もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

カテゴリ:2010-2011 フィギュアスケート( 45 )

ロシア杯 雑感 その2

ロシア杯 11月19日~21日
女子 ショート&フリー その2

●アシュリー・ワグナー(19才) USA
SPは、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より。
当初、この映画のサントラを女性スケーターの演目に使用するのに、「なぜにアマポーラが使われてないの?」と、つい疑問に思ってしまいました。
が、想像してみると、アマポーラはレイチェルさんのイメージの一部と完全にかぶるので、結論としては使用しないで良かったかな、と。

FPはマラゲーニャ。
NHK杯のときよりも良く動けていたし、また安定した印象です。
レイバックスピンの後半で、ハープの細かいメロディと合わせて手首を動かしていたのですけど、それがとても綺麗でした。

ただ、SP、FPを通してどこかインパクトに欠けるのは、無理せず無難にまとめ過ぎているからでしょうか・・・?

●安藤美姫(22才) 日本
SPは、ブロークン・ソローほか。
ロシア杯の後の報道によると、SPの楽曲を変更するとのことでしたから、この楽曲でのパフォーマンスを見るのはこれが最後となりますね。
中国杯のときの雑感でも書きましたが、この楽曲は身体表現を行うには難しいので、変更は吉と出るのではないでしょうか。

直前の練習の際に男子選手と衝突して腰に肉離れを起こすというアクシデントのせいで、腰にはばりばりのテーピング。
SPもFPも衣装の背中がぐっと開いているので、テーピングの様子が良く分かります。
格好は悪いかもしれませんが、むしろ誰にでも分かってもらえるという点で、競技においては良かったのではないかと思います。

腰をやられているときに、腰を反らせることがキツイことは、腰にケガをしたことがない方にも想像できると思います。
が、実は、物を掴むなどの日常の動作ではなく、舞踊的な動作として「腕」を動かすことも、腰をケガしているときはキツイのです。
未経験の方が想像するよりも、ずっとずっとキツイ。
私も腰にケガをした経験があるので、今回の安藤さんの演技を見ている最中、痛さを想像してしまって身体が固まってしまいました。

今回のSPの振付は、腕の振りが激しいですから、かなりキツかったと思います。
が、安藤さん、気丈によく動いていました。
もちろん、全般を通して緊張した表情でしたし、肩も上がっていて、動きの端々に「痛いんだろうなあ」と思わせるニュアンスが感じられましたが、あの状態であそこまで動かすことができれば上等でしょう。

また、慎重に動いていたせいか、中国杯のときのような早取りではなく、音楽をジャストで取っており、そこも良かったと思います。

FPは、グリーグのピアコンイ短調。
顔がくもっていたし、テーピングは相変わらずなので、まだかなり痛いのだと想像。
やはり体に力が入っていない様子で、その入らなさ加減が、「あー、分かる~。そうなるよね~」と感じられる部分もあり、見ていると自分の腰にもなにやら痛さを感じるような・・・。

最後のスピン、つらそうでしたね。
あれは痛いよ・・・。

本当に良く頑張りました。
ロシアの観客の方々から送られていた温かい声援と拍手、こちらも嬉しくなりました。

中国杯のときもそうでしたが、SPのときもFPのときも直前に、モロゾフさんが安藤さんの首の後ろのホック(?)や襟(?)を整えていますよね。
その際、ごくナチュラルに「彼女がされるがままになっていた」というか、当然のように「彼女がさせている」というか、まあ、どちらでもいいんですけど、長く信頼関係を培ってきた人間達にしか出せない空気を漂わせていた様子が、可愛くて微笑ましかったです。

●鈴木明子(25才) 日本
SPは、タンゴ・ジェラシー。
中国杯のときよりも、踊りの完成度は更に上がっていると思いました。
男性の踊り手が高橋さんなら、女性の踊り手は鈴木さんですよね。

高橋さんと同様、鈴木さんも、身体全体のコントロール能力が抜群です。
ステップやつなぎの部分のムーブメントの全てが、理想的な美しい・カッコ良い姿勢で行われている。
これは一時停止ボタンを次々に押してみるとよく分かるので、面白いのでやってみて下さい。
どの時点でも、「変なカッコ~笑」みないなことが、この2人には殆どないと思います。

パーツで言えば、鈴木さんの背中や首の使い方に注目してもらっても、奥深く楽しいかもしれません。
ちなみに、首をよく反らせるためには、実は背中を使えないといけない。
普通の人が首を反らせた場合、客観的に見ると、頭を後ろに持っていっただけ、ということが多い。
見た目に美しい「首の反り」のフォルムというのは、首根っこのずっと下の、肩甲骨の間くらいから曲げているのですわ。
(ちなみに、私は昔から背中が硬いんですけど、どうしても首をきれいに反らせたくて無理して曲げてしまった時期があって、今でもこの部分に軽いヘルニアがある。)

FPは、屋根の上のヴァイオリン弾き。
衣装を、中国杯のときと同じ白地でも、黒いトリミングのあるものに変えましたね。
コメントも頂いておりますが、白地にこだわっていらっしゃるということは、やはり花嫁衣裳を意識なさっているのかもしれないですね。

軽やかで幸福感があって、相変わらず、とても良いですね。
彼女の踊り心が高いから、ものすごくナチュラルにこなしているので気づかず見流してしまいがちだけれども、すごく凝った複雑な振付ですよね。
これをここまで踊れるのは、文字通り、アッパレ。

安藤さんほど往年の固定ファンが多くない印象ですが、観客の方から温かい拍手と手拍子を頂けていたのが、嬉しかったです。
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by koharu-annex | 2010-11-25 01:25 | 2010-2011 フィギュアスケート

ロシア杯 雑感 その1

ロシア杯 11月19日~21日
女子 ショート&フリー その1

皆様、コメントありがとうございます。
特に、アーミン君に関する貴重な情報、感謝感謝です。

また、技術点と演技構成点のバランスの是非について、皆様いろんなご意見ありがとうございました。
特定の選手にかかわることなので、お気を遣って下さって鍵コメにして下さった方も多いので、皆様には全ての情報を届けることはできませんが、お勉強になるご意見ばかりで本当にありがたいと感謝しております。

後日あらためて個別に返信させて頂きます。
が、取り急ぎ、遅れを取り戻すためにロシア杯の雑感を。

●クセーニャ・マカロワ(17才) ロシア
SPはフラメンコ。
ジャンプの調子は今ひとつながら、カナダ杯よりもムーブメントにキレがあったのではないでしょうか。
体力がある上、比較的大柄なのにチャキチャキ動けるので、テンポやリズムが速くてもOKなのは、強みではないでしょうか。

