もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

世界選手権 男子FSその1

★ようやく世界選手権の続きをアップです。5月17日以降に加筆したのは、羽生君の感想の途中からで、それまでのものはリアルタイムでの感想になります。★

成美ちゃん、トラン君、おめでとう!!
SPの時に見せた、小さく可憐な桜草のような外見とはうらはらの、成美ちゃんの男気あふれるガッツポーズが大好きです。そしてFS終了後の感無量の表情は、胸に迫るものがありました。3位という成績が出た後の成美ちゃんの飛び出し具合には、爆笑してしまいました。落ち着いたトラン君は、そんなじゃじゃ馬な成美ちゃんと良いペアですね。

ペアの解説の方、いつも良い解説をなさいますよね。抽象的でどうでもいいことは殆どしゃべらず、きちんと技の解説をして下さいます。

●小塚崇彦(23歳)日本/ファンタジー・フォー・ナウシカ/最終11位218.63、FS11位146.85(73.55、73.30)
うーん、どうなんでしょう。やっぱり、靴?

●アダム・リッポン(22歳)US/「G線上のアリア」「トッカータとフーガ」byバッハ/最終12位216.63、FS16位143.08(70.24、73.84)
うーん、こちらも身体の動きが本来のものじゃないよねえ。SPと異なり、リッポンルッツが決まったのは嬉しかったですが(意地で決めた感じでしたよね)。

SPに引き続き、この演目も後半にテンポアップしていくんですよね。。。調子が悪い時にこれはきつい。が、フィニッシュのポーズをびしっと決めてくれたのは嬉しかったです。

●ケビン・レイノルズ(21歳)カナダ/「クロノ・トリガー」より/最終14位217.20、FS13位144.25(73.45、70.80)
SPをフジが放映してくれなかったので(SPでも4回転を決めたそうですが)、FSだけの観戦です。
レイルズさん、身長が伸びたような・・・衣装とヘアスタイルのせいですかね?

うーん、柔軟性がちょっと悪くなったような・・・(特に背中)。腰の落とし方が中途半端に少ないことも手伝って、ムーブメントに深みが欠ける気がします。

●デニス・テン(18歳)カザフスタン/アディオス・ノニーノbyピアソラ/最終7位229.70、FS6位153.70(78.78、74.92)
4回転がとても美しいですね。そして、なんといっても特筆すべきは、彼に魔物のようにとり付いていた無駄な力みが全くなくなっていることです。素晴らしい~。

姿勢が美しくなって、ムーブメントも洗練されてきました。来シーズンは、もっともっと伸びてくるのではないでしょうか!楽しみです。

●ジェレミー・アボット(26歳)US/「脱出創世記 交響曲第3部」byミューズ/最終8位226.19、FS8位151.34(69.78、81.56)
私、この演目、とても好きなんですよね。だからこそなんですが、随所でムーブメントに「惜しさ」が滲むパフォーマンスだったのが残念至極でありました。何か一つ、残念な箇所があるの。技術面での細かなミスのほか、伸びや解放感、あるいはポジショニングの力の入れ具合が足りない、といえばいいかしら。

ひとえに気持ちの問題なのでしょうね・・・・。そう思うと、ちょっとツラいなあ。

●羽生結弦(17才)日本/映画「ロミオとジュリエット」より/最終3位251.06、FS2位173.99(91.99、83.00)
・・・泣いてもいいですか。いや、もう泣いちゃってるんですけど。

観客賞があったら、間違いなく、ぶっちぎりもぶっちぎり、大ぶっちぎりで、大賞でしょう。

★この先、全て加筆部分★
大会後明らかになったところによれば、捻挫をして痛め止めを打っての演技だったそうですが。
そんなことをふと感じさせる余地さえない、冒頭のキレキレの動き。

スピードにも乗ってるし、力強いし、なんといっても気力がみなぎっている。この気力は、鑑賞者の心にストレートに、ズドーンと羽生君自身をぶつけてくるもので、時間を追うごとに胸がいっぱいになって息が苦しくなるほど。

座った姿勢から中腰の姿勢で行われるツイズル(って言ってしまっていいのだろうか、あの技は)、あれは前半の「正規の」クライマックスで、迫ってきますわねえ~。あのツイズル、痛めている右足でやっているのですね。これって、あの「転倒」(=形式的にはアクシデントだけど、実質上は前半最大のクライマックス)の露払い的な役目を果たしたわね、いろんな意味で。

