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もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

第13回世界バレエフェスティバル Bプロ

第13回世界バレエフェスティバル プログラムB
2012年8月14日(火)午後6時~ @東京文化会館
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ(椿姫、アザーダンス、ル・パルク):高橋望

■第1部■
序曲「戴冠式行進曲」(ジャコモ・マイヤベーア作曲)

●チャイコスキー・パ・ド・ドゥ
振付:バランシン
音楽:チャイコスキー
出演:ポリーナ・セミオノワ、フリーデマン・フォーゲル

音楽のテンポがゆっくりめ。後半もずっと変わらずゆっくりめで、大人の仕上がり。
テンポが速い場合に存在する盛り上がりに欠けるきらいはあるけれども、これはこれでアリかな。
特にポリーナのバランス力・キープ力が見事なので、そこを強調するためにはむしろゆっくりめが良いのかな、と。

●パルジファル
振付:ベジャール
音楽:ワーグナー
出演:カテリーナ・シャルキナ、オスカー・シャコン

「80分間世界一周」の一部になります。この部分の楽曲は、ワーグナーの楽劇「パルジファル」第3幕の前奏曲。
舞台手前に、奥に向かって光を放つライトが1台ちょこんと置いてあるので、舞台後ろの壁にダンサーの影が映る。激しく動く2つの影を見るのは、とても楽しい。
・・が、途中で「あかん、影ばっか見てる、私。」と何度も我に返る(笑)。

●タイス(「マ・パヴロワ」より)
振付:プティ
音楽:マスネ
出演:上野水香、マユー・ゴールディング

この演目のまったりさ加減は、上野さんの個性に合ってますね。
まあ、相変わらずというか上野さんという不思議な個性を前にすると、もう少し情感を込めてくれないかなあ、情緒ってものがあまり感じられないよな~とも思いますが。

●エフィ
振付:マルコ・ゲッケ
音楽:ジョニー・キャッシュ
出演:マライン・ラドメーカー

静かになるとなぜか咳をしたくなるのは、人のサガなのかもしれません。
が、ラドメーカー君が自身の口笛だけで踊るところは、静かにして欲しかったなあ!!!

●ライモンダ
振付:プティパ
音楽:グラズノフ
出演:タマラ・ロホ、スティーヴン・マックレー

キレのある2人。トリプルを何度も入れたグランフェッテは、どよめきと大きな拍手をもらっていました。
アグレッシブな目力で舞台上から光線を飛ばすロホちゃん。ライモンダにしては珍しいけど、そんなことどうでもいいっす。しかし、全幕ではライモンダをどんなキャラにしてるんだろうなあ~。

■第2部■
●「ロミオとジュリエット」より第1幕のPDD
振付:マクミラン
音楽:プロコフィエフ
出演:アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー

うーん・・・コジョカルさんって、1つ1つの動きがおざなりになる時がありますよねえ。
全幕通して全体を評価するとどうなるかは分かりませんが、これだけのメンツが揃うガラ公演になると、ちょっとどうかな、と思います。

●ウィズアウト・ワーズ
振付:ナチョ・ドゥアト
音楽:シューベルト
出演:オレシア・ノヴィコワ、レオニード・サラファーノフ

全身肌色タイツの衣装。女性のノヴィコワさん、白人にしては珍しいО脚なんですが、それが目立っちゃいますよね・・・。

●「椿姫」より第3幕のPDD
振付:ノイマイヤー
音楽:ショパン
出演:アニエス・ルテステュ、ステファン・ビュリョン

ピアノが下手過ぎる。音が濁りまくってて、一音一音がクリアでない。おまけに、テンポが不安定。
こんな超ド級の有名曲(ショパンのバラード第1番)で、この下手さはつらい・・・。上手な録音を使った方がずっと良かった。

ルテステュさんとビュリョン君は、この演目のDVD(オペラ座)の出演者(ビュリョン君は代役だったらしいけど)。したがって、私も含め多くの人が何度も映像で見ている2人ってことになりますが・・・ピアノがひどいので、踊りにくそうでした(特にビュリョン君)。なんというんでしょう、音を伺いながらのっそりとしか動けない感じ?ルテステュさんは、途中から音は無視してた感じでしたね(苦笑)。

●「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット
音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
出演:エフゲーニャ・オブラスツォーワ、マチュー・ガニオ、東京バレエ団

ホルンが失敗した。ただ、その後、驚異の持ち直し(音が全く違う)を見せたけど、あれは演奏者が違うのかな。「あ、あいつあんな目立つ失敗したから、ここは俺が頑張んないとマズイ!」みたいな?

