もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

羽生くんの軌跡 in トホホ その1

いやいや、皆様、世界選手権男子FSの感想を書いてたんですが、羽生君のところで泣いて泣いて、筆が全く進まなくなってしまいましたよ。

ってことで、特別企画!

過去の羽生君のパフォーマンスに対する感想を、時系列で古い順にまとめてみました。結構、わたくし、熱く書いてて驚きました(笑)。コメント欄で教えてもらった点(十字を切るのはクリスチャンではなくバランスをみるものだとか)も、訂正することなくそのままアップしています。また、コメント欄での議論も載せたかったのですが、そこまではなかなか難しかったので、今回は省略いたしました。ご容赦下さい。

楽しく思い出して頂けると幸いです。

まずは、2010-2011シーズンから。

(1) 2010-2011 シーズン

カーニバル・オン・アイス(2010年10月)
●羽生さん
「ツィゴイネルワイゼン」 サラサーテ
襟元のフリルとかリボンとか・・・こういう衣装が珍しく似合う日本男子ですね。

まだ華奢な少年体型が残っているせいもあるのでしょうけど、ジャンプで倒れたりした際に、一部の10代の少年しか持ち得ない「はかないきらめき」みたいなものがシャリンと音を立てるようです。

こういうのって無くなっちゃうんですよね・・・そう、「男性の人生において、ごく年若い男子である時の一瞬にしか存在しない美がある」という現実を実感するのは、ある程度の年数を生きた後です(笑)。
いつか詳しく記事に書くかもしれませんが(いつ!?←自分突っ込み)、世阿弥も、この点はっきり言い切ってる。もちろん、三島も言い切ってる(笑)。

念のため言ってしまうと、この「美」というのは誰しもが持っているのかもしれませんが、多くの人にその「美」を感じさせることができる人というのは、数が限られている。
羽生さんは、その限られた人物の1人だと思います。
そして、「今の」羽生君は、まさにその「美」の真っ只中にある。
この意味で、実に、鑑賞時期にある方と言えると思います。

その「美」が無くなった頃には、体力もつき、また、彼の「躍り心」にもっと磨きがかかっているでしょうから、今度は彼の舞踊について鑑賞時期が来るでしょう。

NHK杯(2010年10月)
●羽生結弦(15才) SP
「白鳥の湖」よりホワイト・レジェンド byチャイコフスキー

始まる前、十字切ってましたよね?・・・そうか、クリスチャンなのですね。
FPの衣装だけでなく、今回のSPの衣装もジョニー・ウィアーさんのデザインなのかしら?
普通の日本男児には到底着こなせない類だけど、よく似合っていますね。
今だけ存在する特別な「美」(COIの感想を書いたこちら参照)が、際立つようです。
ウィアーさんにあるちょっとしたセクシュアルな感じが羽生さんには無いので、ウィアー系の衣装でも上品ですよね(いや、別にウィアーさんが下品ってわけじゃないです。私、ウィアーさん、好きですし!)

羽生さんは、すごい表現者になると思いますよ。
もしかすると、何かが降りてくる「憑依」タイプかもしれないですね。
憑依タイプが気をつけなくちゃいけないのは、自分の中に降りてきた何かを「表現したい」と切迫したような気持ちにかられて、激情のまま、自分の技術とか体力とかおかまいなしに、爆発的に身体表現をしちゃうことがあることです。
ありていにいえば、ケガが心配ってことですな。

今回のSPでは特に後半のステップのところ、自分の現在の技術・体力以上に、生と死の狭間にいる白鳥を表現しようとする、彼の危ういほどの情熱が飛び出してくるような印象を受けました。
そのため・・・身体のムーブメントは荒いわ、筋繊維ぶち切れそうだわ、でも、情感がすごくほとばしってる、みたいな、ある意味とても贅沢なアンバランスさがそこに。
もちろん、そのアンバランスさも、ある種の「美」と言えるけどね・・・それじゃ壊れます、表現者が。
正直、ちょっとヒヤヒヤした。

自分の内面の「表現したい」という欲求を、自分の身体の範囲内に収めるよう、冷静に計算できるようになるといいですね。
もちろん、年々、技術も体力も向上するから、「自分の身体の範囲」も大きくなるでしょうけど。

音楽、これは編曲が素晴らしいと思いましたね。
原曲よりも、極限の生を表すような「か細さ」が強調されていて、羽生さんの演じた白鳥と大変よく合っていました。振り付けも素晴らしく、まさに「三位一体」ですね、羽生さん。

