、先生。」という真央ちゃんの言葉が、なんとも頼もしい。ワールドで完成版を見られることを楽しみにしています。

ちなみに、NHK杯や全日本で、真央ちゃんを実際に生で見た時の印象なんですけども。
テレビ画面で見るよりももっと身体が大きく感じました。テレビの印象よりも、身長が高く手足もずっと長く感じましたし、応分の身体のしっかりさを感じました。あの身体の大きさで、あそこまで軽やかにスムーズに身体を動かせるということは、身体能力も身体のコントロール力も高いということです。

頭一つ抜けたスタイルの美しさと、その身体が作る造形美の素晴らしさは、日本人バレエダンサーで言うと上野水香さんタイプ。(ちなみに、上野さんの動画がネット上にいくつかありますが、どれも彼女の美しさの半分も伝わらないと思います。踊り自体は好き嫌いがかなり出るタイプですが、生の舞台で目の当たりにする、彼女のスタイルと、彼女が作りだす造形美の美しさは、息をのむほどです。) 真央ちゃんって、純粋に、大変に美しい人です。テレビ画面での印象よりも、生の方が、ずっとずっと美しいです。

●2位/鈴木明子(27歳)/日本
SP: 映画「キルビル」、映画「レジェンド・オブ・メキシコ」より
FS: 「О」byシルク・ド・ソレイユ

SPの冒頭3-3、キュッとキレがあって綺麗でした。もちろん女子選手では珍しいほどの「カッコ良い」仕上がりも見事。優れた舞踊でありながら、格闘技のような力強さを兼ね備えることができるのは、踊りに対する感性の高さに由来すると思われます。この点は、他の追随を許さないレベルの高さではないでしょうか。

FS、全日本以来崩れていたようですが、復調の兆しが感じられ、ほっとしました。
ただ、NHK杯では、ほぼノーミスの素晴らしい演技で会場は大盛り上がりだっただけに、当時のメンバーからは、「あのとき生で完璧な演技が見られたのはラッキーだった」とメールが。

NHK杯・全日本と、生で演技を見たから余計にそう思うのですけれども、あっこ姉さんは、脚のラインに気をつけないと少し損をするかもしれない。もともとテレビ画面で見ている段階から、膝が割と出ているタイプだと思っていましたが、生で見ると、FSの時に膝がかなり目立ってしまってるなと。

身体を使った表現の美しさを競う場合、どの部分も美しい方が良い。で、脚の美しさという観点から見た場合、膝は引っ込んでいる方が良い。バレエダンサーや新体操の選手等で脚のラインの美しさで有名な方というのは、膝が内側に入っていて、脚が弓なりのラインを描きます。
もう随分前ですが、体操の五輪メダリストの方(森末慎二さんだったと思う)が過去のエピソードとして、膝が出ているタイプの選手は、脚のラインを美しくするために毎日膝を上から押さえるストレッチをするのだけど、自分は押さえ過ぎて膝のお皿を痛めてしまった、という話をなさっていたんです。男子の体操でも、理想的な膝って引っ込み系なんだな~と思った次第。

で、あっこ姉さんの膝の話に戻りますとですね、SPでは、力強さを出すために身体で直線的なラインを出すことを意識しているのでしょう、膝が出ていることは殆ど目立ちません。
ところが、FSでは、そういう意識がないからか膝がかなり目立つことがあります。そして、その目立ち具合というのが、「あー、膝が出てるタイプなのねー」に留まらず、「これって脚が伸びてないんじゃない?」という誤解につながる恐れが多分にあるように思う。それぐらい、出てる。(神演技と言われたNHK杯のあっこ姉さんのFSについて、以前コメント欄で私が書いた「違和感」というのは、この膝の件です。)

舞踊的な観点から言うと、この「脚が伸びてない?」(=膝が曲がっている)という誤解を受けることは、とても損です。なので、あっこ姉さんには、どの演目においても、こと脚に関しては「直線的なライン」を意識して欲しいなあと思う次第です。