FPは映画「エビータ」より。
スピンの回転速度など、目を見張るところがありますね。
が、全般的に振り付けを適当に流しちゃうところが、目に付きます。
いろんな意味で余裕がないんだろうけど、「まだまだ感」な印象を残してしますので、もったいないです。

●バレンティナ・マルケイ(24才) スペイン
SPは、映画「レクイエム・フォー・ア・ドリーム」、「ロード・オブ・ザ・リング」ほか。
カナダ杯に比べて、ちゃんと全身で動けている印象です。
まだ音楽をものにしたところまではいってない感じですが、音楽に合わせるように動作やキメの努力をしていることはよく分かります。

FPは、オペッレッタ「こうもり」より。
ウィーンの大晦日の恒例行事ですが、この楽曲でバレエもあります(振付はプティで、ずばりプティ!なエスプリのきいた作品です)。

私は、この楽曲なら、ポニーテールじゃなくて、夜会巻きなどの大人っぽい髪型にして欲しいと思います。
衣装も同様で、もう少し「夜」な雰囲気と色の方が良いのではないでしょうか。

ついでにいうと、元気いっぱいに滑っていましたが、もし出せるなら、華やかさだったり、コケティッシュさだったり、という雰囲気を出せれば、より楽曲に近づけると思います。

●ソフィア・ビリュコワ(16才) ロシア
SPは、プッチーニ「トスカ」。
大人っぽく、トスカに違和感がないのは、16才としては珍しいのではないでしょうか。
もちろん、この悲劇を表現するところまでには至っておりませんでしたが、雰囲気を出そうとしているのは伝わってきました。

ソフィアさんはロシア系ダンサーの体型とはいえ、3歳年上のレオノワさんがサーカスピエロであることに照らすと・・・複雑な思いが胸中をよぎったりするのでした。

FPは、サンサーンスの死の舞踏。
今季は「死の舞踏」といえば、リストを使っている方が多いのでは?
少なくとも私は、今季、サンサーンスのものは初見ですね。

サンサーンスの死の舞踏は、とてもしゃれ味のあるフレーズと楽器使いがあるので、そこを生かした振り付けが欲しいなあ~と思ったりましたが、それは望みすぎでしょうね。

とにかく体力がなく、全てに乱れと荒れが散見されました。
テンポが速いからなおさらつらいですね。
なので、これ以上、振り付けを難しくするのは、今の段階では無理かな、と。

●アグネス・ザワツキー(16才) USA
SPは、マンボほか。
カナダ杯に続き、スピンは相変わらず綺麗だと思いました。
しかし、音楽がノリノリになった頃から、ちょうどスピードが落ちてきて、動きも悪くなってしまいました。
楽曲のテンポが速い上に、リズムも細かいので、今の彼女にはちょっと無理があるように感じます。
こだわりがないのであれば、楽曲変えればいいのに、と思います。

FPは、ツィゴイネルワイゼンほか。
カナダ杯よりかは良かったです。
力強さもありました。
が、ムーブメントが荒くて、まだまだ感は否定できません・・・。
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by koharu-annex | 2010-11-24 01:37 | 2010-2011 フィギュアスケート
アメリカ杯 11月12日~14日
男子 ショート&フリー その3

●高橋大輔(24才) 日本
SPはある恋の物語、エル・マンボほか。
今回は、NHK杯のときのような音楽の早取りをせず、ねちっこさを見せつつジャストで音取りしていたので、見栄えの良い出来だと思いながら見ていました。
が、ステップのところで若干遅れが出てましたし、後半は身体が重そうだなという印象がやっぱりありました。
原因は、動きのハードさでしょうか。

FPは、ブエノスアイレスの冬。
ジャンプの調子はかなり悪かったようですが、舞踊的な面からみると、かなり身体はキレてる印象でした。
いや、もうキレキレ。

緩急、タメ、そして絶妙のタイミングで決めるポージングも、NHKより良いどころか、「抜群」と言って良いのではないでしょうか。
滑り込んで踊り込んだ賜物なんでしょうけども、1つ1つのムーブメントも、決めのポーズも、全てがほぼ理想的なフォルムでコントロールされてるように見えました。
そのため、そこからかもし出される、舞踊としての美しさ、カッコ良さは、他の追随を許さないレベルでした。
また、スローパートの情感の乗り具合は、まさに別次元で、「圧巻」と言っても良いと思います。

ただ、ジャンプの失敗の影響か、それとも純粋にスタミナが足りなかっただけかは分かりませんが、後半にスピードが落ちてしまったことは、やはり検討課題でしょうか。

ところで。
このFPでは、高橋さんのジャンプの調子って、ぶっちゃけたところ、相当悪かったじゃないですか。
それを見て心配するアナウンサーに対して、解説の佐野さんが、「彼には演技構成点がありますから。」という趣旨のことをおっしゃったでしょう?
これは要するにジャンプやスピンなどの技術的な面で遅れをとっても、演技構成点でフォローできるし逆転も可能、ということでしょう?

もちろん佐野さんは独善的な解釈でそう言ったのではなく、今の採点基準ではそういうことが可能で、かつ高橋選手にはこれまでもそういうことがあったから、そのように言ったわけですよね。
実際、このFPの高橋さんの演技構成点、すごく高かった。

この点、高橋さんの今回のFPの演技構成点が、「他のスケーターに比べて圧倒的に高い」、ということには全く問題はないと思います。
スケーティング技術についてはコメントを控えますが、その他の項目(要素のつなぎ、演技力/遂行力、振り付け、曲の解釈)については、上述したとおり高橋さんは抜きん出ていましたから。

問題は、技術点と演技構成点の比率が、これでいいのか?ってことです。

私はご存知のとおりフィギュアスケートの採点基準については詳しくないですけれども、例えばバレエでも、技術で失敗しちゃったら、評価としては「ダメ」なんですよ。

例えば、ジゼルの2幕のアルブレヒト。
いくら、ジゼルへの愛と自分の行動への後悔といった情感をたっぷり乗せて演技ができて観客の涙を誘ったとしても、ウィリ達に踊り殺されそうになる「舞踊面での名場面」で、ジャンプと回転(ここは専門用語を敢えて出しません)に失敗したら、それはアルブレヒトのパフォーマンスとしては、圧倒的にマイナスなんです。

もう1つ例えば、ドン・キホーテのバジル。
いくら明るくお調子者でちょっと女好きのバジルを、お芝居の要素が強い小さなダンスやマイムの連続部分で表せたとしても、「舞踊面での見せ所」である、キトリをリフトするところやソロでの回転・ジャンプで失敗したら、それは、バジルのパフォーマンスとしてはダメです。

