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by koharu-annex

マニュエル・ルグリの新しき世界Ⅱ Aプロ

《マニュエル・ルグリの新しき世界Ⅱ》 Aプロ
2011年7月13日(水)午後6時30分~ @ゆうぽうとホール

震災のために来日するか否かをダンサー個人が個々独立に判断した結果、当初予定されていたメンバーとプログラムが、大幅に変更となりました。残念な気持ちが全くないといえば嘘になりますが、なによりルグリさんがこの公演を予定通り行ってくれたことに感謝感激です。
(ちなみに8月に予定されていたニコラ・ル・リッシュの座長公演は、ニコラさんの判断で中止になっています。)

●ホワイト・シャドウ
音楽: アルマン・アマー
照明: 高沢立生
装置: 野村真紀
衣装: 高井秀樹
出演: マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ
    吉岡美佳、上野水香、西村真由美、ほか

昨年のルグリの座長公演の際に、世界初演された作品(そのときの感想はこちら)。今回は前から3列目だったため舞台全体を見渡すことが難しく、前ほど全体像が分からなかったし、作品そのものの迫力というものは前ほど感じなかったのですが、至近距離で観るのも一興。

ルグリさんとバナさんの衣装が変わりましたね。以前はちょっと腰周りにデザインを施したズボンだったのですけど、今回は袴でした。もちろん完全な袴ではなくズボン化した簡易バージョンになってますが、腰板があって、バナさんの方には紐もついてて、前で例の蝶ネクタイもどきの結び目まで作ってありました。

バナさん、呼吸するように踊ります。一般的にも、自ら振付けた作品を踊るとき、ダンサーのムーブメントが呼吸や鼓動と一体化することがありますが、これは他のダンサーでは不可能な領域だと思います。その意味で、振付家が生きてて且つ現役ダンサーとしてやっている間に、観に行くことができた鑑賞者のみに許される贅沢ですよね。

上野さん、恵まれた肢体と鍛錬を怠っていない身体から繰り出されるムーブメントとフォルムの造形美は、やはり群を抜いていると思います。音とりの微妙さは相変わらずですが、今回は特にバナと一緒にベアで踊るシーンでは、バナによく引っ張ってもらった印象です。

吉岡さんは、今回は髪で耳を隠していました。前回耳のことに触れたので、ちょっと後ろめたい気持ちになったりして・・・。

●海賊
音楽: リッカルド・ドリゴ
振付: マリウス・プティパ
出演: リュドミラ・コノヴァロワ(ウイーン国立バレエ団プリンシパル)
     デニス・チェリェヴィチコ( 〃 ソリスト)

アリとのPDDだったのですが、やはりコンラッドも入ったパ・ド・トロワが好きだな。なんか今回はメンバーが少な過ぎて実現できなかった雰囲気で残念。

アリを踊ったデニス君は、まだ若いダンサーで少年の面影すらあります。カーテンコールのタイミングを間違えるところも、初々しい。

リュドミラさんは、途中のステップの1歩が大きくて迫力あるなあ、と思ったのもつかの間、あっという間にしぼんだ印象です。ブラックスワンが控えていたので、セーブしたんですかね・・・。

●「マノン」第1幕のPDD
音楽: ジュール・マスネ
振付: ケネス・マクミラン
出演: バルボラ・コホウトコヴァ(ウイーン国立バレエ団ゲストソリスト)
     フリーデマン・フォーゲル(シュツットガルトバレエ団プリンシパル)

マノンの音楽って切なくなるほどメランコリックで叙情的なのに、生オケじゃなくて録音で聴くと、妙に薄っぺらく聴こえるのね。不思議。チャイコなど他の有名バレエ音楽では、ここまで落差を感じないんですけどね。うーん、考えたことなかったけど、マノンの音楽って、メロドラマ調というか、大衆受けするような安っぽさがあって、そこが録音だと前面に出てきちゃうんだろうか。

バルボラさんとフリーデマンさんの息がぴったりで、すごく素敵でした。
フリーデマンさんのデグリュー、良いですね!元神学生が、愛に溺れている様子がとてもよく出ていて、すごく良かった!

