もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

四大陸 男子雑感

日本選手では、男女で明暗が分かれた感のある四大陸。

受験シーズンだからでしょーか、高校生くらいまでは確実に見受けられる不変の傾向、すなわち、「男子って、全国模試や実力テスト前にある学校の中間テストとか、点数悪いよね~。女子はコツコツ真面目だから、大きく違わないけど。」を思い出しましたよ(笑)。

まあ、この傾向からいえば、3月の世界選手権では男子も本領発揮してくれるでしょう!

●1位/ケビン・レイノルズ(22歳)/カナダ
SP: チャンバーメイド・スイング
FS: 協奏曲「ピアノとオーケストラのためのホ短調4」 by アンドレ・マシュー

おめでとう、おめでとう、本当におめでとう!!

踊り心があるので、カナダ勢の中ではチャンさんよりもレイノルズさんの方を評価したい、と書いてから既に2年以上が経過。
長い間イマイチポジションから脱することができず、点数を確認した後のキスクラでのがっかりした様子から、モチベーションがもつだろうかと心配したことも1度や2度じゃなかったよ。

ようやくレイノルズさんの天賦の才が花開く瞬間が。
こんな笑顔の、こんなはしゃいだ彼を見たのは初めてで、胸が熱くなりました。

NHK杯で彼にたくさん花を投げ入れた友人も、「チャッキー大金星!!」とメールを送ってきましたよ。いやだからケビン・・・笑

今回、昨季から持ち越しのSPの冒頭の音楽を聴いた時、私、なんだかとっても楽しくなってきたんですよね。
レイノルズさんがいつもよりも乗っていたのかもしれません。それに、私、この人を食ったような、おふざけ感のある音楽がとっても好きになって来ているのかも(笑)。

本来、優雅というよりは、むしろマリオネットや漫画・アニメのようなユニークな個性を感じさせる、コミカル味だったりユーモア味のあるリズミカルな動きが得意な彼ですが、このSPはその真骨頂のような気もします。順位こそ6位でしたが、それ以上の存在感がありました。

そしてFS。
なんといっても宮本さんの振付が素晴らしいです。大変に、大変に、素晴らしいです。
これまで宮本さんがいろんなスケーターに振り付けたいろんな振付を見てきて、素晴らしい才能があることは認識していましたが、ここまでだったとは!!宮本さんは日本の宝ですわよ。

レイノルズさんの長所である長い手足を生かすというだけでなく、彼の短所を非常にうまく隠すことに成功していました。本当に素晴らしいと思います。

レイノルズさんは脚が長過ぎて重心が高過ぎるんですよ。バレエダンサーでも時折いらっしゃるんですけど、そうなると長い脚を持て余し気味になっちゃって、踊りが不器用そうだったり不自由そうに見えてしまう。

話はそれちゃうけど、身体を使う表現やスポーツって何でもそうだけど、そこにおける重心の適正位置(幅)がある。
昔、曙が横綱になった時、「不細工な横綱だねえ」って悪態をつく相撲ファンの爺ってのがそこここに居たんだけど、それは曙の脚の長さからくる重心の高さが、相撲の適正位置にないからだと思う。それ故に生じる、「型」の不格好さや、若干の異様さを感じさせる独特な動き(特に負ける時に顕著。他の相撲取りと全く違う動きになっちゃうので、そう感じてしまうのだと思う)が、爺の気に障ったのだと思う。
脚の長さは、胴長短足の日本人からすれば憧れだけど、そういう短所もあるってことですわね。

宮本さんの振付は、レイノルズさんのこの脚の長さからくる短所を、よく隠していました。
それどころか、上で書いたように、「優雅」を志向する動きは本来の彼の得意とする動きではないにもかかわらず、繊細さが同居した優雅さを見せる方向で成功させています。

手足の長さを生かすことを考えた場合、単純に手足を大きく長く見せる振付が施されがちだと思うんです。
が、宮本さんは、それだけに終わらない。
特に「腕」の軌道(レイノルズさんは手袋をしているので指先の軌道をみると分かりやすい)が直線的ではなく、円形や曲線を描くのは、手足の長い人のための振付ですが(逆に手足が短い人は直線的な動きがスピーディーで上手)、頭部や胴体を含めた、レイノルズさんの細身の「体全体のライン」そのものが非常に美しく見えるように、伸びやかに、あるいは伸び上がるように、身体全体を大きく一つに使ってグンと伸ばす動きが多用されています。
これにより、レイノルズさんの姿勢の悪さ、手足の長さを持て余している感などの短所を、ほぼ感じさせないことに成功しています。

