もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

英国バーミンガムロイヤル「真夏の世の夢」ほか

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団2011年日本公演
2011年5月29日(日)午後3時~ @東京文化会館

●「ダフニスとクロエ」
音楽: ラヴェル
振付: アシュトン

指揮: フィリップ・エリス
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【出演】
クロエ(羊飼い): ナターシャ・オートレッド
ダフニス(山羊飼い): ジェイミー・ボンド
リュカイオン(都会から来た人妻): アンブラ・ヴァッロ
ドルコン(牧夫): マシュー・ローレンス
ブリュアクシス(海賊の首領): アレクサンダー・キャンベル
パンの神: トム・ロジャース
ニンフたち: ヴィクトリア・マール、ジェンナ・ロバーツ、アンドレア・トレディニック

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これは好き嫌いが分かれる演目だと思いました。アシュトンの振付が苦手でなくとも、この振付は好みじゃないと思われる方もいらっしゃるだろうし、特定の時代設定を嫌ったためか(?)人間達の衣装のみ中途半端に都会的・現代的になってるところも、違和感を感じる人がいらっしゃるのではないかと。ギリシャ時代の衣装にしろとは言いませんが、衣装を都会的・現代風にしたのならば「羊飼い」「山羊飼い」等の設定もいっそ変えた方が、しっくり行くような気が・・・

全くこの作品とは関係ないけど、私は、昨年このブログのコメント欄で、「牧神の午後」を端緒として、下半身のモコモコを始めとした「パン」(牧神)の話題で盛り上がって以降、パン=面白い(ギャグ的側面がある)、というのが頭に刷り込まれてしまっているのですよね。
そのため、パンが出てくると、なんか笑っちゃうんですわ。この演目では、パンが恋人達を救うのだけど、「わー、パンなんかに救われてるよ、あの人達」などと思わず感じてしまうのでした。あらら~。

●「真夏の夜の夢」
音楽: メンデルスゾーン
振付: アシュトン

指揮: ポール・マーフィー
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【出演】
オベロン: セザール・モラレス
タイターニア: 吉田都
インドからさらってきた男の子: 小林巧(東京バレエ団)
パック: アレクサンダー・キャンベル
ボトム: ロバート・パーカー
ハーミア: アンドレア・トレディニック
ライサンダー: トム・ロジャース
ヘレナ: キャロル=アン・ミラー
デミトリアス: マシュー・ローレンス

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この演目についても、佐久間さんではなく、都さんがゲスト出演する日を選んでしまいました。。。本当に佐久間さんには申し訳ないというか・・・彼女の舞台も観たかっただけに残念な気持ちはあるんですけど、やっぱり都さんには代えられなかったわ~

都さんのタイターニアは、理想的な軸と端正な姿勢が美しかったです。が、私が観たこれまでのタイターニアと比較すると、もう少し華やかさとコミカルなところが欲しいとも思いました。ただ、都さんの舞台というだけで、実は満足だったりします。

モラレスさんは、チリ出身のラテン系のダンサーで私は好きなタイプです。が、この舞台の翌月(6月)の新国立の「ロミオとジュリエット」のロミオ役で拝見しているから余計にそう思うのかもしれませんが、オベロン役よりも、激情型とまでいかなくとも、感情の上下がある役柄の方がぐっと魅力が引き立つ方だろうな、と思う次第です。

ところで、シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」のために作曲された、メンデルスゾーンの管弦楽「真夏の夜の夢」に対し、最初にバレエを振付けたのはプティパで、初演はサンプトブルグで1877年。フォーキン版が1906年、NYCバレエ初演のバランシン版が1962年で、いずれもアシュトン版よりも古いけど、少なくとも日本では、アシュトン版(英語での表記はThe Dream)が一番有名だし、上演回数も多いと思う。

アシュトン版の「真夏の世の夢」の初演(1964年)はもちろん英国ロイヤルバレエだし、そもそもシェイクスピアってことでイギリス色が強い。だから、「真夏の夜の夢」といえばイギリスのカンパニーこそが本家本元という印象なんですけど。でも、翻って考えてみれば、「真夏の世の夢」って基本的にコメディなんですよね。このコメディの部分を上手にやれるのは、アメリカのカンパニーだと思う。

たとえば、DVDでしか観てないけど、ABTの公演では、イーサン・スティーフェルのオベロン役は怪演といってよいし、パックは最高の技術とエンターテイメント性をもったザ・キャラクターダンサーのエルマン様で、これ以上のパックは見たことがない。また、バランシン版だったけど、ペンシルベニアバレエ団の舞台を観に行ったときは、その「笑いを取ろうとする姿勢」に舌を巻きました(こちら)。

ほかの国では、「そこまでやったら恥ずかしい」というところまで、アメリカのカンパニーはやってくれるから見てる側は本当に嬉しくなっちゃう。もちろん、この点を捉えて、下品とまではいかなくても「けれん味があり過ぎる」と感じるバレエファンもいらっしゃるでしょうけど・・・。
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by koharu-annex | 2011-07-06 11:55 | バレエ(英国ロイヤル)