こういう場合、評価としては、「ダメだったけど、情感は感じられた。」「ダメだったけど、バジルの雰囲気は良く出てた。」、というレベルのものが与えられるだけです。
つまり、技術がダメなら、あとがどんなによくてもパフォーマンスとしてはダメなんですよ。

少なくとも私は基本的にこういう価値観でバレエを見ていますから、上記の佐野さんの言葉が端的に表している、今のフィギュアスケートの採点基準が、ちょっと引っかかる次第。
もう少し技術点が重視されるべきじゃないかな、というのが私の率直な感想。

この点、もし技術点と演技構成点の比率が変更され、より技術重視になった場合、高橋選手への点数が今よりも下がっちゃうという懸念はあるかもしれません。
が、その解決方法は単純明快。
「高橋選手が、技術をもっと安定して出せるようになればいいじゃん。」ってな話じゃないですか。
余計なことかもしれないけど、今の採点基準であっても、高橋選手は技術面をもっと安定させた方が良いと思うぞ。

余計ついでに言うと。
以前、技術は身体表現の大前提だ、だからフィギュアが芸術かスポーツかというのはトンチンカンな問題設定であり、芸術カテゴリであっても技術は絶対的である、という趣旨の記事を書きました(こちら)。
これを別の視点からいうと、レベルの高い身体表現者の最も土台となる基礎っていうのは、「技術をある一定の高いレベルで安定して常に出せること」にある、ということになります。
動きに情感を込めたり何らかの色付けをしたりすることは、その安定した技術の上に乗っかるものなので、順番としては技術の次、です。

高橋選手の今季は、その「技術の次にくる部分」を集中して頑張ってる印象です。
それはそれで魅力的なパフォーマンスを見せる結果に繋がってると思うし、実際、私自身も「これが高橋!」みたいな圧巻の踊り心と表現の地力を見せつけられて感服&感激しております。
しかし、今回のFPを見て、技術面がおろそかになったら元も子もないぞ、という一抹の不安を抱いたのでありました。

さて・・・GPFはどうなるでしょうね。

●織田信成(23才) 日本
信ちゃんについては、カナダ杯のときに書いたように、別記事でまとめたいと思います。
が、一点だけ。

高橋さんのFPを見て、上述したような感想を抱いたワタクシ。
信ちゃんが逆転されたことを見て、技術点と演技構成点の比率の問題がここで顕在化したのか?、と思ったのです、当初は。
そう、当初は。

後になって、ニュース報道で、信ちゃんがジャンプ構成を演技中に変えてしまって、「余計に飛び過ぎ」という以前にもやってしまった失敗を繰り返してしまった結果、ジャンプがゼロ点になってしまったことを知り、立腹しましたわ~~~
1点でも入ってたら、信ちゃんが金だったんでしょう?

信ちゃんは、ここで2つのものを失ったんですよ。
1つは、言わずもがなの金メダル。
もう1つは、「技術が高けりゃ高橋に勝てる」と世に知らしめる絶好の機会の完全な逸失。

前者も痛いが、後者も痛い。
本当に痛いよ。。。
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by koharu-annex | 2010-11-22 23:20 | 2010-2011 フィギュアスケート
アメリカ杯 11月12日~14日
男子 ショート&フリー その2

●アーミン・マバヌザーデ(19才) USA
SPはMario takes a walk、FPは映画「アバター」より。

私にとってアメリカ杯の一番の収穫は、この人でした。
エキゾチックな風貌ですが、どこ系の方なのかしら?
ご存知の方があったら、教えて下さい。

皆さん全員、お感じになったと思いますが、腕の動きが独特です。

私が特に注目して欲しいのは、なんといっても肩甲骨です。
稼動域がものすごく広くて、かつ、ものすごく滑らかに自由に良く動くの!
彼の独特の腕の動きは、この異常によく動く肩甲骨の賜物です。
バレエのような西洋舞踊のような動きとはまた違うタイプの動きなんですけど、あの肩甲骨は「一見の価値あり」なので、腕だけでなく肩甲骨の動きに是非注目してみて下さいまし。

風貌だけでなく、彼のこのインクレディブルな肩甲骨の動きと、肩甲骨が支えている独特の腕のムーブメントにも、エキゾチックなニュアンスがありますね。
強いていえば、南アジア風かな~。
ギャグとして表現すると、踊りの入ったヨガをやるインド人とか、インド人が出した蛇の動きとか?(←めちゃくちゃだな)

なので、SPのオリエンタルの香りがする民族調の音楽と振り付けは、とっても良く似合っていました。
ただ、ここまで独特のムーブメントだと、将来、演目の幅が狭まってしまうので、エキゾチックさを控えた動きも習得して欲しいとも思います。
もちろん、エキゾチックな動きは強烈にアピール力のある個性ですし、また彼の魅力でもあるので、これを維持したまま種類を増やす形でお願いします。

●アダム・リッポン(21才) USA
SPはチャイコのロミジュリ、FPはラフマのピアコン2番。

SPは、カナダ杯のときよりも演劇性を強くした感じでした。
彼のちょっとナルさんな雰囲気が、確かにジュリエットに恋してはいるんだけど、客観的には「恋に恋した部分」も多分にあるロミオな空気をかもし出してて、良いですね。

FPは、ジャンプの調子が悪かったことから、全体の流れも低調に終わってしまいましたね。
カナダ杯はもちろん、10月はじめのJOの方が良かったのではないか?と思ったほど。
私、このリッポンさんのFP、実は結構好きな演目だけにちょっと残念でした。

アナウンサーの方から、この楽曲はリッポンさんがご自分でどうしてもやりたくて選んだ、という話を聞いたことは収穫かな。

ラフマ自身もアメリカに随分救われていますけれど、アメリカ人もラフマの楽曲って本当に好きですよね。
特にこの楽曲は、複数のアメリカ映画にも使われていますし。
・・・というアメリカ一般論はさておき、リッポンさんがちゃんとご自分の個性と似合うものを分かっていらっしゃるということですね。

まあ、何度も言っちゃいますが、そこに安住するなよ、ってのが私の意見ですが。
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by koharu-annex | 2010-11-20 23:56 | 2010-2011 フィギュアスケート
アメリカ杯 11月12日~14日
男子 ショート&フリー その1

●アドリアン・シュルタイス(22才) スウェーデン
SP、NHK杯の方が良かったですね。
何だか悲しみの淵に沈んでいるように見えたのは気のせいですか?

