もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

GPF 女子雑感

GPFの記事の冒頭になんですが・・・四大陸の男女SPを拝見しています。

小塚君と未来ちゃんを見る時は実に切なかった。特に未来ちゃんはあのつらい決定から日が浅いので、まだ涙が浮かんでいるように見えます。インタビューに日本語で対応した際の「今シーズン最後の試合だから…」という言葉、聞いてる方も胸が詰まります。

ロココな衣装*が素で似合うという点で、他をぶっちぎる美しさを有する遥ちゃんが、全日本に引き続いて快調な滑り出しを見せてくれたのは嬉しい限り。
*ロココ時代の衣装という意味ではなく、夢見るようなパステルカラーの、繊細で薄く重なる生地に、曲線を多用した繊細で優雅な装飾が比較的過剰にしてある衣装、な程度の意味です。
さて、GPF。こんなに遅くなってしまって大変申し訳ありませんでした。


●総合1位 浅田真央(23歳)/日本/SP=ショパン ノクターン(振付:ローリー・ニコル)、FS=ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番(振付:タチアナ・タラソワ)、EX=Smile/What a Wonderful World(振付:ローリー・ニコル)

SPノクターンの真央ちゃんは、女性の身体表現者が目指す理想形(これは複数存在する)の1つに到達していると思います。淡く白い光に溢れて、どうかすると白昼夢のように消えてしまいそうな、幻のように儚い、でもそこに確かに舞っている美しい女性。

このノクターンでの彼女は、一言で言うと、飛天。天上界に住む人はきっとそうであろうと思わせるような、この世の汚れとは無縁な「人でない」雰囲気は尋常じゃなく、彼女がふわりと腕を動かすたび、霞がたなびき、このままスケート靴が氷を離れて天に飛んでいくか、指先から霞の中に消えていってしまいそうです。

私は以前、「私の好み的には手首~指先にもっと緊張感があって欲しい」と書きましたし、それは今でもバレエ見的な感覚からすると「やっぱそうだよね」とは思っています。しかし、彼女のノクターンがこの領域に達した以上、それはイチャモンというか、こういう小手先の変更をするとむしろせっかくの完成形から遠ざかるんじゃないかという気がします。

この演技では、手のひらを柔らかく上に向けることが何度かありますが、いつも使っている「手のひら」という言葉じゃなくて、「掌(たなごころ)」と呼びたくなる感じ。この「たなごころ」を含め、ある種東洋的な天人を思い起こさせる、俗世と異なる結界の中にあるような雰囲気を醸し出す「飛天の舞」は、バレエとは異なる世界に置いておいた方が良い。

だけどさ、こういうレベルに到達したノクターンに、あの新しい衣装はどうなんだろう。デザインも色も「悪い」とは言い難いですが、何かが違うような気がする。

SPの3Aでまさかの回転不足を取られたせいで、FSは力みが出てしまいました。ブログ運営のスタンスが違うので、天野~!とは申しません…(苦笑)。が、SPの採点がFSの演技に影響したことは必定。私はとにかくFSの完成形が見られなかったことが至極残念です。


●総合2位 ユリア・リプニツカヤ(15歳)/ロシア/SP=愛はまごころ(振付:イリヤ・アベルブフ)、FS=映画『シンドラーのリスト』より(振付:イリヤ・アベルブフ)

おおう、SPの衣装は前の薄い色の方が好きだわ。薄い色の方が、少女期の移ろい易い儚い気持ちの揺れが、より感じられると思うのよ。

ユリアちゃんとえいばキャンドルスピン。テレビの実況がまちまちなので、キャンドルスピンが特定のスピンを指すのか、それとも脚を上げるスピン全般を指すのか、私には理解できませんが、それはおいといて。

キャンドル・スピンに象徴される彼女の180度(以上)開脚を含む動作、なかんずくラスト前に脚を前から上げて靴先を身体の方に向けた上で、上半身の軸を脚の方に傾ける姿勢に対する、私の正直な印象は、少なくとも今の段階ではちょっと曲芸寄りだってこと。

その理由はおそらく2つ。1つは、ストレッチした筋肉で支えられたポジショニングではなく、かつ「型」が身体に染みついた上で行うポジショニングではなく、極度に高い柔軟性という資質だけで身体を曲げているから。これは、彼女がまだ子供の身体である点に負うところが大きい。

もう1つは抒情性に欠ける点。彼女は今季から表現にも重点を置いていますが(こちら参照。コメント欄もできれば)、おそらくこの180度(以上)開脚は技術的な注意が必要なのでしょう、これをやるときには殆ど素なの(笑)。その場合、彼女の少し無愛想な表情に重点を置くと、まるで極秘で開発された柔軟な骨と筋肉を、人工的なプログラムで動かしているかのような、ちょっとした無機質さを感じる。

これらの点について詳しく書いてると長くなっちゃったので、今、別記事にまとめています(途中ですが)。その中で男子のジェイソン・ブラウン君にも言及できれば良いなと思っています(どうなるかな…)。


●総合3位 アシュリー・ワグナー(22歳)/米国/SP=クレイジー・ダイアモンド(振付:シェイ=リーン・ボーン)、FS=プロコフィエフ ロメオとジュリエット(振付:デビッド・ウィルソン)

全米選手権4位に沈んだそうですが、GPSの成績等から3位の未来ちゃんではなくワグナーさんが五輪出場権を射止めたそうですね。未来ちゃんは残念ですが(本当に…)、ワグナーさんには祝福を送りたいと思います。

ワグナーさんって偉いなあと思うことがあるのです。
彼女の身体の特質である「力み」は、どうしても表現の幅を狭くするんですが、そういう制約がある中でも、毎シーズン、選んだ演目ごとに似つかわしい表現を見つける努力を行っているところ。

