もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

世界選手権 女子雑感 その1

皆様、前回の記事(&追記)に対して、温かい応援コメントありがとうございました。
私の怒りの鼻息も、皆様の愛情によってすっかり収まりましたです。本当にありがたくて、涙ちょちょぎれました。また、このところコメントを頂いていなかった懐かしい皆様方からも、多くのコメントが入っていて、「まだ見てくれてたんだ~」と嬉しく思いました。

今後も、ワタクシ、自分が思ったことしか書かないので、激しい反応をくらって鼻息ぶひーっ!になる時があると強く予想されます。その時は、またよろしくお助け下さいませ。

ってことで、大変遅くなりましたが、ワールドの女子雑感です!
・・・が、上位陣の感想がまだ少しかかりそうなので、とりあえず4位以下をアップします。


●4位/村上かなこ(18歳)/日本
SP: Prayer for Taylor
FS: Oblivion、A fuego lento、Adios Nonino byピアソラ

表彰台には手が届かなかったけれども、SP・FSとも素晴らしい出来で、上等ではないでしょうか。

全身で踊るってこういうことだよな~と、彼女を見ているとそう思います。本当に踊りが上手なの。もう、笑っちゃうくらい。ただ、今は、その資質(だけ)でやり過ごしている感じです。あー、ポテンシャル有る人には要求が厳しくなるなあ、私。

何が言いたいかと言うと、素で踊りが上手いからそういう風に見えないかもしれませんが、今のかなこちゃんは、指示通りに振付をこなしただけだと思う。もちろん、試合で「振付をなぞって動く」ことすらままならない選手も多い中、「振付をこなした」ところまで至っているのは、それだけでエライです。実際、彼女ほどこなれた動きや踊りを見せられる選手ってなかなかいないし。

でもね、たぶんかなこちゃんは、もともと踊りが上手であるがゆえに、普通の選手よりも簡単にその段階に至れるはずなんですよ。その点に関しては、「血のにじむ努力」は必要じゃなくて、資質(=もともと踊りが上手い)でカバーできる範囲にあるというか。

だからこそ、私は、次の段階に行って欲しい。身体表現ってのはもっと奥が深い。なぜ、ここにその動きがあるのか、なぜこの動きとともに切ない顔をしろと指示されるのか、一歩先に踏み込んで考えて欲しい。究極的にいえば、「何を表現したいのか」。

こういうことを「頭」で考える必要が無い人もいる。踊りが上手という資質だけでなく、その領域までナチュラルに踏み込んでいける資質まで兼ね備えているって人。表現の地力が圧倒的に強い(というかほぼ天才)高橋さんは、まさにそういうタイプだと思う。

でも、かなこちゃんは、このタイプではない。踊りは上手いけれどね。つまりは、かなこちゃんは、身体表現が好きっていうよりかは、ダンスが好きな人だと思う。これ、かなこちゃんがデビューした年の感想で、そうじゃないかな~と思って「危惧」として書いたように記憶しているけど、当たってしまった感じです。

ただ、こんなところまで要求するのは、愚の骨頂っていう気も充分してます。点数に反映されるわけじゃないしね・・・。

●5位/アシュリー・ワグナー(21歳)/アメリカ
SP: 映画「レッド・ヴァイオリン」より
FS: サムソンとデリラ

全米2連覇で今度こそワールド表彰台を狙うはずだったアシュリーさん。でも、なんだか影が薄くなってきている気がする・・・。
空気って残酷だからなあ。特にニューヒーロー、ニューヒロインを期待する空気って、すごく残酷。ワグナーさんだってまだ21歳なんだけど、フィギュアスケートにおける「若手」って10代だからなあ。ナショナルでそういう雰囲気に当たって、自信が少しゆらいじゃったかなあ・・・。

ただ、SPの緊張感ある楽曲では、この少し自信が揺らいだ感じや、アシュリーさんの例の「常にどこかが力んでいる」ような硬さのあるムーブメントが、楽曲と妙なマッチングを見せていました。すごいな、こんな偶然の化学反応もあるんだな。

