もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

ロシア杯 男子雑感

●1位/パトリック・チャン(21歳)/カナダ
SPはエレジー(byラフマニノフ)、FSはラ・ボエーム。
カナダ杯の時とは別人のような演技でありました。
チャンさんの姿勢は相変わらず社交ダンスのホールドのようで、その点だけ捉えるとむしろアイスダンス向きなんじゃないかと思うほどですが、エレジーのような楽曲には向いているようにも感じます。ただ、やはり好きかどうかはかなり分かれるのだろうなあ。。。この感じ。滑らかなだけで退屈、という人もいらっしゃるかも。ただ、「好き」という人が一定割合にいることも確実なので、私が興行師だったらこの演目入れますね(笑)。

FSですが、演劇的な演目なので、終盤(愛する女性の死)に至るまでは、もっとチャンさん特有の自信過剰な明るい軽さをもっと出す場面があっても良いと思うのですよね。その方が終盤との対比もより鮮明になりますし。

●2位/小塚崇彦(23歳)/日本
SPは映画「栄光への脱出」より、FSは序奏とロンド・カプリチオーソ。
SPの演技が始まる前に映し出された応援の横断幕に、"From russian fans with love" とあって何だかちょっと嬉しかったのでした。

SPの冒頭に実況が言った言葉「1960年ポールニューマン主演の映画」が、スケートアメリカの時と寸分たがわず同じだったので、「それしか情報ないんかい」とちょっと笑ってしまいました。滑空していたスケートアメリカの時と比べて、スピード感や力強さがなく動きも少し悪い・・・。後半は滑空感が戻ってきましたが、毎回ベストな演技をするというのは、本当に難しいことなのだなあとつくづく思います。

FSでの実況によると、小塚君は自身の滑りがバイオリンの音色に合うと考えているとのことです。弦楽器の伸びのある音が小塚君の滑りの伸びと合うという点は、非常に大きいと思います。が、純粋に音色という意味では、私は同じ弦楽器でも、むしろビオラとかチェロとか少し低い音の方が合うと思いますね。バイオリン主体の楽曲の場合、バイオリンの高い音色がたたみかけるように鳴る箇所が必ず含まれますが、あの音はもっと繊細ではかない印象がある人、あるいはそういうタイプのムーブメントをする人の方が、より合うかな、と。小塚君は、色んな意味でもう少し「しっかり」してますから。

●3位/ミハル・ブレジナ(22歳)/チェコ
SPは山の魔王の宮殿にて、FSは映画「アンタッチャブル」より。
SPはテレビ放送なし。これ、見たかったのだけどな。

FSのアンタッチャブルは、昨季からの持ち越しなだけにスケートアメリカの時も(ジャンプの失敗が多くて点数は伸びなかったけど)、演目としてはよくまとまっていると思いましたが、今回もその印象です。昨季は体力不足で最後ヨロヨロになることが多かったのですが、音楽と全体の流れが身体にちゃんと入っているのは大きいですね、昨シーズン(と今季のジャパンオープン)に比べて、体力の配分がかなりうまくいっているように思います。

ただ、見ていて思ったのは、少しこの演目に飽きて来ていないかなあということ。それを言っちゃあおしめえよ、ですが。

●4位/コンスタンティン・メンショフ(29歳)/ロシア
SPは映画「Pina/ピナ・バウシュ踊り続ける命」より、FSはアレグロほか。
結果としてスケートアメリカと同じ順位でしたが、調子が上がった印象でした。滑り込んで振付が身体に馴染んだせいかもしれません。特にSPでは2位だったのですが、滑り込みだけでなく踊りこみも進んでいた印象でした。FSは体力が持たなかったようですが・・・。

いずれの楽曲も、心のちょっと深いところにある焦燥感や、何かに対する渇望感のようなものを刺激するものである上、メンショフさんがその音楽を志向し、理解し、それを体現する能力があるので、コンテンポラリーダンスを見ているような感覚になります。もちろんメンショフさんは、例えば柔軟性1つとっても(バレエ)ダンサーのそれとは全くレベルが違うのですが、それでもなおかつコンテンポラリーダンスの匂いが感じられるのは、彼の表現の地力の強さによるものと言えるでしょうか。

●5位/織田信成(25歳)/日本
SPはいにしえの月に抱かれた新月」、FSは魔法使いの弟子。
SP、実況が「ロシアに入ってからもジャンプが非常に安定している。」と言った途端に連続ミス。あぁ~信ちゃん!冒頭からなんだか身体が縮こまっているように見えたんだけどやっぱり・・・。
信ちゃんは精神的に委縮すると、すぐに姿勢とムーブメントに出るんですよね。肩が上がって、身体の伸びがとっても悪くなるの。そうなると首と背中のライン(特に首だな)が、ますます全く美しくなくなっちゃう。

FSだけだと2位。赤いキラキラベルトが、私には気合いを入れた「赤フン」のように見えましたよ!頑張れ、日本男児って感じです。(ちなみに赤フンは、山本譲二が歌番組で着用して歌って一世を風靡したのだ。学習院では、今でも、赤フンで水泳の授業や郊外での遠泳をするそう。歴代の皇族男子がそうであったように、悠仁親王も学習院初等科に進んで赤フンをして頂きたいものだわ~)

FSには、魔法使いの弟子のドジっぷりや茶目っ気を表す振り付けやマイム的な動きが、そこここに入っています。が、現状では、それらの振付と技術的な要素が、どれもぶつ切り状態でしか存在しない印象です。全体として1つの作品の流れになってないというか。そういう辺りが、今後滑り込んでいくにあたっての課題になってくるのでは?と思いました。

●6位/リチャード・ドーンブッシュ/US
テレビ放送なし。

●7位/アルトゥール・ガチンスキー(19歳)/ロシア
SPはハイランダー、FSは昨季から持ち越しのザ・デーモン(テレビでは「運命」と書かれていたけど)。
一昨年は快進撃だったけれども、昨シーズンから微妙に低迷しているガチンスキー君。
今季のカナダ杯での演技(総合9位)は、なーんとSP/FSのいずれもテレビ放送してくれなかったので、私は、このロシア杯での演技が今季初見であります。

SPでは冒頭の4回転で派手に転倒したものの、諦めずに演技を続けて5位。ただ、時々、折れそうになっている心や、いやそんなんじゃイカンとばかりに自らを奮い立たせようとする心の動きが、見て取れる部分があって、こちらの胸も少し痛くなりました。若いと言ってしまえばそれまでですが、こういう心の動きというのはちょいと切ないものがありますね。「若者よ、迷いながらも前に進むのじゃ」と思ってしまいました。

FSはジャンプの調子が悪く、この演目にあるはずの耽美的なイメージが、少々影を潜めてしまったのは至極残念。しかし、ガチンスキー君にとって優先順位が高いのは、耽美的なイメージの復活よりもジャンプ等技術的要素の調子の取り戻しでしょうね。頑張れ。

●8位/ザン・ブシュ/ロシア
テレビ放送なし。

●9位/デニス・テン/カザフスタン
テレビ放送なし。

●棄権/ジョニー・ウィアー
テレビ放送なし。
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by koharu-annex | 2012-11-16 20:54 | 2012-2013 フィギュアスケート