もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

世界選手権 男子FSその2

大変遅くなりました。世界選手権の感想は、これが最後です。

●フローラン・アモディオ、フランス/「ソブラルの思いで」byS.ダミアニ、映画「ブルー初めての空へ」より/総合5位243.03、FS4位163.07(81.41、81.66)
難しい楽曲構成で、なかなか御しがたかったように思います。どの楽曲も、アモディオ君が持っている世界観と合致するものだとは思います。しかし、矢継ぎ早に次々と繰り出され、あまりにも詰め込み過ぎた印象です。体力不足の問題は相変わらず存在するので、後半のアップテンポはかなりしんどいと思いますし・・・。

アモディオ君のリズム感を見せたいのでしょうけど、ここは敢えてサンバのリズムは諦めて、メロディアスな部分だけで押すとか、そういう手法を選択しても良いのではないでしょーか。

●ブライアン・ジュベール、フランス/マトリックス/総合4位244.58、FS5位161.11(79.17、81.94)
衣装が、もろ「マトリックス」で楽しい。あのダーッと画面上に縦に流れる緑のコンピューター文字列を思い出しましたよ~

マトリックスは全部見ているんですけど、音楽は一部しか記憶がなかったなあ。こんな音楽もあったんだ、と思わせる個所がたくさんありました。無機質過ぎるところもあるけれども、妙にジュベール君と合っていたと思います。というよりも無機質な部分が、ジュベール君の筋肉質なんだけど、ほんわか温感のある雰囲気をより強調するのかもしれない。

現在、彼よりも見た目軽やかに4回転を跳ぶ人は複数いるのでしょうが、今となっては不器用とも感じられるジャンプの跳び方も含め、彼は文字通り「ラバブル」な人だと思う。

最後の思いっきり喜びを爆発させたガッツポーズ、本当に嬉しくなりました。

●ハビエル・フェルナンデス、スペイン/ヴェルディ・メドレー/総合9位225.87、FS14位144(69.34、75.66)
あらあら、随所で音楽と微妙にずれちゃいましたかね。少し緊張したのか、動き急いているところがあるような。まあ、もともと音楽と親和性の高い振付じゃないような気もしますが。

後半は疲れも出たようで、音楽とムーブメントが大分かい離してしまったのは残念でした。うーん、もともと本人があまり乗れない音楽だったのかもしれません。自分が好きだと思えない音楽だと、しんどい状況のときに体ってなかなか動いてくれないかも。。。

●高橋大輔、日本/Blues for Klook/総合2位、FS3位
私、今でも覚えているんだけど、リアルタイムで見ていたとき、私の両手、めちゃくちゃ冷たくなっていたんですよね。指先から血の気が全くなくなって、まっ白になってました。これ、私が超~緊張したときの症状で。
でも「表現」だけに執着しているのなら、こんなに緊張する必要はないんですよ、高橋さんの場合。なので、私、勝負は興味ないと言いながら、やっぱり高橋さんに勝って欲しいんだな~と自覚した次第。

今回は、高橋さんのアスリートの面が表現者の面よりも前に出ていたパフォーマンスでした。高橋さんのパフォーマンスにはとても珍しいことなんだけど。ぶっちゃければ、所作やムーブメントに一定の「作為」が見えたんですよね。

例えば。高橋さんの今回のFS、これまでのものと比べると、体の一部の力を「ふっと」あるいは「ガクンと」抜く振付(以下、「脱力系」とよびます)が、目立つように修正されていましたよね。この「脱力系」の振付って、私の記憶の限りでは80年代のジャズダンスシーンなんかでも非常~によく用いられたものなのですが(ちなみに私は80年代はジャズダンスの黄金期だと思ってる)、上手にナチュラルにこなすためには、一定以上の技術というかセンスが必要で、案外、難しいのです。「ただ力抜けばいいんでしょ?」と思うかもしれないけど、センスない人がやったらね、わざとらしくて、あざといというか、簡単にいうと「ダサさ100倍」で見てられないのですよ(笑)。

ここで、なぜその例?と思うかもしれないけど、対比で思い出しちゃったので、敢えて出しちゃいますが。ヨナちゃんの五輪のときのFSの中には、80年代のジャズダンスに多用された、手首のスナップを利かせながら腕を上から下に振り下ろす「脱力系」の動きが入っていたのです。そして、ヨナちゃんの動きは、見事に「かっこ悪い仕上がりの典型」でした。あれを見て、わたくし、ヨナちゃんの踊り心の程度を確信しましたからね。

高橋さんは、表現の地力がとても高いですから、彼の脱力系の動きのどれをとっても「ダサい」なんてことは一切なかった。でも、そこで、そういう動きを狙っているという意図が見えた。このような「作為」が見えることは、彼には本当に珍しい。

もちろん、観客を前提とする「踊り」に全く作為が存在しないことは有り得ませんから、「作為」が見えたこと自体に目くじらを立てる必要は全くない。だけれども、高橋さんは毎回、作為をほぼ感じさせないレベルに踊りを仕上げてくる人なので(私の記憶では五輪ですら感じなかった)、いちいち作為が見えるとちょっとした違和感を感じてしまったのでした。

これは、彼が「勝ちに」行く意識がいつもよりも高かったことによるものかもしれないですね。そして勝ちに行くこと自体は、アスリートとしてはとっても正しいわけで。実際、私も彼に勝って欲しくて手が氷のようになってるわけだから、そこに文句をつける筋合いは無いわけなんですが。
それでも、高橋さんには圧倒的な表現者でいて欲しいと願う私は、ワガママ過ぎですわね~。

カメレンゴさん、画面に映ってるときは、例え端っこでも、すぐに分かるね(笑)。そこだけ、妙に温度が暑苦しい熱いの。

●チャンさん/アランフェス協奏曲/総合1位
私、別に相撲ファンじゃないんですが。テレビで思いがけず相撲観戦してしまった時でも、立ち会いの時に、「こっちが勝つ」って分かる時があるじゃないですか。
今回、私、チャンさんにこれを感じました。もうこれは直感ですね。チャンさんが所定位置でポーズをとった瞬間、「あ、これはチャンさんが勝つ」と思いました。手が氷になってた私には、ちょっとショックではあったけれども。

また、チャンさんが動き出した時の場を制圧するパワーは圧倒的で、だてにチャンピオンじゃないな、この人、って思いましたわ。すさまじい王者オーラでした。ざわつく会場を一瞬で鎮まらせることができる、鋼鉄のようなオーラ。
もちろん、この王者オーラはアスリートとしての王者オーラなんだけど、今回は高橋さんもアスリートモードだったからなあ・・・。気持ちの上での勝負も、ピュアにアスリートレベルでの勝負だったという気がします。

さてさて、このチャンさん、コーチを変えたのですよね?
2012-2013シーズンにどう変わるのか、楽しみなところです。
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by Koharu-annex | 2012-09-24 23:28 | 2011-2012 フィギュアスケート