もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

スケートカナダ 男子雑感

●1位/ハビエル・フェルナンデス(21歳)/スペイン
SPは、映画「マスク・オブ・ゾロ」より。
米国映画とはいえラテン色の濃い映画。スペイン系の音楽が多用されているので、この演目もスペイン系に分類できるでしょうか。

フェルナンデスさんって、もともと器用で何でもそつなくこなしますよねえ。今回のパフォーマンスも「そつない」という印象です。ですが、いつも、それで終わってしまうようなところがある。熱いものを単純に外に出さない秘めたる深謀遠慮があると善解することも可能だとは思いますが、そういう風に解釈すべきではないと思う。だって、どの演目でも、ずっとそうなんだもの。

彼はいつも様々なキャラを演じるタイプの楽曲でやらされているけれども、そして彼はそれらにそつなく対処しているのだけれども、しかしながら。実際の彼は、思いのほか表現の幅が小さいのではないかという気がしてきました。逆にいえば、「これぞフェルナンデス!」というべき彼にぴったりの演目というものは、かなり厳選しないと出てこないのではないかと。

今回の楽曲は、出身国となじみのある楽曲ですが、この映画のキャラやこの音楽を表現するためには、もっと「熱いもの」を感じさせる方が良いので、それが得意でない彼との間には思いのほか距離があると思います。

FSは、チャップリン・メドレー。
いや、だからチャップリンは・・・。ジー君のように「モノマネ」に徹する覚悟をもって、茶目っ気さと可愛らしさで押すならまだしも、普通にやろうとすると難しい演目だと思うが・・・(チャップリンについては信ちゃんに関するこちらの過去記事に詳しく書いているので、お時間があればご覧ください)。

ただね、彼にはちょっと冷めたような影のあるところがあって、突き放したように冷静にこちら側(=世間)を見ているようなところがある。そこは信ちゃんよりかはチャップリンに近いなあ、とも思うのです。

しかし、あの・・・勝手に推測しているだけなんですけど、フェルナンデスさん自身としては、こういうマイム等の小技を効かせる演技って、あまりお好きじゃないのではないでしょうか・・・?
もちろん、フェルナンデスさんって、一昨年あたりの演目(モロゾフさんのだと思う)から明らかなとおり、マイムやジェスチャーなどの小技を器用にこなすことは私も承知はしているのですが、どうも楽しそうに(=積極的に自ら好んで)やってない感じ。語弊を恐れずに言ってしまえば、振付がそうなっているのでここれはこうやらなくちゃな(→で、器用なのである程度以上にはできてしまう)、という空気が流れてるような気がしてならんのです。・・・気のせいですか?

●2位/パトリック・チャン(21歳)/カナダ
SPはエレジー(ラフマニノフ)、FSはラ・ボエーム。
SPは昨季のEXで、振付はジェフリー・バトルさんとのこと。滑りなれた曲とはいえ、競技用のプロになると勝手が違うのでしょうね。加えて、シーズン初めとか、コーチが変わったとか、もろもろの事情があるのかもしれませんが、とにかくジャンプの調子が悪く、乗り切れないまま終わった印象です。

FSについても同様。特にFSはオリジナルがオペラで明確なストーリー性がある音楽で、実際、チャンさんもそのストーリーを演じる意向であったでしょうに、そこまでフォローできなかった感じです。

●3位/織田信成(25歳)/日本
SPは、いにしえの月に抱かれた新月。
「古の月に抱かれた新月」って美しい言葉だなあと思ったのですが、英語の「The New Moon in the Old Arm's Moon 」って「地球照」を意味するのですね。今回お勉強しました。ありがとう、信ちゃん。知識が1つ増えたよ(笑)!とても美しい言いまわしで、あの地球照の神秘的な雰囲気を増す気がします。

なぜこの衣装・・・という疑問をやっぱり抱いてしまうワタクシですが、そこはさておき。
私は初めて聴く楽曲だったのですが、とても素敵ですね。何が素敵って、派手派手しくなく抑制的でありながら、美しいものの核心を的確に捉えているようなところが。
前半の旋律の中心は、フルートとチェロですかね?これらの楽器の響きって、信ちゃんの「目立つわけじゃないけど愛すべき庶民」というタイプにとてもよく似合う。後半の金管がパッパカ吹き鳴らすことをせず、非常に気を使って穏やかな音を出しているところも良い(吹き鳴らすタイプの楽曲って、時として演技と大きく乖離しますから)。