あの転倒。
あまりにも不意に、無意識に、幼く、はかなげに、そして無防備にすっ転んで、まるで幼い子供のように、体の真正面に同時に両手をつく。・・・その刹那の彼の純粋に驚いている、あどけない美しさったらないわ。

そして、またもや幼子のような動作で起き上がって、思わず彼は手を見るのよ。そこには黒い手袋に、まっ白い氷の屑が光っているの。それは、まるで星屑か、ガラス細工の破片のようで。それは、ずっとこれまで羽生君から発せられていた「ガラス細工の細部がきしむ音」が、とうとう一部が割れて砕け散った音に変わった瞬間。

でも。
ガラス細工が壊れてお終いになるのではなく、壊れたガラス細工の中から、脱皮した何かが現れたのでした!わぁ~、びっくり。
あれは、ガラスに見えたけど、単なるガラス細工じゃなくて、ある種のサナギの外側でしたか~。理屈で考えると当然なんだけど、現実に現れるとびっくりしたな~。

コメント下さった多くの方が、「転倒したことでより完璧になった」という趣旨のことをおっしゃっていたけど、まさにそうだと思います。あの転倒は、もう映画でしょ。ドラマでしょ。いわば一部の者から愛されていた(だけの)少年が、大勢の者から尊敬を集める男になっていく、その大きな一歩が、あの転倒だったのでした。
間違いなく、羽生伝説のうち、「スター誕生」編を彩る歴史的瞬間ですよ。

実際、転倒後の彼のムーブメント、上記で述べたような力強さだけでなく、肝がすわって落ち着いて、細部まで気をつかった丁寧なものになっていました。

後半の「叫び」から始まるステップ、毎回、胸に迫るものがあったけど、今回は涙腺まで崩壊させるに十分なパワーがありましたね。劇的な音楽と何かが憑依している羽生君の二重奏、いえ、それ以上の化学反応が見られて、もはやそれが何者なのか、そのオーラは何色なのか、判別不能のレベルでした。ただただ、衝撃だけを感じてしまう。そんなパフォーマンスでした。

加えて、羽生君がもう以前の羽生君じゃなくなってしまう、嬉しさ、寂しさ、そしてこれからの羽生君への期待感、そんなものもないまぜになってしまい。今でも目頭が熱くなりますわよ。。。ええ。

私は昨シーズンの安藤さんのとある演技について、「この演技から何も感じなかったら不感症だと思う」って書いたことがあるのだけれど、今回のこの羽生君の演技から何も感じずに平然と見ていられる人がいたのなら、その人は特別な才能があると思う。それはとっても稀有な才能だと思うから、今すぐ、その動じない心を最大限に生かせる部署や職業に移動・転勤すべきよ。出世まちがいなし。

そうそう。パフォーマンスが終わった直後、羽生君、前に熱視線とばしながら、右手で「1番」作って天井を指したでしょう?(思わず天上天下唯我独尊を思い出したけど)
あれ・・・誰だったんでしょうね(笑)。私、直感的に、羽生君自身はこれ無意識にやってて(というか何かに操られるようにやってしまって)、きちんと覚えてないんじゃないかな~、て思ったんですけど。

奈々美先生の涙、当時も胸打たれたけれども、今となってはまた別の意味でグッとくるものがあります。今、わたくし、奈々美先生に心からお礼を申し上げたいわ。

●サミュエル・コンテスティ、イタリア/バラ色の人生、ザ・カーズ/総合10位224.89、FS9位151.34(75.84、75.50)
羽生君の直後でありながら、すぐに氷上の空気を自分の演目色に変えられるのは、見事ですわね。冒頭に楽しいマイム(ジェスチャー)があるのも、一役買っているでしょうか。

楽しげで、少しばかりこじゃれてて、そうでありながら物悲しさも含み、でも最後にはもろもろ含めてオプティミスティックに前を向く、そんな(実は清濁併せ呑むような)達観した大人な人生観が現れた演目は、彼の個性と好相性ですね。


最終グループは、その2で。
[PR]
by Koharu-annex | 2012-05-22 15:43 | 2011-2012 フィギュアスケート