ラストの、「これがボクの地球」(←勝手に想像。笑)、みたいなポーズが個人的にはツボだったんですけど、今回はそれが見られませんでした。
本音を言うと、すごく残念。

FP、ロミジュリは初見なのです(NHK杯のとき地上波を録画したら、FPの彼の演技は省かれていた…)。
音楽に、映画のニーノ・ロータのものと、バレエのプロコのものがミックスされて使われていたのですが、これらのアレンジが良かったです。
フィギュアスケート界における数あるロミジュリ音楽の中でも、とても個性的な仕上がりで、彼にピッタリです。

振り付けも、手を見つめたり、すりすりしたり、相変わらず個性的で面白く、よろしいですわね。

静かだけどストーカーすれすれ、あるいは逆に客観的には「ねえ、ホントにジュリエットのこと好きなの?」と思わせるような態度なんだけど心の中では自分の片割れはジュリエットと勝手に断定しているような、そういう一風変わったロミオを想像させるものがありました。

あまりに変わっているので、ラストで毒をあおった際、「あ、一応、毒飲んで死ぬんだ!?」、と思ってしまいました(彼のロミオだと、思いもよらない全く異なる解決方法をごく自然に選択しそうなので。笑)。
見ることができて良かったです。楽しかった。

4回転は成功しましたが、その後のジャンプが良くなく、流れが若干悪くなったのが残念でしたね。

●デニス・テン(17才) カザフスタン
SPはブエノスアイレスの春、FPは死の舞踏。
ジャンプの調子は相変わらず良くなかったのですが、全体のパフォーマンスは、NHK杯のときよりもずっと良かったです。

何が悪かったのか、ちゃんと確認されたのでしょうね。
呼吸をちゃんとして、カウントしている感じがしました。
また、意図して落ち着こうとしている様子が見て取れましたし、実際、完全ではなくても落ち着きのある動きになっていました。

●村上大介(19才) 日本
SPは、トッカータとフーガ。
冒頭、「ど、どした?」と思わず尋ねたくなるような、派手に大きく口を開けた表情を、突発的になさったので、ちょっとビックリ。
が、その後もその「口の派手開け」表情を何度かなさって、そのうちこちらも慣れて・・・どころか何だかキュートに見えてきたのでした。不思議。

この楽曲は、ちんたら、あるいはまったり動かれたのでは全くつまらないので、村上さんの歯切れの良い勢いのある動きは、とても良かったです。

FPは、映画「アラビアのロレンス」より。
楽曲を知るよりも先に衣装を見てしまって、「なんだこりゃ」と思ったのですが、そういう趣旨ですか。
が、あまりデザインが良いとは思えないぞ。
コンセプトはアラビアのロレンスでも、もう少しかっこよく見えるものを作れるはずでは?

この映画は、ピーター・オトゥールの大出世作。
私達の世代には、漫画「T・E・ロレンス」(神坂智子著)もなじみのあるものなんですが、実際の歴史と実在の人物(軍人であり考古学者でもある)をもとにしたものです。
英国とアラブ双方の複雑な政治が絡みあうだけでなく、アラブの異国情緒と、砂漠を舞台にした珍しい戦闘シーンもあったりして、いわゆる大作映画のスケール感があるんですよね(あんま関係ないけど、ピーター、背が高いし)。

それに照らすと、あんな口開けできるようなキャラの村上さんに合ってるのかと問われれば、否定せざるを得ないんですが、まあ、オリエンタルな雰囲気だけをちょこっと借りるつもりだったんでしょうね。
毒舌吐かせてもらえば、「なんて安易な・・・」としか言いようがなく、もっと彼に合う演目を真剣に選んであげなよ、と私なんぞは思ってしまいますがね。
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by koharu-annex | 2010-11-20 14:56 | 2010-2011 フィギュアスケート
アメリカ杯 11月12日~14日
女子 ショート&フリー

遅れを取り戻すために、黙々と書く。

●ヨシ・ヘルゲソン(17才) スウェーデン
SPは、「サラバンド」。
ヘンデルのハープシコード組曲の第2番。
ピアノで演奏されることもあるのですけど、ヨシさんのは・・・器楽曲でしたかね?
まあ、いいや。見直す時間がナッシング。

大柄で背が高く、ダイナミックなところがある彼女に、この音楽のスケール感は合っていますよね。
スピードがありましたし(安定して出ているわけではないけれど)、動きにキレもありました。
ただ、その反面として、ちょっと動作が荒いのが残念ですね。

FPは、「パラディオ」ほか。
この曲ってよく耳にするけど、なんだろう?と思ってググッてみたら、ヤフーの知恵袋にこんなやりとりが。ありがたや~。
割と新しい楽曲だったのですね。

中国杯のときは、ベトベン「運命」ほかだったんですが、音楽を変えたのですね。
「運命」のときは、振付が音楽と合っていないというか殆ど乖離した印象でした。
一般的に大柄な方のハンデとして、スピードやキレがない場合に、のっそり・まったりとした印象を無駄に残してしまうことが挙げられますが、「運命」のときのヨシさんはまさにそうでした。

今回の音楽は、彼女の長所を引き出すようなタイプで、個性にとても合っていました。
そのせいか、スピードに乗ってよく動けていました。
レイチェルさんのパフォーマンスとスタンディングオベーションの後に、ここまで滑ることが出来たのは立派だと思いました。

●カロリーナ・コストナー(23才) イタリア
SPは、ガリシア・フラメンコ。
NHK杯のときも私は肯定的に書いているのですが(こちら)、振り付けを完全に自分のものにした感じで、キメが素晴らしく、完成度が高くなっていました。

キリっとすべきところを押さえていて、更にフラメンコ感が増し、フラメンコのスカートが翻る幻が何度も見えるよう。
赤い髪かざりも含め、彼女にとても似合う衣装も、これに一役買っていると思います。

FPは、牧神の午後への前奏曲。
スピードや雰囲気は良く出てて、これはスルメ系(噛めば噛むほど味が出る)のプログラムかも・・・と思ったりもしたのですが。
後半のジャンプの失敗で、流れが何度も切れてしまったのが残念でしたね。

●レイチェル・フラット(18才) USA
SPはサマータイムほか、FPは10番街の殺人より。
NHK杯のときよりも、スピード、ムーブメント、マイムや演劇的な表情などが、全てレベルアップしていた印象です。
NHK杯のときも書きましたが(こちらこちら)、彼女には「古き良き時代のアメリカ」というイメージがとても似合っているし、私はそんな彼女の雰囲気やパフォーマンスが好きです。

ただし、レイチェルさんのパフォーマンスに関する、解説の荒川さんによる「たくさんの表情を持っている」という評は、誤解を招くと思います。

荒川さんってよくこの「表情」という言葉で評価をするんですけど、ちゃんと聞いてると、身体の表情について言及しているのではなく、「顔」の表情を褒めているに過ぎないんですよね。