●3位/村上佳菜子(18歳)/日本
SP: Prayer for TayLor
FS: アストル・ピアソラ・メドレー 

衣装替えして心機一転といったところでしょうか。
が、SPの衣装、スカートの後ろの一部分だけモスグリーンってどうかしらね?ピンクの生菓子にちょこっとカビが生えてきちゃったように見えちゃったわよ。あと、私の好み的には、FSの赤い髪飾りはもう少し大きい方がいいな。

音楽にきっちり乗ったメリハリの利いたムーブメントが出来ることは、彼女の大きな強みですね。何度見ても、本当に見事です。また、一つ一つのムーブメントを丁寧に、かつナチュラルに最後まできっちり伸びきるのも素晴らしい。これって、踊り心が十二分にあることの証左の1つです。

SPのフィニッシュ後に見せたような弾ける笑顔を、演技中にもできるような音楽の選択をして欲しい、というのが私の願いであることは変わらないけれども、まあ、多くは言いますまい。

FS、相変わらず二人で踊っているとは感じられなかったけど、今まで私がタンゴを使ったスケートを見て「2人」を感じたのは高橋さんだけで女性では誰もいないので、その点は別段問題ないでしょ。むしろ非常に上手に踊っていたと思います。

ただ、「踊り」の素晴らしさに比べると、確かに少々足元はおぼつかないように感じます。ステップのところでも、もう少しスケートが伸びたり滑ったりした方がいいですし、エッジももう少し深い方が・・・とも。(←と、こういう風に自然に感じるところまで、ワタクシもきましたよ、皆様!!)

●4位/クリスティーナ・ガオ(18歳)/US
SP: 「Close Without Touching」 by D.アーカンストーン
FS: リベルタンゴ

細い枝のような体つきでしたが、少し丸味を帯びて女性らしくなってきました。加えてヘアスタイルやメイクも少し(だけだけど・・・)改善されてきましたね。FSの衣装、とても素敵で似合っています。

以前から指摘しちゃってる部分ですが、柔軟性がない上に姿勢が悪いこと、さらには踊り心がかなり低いことから、動きがぎこちない。技術的には優れているのでしょうが、舞踊面からみると、残念と言わざるを得ません。今のままの柔軟性であっても、単純に振付の一つ一つについて、身体の部位を伸ばしきって動作をこなすことができれば、かなり印象が異なるのでしょうけれども・・・。今は中途半端な動きをするだけで次の動作にうつることの連続で、あまりにもおざなり過ぎる。

ところで、NHK杯の際、未来ちゃんをかなこちゃんに間違えた友人は、ガオちゃんを見て「荒川静香に似てる。」とメールを寄越しました。誰でも日本人選手に引き寄せちゃうらしい(笑)。でもちょっと似てる?

●5位/ジジュン・リ(16歳)/中国
SP: 黒い瞳
FS: 眠れる森の美女

可愛いなあ。ジジュン・リちゃんって、本当に愛らしい。
小柄でまだか細いからでしょうか、バランスが安定しているので、スピンやツイズルの時にはまるで小さなコマが回っているようです。
ただ、年齢を考えると今後身体が女性らしく成長していくことは否めず、そうなったときの身体のコントロールが問題になるのでしょうね。

FS、序盤のフロリナ王女と青い鳥のPDDの音楽も、中盤のオーロラ姫とデジレ王子のPDDの音楽も、終盤のローズアダージョの音楽も、全てテンポが若干速め。ボリショイなどのトップカンパニーでは、これよりもテンポが遅めです(テンポが遅くなるほど踊るのは難しくなる)。速いテンポは、若いダンサーのコンクール等で使われることが多いので、このテンポ感はうら若いジジュン・リちゃんには「いかにも」な感じがしたのでした。

