もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

NHK杯 女子SP

皆様、ごきげんよう!
わたくし、この週末、友人の結婚式(@バンコク)に夫婦で招待されていたんだけど、在京せねばならない仕事があり、旦那だけが洪水の不安にもめげずタイに行っております。(優雅にホテルでスパを受けているそうなので、still dry な地域はまだ平穏に過ごせるようです)

行きがけに旦那から、「僕が帰国するまでにNHK杯の感想は全部アップしといてね。帰国した僕を無視してPCに向かいっぱなしってことがないように~」と言い渡されました(帰国は月曜朝)。
・・・今週末はNHK杯祭りだな。

●マエベレニス・メイテ(17歳)フランス/デルニエール・レットル・デュ・フランス
柔軟性があって、特にスピンが美しいですね。
しかし、手足の長さや柔軟性を生かした振付とは感じられず・・・以下、昨シーズンのコメント転記(今、読み返すと明らかに私怒ってるな。チーム・メイテに対して)。
これはひとえに振付師の問題なんですけど、黒人の表現者の身体的特徴を全く生かすことができていませんね。とてももったいないと思います。
白人スケーター向けの振付をそのまま持ってきただけでは、黒人スケーターの良さは引き出せませんよ。黒人の良さをもっと引き出す振付を採用して欲しいと思います。

黒人の身体表現者の特徴は、なんといっても腕・手首・手です。
これを生かすような振付においては、彼らは腕~手首~手を柔らかく連動させて、まるで空気を泡立てたり波のように揺らしたりするような、美しい動きをします。この妙なる動きは、極めて魅力的です。これは彼らの特権で、どんなに腕が長い白人や黄色人種でもこの動きを完全に真似することはできません。

日本では鑑賞のチャンスはあまりありませんが、少なくともアメリカの大都市の多くには、黒人のバレエカンパニー(コンテンポラリーが多いと思います)やダンスカンパニーがあります。「空気を泡立てる妙なる動き」は、多くのカンパニーの公演で見ることができますので、チャンスがあれば是非。

メイテさんの振付師には、このような黒人カンパニーの振付を是非お勉強して頂きたいと思います。
ついでに、衣装ももっとメイテさんに似合うものを用意して差し上げて欲しい。

●エレーネ・ゲデバニシビリ(21歳)グルジア/タンゴ・ジェラシー
豊満なバストにぐっとあいた背中。タンゴにぴったりの大人の色気のある方ですよね。
髪型もメイクもこれぞタンゴで、私はとても好きです。

アメリカ大会と比べて、スピードがあり、身体にも動きにもキレがあり、雲泥の差で良い出来だったと思います。振付の緩急、特に「急」のところをちゃんと意識して力強くアクセントをつけていたのがよりタンゴらしさを醸し出していましたね。途中、音楽に遅れそう…と思わせる箇所が無きにしも非ずでしたが、意識的に滑りを力強くして(気力で)ねじふせた感じでした。

アメリカ大会でも書きましたが、昨年のあっ子姉さんと比べると、振付のレベルに差があり過ぎる(もちろんあっ子姉さん用の振付の方が格段にレベルが高い)。その上、私の記憶にあっ子姉さんの踊りが刻まれすぎているせいか、ゲデバニシビリさんのパフォーマンスでは、ドラマチックな音楽が走り去ってしまっているように見えて物足りなく感じてしまいました・・・。
が、これはひとえに私の個人的な問題であって、客観的には素敵なタンゴだったと思います。

●シンシア・ファヌフ(23歳)カナダ/アンブレイク・マイ・ハート(スパニッシュ・ギターによる演奏)ほか
カナダ杯に引き続き調子が悪かったですね。

演技中に、TPPに関するニュース速報が入ったため、一瞬、「9時からのニュースで確認しなくちゃ」と気もそぞろになっちゃいました(苦笑)。申し分けないファヌフさん、と集中し直したら、ストレートラインステップの途中で、ギターのソロと勝負するかのように力強くキレある動きが始まりました。ここは見せ場でしたね。

●浅田真央(21歳)日本/シェヘラザード
一定割合の方が予想(希望?)されていたとおり、パンツでしたね!THE ICEの「アラジン」を思い浮かべる方が多いでしょうが、バレエ「シェヘラザード」の衣装もまさにこういう感じなので、脊髄反射的に「らしい!」と思ってしまいました。

友から「真央ちゃんの細さが衣装着てても分かる」と悲鳴のようなメールが入ってましたが、佐藤コーチやウィダー陣営が体重を含めた管理をやって下さっているとのことなので、友よ、心配無用ではないか?