確かに、例えば「仏頂面のお姫様」を想像すると分かるように、身体表現でも顔の表情は無視できないですよ。
でも、やっぱり第一に褒めるべきは、同じ「表情」という言葉を使用するとしても、「身体」のムーブメントによりかもし出される表情であるべきだと思うし、実際、身体表現を評して「表情豊か」などという場合、そういう意味で使われることが多いと思う。

レイチェルさんは、比較的、顔の表情をつけるタイプですよ。
だけど、レイチェルさんのパフォーマンスにおける表現の幅というのは、現時点では、固定された1つのカテゴリ(私の言い方で言うと「古き良き時代のアメリカ」)しかない。
そのカテゴリにおける演目の完成度を高めるべく、彼女がいろんなムーブメントを入れて、それを完璧に踊りきっていることも確かですが、それでも、彼女の身体表現について「いろんな表情」があるとは言い難い、というのが私の感覚です。

●村上佳菜子(16才) 日本
SPはジャンピング・ジャック。
冒頭から顔に緊張が現れていましたが、全体を通して動きの弾け具合も、顔の表情の明るさも、NHK杯のときの方が格段に上だと思いました。
なので、ちょっとハラハラしたのですが、運動量が多い振り付けをちゃん踊れてて良かったです。

FPはマスク・オブ・ゾロ。
NHK杯のときよりも、ゾロのちょっとした重厚感あるかっこ良さが出てて、良かったのではないでしょうか。
ゾロの剣さばきが見えるようでしたよ!
お姫様の部分はまだまだだけどね(笑)。

彼女は他の同年齢のスケーターに比べて、高い運動量とスピードが落ちませんから、体力があるのでしょうね。
それは素晴らしいことです。

コメントを下さる方々から、彼女のジャンプに関して体のクセがあることや、年齢的に体型変化に差し掛かったときのジャンプの変化に心配があること、その他マスコミ報道の問題点についても、教えて頂いております。
確かに、彼女は、ジャンプがダメだと露骨に踊りもダメになっているので(NHK杯のFP)、この先ジャンプに懸念が生じた場合に、調子を崩す可能性はある程度高いと思います。

が、本来持ってる「ダンスが好き」という性質で、演目全体としての出来栄えについてフォローができるようになれれば良いな、と思います(この良い例は高橋選手ですね)。

ま、実は、この点掘り下げて言うと、「ダンスが好き」というのと「表現が好き」というのは、微妙にずれる部分があってですね・・・(高橋選手は、「ダンス好き」の「表現好き」です)。
私の懸念はジャンプよりもむしろそこでして。
佳菜子ちゃんが、ぶっちゃけ、「ダンスは好きだけど、表現って好きじゃない」と言い出さないかと、そこが心配です。
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by koharu-annex | 2010-11-20 12:59 | 2010-2011 フィギュアスケート

中国杯 雑感 その3

中国杯 11月5日~7日
男子 ショート&フリー その1

中国でのアジア競技大会、ひどいですね。
なんですか、あの審判の中国びいきと、中国人の応援のマナーの悪さは。
サッカー、試合前日の日本の公式練習にスパイクとボールの使用禁止って、嫌がらせにもほどがあるよ。

ま、裏で変なことされるより、ここまであからさまにやってもらう方がいんですけどね。
せいぜい恥ずかしいことやってもらって、世界中のできるだけ多くの人々に、中国がとんでもない国だって認識して頂きましょ。
世界中で中国警戒論や嫌中論が巻き起こる方が、地球の平和に資するってものです。

それにしても、アジア競技大会を見てると、フィギュアスケートのアジア杯での日本人スケーターへの応援が奇跡のように思えてきますね。

●ブライアン・ジュベール(26才) フランス
SPは映画「レジェンド・オブ・メキシコ」よりマラゲーニャ。
私、メキシコ好きなんですよね。
本館の記事には、「ビバ☆メヒコ!!」シリーズがあるはず(「旅」カテゴリ)。
(その一方でリゾート地カンクンを攻撃している記事もありますが…)

そんなことはさておき、ジュベールさんですな。
決して踊りが上手いわけではないのですが、随所に面白い振付があって、そこがピシッと決まって1つの世界観を作り上げていました。
(メキシコらしは出てないけど、出さなくていいです。変にフォークロアが出るとダサくてこの人に合わないので)

FPは、ベトベン第九。
日本人であるワタクシにとっては、どうしても「年末」が思い浮かんでしまう楽曲ですが、アレンジされていたので思ったよりか年末臭を感じなくて良かったです。

が、調子が悪く、ちぐはぐなムーブメントで、乗り切れないまま終わってしまって残念でした。
もともとの振付そのものは何らかの世界観を狙っていたように見えたのですけど、それができないまま不完全燃焼で終わった感じです。

●トマシュ・ベルネル(24才) チェコ
SPは「雨に唄えば」。
ジーン・ケリーの踊りを模した振付が随所にありました。
スピード感はないけれど、この楽曲の平和なテンポに良く合っていて、ほのぼのしました。

FPは、マイケル・ジャクソン・メドレー。
実は、ワタクシめ、MJにはかなりうるさいのです(こちらこちら参照)。

フランスのアモディオさんも、MJの楽曲をフリーで使用していますが、ベルネルさんと2人のうちどちらかと問われれば、アモディオさんに軍配が上がるでしょうか。
しかし、アモディオさんのパフォーマンスにも、全く満足できないワタクシなのでした・・・(こちら参照)。
ちなみに、高校の同級生だった例の「友」(昔も今も洋楽オタク)は、アモディオ君のパフォーマンスについて「むっちゃ良かった!」(←何故に大阪弁!?)とメールに書いて寄越しました。

●ブランドン・ムロズ(19才) USA
SPは、ロッシーニ「セビリアの理髪師」。
衣装が変・・・まいいや。
この楽曲については、信ちゃんの楽しいパフォーマンス(これはマスターピースだと思う)の印象が強烈過ぎますね。
ムロズさんのも先入観が全く無ければそれなりなのかもしれませんが、どうしても、なんかつまんなく感じてしまったのでした。

FPは、映画「波止場」?
いかにもアメリカ人の1類型、といったルックスと雰囲気なので、アメリカ映画は良く似合っていらっしゃると思います。
が、楽曲自体は、メロディもリズムも取りづらい、難しいものだと思いました。
音楽性が高いので、それをアピールしたかったのかもしれませんが。

それにしてもUS男子は、層が厚いですね。

●町田樹(20才) 日本
SPは「黒い瞳」、FPは映画「レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い」。

ええっと、よく動いているんです。
たぶん、踊ろうとしているんです。
それは分かる。

でも、動くたびどこか足りない印象が出るので、今の段階では動き過ぎが諸刃?とか思いつつ。
「踊る」ってなんだろう?
って根本的なところに立ち戻って考えてしまいました。