●6位/グレイシー・ゴールド(17歳)/US
SP: ミュージカル「パジャマゲーム」より
FS: 映画「ライフ・イズ・ビューティフル」より

ゴールドさんって、ものごっつ美人というわけではないですが(私はどっちかっていうとファニーフェイスだと思う)、華がありますよね。
クラシカルなドレスも似合いそうですが、SPのレッドカラント(赤房スグリ)色の衣装、こんな彩度の高い赤が似合う人もなかなか珍しくて、よろしいのではないでしょうか。FSの衣装もキラキラの入り具合がSPと同じ傾向。この鮮やかなブルーも、ゴールドさんの肌の色に映えて、とても綺麗。

SPはフォッシー振付のミュージカルが原曲。このミュージカル「パジャマゲーム」、私は未見なのですが、ゴールドさんの演技を見ていると、おそらくミュージカルの振付を意識したであろうと推測されるマイムのような振付が入っていて楽しい。ミュージカルをいつか見ねばと思わせます(フォッシーの振付って楽しいしね!)。

FSは、ジャンプで失敗が散見されましたが、スピンがとても綺麗でした。
この方ね、腕を上にあげる動作の時、ブンブンという感じではないんだけど、若木のような勢いがあって元気なのね。それは表現面の未熟さの裏返しでもあるのだけど、瑞々しい若さが感じられてちょっと可愛い。

●7位/ケイトリン・オズモンド(17歳)/カナダ
SP: マンボNo.8、ゴールド・パピヨン
FS: カルメン組曲 byビゼー

SP、彼女の肉感的な見かけと本来持っているコケティッシュ(の語感よりも性的に感じる)な雰囲気に、この音楽と振付をマッチングさせた場合、多少の下品さが出てきてしまうことは否めませんが、それにちょっとした嫌悪感を感じるかどうかは人によりけりでしょうか。

FSでは、むっちむちの身体ながら、キレのある動きを見せていました。しかし、細部が粗く、全体的に乱暴な印象すら残します。カナダの選手って、ファヌーフさんといい、ラコステさんといい、多かれ少なかれ女子にこの手の傾向がありますね。男子のチャンさんやレイノルズさんには全く見られないことが、不思議というか面白いところです。
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by koharu-annex | 2013-02-25 00:13 | 2012-2013 フィギュアスケート

四大陸 男子雑感

日本選手では、男女で明暗が分かれた感のある四大陸。

受験シーズンだからでしょーか、高校生くらいまでは確実に見受けられる不変の傾向、すなわち、「男子って、全国模試や実力テスト前にある学校の中間テストとか、点数悪いよね~。女子はコツコツ真面目だから、大きく違わないけど。」を思い出しましたよ(笑)。

まあ、この傾向からいえば、3月の世界選手権では男子も本領発揮してくれるでしょう!

●1位/ケビン・レイノルズ(22歳)/カナダ
SP: チャンバーメイド・スイング
FS: 協奏曲「ピアノとオーケストラのためのホ短調4」 by アンドレ・マシュー

おめでとう、おめでとう、本当におめでとう!!

踊り心があるので、カナダ勢の中ではチャンさんよりもレイノルズさんの方を評価したい、と書いてから既に2年以上が経過。
長い間イマイチポジションから脱することができず、点数を確認した後のキスクラでのがっかりした様子から、モチベーションがもつだろうかと心配したことも1度や2度じゃなかったよ。

ようやくレイノルズさんの天賦の才が花開く瞬間が。
こんな笑顔の、こんなはしゃいだ彼を見たのは初めてで、胸が熱くなりました。

NHK杯で彼にたくさん花を投げ入れた友人も、「チャッキー大金星!!」とメールを送ってきましたよ。いやだからケビン・・・笑

今回、昨季から持ち越しのSPの冒頭の音楽を聴いた時、私、なんだかとっても楽しくなってきたんですよね。
レイノルズさんがいつもよりも乗っていたのかもしれません。それに、私、この人を食ったような、おふざけ感のある音楽がとっても好きになって来ているのかも(笑)。