FSでは丁度盛り上がるところで、思いがけず転倒してしまいました。それがかなり痛そうで、その後スピードが落ちて動きが鈍くなったところもあり気の毒でしたが、最後は力強くフィニッシュ。もちろん、例の「般若の御顔」ですわ。なんだか最後にこのお顔が見られて、少し嬉しくなった自分に少々びっくり。GPSの時に私が欲しいと言った艶めかしさや妖艶さは、やっぱり最後まで無かったけれども、まあ、いいや。

●6位/グレイシー・ゴールド(17歳)/アメリカ
SP: 映画『パジャマ・ゲーム』より「Hernando's Hideaway」
FS: 映画『ライフ・イズ・ビューティフル』より

アメリカ人特有の華やかなスター性のある方で、やってもらいたい演目が次々と浮かびます(どれもクラシックじゃないけど!笑)。

四大陸の時に、「若木のような勢いがあって元気なのね。それは表現面の未熟さの裏返しでもあるのだけど、瑞々しい若さが感じられてちょっと可愛い。」と書いたのですが、今回はこのフレッシュさよりも緊張による硬さの方がより目立ったかな。

が、もともと持っているポテンシャルからすれば、ムーブメントの硬さが除かれると、すごく素敵なパフォーマンスを見せてくれると思う。彼女の動きって、アメリカらしい大雑把なところがあるけれど(バレエダンサーにもこの傾向はある。笑)、決してガサツじゃないし。

層の厚いUS女子。5位のワグナーさんと合わせて、3枠の枠取り成功はめでたいことですわね。コストナーさんやヨナちゃんのように、母国で頭抜けた存在であるがゆえに枠取りの重圧を一人で負わなくてはならない場合も大変でしょうが、層の厚い国であるがゆえに、枠取り必須の重圧があまりにも現実的である場合のプレッシャーは相当なものだと思います。

そんな中でよく頑張りました。US女子は、ポテンシャルが高くてもフィギュアと別の世界に興味を持つ場合も多いように見受けられるので、ゴールドさんがこのまま真っすぐこの道を歩まれることを期待しています。

●7位/李子君(16歳)/中国
SP: 黒い瞳
FS: 眠れる森の美女byチャイコ

アイドルのような、王道を行く愛らしさ。遠目で見ると、愛玩犬に通じるものもあるなあ、「アドラブル~♡」って言いたくなるような(笑)。FSのスタオベは、アイドルデビューの拍手もあったと感じました。

まだ子供のような華奢でか細い体型、柔軟性のある身体、小さなキラキラするコマのように回る回転、とても魅力的です。SP・FSともローリー・ニコルさんヘレン・ジャンさんとの共同振付ですが、可愛らしい衣装も手伝って、彼女の愛らしさを十二分に引き出していました。ジジュン・リちゃんは、まだ振付をなぞっているだけなんですけど、その「なぞっているだけ」という動作が、むしろ愛らしく映ることを狙った振付だと思いました。

当然のことなのでしょうが、体力とスケーティングは今後の課題なんでしょうね。お姉さんスケーターや同年代でももっと大きな体型の選手に比べると、全般的にスピードが遅いし、スケーティングに力強さがないですね。良く言えば「軽やか」なんでしょうけど、普通に言えば「弱々しい」滑りというか。

●8位/ケイトリン・オズモンド(17歳)/カナダ
SP: Mambo No. 8、Gwendoline
FS: カルメン組曲

若い17歳で、カナダの枠取りを1人で背負ってのワールドでしたが、立派だったのではないでしょうか。
少々(でもないか。笑)ガサツながら、パワフルでエネルギッシュ。特にSPでは、ご本人はラティーノではないのでしょうが、明るく前向きで、短所も勢いでカバーしてしまうような、若さゆえの愛嬌がありました。

でも、やっぱり、ガサツ(笑)。来シーズンは、もう少しこの方面にも気をつけて欲しいなあ。18歳にもなると、若さの愛きょうで全てカバーするのは無理なので。

あと、少し太り易い体質だと思われますので、ジャンプのことを考えると、体重管理も必須でしょうか。この年齢の女子に、敢えて指摘するのは酷なような気もしますが・・・。ただ、このまま又は体重増加になると、絵にかいたような「むっちむち」で、それが今季の演目志向や乱暴と言っても良いガサツさと重なると、安っぽい下品さにつながり易い気がしますので、敢えて指摘。