●アレポ
音楽: ユーグ・ル・バル
振付: モーリス・ベジャール
出演: ミハイル・ソスノフスキー(ウイーン国立バレエ団ソリスト)

ベジャールらしい作品と衣装ですが、抜粋のためとっても短かったのがちと残念。

特筆すべきはミハイルさん。存在感が圧倒的!
ソリストで、ここまで存在感があるダンサーがいるなんて、ウイーン、侮りがたし。


●「ラ・シルフィード」第2幕より
音楽: ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
振付: ピエール・ラコット(タリオーニ版に基づく)
出演: ニーナ・ポラコワ(ウイーン国立バレエ団プリンシパル)
     木本全優( 〃 準ソリスト)、東京バレエ団

木本さんはウイーンにいる若い日本人ダンサーで、色でたとえるならまさに萌黄色。
もちろん、まだまだ感はあるけれど、頑張っていましたよ!

●「白鳥の湖」より“黒鳥のPDD”
音楽: P.I.チャイコフスキー
振付: マリウス・プティパ、ルドルフ・ヌレエフ
出演: リュドミラ・コノヴァロワ(ウイーン国立バレエ団プリンシパル)
     ドミトリー・グダノフ(ボリショイ・バレエ団プリンシパル)
     ミハイル・ソスノフスキー(ウイーン国立バレエ団ソリスト)

ミハイルさんのロットバルトの存在感がすごい。不敵な笑みとニヒルな態度。
素敵すぎ。もう既にそれしか覚えてない(笑)。

●ファンシー・グッズ
音楽: サラ・ヴォーン
振付: マルコ・ゲッケ
出演: フリーデマン・フォーゲル、東京バレエ団

可愛い!!!
Jazzyで軽妙な音楽と、フレクシア・ピンクの大きな羽飾りのついた巨大扇(ミュージカル「シカゴ」に出てくるようなやつ)が楽しい。
フリーデマンさんは、古典のロマンチックな役柄やドラマチックな役柄も合うけれど、こういう少しエスプリのある現代作品も良く似合いますよね。

パンフレットによると、シュツットガルトの常任振付家のゲッケが、フリーデマンさんのために振付けた作品で、音楽はジャズ・ボーカルの女王サラ・ヴォーンの「ハイ・フライ」と「ウェイヴ」だそうです。・・・ただ、若干、長いと思いました。もう少しコンパクトにまとめて、「もう少し見たい」くらいの方がいんじゃないかな。

●「オネーギン」より第3幕のPDD
音楽: P.I.チャイコフスキー
振付: ジョン・クランコ
出演: マリア・アイシュヴァルト(シュツットガルト・バレエ団プリンシパル)
    マニュエル・ルグリ

圧巻ですな。何もいうことはありません。ルグリはもちろん、アイシュヴァルトさんも素晴らしかったです。
タチアナは、やっぱりシュツットガルトの女優ダンサーが上手だなあ、と思う次第。





従前発表されていたプログラムとダンサーを、一応記録しておきます(NBSのこちらのページから)。

「ホワイト・シャドウ」
振付:パトリック・ド・バナ
音楽:アルマン・アマー
衣裳:髙井秀樹(Stodja)
マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ
吉岡美佳、上野水香、西村真由美 ほか東京バレエ団

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
マリア・ヤコヴレワ、デニス・チェリェヴィチコ

「こうもり」
振付:ローラン・プティ
音楽:ヨハン・シュトラウス2世
オルガ・エシナ、ウラジーミル・シショフ

「ラ・シルフィード」 第2幕
振付:ピエール・ラコット(タリオーニ版に基づく)
音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
オレリー・デュポン、フリーデマン・フォーゲル
東京バレエ団

「未定(ソロ)」
イルゼ・リエパ

「カノン」
振付:イリ・ブベニチェク
音楽:ヨハン・パッヘルベル、ヨハン・S.バッハ、ロマン・ホフステッター、オットー・ブベニチェク
デニス・チェリェヴィチコ、ロマン・ラツィク、ミハイル・ソスノフスキー

「アンナ・カレーニナ」
振付:ボリス・エイフマン
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
オルガ・エシナ、キリル・クルラーエフ

「黒鳥のパ・ド・ドゥ」
振付:マリウス・プティパ、ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ、ウラジーミル・シショフ、エノ・ペシ

「マノン組曲」
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ニーナ・ポラコワ、ロマン・ラツィク
マリア・ヤコヴレワ、フリーデマン・フォーゲル
オレリー・デュポン、マニュエル・ルグリ
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by koharu-annex | 2011-07-16 10:58 | バレエ(座長公演)