本来、優雅というよりは、むしろマリオネットや漫画・アニメのようなユニークな個性を感じさせる、コミカル味だったりユーモア味のあるリズミカルな動きが得意な彼ですが、このSPはその真骨頂のような気もします。順位こそ6位でしたが、それ以上の存在感がありました。

そしてFS。
なんといっても宮本さんの振付が素晴らしいです。大変に、大変に、素晴らしいです。
これまで宮本さんがいろんなスケーターに振り付けたいろんな振付を見てきて、素晴らしい才能があることは認識していましたが、ここまでだったとは!!宮本さんは日本の宝ですわよ。

レイノルズさんの長所である長い手足を生かすというだけでなく、彼の短所を非常にうまく隠すことに成功していました。本当に素晴らしいと思います。

レイノルズさんは脚が長過ぎて重心が高過ぎるんですよ。バレエダンサーでも時折いらっしゃるんですけど、そうなると長い脚を持て余し気味になっちゃって、踊りが不器用そうだったり不自由そうに見えてしまう。

話はそれちゃうけど、身体を使う表現やスポーツって何でもそうだけど、そこにおける重心の適正位置(幅)がある。
昔、曙が横綱になった時、「不細工な横綱だねえ」って悪態をつく相撲ファンの爺ってのがそこここに居たんだけど、それは曙の脚の長さからくる重心の高さが、相撲の適正位置にないからだと思う。それ故に生じる、「型」の不格好さや、若干の異様さを感じさせる独特な動き(特に負ける時に顕著。他の相撲取りと全く違う動きになっちゃうので、そう感じてしまうのだと思う)が、爺の気に障ったのだと思う。
脚の長さは、胴長短足の日本人からすれば憧れだけど、そういう短所もあるってことですわね。

宮本さんの振付は、レイノルズさんのこの脚の長さからくる短所を、よく隠していました。
それどころか、上で書いたように、「優雅」を志向する動きは本来の彼の得意とする動きではないにもかかわらず、繊細さが同居した優雅さを見せる方向で成功させています。

手足の長さを生かすことを考えた場合、単純に手足を大きく長く見せる振付が施されがちだと思うんです。
が、宮本さんは、それだけに終わらない。
特に「腕」の軌道(レイノルズさんは手袋をしているので指先の軌道をみると分かりやすい)が直線的ではなく、円形や曲線を描くのは、手足の長い人のための振付ですが(逆に手足が短い人は直線的な動きがスピーディーで上手)、頭部や胴体を含めた、レイノルズさんの細身の「体全体のライン」そのものが非常に美しく見えるように、伸びやかに、あるいは伸び上がるように、身体全体を大きく一つに使ってグンと伸ばす動きが多用されています。
これにより、レイノルズさんの姿勢の悪さ、手足の長さを持て余している感などの短所を、ほぼ感じさせないことに成功しています。

加えて、どなたの功績か知りませんが、音楽のチョイスも秀逸。
レイノルズさんがもともと持っているテンポ感によく合った無理のないテンポです。このテンポの合致は、レイノルズさんが得てして陥りがちだった動作間のぎこちなさを、最小限に抑えることに成功していると思います。

とにかく身体全体を伸ばす動きが多いので、後半はかなり体力的にしんどい状況だと感じましたが、気力で身体を伸ばして滑り切りましたね。
ビバ!であります。

●2位/羽生君(18歳)/日本
SP: パリの散歩道
FS: ミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」より

うっわ、顔色悪いなあ(特にSP)。
私の姪っ子ちゃんが喘息持ちなんだけど、彼女はこの冬の時期(1~2月)が一番体調が悪いのですって。羽生君ももしかして、そういう時期かも・・・と心配してしまいました。

友人の小児科医(男性)がフィギュアスケートが割と好きで、中でも羽生君がお気に入りだと言うので、「羽生君って小さなころから喘息持ちらしい」という情報を提供したところ、「ボランティアでいいから羽生君の専属医になって遠征に同行してあげたい。Koharuさん、なんとかコネクション作って話をつけて下さい。」と申しておりました。なんだよ、話って(笑)。いずれにしろ40代の働き盛りの小児科医をそんな気持ちにさせる羽生君の魅力、恐るべし。

