もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

スケートカナダ 女子雑感

●1位/ケイトリン・オズモンド(16歳)/カナダ
SPはマンボほか。
今季がシニアデビューだそうですが、元気はつらつですね。デビュー年って、ジュニア時代との勝手の違いに戸惑うタイプと、怖いもの知らずで妙に調子が良いタイプの2派に分かれるような気がしますが、彼女は圧倒的に後者ですね。昨年のタクタミちゃんのような快進撃が見られるのでしょうか。

若い人特有の音楽の早取り(彼女の場合は、音楽聴いてない?と思わせる部分もあったりする)は、正直に言ってしまうと私の好みではないですが、ほほえましいです。まあ、こういう妙な勢いがある時って、余計なことを何も考えないでその勢いに乗って行くのが一番ですよね。

FSはカルメン。
楽曲のチョイスに一工夫ありますね。最も有名で分かり易いハバネラを使ってないのは意外。

この年齢にしては(体格が立派なせいか)肉感的なカルメンでした。
酸いも甘いも知り尽くした上での強さではなく、デビュー年で何も知らないが故の強さが感じられるパフォーマンス。特に演劇的といえる振付ではないのですが、終盤だけが例外で、最後のカルメンが刺される個所の音楽を使った、「え?私、死んじゃうの?」みたいなラストは、この無知さの上に乗っかると劇的とも言えます。

●2位/鈴木明子(27歳)/日本
SPは、映画「キルビル」より。
ワイルドで強い女性・・・にはなりきれなかったなあ。
やりたいことは分かるだけに、次回に期待、かな。

FSは、シルクドソレイユの「О」。
新聞報道(日経)によると、3つ目のジャンプに勢い余って1回転をつけてしまったため、その後のスピンとステップは後のジャンプ構成を変えることをフル回転で考えていたので、後に確認すると「全く踊れてなかった」と。そして、構成を変えたために後半の音楽が余ってしまい、最後はアドリブで踊ったと。

確かに前半のスピンとステップ、「心ここにあらず」でした。顔が全然違いましたし、動きが最小限でしたね。あっこ姉さんのパフォーマンスではとっても珍しい。この「心ここにあらず」になっちゃった部分、ジャパンオープンでは、情景がぱーんと浮かぶほどに素晴らしい出来だっただけに、それが見られなかったのは残念といえばそうなんですが。とにかく機転を利かせて、失敗を最小限に抑え、結果としてFS1位を獲得したのは立派としか言いようがありません。

総合2位、おめでとうございます。

●3位/村上かなこ(17歳)/日本
SPはプレイヤー・フォー・テイラー。
衣装が・・・信ちゃんSPと兄妹のお揃いのような・・・。ちょっと並んでみて欲しいような、欲しくないような。

素晴らしい肘の動きや、肩甲骨の稼働域は、あいかわらず健在。肩~腕~肘~による動きの種類の多さ・幅の広さは、かなこちゃんの大きな長所だと思います。

ただ、この楽曲のように曲想が「祈り」である場合、もう少し手首~指先の動きに丁寧さと繊細さが欲しいと思います(本人も努力はしているように見えるのですが)。もともと、腕に限らず彼女の動きって、基本いつも「元気」じゃないですか。それがこういう曲調にそのまま乗っかっちゃうと、時として音楽から浮いちゃうことがある。また、彼女のように動きが「元気」な人って、音をジャストで取りがちなんですが、こういう曲調の場合は遅取りの方が圧倒的にカッコイイ。

動きの良さをそのままに、音を遅取りしたしっとりした丁寧な動きができるようになればベストなんですが、それってなかなか難しい。あっちが立つとこっちが立たず・・・みたいになりがちなので、なかなか苦しいところですね。

FSは、タンゴ(byピアソラ)
おお、振付はカメレンゴさんですか。
実況によると、「パートナーと踊っているように滑りたい」ということですが。パートナーと踊っているようにといえば、あの高橋さんのEX(@カーニバルオンアイス)が強烈な印象が残っているので・・・比べる私が悪いんですが、あまりに高橋さんの演技が高みに登っているがゆえに・・・・なんともはや。

実況は「本当にパートナーが見えるようです」って言ってたけど・・・見えました!?
私は全く一瞬も見えなかったけど!?

私が見えたのはねー、鏡の前でお母さんのタンゴシューズはいて、ついでにドレスも勝手に着ちゃって、鏡見ながら悦に入って踊っている少女ですね。ドア開けて誰かが入ってきたら「ぎゃーっ」って叫んで真っ赤になりそうな(笑)。

かなこちゃんって、分かりやすく、「大人の階段のーぼるー、君はまだシンデレラさ~♪」ってな感じじゃないですか。(このH2Oの「想い出がいっぱい」って、足立充原作のアニメ「みゆき」のエンディング曲ですごく流行ったんですけど、今、歌詞をあらためてキーボードで打ってみると意味不明だな。笑)
今の時期だけしかない、このまっすぐで無邪気な感じ、大人の女性に憧れて背伸びしたカッコしてみるけど、まだまだ感漂うほほえましい感じ、これを大事にして欲しいと思う。だって、それってキラキラしてるもの。そして、いつか、確実に無くなってしまうものだもの。

こういうの本人(&あまりにも近しい人達)は気付かないのよね、横顔をちょっと離れた所から見てる第三者だから分かるの。だから、かなこちゃんは、パートナーとか考えなくて良いと思う。パートナーを夢見てるだけで充分よ。

●4位/エリザベータ・トゥクタミシェワ(15歳)/ロシア
SPは、映画「ある愛の詩」より
この楽曲は小2の時(←今、無理矢理思い出した)に、父からもらったアメリカ土産のオルゴールに入っていたので、妙に耳になじんでます。映画自体は子供の頃に見たためか、つまんない印象だったけど。

