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もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

THE ICE 雑感 

BS日テレで放送されたThe Iceの雑感です。

●かなこちゃん Amarti Si(アマルティ・シ)
ムーブメントがちょっと硬いかな。スローナンバーについては若干苦手意識があるというか(素の自分とテンポが違いすぎるんだと思う)、自分でモノに出来てないとわかっていて、且つ、その対処方法がまだ分かってない感じです。とはいえ、ダンスについては基本的にポテンシャルがとても高い方なので、今後に期待してます。

アモディオ君とのカップルダンス、気持ちは分かりますが、あんなに照れちゃダメです(笑)。

●羽生君 ロミオとジュリエット
この人の身体のしなり具合は本当に魅力ですよねえ。そして、たくさんの小さな鈴が鳴っているようなシャランとした音、まだ健在ですね。あと何年あるかなあ・・・。

DOIのときも書いたけど、彼のロミオは、音楽の選択が良いと思います。羽生君は、音楽性もあるし、かつロック魂もあるので、こういうタイプの楽曲も非常に良く似合いますよね~

心配なのは、彼の表現したいものが、今の彼の身体能力の範囲に納まらない、ということです。内から湧き出るものが大き過ぎて、身体が壊れそうです。とにかくケガをされないよう祈ります。「表現したいもの」がこれだけ明確に大きい、ということ、それだけで既に彼は宝ですから。

●アモディオ君 Summer Time, Mess Around
パーティーの後、蝶ネクタイを外して息をついてるようなくだけた衣装が、とても似合っていますね。こういうタイプって、日本男児にはとても少ない。あと数年たったら、もっと色気が出てきて、クラクラきちゃう女性がさらに増加することが容易に予測できますねえ(笑)。

哀愁を帯びたけだるいSummer timeは、この季節にも、この衣装にも、良く似合っていますよね。後半のMess Around への導入程度の扱いのように見えましたが、節電のむし暑い夏に見事にマッチングしてました。

彼は、色気だけでなくコミカルな役者のような演技力もあるので、いろんなことに挑戦できるでしょうし、且つやり遂げていくのでしょうね。若さゆえの体力不足が一つの課題ではあるでしょうけど。

●ジェフリー・バトルさん Harder Better Faster Stronger
若い人ばかり見た後に登場されると、そのくっきりと浮かび上がるような存在感がさらに大きく感じられますねえ。

この方はダンスやミュージカルがとてもお好きなんでしょうね。ソロだけでなく、皆さんと滑っているときも(それが自分が振付けたものであるかどうかを問わず)、とても楽しそうです。こういう、根っこに「これやってるときが楽しくて好き」という思いがある演技というのは、その思いがない演技に比べて、形式的な出来が同じであったとしても、鑑賞者を幸せにするパワーが全く違う。バトルさんの大きな魅力だと思いました。

●シズニーさん Moon River
オードリー演じるホリーというよりも、ホリーが歌うムーンリバーの精が歌に乗って空気中を舞っているようでした。
彼女のこの極度に高い透明感は、得がたい、と思いますね。何度も見たい。

●小塚君 Inner Urge
逃走する泥棒、には見えなかったけど(笑)、曲調は小塚さんに合っているのではないでしょうか。

新SPということなのでEXで許されているような演劇チックな仕上がりにはならないのでしょうけれども、滑り込んでいくともっと雰囲気が出てくるのかな。楽しみです。

●真央ちゃん Jupiter
真央ちゃんの体重が戻りつつあるようで、それが何より良かったです。4月の真央ちゃんの滑る姿は本当に痛々しかったから・・・

音楽は、ホルストのジュピターのメロディを使用した、英国国教会の聖歌。ジュピターに詞をつけた楽曲は、日本では平原綾香さんのデビュー曲が有名ですが、このイギリスの楽曲は、ダイアナ妃の結婚式や葬儀でも使用されたので、私以上の世代ではダイアナ妃を思い出される方も多いのではないでしょうか。私の中では、べっぴんさんの印象が非常に強い楽曲です(笑)。

いままでの真央ちゃんの衣装にはない、日本の天女を髣髴とさせる衣装がよいですね。袖口と裾のぼかしがピンクじゃなくて水色ってところもまたよいと思いました。

表現について形式的に言ってしまえば、昨季までは見られなかった「メリハリ」ができてる、ということがまず挙げられるのですが、今回の彼女の演技、私は、彼女は何段も階段を上がったと思いました。

一般論として、人間って、案外、自分のこととなると「ま、いっか~」的におざなりになっちゃっうけど、他人のために「何とかしなきゃ」と思ったときの方が、馬力が出ることってありませんか?ものすごく大雑把なたとえなんだけど、今回の真央ちゃんの演技に、私はこれを感じました。

彼女は、EXのプログラムを滑ってたんじゃない。祈ってました。

表現にメリハリをつけよう、という意識ではない。彼女は、思いを被災地に伝えようと、身体を動かしていました。思いを、胸や指先に溜めるだけ溜め込んで、一気にそれを放出させて、より遠くまで伝えようとしていました。届け、届け、と、あるいはどうか神様と、彼女は、そういう意識で動いていたと思います。

彼女は、彼女のためでなく被災者のために、他者のことを祈るため、それだけのために、動いていた。
こういうことって、真央ちゃんは初めてではないでしょうか。もちろん、彼女の資質の中にもともとそういう利他的なものがあったからこそ、こうなったのだとは思いますが、それでもこの演技で、彼女は、他者のための祈りを表現にたくすことに開眼したと思います。もう昔の真央ちゃんではないですね。

「大きくなって・・・」って、なんか親戚のオバサンのように一人ごちてしまいました(笑)。
by koharu-annex | 2011-08-11 00:16 | 2011-2012 フィギュアスケート