もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

NHK杯 男子FS

●トマシュ・ベルネル(25歳)チェコ共和国/映画「スウィング・キッズより」シング・シング・シング、バラ色の人生(エディット・ピアフ)
冒頭の4回転があまりにクリーンで、おお、今日はいけるか!と思ったのですが、まだまだ本調子ではなさそうですね。
それでも、昨日のSPからずいぶん修正してきましたし、失敗後の気持ちや表情の切り替えもできる、そのあたりはベテランの凄みでしょうか。また、相変わらず演技派で、「舞台」をつくるのがうまいですよね。

●アーミン・マーバヌーザデー(「20歳)アメリカ/映画「キル・ビル」より
彼もそのチームも、今、彼の表現上の個性や幅を見極め中のような気がします。
「手探り」とか「暗中模索」とかそんな言葉がアーミン君の向こう側に見えますが、健気に頑張るアーミン君に声援を送りたい。いつかこの苦労が実を結ぶことを祈っております。見るからにポテンシャルが高いので、楽しみにしています。

●サミュエル・コンテスティ(28歳)イタリア/ラ・ヴィ・アン・ローズ 作曲:エディット・ピアフ、サ・ガーズ 作曲:トニー・ミュレナ、華麗なる千拍子 作曲:ジャック・ブレル
今季は、サスペンダーを使う振付が多いですね。ベルネルさん、アボットさん、コンテスティさん。「ばら色の人生」もなぜか今季は多用されてて、私は思わずエディット・ピアフの映画を見直してしまいましたよ。

コンテスティさんは、こういうのやらせると本当に上手ですよね。大道芸人って、子供はやり切れない演目だと思うのです。ベテランの、しかもコンテスティさんだからこそ、出せる世界がそこに。
ただ、出来そのものはアメリカ大会の方が良かった。あのときは会心の出来だったと思います。

●ロス・マイナー(20歳)アメリカ/映画「アンタッチャブル」より
今季多用されている映画「アンタッチャブル」に対する思い入れは、散々書いてきたのでもう打ち止め(笑)。

マイナーさんに関しては、カナダ大会のときにも同じこと書いたけど、やはり衣装がストイックすぎるかなと。悪くすると「可もなく不可もなし」くらいのレベルまで印象が薄くなっちゃう気がする。あと、余計なことかもしれないけど、マイナーさんの、すぐに顔が紅潮するところ(別にこの点は悪いところではないけど)が、この衣装では余計目立っちゃうのもどうかなと。
演技そのものは非常にコンパクト(?←え、もしかして衣装のせい?)にまとまっている感じでした。最後の「イエス!」のガッツポーズ、微笑ましかったです。

●町田樹(21歳)日本/ドン・キホーテ
ふお!衣装派手だな~。こういうの好きなのかな~。私はもう少し押さえ気味なのが好みだけど、これで町田さんの気持ちがアップするなら、これで行くべきでしょう。

ドンキは皆様ご存知のとおり上演回数が非常に多いバレエなので、バレエ見は音楽を聴くとその部分の踊りが瞬時に思い浮かぶ。これは結構、つらい(苦笑)。脳内に反射的に浮かぶ踊りの情景を打ち消しながら、目の前のスケートを見なくてはいけないので。

町田さん、ジャンプの調子が昨日と打って変わって悪く、体力的にもきつくなって、何より本人がお辛そうでしたね。。。

●コンスタンチン・メンショフ(28歳)ロシア/ザ・レース 作曲:イエローバトル・ウィズアウト・オナー・オア・ヒューマニティー(映画キル・ビル サウンドトラックより)作曲:布袋寅泰、ベルガマスク組曲より「月の光」ドビュッシー
おお、メンショフさんもキル・ビル使うんだ!と思ったらいきなり月の光だし。面白い楽曲構成だな~と見ていたら、これもちゃんと物語になってるんですね。

バイクの走り屋さん。車と人が行きかう街中でバイクにまたがり、ぶいぶい走り出す。高速スピードで間を縫って郊外へ。月明かりの下、虫の音がする自然の中で、ヘルメットを脱ぎバイクから降り、喧騒を忘れたひと時を過ごす。再びバイクにまたがり、高速スピードでいつもの街へ。街中をまたもや危険なスピードでぶいぶいいわせてたら、パトカーの音が!バイクのスピードを更に上げて・・・、イエイ、逃げおおせたぜ!って感じっすかね。

やりたいことは分かるし、私はかなり好みの演目なんだけど、いかんせん調子が悪く体力もたなかったですね。SPに引き続き、こちらも完成形を見たいなあ。ロシア杯、楽しみにしていますよ!

しっかし、実況も解説も、メンショフさんが必死で頑張ってる走り屋物語に、一言も触れないってどうよ!?