さて、以下、興味のあった次の3点について、順に述べていきたいな、と。
① 音楽(全体が早く聴きたい)
② 振付(変わった音楽にどんな振り付けを?)
③ 演技(スロースターターな真央ちゃんが?)

まず、①音楽。
シーズン前に、この真央ちゃんのシェヘラザードの音楽について3つの記事を書き(こちらこちらこちら)、皆様とあれやこれやと楽しくお話ししていたのですが。
初っ端で、低いドラムの音に引き続きシェヘラザード妃のモチーフが奏でられたので、その時点で「おっしゃ!」となぜかコブシを握り締める私。原曲にはないドラムと、刀をすり合わせるような(ちょっと違う?)「ッシャァァ~ン♪」という音が組み込まれており、反対に原曲にはある消え入るように奏でられるハープの音色は続かないなど、相当にアレンジされています。このアレンジのため、原曲よりも若くて元気で可愛らしいんだけどハキハキしているところもあるお姫様という感じがします。

以前公開された動画では音が悪くて、派手な音の向こう側に低く流れる旋律(おそらく第3楽章「若き王子と王女」の主題)が聞き取りにくかったんだけど、実際の音楽ではきちんと低音部が響いてて、むしろこの旋律の方が主旋律として目立ってて良かったです。
ストレートラインステップのところも同じ主題だと思うんですが、上記の部分とは全く趣の異なるアレンジになっていましたね。

そして、最後は、再びシェヘラザード妃のモチーフで締め。
冒頭と異なり、高音の鍵盤打楽器でモチーフが奏でられた後、高音のバイオリンで奏でられ(これは最も有名だと思う)、叙情的な印象です。まるで若く元気でお転婆だった姫が、ちょっぴり恋を知ったかのようです。(ちなみに、第3楽章は恋に落ちた王女と王子が幾多の試練を乗り越えて結ばれる物語、などと説明されます。)

全体として、この楽曲は、非常に完成度が高いと思いました。また、ミキシングが工夫されているせいか、複数の旋律があっても乗るべき主旋律が明確です(公開された動画の音はひどくて、そうは思えなかったけどね。笑)。素晴らしいのではないでしょうか。

次に、②振付
凝ってますよね(笑)。さすがタラソワさん。
既に皆様から教えて頂いた有名スケーターの「シェヘラザード」の動画をいくつか確認していますが、少なくとも私は、ここまでの振付を見たことがありません。ストレートラインステップのところなんか、もうコリコリ(笑)。

「アジア」といえば出てくるあの肘と手首を折る腕の形は、どの女性スケーターの振り付けにも組み込まれていたけど、その殆どがスパイス的にしか使用されていない印象です。しかし、タラソワさんのは「基本です」とでも言わんばかりに全編に入っていて、しかも、小手先ではなく、腰を入れてひねり出すように、腕を突き上げあるいは掬い上げるような動きになってる。気合が違いますわ。

最後に、③演技
てんこ盛り振付なのに(笑)、きっちり音楽の緩急に合わせてよく動けていたのではないでしょうか。振付を追っている印象が外に出ていませんでしたし、腰をひねって、身体をうねらせるように腕のムーブメントをこなすところもごくナチュラルで、滑り込まれている印象です。

これまでのスケーターの動画では、上記の「アジア」腕の振付をおざなりにすませていたものも多かったように記憶していますが(だから「ちゃんと振付こなせばいいのに」と思ったことも。苦笑)、、真央ちゃんは軽んじることなく流すことなく、丁寧かつ細やかでした。ストレートラインステップの合掌して「腰ふにふに」はツボでしたわね。

冒頭の3Aは残念でしたが、スロースターターな真央ちゃんが初戦でこれだけ「こなした」ということだけで、手ごたえ十分ではないでしょうか。昨シーズンよりもずっとスピードと力強さが出ていましたし、しかもそれらがもっと上がるだろう、と確信させる何かがありました。