以前、「動いてなんぼ、動けてなんぼ」、という文を書いたいたことがあるんですけど(こちら)、高度な技術が伴わないまでも、身体を「動かすことができる」人の数って、実は限られる。

だから、「一生懸命さ」が前に出てしまうことはさておいても、曲がりなりにもちゃんとここまで「動ける」町田さんは、大したものなのです。
悪い例として引き合いに出してばかりで悪いけれども、ヨナちゃんやチャンさんは、ここまで動けませんからね。

だけど、踊るってことは、この「動ける」ということの、まだ先にある。

もしかすると、今は単に「振付をなぞるだけで精一杯」の段階にあるだけで、振付をこなしていけばその先に、彼の「踊る」姿があるかもしれない。
実際、彼の振付はSPもFPも、忙しい(=動作がたくさんある)振付だったから、彼があっぷあっぷしちゃうのも当然だと思う。

そうはいっても、見る者の心に響く「踊り」は、振付を感じさせないものですから。
振付の先にある、その世界へ、彼には行って欲しいと思いますね。
繰り返しますが、ここまで「動ける」のですから。

あ、あと瑣末なことだけども。
忙しい振付のときに誰しもが陥りがちだけど、腕を肩だけで動かさないように気を付けた方がいいかな、と。

●小塚崇彦(21才) 日本
SPはソウル・メドレー、FPはリストのピアコン1番。

小塚さんの真面目でコツコツとした性格に、謙虚さのある自信が加わってきたようで、絵に描いたような好青年になりつつありますね。
実は、私の姪っ子ちゃんの男の子の好みは、世界の男子フィギュアスケート選手の中で選ぶとしたら、小塚君なのですって。
「あぁ、この子は結婚には失敗しないわ~。」と思って、アンティKoharu、至極安心したのでした(笑)。

アボットさんと同様、小塚さんもそのうち大化けするかもしれないですね。

特にFP、JOのときはダメ出ししてしまった(こちら)上半身の動きが、とても良くなっています。
動いているときの「腕の伸び」が、これまでよりも一伸び大きく伸びてて、腕が長くなったように見えるほど。
優雅さも加わって、私が感じたクラシックのピアノ曲に対する違和感が消えてて、もうびっくり。
ほ~。
育ち盛りってのは、すごいねえ!

ここまで来たらもったいないので、敢えて言うけど、もう少しヒジが使えたら、時々見受けられる「腕をぐるんぐるん回してる」という印象はなくなると思いますね。

あと、これはもっぱらこざっぱりした性格から来てるような気もしますが、あと一呼吸タメることを覚えても良いでしょうね。
(持って生まれた性質が違うので、どんな曲を使用したとしても、高橋さんほどタメる必要はないと思います。)

SPはFPよりも、動きが悪かったような気がします。
特に、これは小塚さんの悪い癖だと思うのですが、明確な振付以外の部分で、視線を下に落としてしまうことが割と見受けられるのですよね。
これは、アピール力の面でちょっと損するので、直した方がいいかな、と。
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by koharu-annex | 2010-11-19 20:51 | 2010-2011 フィギュアスケート

中国杯 雑感 その2

中国杯 11月5日~7日
女子 ショート&フリー その2

●鈴木明子(25才) 日本
SPはジェラシー。
目力のあるドラマチックな表現は相変わらず。
身体の動き一つ一つがまるで音楽そのもののようでもあり、また自在に音楽を操っているかのようでもある、音楽性の高さも相変わらず。
バランスをオフした際にも、きっちり身体の動きをコントロールできるし、なんといってもダンスのうまさは、他とは一線を画していると思います。
昨シーズンはスピードが目に見えて落ちることがありましたが、今回はスピードが落ちなかったことも良かったのではないでしょうか。

FPは屋根の上のバイオリン弾き。
きらきらした花柄の衣装が似合っていました。
明子さんのこのFPの踊り、メリハリと緩急も見事ですが、特筆すべきは明るく幸福感が漂っていることです。
その明るさは、例えば村上選手のそれとは質が異なるもので、闇を知っているからこその大人の明るさ、とでも言いましょうか。
そんな明子さんの踊りが、私は、本当に好きです。

●安藤美姫(22才) 日本
SPの衣装、背中が開いたセクシーさと、個性的な素材とデザインを併せ持った衣装ですね。
FPの衣装もぐっと背中が開いています。
今季の衣装は、大人の女性のあでやかさ、品格、貫禄を兼ね備えた衣装群だと思います。

もともと、彼女はおしゃれがお好きだそうで、衣装も多彩ですが。
これまでの彼女の衣装の歴史において、ワタクシの感覚的には、
① コンセプトは分かるけど、あと1歩か2歩か手前でも良かったんじゃあ・・・
とか、
② ごめん、ミキティ、コンセプトすら分からないわッ・・・!
と思ってしまうことも、少なからずあったのです。

そのため、私は、彼女にとって衣装(そしてメイク)というのは、他の選手のような演目や自己を表現するためのツールだったりパフォーマンスの一助となるものというよりも、いわば戦いに向かうために、弱さや恐れを覆い隠して自分を守り、かつ勇気を奮い立たせたり鼓舞したりするための「鎧」なんだと結論づけていたのですよね。

ところが、今季の衣装は、「鎧」度がぐんと下がる半面、純粋なおしゃれ度が上がっている印象です。

JOやCOIのときにも書きましたが(こちらこちら)、彼女の表現は今季格段の進歩を遂げており、精神的な安定感・充足感が強く感じられますが、この衣装からも、彼女から無駄な肩の力が抜けたことが伺えると思いました。

そういう意味でも、今季の安藤さんの衣装は、これまでの安藤さんの衣装とは異なる次元にあるものと感じます。
今の安藤さんにとても似合っていますし、私もとっても好きですね。

さて、SPの曲は、ブロークン・ソローほか。
敢えてそうしたのでしょうが、難しい音楽を使ってきたな、という印象です。
リズム取りが難しいのでしょうが、早く取りすぎていて、「落ち着け~」と思っちゃいました。

踊りの印象が、全般を通して強く・硬いという一本調子になりすぎましたね。
「うまい強さ」の印象を残すためには、全編強いだけじゃダメで、ふっと力を抜く部分(別に手を抜くわけじゃない)があってこそ、強い部分が引き立つわけで。
この点は滑り込んで緊張が解けてくると、また違うのかなとも思いますが。

FPはグリーグのピアノ協奏曲イ短調。
慎重に丁寧に滑ったことにより、スピードと情感を減殺してしまった部分があったかもしれないですね。
また、緩急をつけようとしているのは分かるんだけど、いかんせん弱い。
これらについては、JOのときの方が良かった印象です。