音楽を表現するタイプの演目って、曲想や曲調もさることながら、使われている楽器の音の響きが、表現者のゆるぎない個性の部分に合致すると、作品としての完成度がとても高くなると思います。この楽曲は、信ちゃんの演目としては久しぶりに完成度が高くなりそうで、ワタクシ、とっても期待大です。

そして、振付がまた良いですね。こちらも抑制的で。ローリー・ニコルさんということで、皆様がよく「さらさらプロ」とおっしゃる方だと認識しておりますが、今回その「さらさら」の匙加減が、振付・音楽・信ちゃんの個性の三者を結びつけるのに絶妙なバランスであったと思います。

今回は復帰後のGPS初戦ということで、堅実に安全策のプログラムをこなす作戦で、信ちゃんの意識もそこに集中しがちだったと思いますが、滑り込むと音楽とのますますのマッチングが見られるのではないでしょうか。

ところで、10月27日付日経新聞夕刊の、SP結果を伝える記事の信ちゃんの写真。
変な顔過ぎて悲しくなりました。信ちゃんに限らず、マスコミ報道において、ジャンプ途中のひどいお顔の写真がチョイスされることがありますが、あれって、何を基準に選んでいるのでしょう。時に悪意(そこまでいかなくても、からかいや、編集部の内輪受けの遊び気分)が感じられることがあります。これって、報道の姿勢としてどうかと思います。

FSは、魔法使いの弟子。
多くの人が「キャラ的にぴったり」と納得して笑ってしまうような楽曲チョイス。フィンランドの大会後に、「ぴったり過ぎてそれでいいのかと思ってしまう」という趣旨の楽しいコメントを頂いたのですが、そこはひとまず置いておいて(笑)。

まず指摘しておきたい疑問は、なんで「魔法使いの弟子」(byデュカス)だけでなく「ダフニスとクロエ」(byラヴェル)を使うのか、というところです。デュカスとラヴェルは、同時代のフランスの作曲家ですが、そういう共通点で選んだのかしらん?でもさ、話がまるで違う楽曲をもってくるってのは、ストーリー性のある演劇的な演目でキャラ立ちさせるためには、良くない選択だと思うのです。敢えて、もってくる必要はなく、交響詩「魔法使いの弟子」の中で完結させた方が良かったのではないでしょうかね~?

そのせいってことはないのでしょうが、信ちゃんの今回の演技は、まだ「弟子を演じる」というところまでは行ってないですねえ。まだまだ振付を追っかけてる段階なのかな。
ローリー・ニコルさんが「弟子になりきって」と言っているということを日経か何かの報道で読んだけれども、そして実際、弟子的なものを表しているんだろうなあ~という振付はそここに見受けられたものの、物語を紡ぐところまでは行けていないので、今後に期待、です。

●4位/フローラン・アモディオ(22歳)/フランス
SPはファルーカス、FSはテレビ放送されずに残念。
SPはスペインのギター曲で、本当に今年はスペイン系が多いな、と。

ええっと、アモディオ君、一生懸命フラメンコ風の振付をこなそうとしているのですが、何となく中南米系のリズムに無理矢理「接ぎ木」しているように見えちゃうなあ。ムズムズしてる感じがするんだけど(笑)。
そういう意味でも、もう少し身体に音楽を入れる必要があると思いますが、まあ、シーズン初めですし、というところでしょうか。

●6位/デニス・テン/カザフスタン
SPは放送なし、FSは映画「アーティスト」より。
うーん、乗り切れないまま終わってしまった感じですかね。

●8位/無良崇人(21歳)/日本
SPはマラゲーニャ、FSは、Shogun。
SPは闘牛士を意識した衣装、FSは陣羽織をイメージした衣装ですかね。どちらも比較的ボリュームのあるタイプで、ジャンプが不調の今回はちょっと重そうに見えました。

無良さんって、もっとスピードが出てて思いきりが良いイメージなのですが、今回は元気がなかったですね。SPもFSも普段なら彼に合いそうな、男らしい派手さのある音楽ですが、今回は動きとかい離してしまいました・・・。
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by koharu-annex | 2012-10-29 20:47 | 2012-2013 フィギュアスケート