もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

NHK杯 男子SP

おめでとう!シブタニ兄妹!!
「昭和のかほり」がするあなた方がネイティブ英語で話す姿は、何度見てもほほえましい。

そして、川口・スミルノフ組、高橋・トラン組も、おめでとう!
ボーダレス化の世の中とはいえ、輝いている日本女性を見られるって、やはり嬉しいことです。

●アーミン・マーバヌーザデー(20歳)アメリカ/カシミール by レッド・ツェッペリン
ちょっと身体が重いというか動きが悪いというか・・・残念な仕上がりだったなあ。
でも、そもそもの振付がひっじょーに悪いと思う。本来アーミン君は、関節の稼動域が広くて表現手段も豊富なのに、全くそこが生かされていない感じです。

●コンスタンチン・メンショフ(28歳)ロシア/映画「デッドサイレンス」より 作曲:チャーリー・クロウザー ワームス・ラウンジ ワームス・ブラック、映画「メン・イン・ブラック2」サウンドトラックより 作曲:ダニー・エルフマン
楽しい演目ですねえ~!衣装も楽しい。
秘密の扉の向こう側に好奇心で入って行ったら、思いがけない冒険をするはめになり、命からがら帰ってきて何とかバタンと扉を閉めてフィニッシュ、というような趣向かしら。
完成形が見たいなあ。

●ロス・マイナー(20歳)アメリカ/Para Ti by Jorge Gomez(パラ・ティ 作曲:ホルヘ・ゴメス)
カナダ杯よりもずっとまとまっていた感じですね。
ただ、なんというか「地味」なんですよね。この地味さを、味わい深さに変えられる何かがあると良いのだけど・・・。

●町田樹(21歳)日本/黒い瞳(ロシア民謡)
腰の薔薇は必要なんだろうか・・・?

ジャンプにここまでのキレを感じたことって、久しぶりだなあ。体操の内村君みたいに、ジャッジに回転数を数え間違えられないか心配(笑)。それだけに、フライングシットスピン、悔しいよねえ。失敗って言いたくないような、思いがけないものでした。小さなイタズラ悪魔に足引っ掛けられたみたいな。

黒い瞳は昨シーズンからの持越しということで、去年の町田さんに関する私のコメントを転記。
ええっと、よく動いているんです。たぶん、踊ろうとしているんです。それは分かる。
でも、動くたびどこか足りない印象が出るので、今の段階では動き過ぎが諸刃?とか思いつつ。「踊る」ってなんだろう?って根本的なところに立ち戻って考えてしまいました。

以前、「動いてなんぼ、動けてなんぼ」、という文を書いたいたことがあるんですけど(こちら)、高度な技術が伴わないまでも、身体を「動かすことができる」人の数って、実は限られる。
だから、「一生懸命さ」が前に出てしまうことはさておいても、曲がりなりにもちゃんとここまで「動ける」町田さんは、大したものなのです。悪い例として引き合いに出してばかりで悪いけれども、ヨナちゃんやチャンさんは、ここまで動けませんからね。

だけど、踊るってことは、この「動ける」ということの、まだ先にある。

もしかすると、今は単に「振付をなぞるだけで精一杯」の段階にあるだけで、振付をこなしていけばその先に、彼の「踊る」姿があるかもしれない。実際、彼の振付はSPもFPも、忙しい(=動作がたくさんある)振付だったから、彼があっぷあっぷしちゃうのも当然だと思う。

そうはいっても、見る者の心に響く「踊り」は、振付を感じさせないものですから。
振付の先にある、その世界へ、彼には行って欲しいと思いますね。
繰り返しますが、ここまで「動ける」のですから。

あ、あと瑣末なことだけども。忙しい振付のときに誰しもが陥りがちだけど、腕を肩だけで動かさないように気を付けた方がいいかな、と。
今シーズンは、この段階から何歩も進んだと思う。
町田さんから踊りを感じることができましたから。

だけど、これ、楽曲の選択が悪いと思うの!
どんなに工夫しても、この楽曲にピッタリ密着する振付はスケート向きじゃないような気が・・・。「よく動ける」という町田さんの特性を生かそうとしたんだろうし、実際、彼は良く動いていたけど。でも、音楽表現としては、部分的に振付が「まずまず」程度にはまった箇所が散見されるにとどまり、楽曲の特性は生かせてないと思う。町田さんの動きが踊りになっているだけに、本当にもったいないやら、なんだか悔しいやら。

●ブランドン・ムロズ(20歳)アメリカ/ミュージカル「ザ・スリーペニー・オペラ」よりマック・ザ・ナイフ
作曲:クルト・ワイ
黒いシャツに白い蝶ネクタイをほどいたままにしている衣装が、お風呂用の薄いタオルか手ぬぐいを引っ掛けてるように見えてしまったぞ。
夏のTHE ICEかなにかでアモディオ君も「蝶ネクタイほどいた」衣装着てたけど、あちらは白シャツに黒いネクタイだったからか、そうは見えなかったのだが。

昨シーズンから音楽性の高い人だと思っていたけど、こんなに動ける人でしたっけ。柔軟性ではなく、身体のスウィング感で魅せるタイプであること、見た感じクールな都会人で(彼の出自は知らないけど)、笑うときも口の端をにっとあげるだけで表情豊というわけではないこと、それらがこの楽曲に合っていましたね。