SP・FSとも、冒頭の4回転は相変わらず見事ですね。

ジャンプの失敗はありましたが、SPでは、熱情を抑えたクールなロックスター(本人にその意図はないのだろうけど、少しシニカルさすら感じる)が板に付いてきました。

FS、時折見せるキレのある動きは素敵なのですが、全体的に粗い。
例の「シャラン」と音を立てる小さな沢山の鈴は、ほぼ消滅し、「大人の男」への階段を上り始めた羽生君。鈴の音が露骨に聞こえていた時期は、この粗さが儚さを補強するような役目を果たし、むしろ妙な魅力にさえなっていたのですが、今の段階に至ってはそれは期待できないものになってしまいました。今後はこの粗さの改善が必要でしょうか。まあ、そんな文句を垂れつつも、彼の表現の才能は本当に素晴らしいと言わざるを得ないですわね。

●3位/ハンヤン(16歳)/中国
SP: ジェラス
FS: 仮面舞踏会byハチャトリアン

うん、この人が目指すべきは、ずばり、「香港ノワール」でしょう(笑)。
「インファナルアフェア」は世界的にみても傑作映画だと思っているワタクシ(ディカプリオ君でリメイクしたハリウッド版は…だったが)。フィギュア界にも、あの世界観を託せる人材が出てきましたよ!

ガチンスキー君の無愛想とは類型を全く異にする、この無頼漢のような無愛想。
FSで音楽にクラシックを使っても、隠しきれない「下手に触れると怪我するぜ」な雰囲気。
♪ ナ~イフみたいにとがっては 触る者みな 傷つけた ♪ なんていう10代特有のものではなく(この手のタイプは20代になると頼りになる整備工のあんちゃんになったりする)、本質的なものを感じさせる。しかも、そこに、うっすら哀愁すら感じてしまうのは、私の単なる期待?

間違いなく青リンゴでありながら(その匂いもちゃんとします)、本質的なダンディズムを感じさせる、恐るべき16歳だわ。
この人は無理して笑うことないし(今も笑ってないけど)、無理してクラシックなんか使う必要ないと思いますよ。
頼むからガチンコで行ってくれ、香港ノワールに。
お願いだから、単なる「ちょっと怒ってるらしい若い中国人」で終わらんで欲しい。

●4位/マックス・アーロン(20歳)/US
SP: 映画「トロン:レガシー」より

映画そのままの衣装で音楽にも乗り、なかなか気合い入ったパフォーマンスでしたが、技術的なミスもあり、点数はいま一つ伸びず(SP10位)。

FS楽しみにしていたのに・・・大健闘して最終順位を4位まで上げたアーロン君のFSをomitするってどういうこっちゃねん、フジテレビ?!

●5位/リチャード・ドーンブッシュ(21歳)/US
SP: With or Without You by U2
FS: The Wild Ones, Harlem Nocturne, Rooftops

SP、FSとも表情が硬くて、全体的に余裕がない印象でした。もともと持ってる小芝居的なマイムの上手さも影をひそめた感じ。4回転の緊張と体力消耗によるのかもしれませんね。おそるべし、4回転。

難癖つけるつもりはないのですが、この微妙に「ちょっと」姿勢が悪いの直せないかなあ。。。微妙なだけにすごく気になっちゃうんですわ。いっそものすごく悪い方がすっぱり諦められるっていうか。

●6位/ナン・ソン(22歳)/中国
SP: The Middle East Side
FS: 交響曲第4番、ロミオとジュリエット

新星の無頼漢ハンヤン君の登場により、影が薄くなってしまったナンソン君。
本来は濃ゆい存在感のある人なのに・・・・髪の硬さというか、ツンツン具合も、なぜか大人しくなってしまった印象(というかハンヤン君の髪が言うこと聞かなさ過ぎ?)。