●9位/アデリナ・ソトニコワ(16歳)/ロシア
SP: スペイン奇想曲
FS: 映画『バーレスク』より

昨年は難儀した「成長した身体」に、今季は少し慣れてきましたかね。動きを追うだけでアップアップしていた時期もありましたが、今回は振付をこなそうとしている段階に入っていました。

ただ、だからこそ、SPは惜しい!
こなそうとしていることが分かるだけに、「こなし」の未熟さの方に目が行ってしまう。というのは、ソトニコワちゃんが振り付けをこなそうとすればするほど、その振付が「狙っているところ」が分かってきちゃうわけですわ。端的に言うと、SPは、もっとタメなきゃいけないところが随所にある。

ただ、もちろん、この年齢でここまでこなせば、充分過ぎるほど充分なんですけどね。
ちなみに、来季まで持ち越しても、踊り的に「完成版」に至ることは難しいと思います。イレギュラーでユニークな動きに彩られたタラソワさんの振り付けは魅力的ではありますが、いかんせん詰め込み過ぎで、完成版の実現は、物理的にほぼ不可能だと思います・・・。

万華鏡のようにくるくると新しい動作が繰り出されて魅力的なんですけど、音楽に乗せて全ての動作をきっちり完成させることはほぼ困難というのは、タラソワ振付の諸刃って感じですかね。

FSは、長いだけに、SPほど詰め込み過ぎの印象は受けなかったけど、やはりキツイですよね(笑)。
16歳で、この演目をやりきったソトニコワちゃんを褒めてあげたい。

●10位/エリザベータ・トゥクタミシェワ(16歳)/ロシア
SP: アディオス・ノニーノ
FS: 黒い瞳

うーん、タクタミちゃんは、成長した身体にこれから慣れていく段階なのかもしれませんね。SPでの思いがけないところでの転倒や要素のすっぽ抜けは、そういうことも関係しているのかなと。
ただ、身体の成長に伴い、体力的な問題は解決したようですね。FSでも、最後までスピードが落ちず、きっちり踊り切りました。

指先から手首、そして腕~肩~首の美しい動きは、彼女の大きな魅力。そして、キレがありながらも繊細な踊りが出来る人です。手袋をして指先まで全て黒で覆った衣装(SPもFSもともになのね)は、これらの長所を、遠くまで見せつけるナイスな選択。が、目立つだけに、腕が伸びきらなかったり、適当に済ませてしまった場合も、必要以上に目立ってしまいますがね・・・。

独特かつセンスの極めて良い緩急の付け方は、彼女の踊り心の豊かさを如実に表すものです。これが、華奢な手指の繊細な動きと、何より彼女の少し影のある蠱惑的な雰囲気と合わさると、快感を覚えるほど。今シーズンの両演目は、いずれもフィギュアスケートではおなじみの楽曲ですが、タクタミ色満開でした。なかなかここまで染め上げられる人っていないんじゃないかな。

●12位/鈴木明子(27歳)/日本
SP: 映画「キル・ビル」より
FS: О (シルク・ド・ソレイユ)

うーん、身体の動きや踊り自体は悪くなかったと思うんですけど・・・やはりジャンプの失敗が多いと、点数は本当に上がらないですね・・・。NHK杯のときはジャンプも含めて本当に素晴らしかったので(特にFS)、調子を崩しただけでこんな風になるとは、なかなか信じ難いところもあって・・・。

高橋さんの所でも書きましたが、つい思っちゃうんですよね、疲れがピークになってるんじゃないかと。だって、少なくとも年明けから多忙すぎるというか、確か3試合目でしょう?・・・他にもアイスショーなんかにも出てるような? なんにせよ、この年齢の選手がベストの状態を持っていくには、キツイような気もするのです。

選手によっては試合を重ねた方がむしろ調子が上がる人もいらっしゃるかもしれませんが、全ての選手がそうとは思えず・・・鈴木さんに合ったベストの調整方法を選択できる状況にあるのか、ちょっと疑問で・・・気の毒な気がします。
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by Koharu-annex | 2013-04-06 23:11 | 2012-2013 フィギュアスケート