●ブランドン・ムロズ(20歳)アメリカ/カルメン 作曲:ジョルジュ・ビゼー 編曲:レナード・バーンスタイン
カルメンにおける「だめ男ホセ」については、以前、こんな記事の中で、高橋さんにお願いしたいと書いたことがあるんですが。
ムロズさんの演技の冒頭を見て、これは「だめ男ホセ」を狙ってきたか~と思ったんですけどね。ロケット花火のようにその路線は消えてしまいました。ヒュゥ…

ジャンプの失敗が続いたことにより、本人のいかにも「がっかり」な感じが、だめ男ホセに通じる部分があったんだけど、それは演目として予定されていたとも思えず(苦笑)。
次のロシア杯で、ムロズさんが意図してる路線を確認したいなあ。ご健闘を祈っております。

●小塚崇彦(22歳)日本/ファンタジア・フォー・ナウシカ 映画「風の谷のナウシカ」サウンドトラック 作曲:久石譲
アメリカ大会の時のコメント転記。
この音楽が好きで、音楽が身体に入っているのが分かります。外だけでなく身体の内に響いている音楽に合わせて動いているから(しかも緩急をつけている!)、とても自然で美しいです。音楽の伸びに合わせて、彼が腕を伸ばし、その伸ばした腕をしならせる。ぴったりと音楽に合ってます。

小塚君の演技の感想でこんなことを書く日が来るとは!

涙が出そうだよ。フィギュアスケートファンの方々って、こうやって毎年選手の成長も一緒に見ているんですねえ。皆さま、毎年それぞれに喜怒哀楽の感情の起伏があって大変じゃないですか?

このFP、振付の音楽との親和性も非常に高いのでしょうが、本人のこの楽曲が好きという気持ちがまさに土台となってこの高さまで彼を引き上げてくれたのだと思います。音楽の持つ力って本当に大きい。音楽をいかに大事にするかで、フィギュアスケーターって成長が違って来ると思うなあ。

もちろん彼の姿勢やムーブメントにおいて「舞踊」の面から改善できるポイントがまだいくつかあるのは確かなんですが、ここまで音楽と一体化すると、これらの欠点は凌駕されます。いいもの見せてもらいました。ジャンプの不調?私にはそんなこと全く問題ではありません。

今回もこの感想と基本的には重なるんですが。ただ、勝たなきゃいけない相手が高橋さんである場合には、やはりジャンプで点を稼ぐ必要があるんだと思うんです。高橋さんに演技構成点で勝つことを狙うのは無謀だから。

あと、SPのときにも書いたけど、だんだん人間贅沢になってくるものでどうしても要求度が高くなってくるのですが(笑)、舞踊面の更なる向上も望みたい。(この点は高橋さんから受けた刺激が原動力になるでしょうね)

●髙橋大輔(25歳)日本/Blues for Klook
カナダ杯のときの感想。
私は、音楽表現という意味においては、JOの時の方が良かったと思います(こちら参照)。JOのときも後半疲れが出ていたんですが、今回は、中盤あたりから少々間延びしたように見えたことが何回かありました。SPと同様、まだ5合目ですね。
ただ、本当に難しい楽曲なので、それをここまで仕上げていること自体、既に素晴らしいとも言えますけどね。他のスケーターだと、絶対、間がもたないから。

今年のSP&FPは、高橋さんの音楽性と踊り心が頭抜けていることを、如実に浮き上がらせるものだと思います。
今回は、カナダ杯よりは随分良かったと思いますが。何かが憑依してきたSPと比べちゃうと、「うん、まだまだだね。頑張れ」といいたくなる出来でしたわね(苦笑)。えっと、6合目ぐらい?

ところで、私、普段はフィギュアスケートの報道をそんなに見ないんですが、今回はたまたまGPSの大会とか順位を調べるためにスポーツナビを確認したんですよ。そしたら、こんな報道があって。その中で高橋さんがこんなことをおっしゃってるんです。
(今日の“ブルース度”は?)  ブルースというものが僕自身どういうものなのか正直分からなくて、一生分からないんじゃないかと思いますけど(笑)、もっと『やさぐれている』というか……ハッピーじゃないだろうな、というか……。日常(の感情)なのかなというイメージなんですけど。
今日は『欲を持った男』じゃないけど、こう……人にかみつくじゃないですが、人の方に入り込んでいくという感じの演技だったので、どれがいいんですかね(笑)。
でもあまり考えず、そのときの状況でやっていくのが一番いいんだなと、滑るほどに思ってきています。いろいろな人に聞いたり、どこかでヒントが出てきたりすると思うので、そういったものは拾いつつ、どう表現しようというのはあまり考えずにやるのが一番かなと思います
この意識の高さ。
これが彼の突出した表現を支えるもう1つの柱ですわね。こと表現については、一人別次元のステージで勝負している感じです。
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by koharu-annex | 2011-11-13 23:11 | 2011-2012 フィギュアスケート