やはり、GPシリーズとなると緊張度が違うのでしょうかね。
もう少し思い切って勢いつけるとことはつけてもよいのでは?と思いました。
特に、ラストのポーズが音楽に遅れてしまったのが、残念でした。
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by koharu-annex | 2010-11-19 01:06 | 2010-2011 フィギュアスケート

中国杯 雑感 その1

中国杯 11月5日~7日
女子 ショート&フリー その1

アメリカ杯の結果が出ているのに、1週間以上遅れて中国杯女子の感想を。

●ユウ・ヒョウワ(16才) 中国
柔軟性のある体と、柔らかい腕の動きは、誰からも好感を持たれるのではないでしょうか。
加えて、私は、彼女の手首から先の、形の綺麗なひらひらとした動きがとりわけ好きですね。

彼女の柔軟性ですが、バレエや器械体操などの西洋タイプの柔軟性というよりも、中国雑技団タイプの柔軟性だと思いました。
シルク・ド・ソレイユなどで、2つのタイプの柔軟性を同じ舞台で見比べることがあると、とてもよく分かるのですが、同じ柔軟性といっても印象が異なるのですよね。
おそらく細かい部分で、筋肉や関節の動き方が違うのだと思いますが・・・。
ヒョウワさんの動きの端々に雑技団タイプの柔軟性があるように見受けられて、面白いなあ、と思いました。

今はスピードがまだまだで体力もなく、振り付けをこなすだけでいっぱいいっぱい。
髪型などのルックス面や音楽の選択に熟慮された様子が全くないので、首脳陣サイドの「とりあえずまずは経験させてみよう」みたいな空気を感じてしまいましたが、違いますかね?
が、技術と体力の底上げがあると、表現の幅がぐっと広がるでしょうから、ノビシロはかなりあるようにお見受けしました。

●長洲未来(17才) USA
SPは、映画「イーストウィックの魔女たち」ほか。
この映画(もう20年ほど前ですね…)、私は当時映画館で見ているんだけど、10代の長洲さんに選ばなくても・・・という映画ですよね(苦笑)。
レオノワさんもFPでこの映画の楽曲を選んでいるんだけど、まあ、この点はもういいや。

衣装は似合っていましたね(映画を反映しているかどうかはさておき。←しつこい)。

疲労骨折で数ヶ月ブランクがあったとのことで、身体が大きくなりましたが、滑り込みができるようになれば、自然に解消するのでしょう、きっと。
ただ、それにもかかわらず、SPについてはスピード感がありましたし、柔軟性も変わらず、振り付けを理解した上での緩急のつけ方も良かったと思いました。
若干、以前より肩が上がってるように感じましたが、これは「こなし」が足りないことによるのかもしれません。

FPは映画「SAYURI」より。
舞妓さんにしては中国風過ぎる衣装ですが、これはそもそも映画の段階で相当「中国」入ってましたからね(着物関係者からは非難轟々だった)。

おそらくこの世界観を表現する振り付けが、本来は随所に存在していたはずだと思いますが、ジャンプが全般的に不調でそれができなかったように感じました。
きっと素敵なプログラムでしょうから、できればシーズン後半にまた見たいですね。

●アリーナ・レオノワ(19才) ロシア
中国の子供達が団体で応援している声が聞こえて、すわ、政治色!と思いましたが(以前、中国でのサッカーの試合で、日本の相手国に対する声援を中国人子供達の団体にやらせ、日本に対しては大人達がブーイングを行った)、日本人選手に温かな拍手があったので、もうどうでもいいです。
やはり、「サッカーは代理戦争だから何をやっても良い。」(by中国人←昔見たテレビ報道のレポートより)けれど、フィギュアは純粋にファンが集まるということでしょうか。

さて、SPは舞曲「サーカス」ほか。
衣装、濁りのあるピンクは、変更した方がよろしいのでは・・・?

私は、この人も(あと誰かはさておき)、演目に恵まれない人だと思っています。
いつも真実の自分とは相容れないキャラクターを「やらされている」印象です(もちろん、表現力がすごく高い人は、自分と相容れないキャラもこなせますが、そこまでの力はこの人にはないと思います)。

ルックスが、いわゆるロシア系ダンサーの「身体の線・手足・首が細長く、顔も小さい」という部類(ロシアのアイスダンスの選手はこれが多いと思う)に入りませんから、それがゆえにギャグをやらされているのでは?と変な勘ぐりを入れてしまうほどです。

彼女の本質は、ギャグや面白みにはないと思います。
それなのに、無理してそれを演じなくてはいけない。
時々、彼女を見ていていたたまれないというか、可哀想になるときがあります。

「自分の本質はそこにはない」、「でも、本質を出すことは出来ない」、という哀しみを演じることができれば、まさにサーカスピエロですから、このSPは素晴らしいものになるでしょうけど、そのためにはスーパーな演技力が必要で、それを望むのは難しいと思います。

FPは、映画「イーストウィックの魔女達」より。
こちらも奇抜な衣装ですが、似合っていたと思います。

長洲さんのところでも書きましたが、この映画(しかも取り立てて音楽がドラマチックというわけでもない)を10代の女性に選択する趣旨が私には分かりませんが、長洲さんよりは魔女的なイメージが出ており、それが合っている印象でした。
ピエロに比べると、断然こちらの魔女の方が良いと思いました。

ただ、キャラ的なものが入った演目(=演劇的要素がある演目)って、やはり技術が安定してこそ映える、ということはあるのですよね。
レオノワさんの今回のパフォーマンスは、安定感に欠けていたため、動きも雑になってしまいました。
こちらもシーズン後半に期待、ということろでしょうか。
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by koharu-annex | 2010-11-15 00:21 | 2010-2011 フィギュアスケート

カナダ杯 雑感 その4

カナダ杯 10月29日~10月31日
女子 ショート&フリー

え?信ちゃんは?
と思われた方もいらっしゃるかと。。。

もちろん、スキップしているわけでも、ましてや忘れているわけでもありません。

信ちゃんのカナダ杯のパフォーマンスに関する感想については、ずっと以前に書いたこちらの記事の続編として、まとめて書かせて頂きたいと思います。
(実はオフシーズンのうちに仕上げるつもりだったのですが、ずるずると先延ばしにしているうちに、シーズン真っ只中になってしまいました。)

ということで、とりあえず、女子へゴー!