音楽と衣装、そして振付が、いずれもちとダサく、そのマッチングも「?」なのは、相変わらず残念。技術的に高いものを持っているのに、このダサさが技術のレベルをも少々低く見せている気がする。この点がひどく気の毒なのも相変わらず。

●7位/高橋大輔(26歳)/日本
SP: 月光(ベトベン)
FS: 道化師

さーて、新SPですよ。どうですか、皆様。

まず、衣装は良かったと思う。あの超有名曲と皆分かっている上に、「あ~、銀色のニュアンスのある青白い月光で行きますか。」と視覚からも刷り込ませることができますから。
(袖口につけられたリボン?可愛いね)

次に、音楽。
演技を見ながら率直に思ったことは、「音楽が弱い」ってこと。

なので、映像を見ないで何度も音楽だけ聴いたんですよ。
定番の第1楽章と第3楽章で(私は地味に第2楽章も好きだったりするんだけど、やっぱりomitされてましたね)、かつ、単純といえば単純なフレーズチョイス。
正直にそのまま言うとね、「女子向きだなあ」と思いました。パッと浮かんだ顔は、真央ちゃん(間違いなく似合う)。

男性でかつ濃厚な演技が得意な高橋さんには、やっぱり弱いかなあと。
ここ数シーズン(しか私は見てないわけだが)の高橋さんのSP、ガツンとパワーのあるものばっかりだったからかもしれません。でも、それは審査員でも感じるのでは・・・(苦笑)。

ただね。
高橋さんって、天才ですからね。
滑り込んで物にすると、楽曲すら別次元に力づくで持っていく才能があるので、そうなったら全く別の舞台を見せてくれるかもしれません。
音楽と一体化しても、音楽に隷属しないのが、彼ですから。(彼の場合は、音楽との一体化って、音楽を支配することと同義だわね。しかも、その支配の仕方が独特。そうなると別物の音楽に聴こえたりする。)

あと、彼のムーブメント。今まで見たどの演目のときよりも優雅でした。
あ~、こういうこともできるんだな~、さすがだな~と思ったことでしたわよ。

FS、冒頭の身体のキレは悪くないと思ったのですけど。
まあ、こんなこともあるんだな、としか・・・(苦笑)。

昨年暮れの全日本のFSが凄まじかったんですよ。
「ああ、良いもの見れた。札幌まで来て本当に良かった・・・」と心底思いました。連れのスケオタさんは「ここまでのものは、10年に一度見られるかどうかってくらい」とおっしゃってたほどでした。
そうするとですよ、陰陽思想とか、作用反作用の法則とか(ちょっと違う?笑)、そういう類の流れに乗ってしまった場合、今回の「理由が分かんない失速」ってのも、世の中的にはあるのかな、と。
しかも、禍福は糾える縄の如し、でございますよ。次のワールドは大丈夫ってことだ(笑)。

ただ・・・「最初で最後」の会場へのご両親招待っていう実況を聞いたときは、切なかった。
つらい。つらいよ。。。

●8位/無良崇人(21歳)/日本
SP: マラゲーニャ
FS: Shogun

高さも幅もあるジャンプが持ち味とのことですが、リンクの壁にあまりに接近してしまうことにより、その長所を生かせず、むしろミスにつながってしまうことが、しばしばありますね。。。
私には即座に思いつきませんが、何とか有効な対策を打ち出して頂きたいです。
特に無良さんの場合、得意のジャンプが決まらないと、露骨に気落ちしちゃってパフォーマンスの質が落ちてしまうので・・・。

FSは衣装変え。
以前の衣装、私は初見から陣羽織としか認識しなかったのですが、全日本の観戦の際に耳ダンボにして聞いた周りの反応は「鬼太郎」。うーん、言われてみれば(苦笑)。
新しい衣装の方が、形がすっきりしてジャンプもスピンもやりやすそうです。見かけで勝手に言ってますが。
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by Koharu-annex | 2013-02-18 14:19 | 2012-2013 フィギュアスケート