加えて、どなたの功績か知りませんが、音楽のチョイスも秀逸。
レイノルズさんがもともと持っているテンポ感によく合った無理のないテンポです。このテンポの合致は、レイノルズさんが得てして陥りがちだった動作間のぎこちなさを、最小限に抑えることに成功していると思います。

とにかく身体全体を伸ばす動きが多いので、後半はかなり体力的にしんどい状況だと感じましたが、気力で身体を伸ばして滑り切りましたね。
ビバ!であります。

●2位/羽生君(18歳)/日本
SP: パリの散歩道
FS: ミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」より

うっわ、顔色悪いなあ(特にSP)。
私の姪っ子ちゃんが喘息持ちなんだけど、彼女はこの冬の時期(1~2月)が一番体調が悪いのですって。羽生君ももしかして、そういう時期かも・・・と心配してしまいました。

友人の小児科医(男性)がフィギュアスケートが割と好きで、中でも羽生君がお気に入りだと言うので、「羽生君って小さなころから喘息持ちらしい」という情報を提供したところ、「ボランティアでいいから羽生君の専属医になって遠征に同行してあげたい。Koharuさん、なんとかコネクション作って話をつけて下さい。」と申しておりました。なんだよ、話って(笑)。いずれにしろ40代の働き盛りの小児科医をそんな気持ちにさせる羽生君の魅力、恐るべし。

SP・FSとも、冒頭の4回転は相変わらず見事ですね。

ジャンプの失敗はありましたが、SPでは、熱情を抑えたクールなロックスター(本人にその意図はないのだろうけど、少しシニカルさすら感じる)が板に付いてきました。

FS、時折見せるキレのある動きは素敵なのですが、全体的に粗い。
例の「シャラン」と音を立てる小さな沢山の鈴は、ほぼ消滅し、「大人の男」への階段を上り始めた羽生君。鈴の音が露骨に聞こえていた時期は、この粗さが儚さを補強するような役目を果たし、むしろ妙な魅力にさえなっていたのですが、今の段階に至ってはそれは期待できないものになってしまいました。今後はこの粗さの改善が必要でしょうか。まあ、そんな文句を垂れつつも、彼の表現の才能は本当に素晴らしいと言わざるを得ないですわね。

●3位/ハンヤン(16歳)/中国
SP: ジェラス
FS: 仮面舞踏会byハチャトリアン

うん、この人が目指すべきは、ずばり、「香港ノワール」でしょう(笑)。
「インファナルアフェア」は世界的にみても傑作映画だと思っているワタクシ(ディカプリオ君でリメイクしたハリウッド版は…だったが)。フィギュア界にも、あの世界観を託せる人材が出てきましたよ!

ガチンスキー君の無愛想とは類型を全く異にする、この無頼漢のような無愛想。
FSで音楽にクラシックを使っても、隠しきれない「下手に触れると怪我するぜ」な雰囲気。
♪ ナ~イフみたいにとがっては 触る者みな 傷つけた ♪ なんていう10代特有のものではなく(この手のタイプは20代になると頼りになる整備工のあんちゃんになったりする)、本質的なものを感じさせる。しかも、そこに、うっすら哀愁すら感じてしまうのは、私の単なる期待?

間違いなく青リンゴでありながら(その匂いもちゃんとします)、本質的なダンディズムを感じさせる、恐るべき16歳だわ。
この人は無理して笑うことないし(今も笑ってないけど)、無理してクラシックなんか使う必要ないと思いますよ。
頼むからガチンコで行ってくれ、香港ノワールに。
お願いだから、単なる「ちょっと怒ってるらしい若い中国人」で終わらんで欲しい。

●4位/マックス・アーロン(20歳)/US
SP: 映画「トロン:レガシー」より

映画そのままの衣装で音楽にも乗り、なかなか気合い入ったパフォーマンスでしたが、技術的なミスもあり、点数はいま一つ伸びず(SP10位)。

FS楽しみにしていたのに・・・大健闘して最終順位を4位まで上げたアーロン君のFSをomitするってどういうこっちゃねん、フジテレビ?!