ただ、この映画&楽曲、年齢よりは大人びているとはいえ、まだまだ華奢で幼い可憐さが残るタクタミちゃんには色んな意味で重すぎる気がします。華々しくデビューした翌年に、なぜか調子を落としてしまうということも、よくあることですが。。。この曲では、明るく乗りの良い楽曲に背中を押してもらう、ということも期待できませんし。

もちろん今回の演技においてすら、彼女のムーブメントには卓越したものがあることが分かりますし、若いスケーターの中ではトップクラスの音楽性と踊り心の高さも十二分に感じるのです。しかし、あともう少し遠くまで伸びきった動きが欲しいですし(彼女にはできるはず)、また、この楽曲のためには、もっとタメが必要かな、と思います。まだ彼女も若いから、どうしても動き急いでしまう部分があるのかもしれません。

FSは、黒い瞳。
変わったアレンジの難しい「黒い瞳」ですね。分かりやすく盛り上がる部分がなく、静かに聴かせるじんわり味わい深いタイプともいえ、演技者によっては単調でつまらない仕上がりになってしまうかもしれません。

ムーブメントについてはSPよりも動き急いでた部分が多かったような(苦笑)。

あとね、あの~、ソトニコワちゃんもそうなんですが、若干姿勢が悪い時があるのね、この2人の天才少女達は。すごくもったいないの。2人でちょっとずつ違うのだけど、大まかにいうと、顎が前に突き出しぎみになったり猫背っぽくなったりして、肩が上がることがある。そういう姿勢になると、腕が前の方でちょろちょろとしか動かなったり、首のラインが美しく見せられず動きが縮こまったように見えたりして、ムーブメントの美しさが大きく削がれる。ポテンシャルが高いだけに、もったいないな~といつも思ってしまいます。

●5位/エレーネ・ゲデバニシビリ(22歳)/グルジア
SPは映画「シンドラーのリスト」より。
映画のサントラを使用していますが、物語を紡ぐというよりも楽曲の雰囲気を借りた演目なのでしょうね。
高音のバイオリンが切なく響く中、曲調を深く理解した、メリハリをつけた情感あふれる演技でした。振付も素晴らしいですが、それを理解してシーズン初めにここまで仕上げてきたゲデ子ちゃんも立派です。私、ゲデ子ちゃんのこれまでの演目の中で、このSPが一番好きかも。

ただ、欲を言えば。「メリハリをつけた情感あふれる」演技ではあるのだけど、時々「やりたいこと」(これがモロに分かるくらいにやってはいるのです)が、まだ少し弱いところがある。そこはもう少し音は遅取りで切なくタメて欲しい部分、タメた分次の瞬間メリハリよく動くべき部分ってところが、いくつかある。
あー、これ、次回見るのが今から楽しみだな!

ゲデ子ちゃんの嬉し泣きも入ったような笑顔や、リンクの端まで嬉しそうにおどけた様子で移動する姿を見られたことも、本当に嬉しい。彼女ってとてもチャーミングですよね。長袖だから分からないけど、ジャパンオープンの時にしていたテーピングの部分等、怪我は順調に快復されたかしら。

FSはドン・キホーテ。
ゲデ子ちゃんにとっても似合うコケティッシュな衣装です。
いつもよりとても厳しい顔をしていたので、え?と思ったのですが、緊張なさっていたのでしょうか、ジャンプの失敗が続いたのは見ているこちらも辛かった・・・。

オリジナルのバレエを意識した振付がそこここに入っていて、マニア心をくすぐる振付です。ジャンプの失敗からどんどん振付が遅れてしまったようで、「あ、この振付、さっきの音楽のところのバレエ振付と似てる」「これは少し前の区切りから入るべき動きだよね、きっと。」というところが複数。完成版を次回に期待したいです。

●6位/クセニア・マカロワ(19歳)/ロシア
SPは、マリア・アンド・バイオリンズ・ストリング
昨季からの持ち越しですが、プログラムの内容は変更しているようで、振付を追いかけているように見えましたし、不安定さが垣間見える出来でした。身体がしっかりした方ですし、昨季もシーズンが進んで滑り込むにしたがって、踊りがダイナミックになっていったので今季もそうなるよう楽しみにしています。

FSは、メガポリス。
ジャンプのミスが響いたのかもしれませんが、音楽と振付の親和性があまりよくない気がします。もう少し曲調に合った繊細な動きが盛り込まれていた方が良いような。

●7位/グレイシー・ゴールド(17歳)/US
SPは、ヘルナンドの隠れ家(映画「パジャマゲーム」より)。
彼女は今季がシニアデビューだそうですが、春の国別対抗で一度拝見しました。笑顔の作り方がいかにもアメリカ人っぽく、この楽曲にとっても合ってる気がします。

順位こそふるいませんでしたが、国別対抗の時に目についた「全ての振付について動き急いでしまって、せわしなく、ぴょこぴょこしているように見える」という点は、随分改善されたように感じました。それなのに、ジャンプは「全て跳び急いでしまった」(by荒川さん)だそうで・・・皮肉なものだなあ。

大きくダイナミックな動きができる人なんですよね。ですが、曲によってはこのタイプの動きは「大雑把で粗雑」に見えてしまうので、楽曲選択を慎重にするか、繊細な動きもできるようになるか、どちらかですが、彼女はどっちに進んでいくかなあ。

FSはテレビ放送なし。
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by koharu-annex | 2012-11-01 14:52 | 2012-2013 フィギュアスケート