●トマシュ・ベルネル(25歳)チェコ共和国/カルミナ・ブラーナ(ヒップホップバージョン)
昨年の名SP(「雨にうたえば」)が本当に好きだったので、今回が「カルミナ・ブラーナ」と知って、昨シーズンと全く違うベルネルさんが見られると楽しみにしていたのですが。
調子が悪くて、ご本人がおつらそうでしたね。。。

●サミュエル・コンテスティ(28歳)イタリア/ハンガリー行進曲(ベルリオーズ)、泥棒カササギ(ロッシーニ)、序曲1812年(チャイコ)
アメリカ大会に引き続き、ミスが多い結果となりました。アメリカ大会のFSは素晴らしい出来だったのですが。。。このSPの完成は遠いのかなあ。楽しげな演目なので、残念です。

●小塚崇彦(22歳)日本/Inner Urge(インナー・アージ 作曲:ジョー・ヘンダーソン)
アメリカ大会からずいぶん滑り込んだのでしょうか、こなれてきましたね~。
振付に埋め込まれている大小さまざまな多彩な動きを丁寧にこなしていくんだけど、振付を追っているようにはほぼ感じさせないところまで持ってきてました。
私は、基本的には、顔の表情を作りこみ過ぎるのは好きではないのですが(えてして身体の表現の足りなさを補おうとする傾向があるので)、彼の場合、冒頭で顔の表情が出てきたのも進化の証なのではないでしょうかね。

ただ、彼が昨シーズンから飛躍的進化を遂げるのを見て、こちらも調子に乗って要求度が高くなって申し訳ないんだけど。「あー、そこであとひとタメ!」「あとひと伸び!」とか思う箇所がいくつかありました。振付を感じさせない次は、今まで必要性を感じなかったであろう、音楽を大げさに見せるつもりくらいの意識で、「動きのそのちょっと先」を流さずやってくれればなあ~と思ったりして。

どんどん進化しているから、また次回は更にステップアップしているでしょうね。
楽しみです。

●髙橋大輔(25歳)日本/In The Garden of Souls(アメリカのバンド「VAS」のアルバム)
フライング記事から数時間たち落ち着きました(笑)。

さて!「自分以外の何者か」を表現する天性の能力がある、憑依系表現者である、高橋さんの面目躍如でしょ。何かが降りてきたね(笑)
・・・何が降りてきてたんだろ?

まず、復習のためにカナダ杯のときの感想を転記。
難しい楽曲で、高橋さんでないとこなしきれないでしょうね。

それにしても、彼は、音楽の把握の仕方が他とレベルが違います。
また、動きに本来のキレもスピードもない中で、ここまで踊れることが、表現の地力の圧倒的な大きさを物語っています。
本当に表現という意味では、他に比類ない人です。

いや~、アナウンサーは「完璧」なんてほざいていましたが、あほかいと思いますよ。
これが完璧なわけないじゃないですか。もっとずっと高みに行くにきまってるじゃないですか。今はせいぜい五合目。

五合目、当たってたでしょ!?(今回が何合目かって話はやめとくよ。わかんないから。笑)

普通程度の音楽性のある人が、音楽を聞き込むとか、それによって音楽を身体の内部まで染み込ませるとか、そういう作業を経て到達する次元を、はるかに凌駕する次元に至ってると思う。その源は、高橋さんの圧倒的な音楽性の高さ。

その上、何かが降りてきて憑依されたときも(笑)、その何かに突き動かされるとおりに身体表現を行うことができる、圧倒的な表現力の地力の強さ。

音楽性と表現力の地力の大きさのために、客観的には音楽にあわせて彼が動いているはずなのに、逆に、彼から音楽が生まれ出てくるように感じる。彼の身体に天然のスピーカーが内臓されているんじゃないかってくらい。あるいは、憑依した何かが彼の体の中で音楽を作り出し、彼の身体というスピーカーで音楽を外に表出しているような感じもする。

以前、演劇的な演目と音楽的な演目について書いたとき、「音楽的な演目」は音楽と表現者の主従関係で次の3つくらいに分類できるってことを書いたんだけど(元記事はこちら)。

     (1)音楽が主役
         「音楽を視覚化」した、といわれる類型はここに入る。
         表現者の個性はむしろ消して、音楽と寄り添い、音楽に同化させる。
     (2)表現者と音楽が同格
         表現者が音楽に新たに別の旋律を加え、あたかも二重奏の様相を呈する。
     (3)表現者が主役
         表現者の個性を前面かつ全面に出し、音楽を利用して、ある世界観を表現。

今回の高橋さんのパフォーマンスには、(1)~(3)の全てが見られたと思う。音楽と完全に同化しているところ、二重奏となっているところ、音楽よりも前にでているところ(憑依してるやつがね。笑)、全部あった。これはとっても珍しいと思う。

昨年のSP(マンボメドレー)も打ち上げ花火のようで楽しくて大好きだったけど、今回のSPは希少性でそのずっと上を行くよ。しかも、今回は技術面が安定していたおかげで、流れが途切れることが一切なく、芸術的な一品作品としての完成度が非常に高い。

ってことで、永久保存、決定。

なみだ目になるよ。ありがとう、高橋さん、あーたはやっぱり日本の宝だよ。

四回転のことも含めご本人的にはいろいろ思うところもあるようですが、私が次回見たいのは2箇所。
実況でも指摘されていたラストのポーズと、3回目のジャンプ(3ルッツ)の後の動き(ひざを抱えるような?ここも予定通りの動きではないような気がした)。

はあ、そういう意味では次回も見たいんだけど、なんだか怖い。いろんな意味で(笑)。
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by koharu-annex | 2011-11-12 23:17 | 2011-2012 フィギュアスケート