もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

フランス杯 女子雑感

フランス杯の女子は上位のみ簡潔に。


●総合1位 アシュリーさん(22歳)/米国/SP=クレイジー・ダイアモンド(振付:シェイ=リーン・ボーン)、FS=プロコフィエフ ロメオとジュリエット(振付:デビッド・ウィルソン)

SP、アメリカ大会で「ピンク・フロイドのこの曲(に限らず他の曲にもそういうの結構あるんだけど)って、エネルギーをぐーーっと下に押し込んで、ため込んで沸々させるようなところがある。いつも力んでいるワグナーさんに良く似合うなあ。彼女のようなタイプは、エネルギーを外にがーっと出すか、ぐーっと内に(イメージ的には身体を通り抜けて地下のマグマあたりに)押し込めて重さを出すか、そのどっちかを選択するのが常道でしょうが、あんがい後者の方が似合っているかも。」って書いたんだけど・・・こういうマグマ溜まりまで押し込んでしまう演技って、自己完結してしまうのね(笑)。エネルギーを外に発散することがないから仕方ないかもしれないけど、鑑賞者サイドとしてはなんとなく引いて見て終わってしまうかも。

FSは、JOや(こちら)アメリカ大会(こちら)で書いたとおり、アシュリーさんのジュリエットは「争いと死」の音楽で構成された極めて特殊なジュリエット。

バレエでは、パリスと結婚させられそうになり追い詰められたジュリエットが、ショールをはおって闇に紛れて僧ロレンスのところへ駆け込んでいく場面で、わざとジュリエットにショールをはためかせるの。ショールは死神のマントのように空(くう)をたなびいて、その後の悲劇を連想させるように構成されているんです。

何が言いたいかと言うと、アシュリーさんのジュリエットが、このショールが見えるようなジュリエットであれば、この音楽群と親和性が出てくると思うんです。アシュリーさんにも、そういう方向でやろうとしている部分は見て取れる。でも、やっぱりまだ、ちょっと無理して想像しないといけない感じ。ただ、そうはいっても、冒頭からラストまで徹頭徹尾そういうジュリエットで通すというのは、設定として無理があるような気もします。やっぱり、愛を知った幸せと、悲劇とのコントラストがあった方が、(特に長いFSは)構成し易いような。


●総合2位 ソトニコワちゃん(17歳)/ロシア/SP=カルメン(振付:ピーター・チェルニシェフ)、FS=序奏とロンド・カプリチオーソ(振付:ピーター・チェルニシェフ)、EX=オブリビオン

SPの楽曲、普通のオーケストラバージョンじゃなくて、ピアノの音が印象的な演奏を使用していますよね?そんな音楽も手伝って、シザリオさんのカルメンと比べるとアーティスティックなカルメンと言えるでしょうか。中国杯の時と同様、迫力は感じられるのですが、ミスがあったため、期待した「カリスマ性のある中、悪の香りのするカルメン」とまでは残念ながら到達せず・・・。

FSは、コンテンポラリーダンスのようなとても素敵な作品で、私は大好き。衣装は賛否両論あるだろうけど(否定派からは、破れてるとかボロとか卑猥とか言われそうだ、笑)、私はこの演目のコンテンポラリー的要素と親和性を感じていて、結構好きです。それにしても、この五輪シーズンにこんな実験的な作品で挑んでくるなんて、彼女への期待の大きさが分かろうってものです。

難しい振付を独特のカリスマ性を持ってこなしているのは、さすがです。一歩一歩この演目の完成へと近づいていて、本当に楽しみです。


●総合3位 アンナ・ポゴリラヤ(15歳)/ロシア/SP=エル・チョクロ、FS=映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』より「マーメイド」、EX=キャッツ

度肝を抜かれた中国杯(こちら)ほどの衝撃は無かったものの、上々の出来だったのではないでしょうか。

アクセルジャンプが中国杯の時から苦手っぽかったのが、この大会で顕著になりました(そしてGPFでは決定的になるという・・・)。これは彼女にとり早急に克服せねばならない課題なのでしょうね。また、ウィンドミルのグリングリンの速さにビビりつつ、もう少し丁寧な方が美しいと思ったり。ただ、脚を乱暴に動かすことって、ロシア系のダンサーにも結構いるよなあと思ったり(脚が長いので余計目立つ)。

EXのキャッツ、私、結構好きです。もう少し中味が濃ければ、とは思いますが。


●総合4位 サマンサ・シザリオ(20歳)/米国/SP=Fever(振付:Inese Buciveca)、FS=カルメン(振付:Inese Buciveca)

レディースの特攻服が似合いそうな、ヤンキーの香りぷんぷんなシザリオさんです(あ、ヤンキーって元来はアメリカ野郎って意味ですけれど、ここで使ったのは映画「下妻物語」に出てくるヤンキーです)。特にFS、彼女のヤンキー香がハスッパな下町のカルメンとピタリと合ってて、フィギュアスケートにおける歴代のカルメンの中では、原作キャラとの合致具合がピカ一ではないでしょうか。もちろん、身体表現的にはまだまだやるべきことがありそうですが。

荒川さんが彼女のことを、リズム感が良いとか、曲調や曲の緩急に良く合った踊り、よく音を捉えてるなんて褒めてたけど、私はちっともそう感じなかったわ。少なくとも今回の演技では、レベルはいずれも低く、雰囲気だけでやってる感じよ。
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by Koharu-annex | 2013-12-16 23:15 | 2013-2014 フィギュアスケート