その努力、私からすると「あ、いや、そっちじゃまずいだろ」ってこともあるし、トライした表現が結局のところ空回りで終わった演目もあるけれども。「柔らか」や「優雅」等いわゆる「女性特有の」と枕詞がつくようなムーブメントと縁遠い彼女が、諦めずに自分のできる表現を模索する姿は、端的に素敵です。

ま、こういう私が素敵だなと思うところって、真央ちゃんの理想形の点もそうなんだけど、点数に結びつかないのだけどね(苦笑)。


●総合4位 エレーナ・ラジオノワ(14歳)/ロシア/SP=映画『アンナ・カレーニナ』より/Two Steps From Hell、FS=映画『フリーダ』より(振付:イリヤ・アベルブフ)、EX=Zombi Dance

「可愛い!」と叫ぶのは前回でお終いにしますが(笑)・・・関節と関節を糸で繋げただけの操り人形のように、どうにでも動きそうな、でもふとした瞬間に瓦解してしまいそうな肢体。この独特な身体が、ものの見事に動いていく様を見ることができるのは、とても楽しい。ここまでの独特な動きは期間限定かもしれませんが、そうであるなら尚更、これからの成長過程にも興味が出ますね。

ファイナルでは唯一五輪出場資格がない彼女にアドバンテージがあるかもと思っていたのです。五輪出場を狙うお姉さん方より気楽に臨めるかな、と。ですが、さすがに緊張したようで・・・これまでは、若さとシニアで滑る喜び、そしてデビュー年故の怖いもの知らずな、憂いのない溌剌さに溢れていたのに、今回はほんの少し影が差したように感じました。ただそうはいっても、わずか14歳。この年齢でここまでの出来はまさに上々でしょう。

EXのゾンビダンス、衣装替え!うわ~、可愛い(あ、言ってしもた)
以前の記事のコメント欄で、ファイナルでのこの衣装が「ゴスロリ」みたいで可愛いって書いてた方がいらっしゃったのだけど、確かに~。私は、また、映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」に出てくる少女のまま吸血鬼になったクローディアを思い出したりしたわ~。

さて、ロシアの2人の少女について、複数の記事にわたって同じ方から鍵コメで教えて頂いたことが沢山あるので、ここでちょっと皆様にもご紹介を。情報を下さったY様(←とりあえずイニシャルにしてみた)、いつもありがとうございます。多方面から情報を集めることは物理的にも気力的にも不可能なので、本当に感謝しています。

ユリアちゃんとラジオノワちゃんって同じコーチについていらっしゃるんですって。振付師が担当していらっしゃいますが(←Y様からご指摘頂きまして、修正いたします。ご迷惑をおかけしました~)、2人は正反対の性格なので(ユリアちゃんが内向的、ラジオノワちゃんが外交的)、双方の長所・短所を考慮したプログラムを用意されているのだそうです。

ラジオノワちゃんは、もともと表現することがとってもお好きで、音楽も踊りも演技も全て大好きなんですって。対してユリアちゃんは、昨年までは技術オンリーだったけれど、今季から表現することにトライしているのだとか。そういう意味でも、この2人は対照的ですよね。

鍵コメのY様は、対象的な選手が同じ国に同じような年齢(1歳違い)で生まれて、今後競い合って行くであろうことに、ちょっとした運命的なものを感じるとのことですが、まさにおっしゃる通りだと思いました。


●総合5位 アデリナ・ソトニコワ(17歳)/ロシア/SP=カルメン(振付:ピーター・チェルニシェフ)、FS=序奏とロンド・カプリチオーソ(振付:ピーター・チェルニシェフ)、EX=オブリビオン

ファイナルでは実力発揮できませんでしたが、その後のロシア選手権では2連覇優勝(←すみません。コメント欄でご指摘頂いたので訂正します。情報ありがとうございました)したそうですね。シニアに上がってから成長する身体に苦労し、なかなか安定して成績を残せなかった彼女。そうこうしているうちに若い自分よりも更に若い選手が次々に名乗りを上げてきて、ホントに大変そうです。暫くはシングル女子は、ロシア選手が中心になるかもしれませんね。今の日本男子のように国内選抜がもっとも過酷になりそうです。

それにしても、FSの振付の独創性は見事。また、ソトニコワちゃんのこなし方がね、素敵なのよ。真央ちゃんとは異なる類型ですが、確かな造形美がそこに。時々スムーズにいかずに、ちょっとワタワタしてることもあるけれど。

この演目には、エッジの利いたコンテンポラリーダンスを見ている快感があります。フィギュアスケートを見ているけれども、ダンスは見たことないという方から、「コンテンポラリーダンスってどんなの?」と訊かれたら、手っ取り早い例示としてこの演目を教えて差し上げるってのもアリかな、なんて(笑)。


●総合6位 アンナ・ポゴリラヤ(15歳)/ロシア/SP=エル・チョクロ、FS=映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』より「マーメイド」

今季のグランプリシリーズ台風の目の一人でしたが、ここにきてこんな形で若さが出ましたか。彼女の欠点と言っていいのかな、アクセルジャンプに対する苦手意識と、脚のムーブメントの乱暴さの両方が、前面に出ちゃってましたね。

FS、髪型がより原作を彷彿とさせるものになり期待感高まったのですが、後半激しく疲れてしまったようで遅れに遅れて惨めなフィニッシュ。本来は腕の動きも美しく、ポテンシャルの高い方なので、この悔しさを糧に頑張って欲しい。






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by Koharu-annex | 2014-01-24 03:05 | 2013-2014 フィギュアスケート