これまでもそうでしたけど、今回もさらに滑り込めば作品としての完成度がもっと高くなることは確実で、次回、このSPを見ることが既に楽しみですわ。

●キーラ・コルピ(23歳)フィンランド/映画「オズの魔法使い」より 虹の彼方に(Somewhere Over the Rainbow)
昨年は水色の衣装で、まさに映画「オズの魔法使い」に出てくる白い魔女のようでした。今年はカナリア・イエローで、虹の中の一色が抜け出てきたよう。虹にいる7人の妖精の1人が降りてきた感じと言えばいいかしら。

カナリア・イエローは、確かフラットさんも衣装に使っていましたが(彼女もソリッドだったと思う)、案外人を選ぶ難しい色ですよね。ヴィンテージのドレスなんかでも時々あるけど、誰にでも似合うって色じゃ決してない。コルピさんには似合ってますよね。やはり金髪がポイントかしらん。

昨年からの持ち越しなので、こなれ感があって良かったですよね。

●アリョーナ・レオノワ(20歳)ロシア/セイレーン(映画「シンドバッド7つの海の伝説」より)、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』より
カナダ杯のときは、以下のように感じたんですが。
新しいコーチがモロゾフさんということで、この楽曲は、昨シーズンの男子のフェルナンデスさんの演技を思い起こさせます。が、この映画における美人でキップが良くて強い「女海賊」のイメージは、彼女のムーブメントにも合致すると思いました。FPとの対比もよいですよね。

ただ、モロゾフさんの特徴かもしれませんが、ステップを止まって行う箇所がそこここに挟まれるので、それはもったいないと思いました。流れがそこでどうしても中断されてしまうので、乗ってきた気持ちが分断されて肩すかしをくらったような印象になることがある。
フェルナンデスさんは、もっと滑りながらのステップだった印象でしたから、スケーターの体力等を考慮して変えているのだとは思うのですが・・・。
彼女の調子が悪すぎたことも流れが悪くなった原因でしょうから、今のままの振付での完成形を見たいなあと思います。
今回はかなり出来がよくて完成形に近いのでは?レオノワさんが喜んでいかにも満足な表情を浮かべる、楽しいパフォーマンスを見られたことは嬉しかったなあ。

が。ストレートラインステップのところ・・・やはり、ちょっとマイムが多すぎだな~。レオノワさんがノリノリで踊っていても、流れがやはりそこで切られてしまい、急ブレーキかけられた感じになる。「え?おい、ここで止まるの?」みたいな。
私は演劇的な動作が盛り込まれている踊りがかなり好きではあるのですが、ここまで多いとバランスを失するというか、「もう少しちゃんと踊りで表現した方が・・・」と思ってしまいました。ただ、それが贅沢病ということも分かっております。レオノワさんの体力を考慮し、長所を印象的に前面に出し、短所を極力目立たなくした、良いプログラムなのだと思います。



●鈴木明子(26歳)日本/ハンガリアン・ラプソディ、作曲:フランツ・リスト、演奏:エドウィン・マートン



ブラァ~~ヴァ!!!



うれしすぎて感想かけません。
でも、書かなきゃ(笑)。

カナダ杯のときは本来の動きから程遠かったのに、短い間に・・・(声にならず)。
冒頭の「ドクン」という動きから、既にキレキレでしょ。そして、26歳で3-3への挑戦と成功。演技終了後のあの跳び上がって喜ぶ様子(コーチもね)。胸わしづかみされました。

音楽性の高さはいまさら書くまでもないのですが。昔、音楽についてこんな記事を書いたけど、鈴木さんの「音楽を自在に操る」能力というのは、やはり女子スケーターの中で随一といって良いでしょうねえ。彼女の手の中で、音楽が、ゴムのように伸び縮みするというか、ゴムマリのように弾んでいくというか、とにかく彼女が主体的に音楽を操っているように視覚的にも聴覚的にも感じてしまうほどのレベルの高さです。

これでご本人は、勢いをセーブしちゃったっていうんだから、恐ろしい(笑)。本気で外に表出させたら、どんなふうになるんでしょ。そう思うと、次が早く見たくて、GPFにぜひ行って欲しいと切に思うのでした。
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by koharu-annex | 2011-11-12 03:57 | 2011-2012 フィギュアスケート