最初の3A、綺麗で距離のある山なりを描いてて美しかった。その直後、一時停止ボタンを押したんだけど、そのときの羽生さんの首筋がまた美しくて、絵みたいでした。

●羽生結弦(15才) FS
ツィゴイネルワイゼン byサラサーテ

4回転成功おめでとうございます。

COIのときよりも仕上がり良いですね(こちら参照)。
あとは、とにかく体力ですかね。
体力がつくまで、ケガのないように祈っています。


ロシア杯(2010年11月)
●羽生結弦(15才) 日本
SPは白鳥の湖よりホワイトレジェンド、FPはツィゴイネルワイゼン。
白鳥の湖のアレンジは川井郁子さんだそうですが、今回聴いていてもやっぱりとても良いと思いましたね。
FPでも毎回思うのですが、羽生さんは、ヴァイオリンの高音の消え入りそうなギリギリの音が良く似合いますね。

羽生さんという方は、もともと柔軟性が高い(おそらく多くの関節のソケットが浅い)こともあって、腕のムーブメントが本当に美しいです。
加えて、男性には珍しく背中と首が、これまた美しいです。
が、特に首や背中のストレッチを入念にやっているようにも見えないので(想像ですが。笑)、やはり持っている資質でしょうね。
この手の柔軟性は、普通に意識してストレッチなどをしていても、年齢を経るごとにある程度なくなってしまいますから、今のうちに良く見ておかなくちゃ、ですよ。

FPは、NHK杯のときよりも、体力の分配を考えているようで、前半は動きを抑えている印象でした。
ただ、スピードは比較的出ていて、身体の伸びもあったと思います。
残念なのは、そういう「抑えた演技」でも、少々危なかったしいところがあることです。
身体の動きの全てをコントロール下におけていないというか、御しきれていないというか・・・。

前半抑えたにもかかわらず、後半は足に来たようで、ステップで転倒してしまったことも残念でしたね。
やはりスタミナの問題は急務でしょうか。
スタミナ強化がなされたら、一つ一つのポジショニングを大事にして、呼吸をためることも覚えると良いのではないかと。

四大陸(2011年2月)
●羽生さん SP
シーズン前半に比べると、体力の分配がうまくいっているようで、安心してみていられました。
以前は、妙にはらはらして観てたのですけどね。
体力が劇的に増強することは考えられませんから、力の配分を考えてコントロールしているのだと思いますが、この調整能力というか、成長ぶりは頼もしいですね。

何度も書くけど、この羽生さんのSPはとっても羽生さんに合ってる。
川井さんのアレンジも秀逸だけど、今の彼の年齢ゆえのはかない美しさと、音楽が見事に調和してて、素晴らしいと思います。
全ての年長者が知っているように、彼の、いくつもの小さな鈴がしゃりんと音を立てるような、あの美しさは、将来必ず消えてなくなってしまうものです。
彼のあの華奢で細く長い首が、あのラインを描くことは、もうあとわずかです。

「あの年齢」を具現化する美を、テレビを通してすらあそこまで見せ付ける人も珍しいと思います。
ゆえに、ワタクシ、羽生さんには、ケガなく元気に来季もテレビ放送される大会に沢山出て欲しい、と切に願っている次第であります。

蛇足ながら、羽生さんのSPの曲(ホワイトレジェンド)が入ってる川井さんのアルバムを購入しました。
が、続けて聴くと飽きる・・・ということを発見しました。
年をとって、クラシックはやっぱクラシックで、という感覚になってしまったのか・・・という考えが頭をよぎり、一瞬、微妙に落ち込みました。
なので、これはあかん、と思って、「羽生さんの踊りをセットで見るからいいんだな。」という方向に無理矢理結論付けて、心を整理しました。すみません・・・川井さん。。。

●羽生さん FS
今シーズン最期ですか。ジョニーさんデザインのこの衣装を見るのもこれが最後と思うと、これまたちょっと寂しい気がしますね。

綺麗な四回転でしたね~

が、途中いくつかジャンプをミスしてしまい音楽に遅れた箇所があったこと、そのせいか振付が抜けたり、ムーブメントを流さざるを得ない部分があったこと、等々については、パフォーマンスとしては残念でした。
今シーズン、ずっと課題だった体力、SPでは配分することでこなしましたが、FPではもちませんでしたね。
リンクを上がったからおりた途端に発言された、「しんどかった」というコメントはまさに本音でしょう。

・・・でも、最後だから言ってもいいですかね。
これまで心の中で思いながら、敢えて言わなかったことなんですけど。(理由は、絶対に点数に反映されるべきではないから。)
あの体力がもたなくて、ヨロヨロと、破れかぶれっぽくなっていくところ、あれはある種の「美」なんですよ、間違いなく。特に、羽生さんのルックスと年齢においてはね、美しさ倍増です。
[PR]
by koharu-annex | 2012-04-02 11:07 | フィギュアスケート男子