●アグネス・ザワツキー(16才) USA
年齢の割りに色っぽい方ですね。
SP、中盤のスピンは良かったのですけど、どんどん疲れが見えて、後半は音と動きが完全にずれてしまいました。

FPは、ツィゴイネルワイゼン。
志向するところは分かるんだけど、やりきれなかった印象。

解説によると「踊ることが大好きで、スケーターにならなかったらダンサーになりたかった」そうですが、私にはそんなに踊りが好きとは思えなかったかな。

●アメリ・ラコステ(21才) カナダ
SPはロシア民謡の黒い瞳。
決めるべき箇所で、ちゃんと決めて動けるのは良いところだと思います。
が、いかんせん、ムーブメントが荒いですね。

FPはシェヘラザード。
千夜一夜物語の語り手(シェヘラザードという名の女性で後に王妃となる)が、王に話して聞かせた物語をモチーフにした、コルサコフの組曲。
組曲全体を通して、異国情緒とほのかな官能が漂ってます。
この組曲の数曲を使用してバレエが作られており(振り付け:フォーキン、初演:バレエ・リュス)、そこで強調される異国情緒と官能(ぶっちゃけエロ)は、まだ10代の姪っ子ちゃんには到底見せられないほど(笑)。

フィギュアスケートでもよく使われる楽曲ですが、異国情緒の部分を借景することはあっても、官能の部分が表現されることはあまりないようです。
ラコステさんのFPの振り付けも、官能はもちろん異国情緒も志向しているとは思えなかったので、そもそも楽曲の背景については深く考えてないのでしょうね。

ただ、ラコステさんのパフォーマンスのせいかもしれませんが、振り付け自体が、音楽にも彼女の個性にも合ってないように思えました。
これについては、滑り込んでいけば、シーズン後半には好転する部分かもしれませんが。

●今井遥(17才) 日本
SPはバレエ「ドン・キホーテ」からジプシーダンス。
ドンキもフィギュアでよく使われるバレエ演目ですけど、ジプシーダンスを選択するのは珍しいのではないでしょうか。
ドンキにおける「ジプシーの女」は、17才の日本人少女が踊れる役柄では決して無いので、えっ?と思いながら見始めた次第。

冒頭、音楽のイメージと動きがあまりに乖離していて心配しましたが、中盤からとても動きが良くなり、音楽に追いついてきた感じはありました。

私なんぞは、やっぱりジプシーダンスさがもっと出ると良いと思ってしまうのですが、このSPについても上のラコステさんのシェヘラザードと同様、そもそも楽曲の背景を深く考慮するつもりはないのでしょうから、所詮無理な希望だと思います。

FPはボロヴェッツ人の踊り。
オペラ「イーゴリ公」の一部ですが、付属でバレエが出てきます。
また、「ヴォロヴェッツ人の踊り」として単体のバレエもあります(振付はフォーキン、初演はバレエ・リュス、上のシェヘラザードと全く同じだな。笑)

このボロヴェッツ人の踊り、オフシーズンに、「真央さんにどうでしょう?」というコメントを頂いたことがあって、私は、以下のようにお答えしています。

ボロヴェッツ人(韃靼人)の踊り、私の場合は、プルシェンコさんのイメージですね~。JR東海の奈良の CMに使われた、「娘達の踊り」の異国情緒あふれる壮大な感じ、「少年達の踊り」の騎馬民族風の力強いリズム、「全員の踊り」のティンパニー、そして試合では無理かもしれないけど、あの合唱の迫力は、なんといっても、王者にふさわしい印象です。

こちらの記事のコメント欄です。この時点で読み返してみると、皆様方と妄想爆発させてて、すごく面白い(笑)。楽しかったですね、コメント下さった皆様!楽しいコメントを沢山下さって、ありがとうございました。)

ということで、今井さんですよ。
ジプシー女に続いて韃靼人が来たことに、ワタクシ、心底びっくり。
チーム今井、どんだけ彼女に期待とプレッシャーかけとんじゃ?っていう感じ?

が、蓋を開けてみれば、スケール感のある音楽に後押しされた感じでしたね。
「娘達の踊り」をバックにしたスピンはとても綺麗でした。
ただ、編曲は彼女向けにもう少し工夫できたと思いますが。。。

今は、SP・FPを通じて、振り付けをこなすだけで精一杯なので、踊り込みというか滑り込みは必要なんでしょうね。
あと、なんといっても体力。

●クセニア・マカロワ(17才) ロシア
SPはフラメンコ。
フラメンコかどうかはさておき、身体能力の高さは明らか。
また、とにかく体力があって、スピードや勢いが落ちないですね。

FPは映画「エビータ」。
NHK杯に出ていたキーラ・コルピさんと同じです。
コルピさんと同様、衣装が素敵でした。

22才のコルピさんに比べて、クセニアさんはまだ17才とお若い。
でも、クセニアさん、大人っぽく妙に貫禄があるし、力強さがありながらも優雅さの芽生え(まだ優雅さというには足りない)もあるので、エビータは合っていました。

●アリッサ・シズニー(23才) USA
美しく見栄えのする容姿、姿勢も良くて、とてもルックスの良い方ですね。
身体に無駄な力が入ってなくて、動きもとても美しいと思いました。
スピンがとても綺麗ですね。

SPの衣装も個性に良く合っていましたが、FPの変わったデザインの衣装も、流れるような全体のイメージが彼女の雰囲気に良く合っていました(ただし、左肩のフリルが一枚余計だと思いましたが…)。

振り付けについては、ミスしないように彼女にとって無難な範囲で収めている印象があるので、もう少し冒険したものを見てみたいですね。

●シンシア・ファヌフ(22才) カナダ
SPはスパニッシュギター。
この人の力強さのある個性に合っていました。
私は、もう少し哀愁が感じられる動きのある方が好きですけど、これは好みの問題でしょうね。

FPはラフマのラプソディ。
JOのときは、ほとんど感想らしい感想を書いていませんでしたので(こちら参照)、今回はちゃんと書くために見ました。

衣装がどうしようもないですね・・・。
スタンドカラーも、肩のデザインも、昔のテニス用スカートに見えるようなスカート部分も、全て良いところがないばかりか、彼女の体のたくましさを悪い方向に強調している。
ロマンチックな曲調とも、全く合ってない。
しかも、妙に窮屈に見えるので、体の動きを本来よりもずっと小さく見せてしまう。
これは、一刻も早く変えた方がいい。
今のままでは、動く前から既にマイナス、動いてから更にマイナスなので、とても損してると思います。

体格と曲のスケール感は合っていると思います。
しかし、もう少し音楽を大事にして、音を的確に把握した振り付けができるはずじゃないでしょうかね・・・。
あ、もしかしてファヌフさんのパフォーマンスの問題ですかね?
いずれにしても、食い足りないものを感じます。
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by koharu-annex | 2010-11-07 23:07 | 2010-2011 フィギュアスケート