相変わらず、ガニオさんは美男子です。衣装のスカートから出る脚も美しい。今回の演目はブルノンヴィル版じゃないけれども、この演目に必須の細かな足さばきも軽やかです。・・・でも、ガニオさんは美男子すぎて、やっぱりこういう役柄じゃないよなあ~。

■第3部■
●「マーラー交響曲第5番」より“アダージェット”
振付:ノイマイヤー
音楽:マーラー
出演:エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

ブシェさんは、身体のラインがとてもきれいです。特に脚のラインの美しさは、ひさびさにため息が出ました。
アダージェット。私には、この曲にしか刺激されない特別の感情があるかも。普段は忘れてる非常に奥の方の感情が、ピンポイントで刺激される感じ。

アダージェットに振りつけられたバレエ作品としては、ベジャールのものが最も有名だと思うけれど、あちらはソロ。ソロであの長さ(しかも内省的な踊り)を踊られると、当該ダンサーやその雰囲気が好きかどうかによって、かなり評価に差が出るような気がします。
こちらのノイマイヤーの、シンフォニックバレエなのに妙に雄弁なPDDの方が私は好きかな。

●シェエラザード
振付:フォーキン
音楽:コルサコフ
出演:ポリーナ・セミオノワ、イーゴリ・ゼレンスキー

演目の時間がちょっと長過ぎますよね。官能だけの演目なので、全幕じゃない限り、間延びする気が。
仕方のないことなんだけど、ゼレンスキー、年取ったなあ~と思いました。

●アザーダンス
振付:ロビンズ
音楽:ショパン
出演:オレーリー・デュポン、ジョシュア・オフォルト

ショパンのマズルカとワルツに合わせた、ロビンズらしい、こ洒落た作品。
しかし、やっぱり、ピアノが・・・椿姫のときよりはマシだったけど。

●海賊
振付:プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ
出演:ナターリヤ・オシポワ、イワン・ワシリーエフ

圧巻ですわ!
片足つま先立ちでのリフトには、大きなどよめきが。私は、「よっ!力持ちっ!」と声をかけたくなりましたよ~
しかし、この素晴らしい2人にケチをつけたのがオケ。最後の最後で金管が音を外したんですよ・・・あぁ。。。
あとね、やっぱり、海賊は3人のパ・ド・トロワの方が好きだな。

■第4部■
●ル・パルク
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
音楽:モーツァルト
出演:ディアナ・ヴィシニョーワ、マラーホフ

あれ?ル・パルク?
マラーホフは、違う演目だったはずだけど?と思ったけど、こうなったんでしょう。(事前にホームページで告知されてたかもしれないけど、チェックしてない)
うーん、ル・パルク、苦手なんだよね・・・。
でも、久しぶりにディアナちゃんとマラーホフさんに会えたので、良しとします。

●コール・ペルドゥート
振付:ナチョ・ドゥアト
音楽:マリア・デル・マール・ボネット
出演:スヴェトラーナ・ザハロワ、アンドレイ・メルクーリエフ

ザハロワちゃん、ちゃんと来てくれたんだ。
5月の新国立(白鳥)は早々にキャンセルしてて、あの時は、幼い子供を連れて移動しているので放射能が不安だって理由だったと記憶してます。やっぱり、あれは口実か~。まあ、昨シーズンから新国立の芸術監督がビントレーに変わったし、今後、新国立がザハロワちゃんを呼ぶことも当分ないだろうな~。

エスニックな香りのある歌付きの音楽です。(パンフレットによると「チュニジア伝統音楽のミュージシャンによる独特のグルーヴ」だそうで、歌手はスペインはカタロニアの歌姫だそうです)
ザハロワちゃんに振りつけられたものではないですが、彼女の長身が生きるダイナミックな振付でした。

●「ジュエルズ」より“ダイアモンド”
振付:バランシン
音楽:チャイコフスキー
出演:ウリヤーナ・ロパートキナ、マルセロ・ゴメス

チャイコフスキーとバランシンの組み合わせ、冒頭のチャイコフスキー・PDDだけで良いのではないかな。
まあ、私がバランシンが好きじゃないだけです、すみません。

●「オネーギン」より第3幕のPDD
振付:クランコ
音楽:チャイコスキー
出演:マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ

この2人でのこの演目を見るのは、数回目。
円熟味が増してきたというよりも、ご本人達から少々「そろそろいいかな…」的な香りがします。

●ドン・キホーテ
振付:プティパ
音楽:レオン・ミンクス
出演:ヤーナ・サレンコ、ダニール・シムキン

今まで見てきたサレンコさんの中で一番の出来だったかもしれません。
ファニーフェイスのシムキン君の踊りは、相変わらず柔らかで(柔軟性が高い)、軽やかで(跳躍力と回転力がある)、人気がありますね。
まあでも正直、シムキン君は、ABTだとキャラクターダンサーをメインに生きていくのだろうなあ、と思います。
私の大好きな超絶技巧を誇るエルマン・コルネホ君(シムキン君よりも背が高いけど、他のダンサーよりかは低い)も、ABTでは基本はキャラクター。主役(せいぜいロミオとか)を、メインのリンカーンセンターで踊らせてもらえることは、ものすごく少ないですから。

しかし、この2人がラストって・・・

フィナーレ 「眠れる森の美女」よりアポテオーズ(チャイコスキー作曲)
by Koharu-annex | 2012-08-27 15:25 | バレエ(その他)