●5位/リチャード・ドーンブッシュ(21歳)/US
SP: With or Without You by U2
FS: The Wild Ones, Harlem Nocturne, Rooftops

SP、FSとも表情が硬くて、全体的に余裕がない印象でした。もともと持ってる小芝居的なマイムの上手さも影をひそめた感じ。4回転の緊張と体力消耗によるのかもしれませんね。おそるべし、4回転。

難癖つけるつもりはないのですが、この微妙に「ちょっと」姿勢が悪いの直せないかなあ。。。微妙なだけにすごく気になっちゃうんですわ。いっそものすごく悪い方がすっぱり諦められるっていうか。

●6位/ナン・ソン(22歳)/中国
SP: The Middle East Side
FS: 交響曲第4番、ロミオとジュリエット

新星の無頼漢ハンヤン君の登場により、影が薄くなってしまったナンソン君。
本来は濃ゆい存在感のある人なのに・・・・髪の硬さというか、ツンツン具合も、なぜか大人しくなってしまった印象(というかハンヤン君の髪が言うこと聞かなさ過ぎ?)。

音楽と衣装、そして振付が、いずれもちとダサく、そのマッチングも「?」なのは、相変わらず残念。技術的に高いものを持っているのに、このダサさが技術のレベルをも少々低く見せている気がする。この点がひどく気の毒なのも相変わらず。

●7位/高橋大輔(26歳)/日本
SP: 月光(ベトベン)
FS: 道化師

さーて、新SPですよ。どうですか、皆様。

まず、衣装は良かったと思う。あの超有名曲と皆分かっている上に、「あ~、銀色のニュアンスのある青白い月光で行きますか。」と視覚からも刷り込ませることができますから。
(袖口につけられたリボン?可愛いね)

次に、音楽。
演技を見ながら率直に思ったことは、「音楽が弱い」ってこと。

なので、映像を見ないで何度も音楽だけ聴いたんですよ。
定番の第1楽章と第3楽章で(私は地味に第2楽章も好きだったりするんだけど、やっぱりomitされてましたね)、かつ、単純といえば単純なフレーズチョイス。
正直にそのまま言うとね、「女子向きだなあ」と思いました。パッと浮かんだ顔は、真央ちゃん(間違いなく似合う)。

男性でかつ濃厚な演技が得意な高橋さんには、やっぱり弱いかなあと。
ここ数シーズン(しか私は見てないわけだが)の高橋さんのSP、ガツンとパワーのあるものばっかりだったからかもしれません。でも、それは審査員でも感じるのでは・・・(苦笑)。

ただね。
高橋さんって、天才ですからね。
滑り込んで物にすると、楽曲すら別次元に力づくで持っていく才能があるので、そうなったら全く別の舞台を見せてくれるかもしれません。
音楽と一体化しても、音楽に隷属しないのが、彼ですから。(彼の場合は、音楽との一体化って、音楽を支配することと同義だわね。しかも、その支配の仕方が独特。そうなると別物の音楽に聴こえたりする。)

あと、彼のムーブメント。今まで見たどの演目のときよりも優雅でした。
あ~、こういうこともできるんだな~、さすがだな~と思ったことでしたわよ。

FS、冒頭の身体のキレは悪くないと思ったのですけど。
まあ、こんなこともあるんだな、としか・・・(苦笑)。

昨年暮れの全日本のFSが凄まじかったんですよ。
「ああ、良いもの見れた。札幌まで来て本当に良かった・・・」と心底思いました。連れのスケオタさんは「ここまでのものは、10年に一度見られるかどうかってくらい」とおっしゃってたほどでした。
そうするとですよ、陰陽思想とか、作用反作用の法則とか(ちょっと違う?笑)、そういう類の流れに乗ってしまった場合、今回の「理由が分かんない失速」ってのも、世の中的にはあるのかな、と。
しかも、禍福は糾える縄の如し、でございますよ。次のワールドは大丈夫ってことだ(笑)。

ただ・・・「最初で最後」の会場へのご両親招待っていう実況を聞いたときは、切なかった。
つらい。つらいよ。。。

●8位/無良崇人(21歳)/日本
SP: マラゲーニャ
FS: Shogun

高さも幅もあるジャンプが持ち味とのことですが、リンクの壁にあまりに接近してしまうことにより、その長所を生かせず、むしろミスにつながってしまうことが、しばしばありますね。。。
私には即座に思いつきませんが、何とか有効な対策を打ち出して頂きたいです。
特に無良さんの場合、得意のジャンプが決まらないと、露骨に気落ちしちゃってパフォーマンスの質が落ちてしまうので・・・。

FSは衣装変え。
以前の衣装、私は初見から陣羽織としか認識しなかったのですが、全日本の観戦の際に耳ダンボにして聞いた周りの反応は「鬼太郎」。うーん、言われてみれば(苦笑)。
新しい衣装の方が、形がすっきりしてジャンプもスピンもやりやすそうです。見かけで勝手に言ってますが。
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by Koharu-annex | 2013-02-18 14:19 | 2012-2013 フィギュアスケート