もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

四大陸選手権 女子その2

26日(土)、富士ゼロックススーパーカップ(←サッカーですわ)のために、横浜・日産スタジアムに出かけた旦那が風邪をひいて帰ってきました(観戦で感染・・・)

当初、招待先から私もお声をかけてもらったのだけど、絶対に風邪ひくと思って丁重にお断りしたのです。
ところが、日曜になって見事に風邪の症状が。旦那の風邪は必ずうつるよな~
同じ風邪をひくなら、いっそ行っとくべきだった!?

●安藤さん
FPは、未来ちゃんの直後でした。
未来ちゃんのパフォーマンスが良くて、随分盛り上がった雰囲気だったのですが、安藤さんがモロゾフさんと二言三言言葉を交わしてリンクに出て行くご様子の、なんと落ち着いていること。
安藤さんの経験の長さを差し引いても、女王の貫禄すら感じました。

そんな安藤さんを見て、私の脳裏に浮かんだ言葉が、「明鏡止水」。
80年代末に宇野総理(当時)によって「意味を変えられた」と散々マスコミが騒いだ言葉だけど、もちろん、本来の意味でね。
(関係ないけど、一般論として、私は、政治的な能力が優れていれば女性スキャンダルなんかどうでもいいと思ってる。宇野さんについては、政治能力を見る間もなく退陣に追い込まれたので、私は、トホホな気持ちでマスコミの煽りを眺めてた。「明鏡止水」についても別に意味は変えられてないと思います。あの当時から既にマスコミの本道は、揚げ足とり&難癖つけて退陣を求めるお祭り騒ぎに堕していたな~、と再びトホホな気持ちで思い返す次第。)

パフォーマンス自体は、体調が悪かったそうで、精彩を欠いていた印象はありました。ご本人も終わった途端、舌を出されてましたが、昨年末にガッツポーズが出るような会心の出来が2回もあったので、それと比べると、どうしても・・・ね。

ただ、演技中もずっと、「明鏡止水」という印象を途絶えることなく感じました。
彼女の向こうに、波立たない透明度の高い湖が見えるようでした。精神や試合に臨む気持ちが、こんなに強く高いレベルで安定した選手って、なかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。

不安定でいろんな意味で「揺れる」印象の強かった安藤さんが、こんな高みまで上っている。鑑賞者サイドから見てもそう感じるということは、実際にはもっともっと高みに達しているということです。
彼女は、「人間はずっと成長していける。」というありふれた言葉でしか表現しないけれども、常人が知りえない深い真理に到達している印象を受けます。

もはや、昨年のバンクーバー五輪後に書いた「推薦する演目:小林幸子」(これには重畳的な意味があるのですが、説明はいずれ・・・いつ?!←自分ツッコミ)、は今の彼女には全く該当しないですね。

来シーズンは休養ということですが、必ずまた戻ってきて欲しいと切に願います。
もちろん、彼女の気持ちが一番ですし、彼女の選択が尊重されるべきですから、戻っていらっしゃらない事態になっても、それはそれで受け止めようと思いますが・・・。


●浅田さん
FPの衣装はずっと一緒なので、これは気に入っていらっしゃるのでしょうね。
私も、この衣装は好きだなあ。

FPの振付、随分変わりましたね。
が、やはり、振付の飲み込みと消化が早いのですねえ。振付に気をとられているような様子も見受けられませんでした。もちろん、これからもっとよくなるだろうなあ、という予感を感じるので、このときのパフォーマンスに完全性は感じない、ということにはなるのだけど。

愛の夢って・・・リストのピアノ曲の中では、「軽い」じゃないですか。
元は歌曲でノリが良いというだけでなく、幸福感のただ中で恋愛を夢見る乙女が、ひとり空想にふけりながらたゆたっているような、ピンク系を主とした淡い色彩だけに彩られてる。
逆にいうと、その世界は単一で、陰影や深みに乏しい。
まー、こういっては実も蓋もないですが、愛だの夢だのからは遠く離れてしまった年増の私なんぞは、リストが女性に大変にもてたという有名な事実と照らし合わせて、「そりゃ、こんな曲つくったら、女にはもてるわな~」と、思わず鼻をならしちゃいそうになるところがある。(いや、好きなんですけどね。ちなみにうちの旦那もこの曲が大好きで、真央ちゃんも好きなので、非常に喜んでいる)

もちろん、ロマンチックな幸福感のみに充たされたいわば単純な楽曲で、しかもそこに厳然と「恋愛の素敵さ」の香りがするという、ある種の「軽さ」があるからこそ、幅広く多くの人に愛されて、ここまでポピュラーになっているのだと思いますが。

さてさて、そんな「愛の夢」を、真央ちゃんは今回、安定して滑っていました。
彼女に安定性が戻ってくると・・・、あら、不思議。楽曲に少し、深い色が差したような気がするのですよ。

以前、「『演劇的な演目』か、『音楽的な演目』か、という視点」という記事を書きましたが、その記事で「音楽的な演目」には、

表現者が音楽に新たに別の旋律を加え、あたかも二重奏の様相を呈する。

類型がある、ということを書いたのですが、今回の真央ちゃんのパフォーマンスは、まさにこういう感じだと思いました。

ところで、以前の振付の中に、「両手を広げて身体を軽く伸び上がらせた後、前方にタタタと軽やかに小走りする」、という振付があったでしょう?今回、これがなくなっていて、ちと残念でした。

あの振付は、幸福感でいっぱいになった乙女が思わず(彼の方へ)走り出しちゃうような振付で、「乙女」といって違和感が全くない時期にこそ最も似合うものです。まさに今くらいの真央ちゃんにピッタリ。
ただ、幸福感を前面に出す必要があることと、多少の余裕を持って動作を行った方が格段に美しく見える振付ですので、滑りや気持ちが安定しないと綺麗に決まらない、という難所があるのですよね。

これまでの真央ちゃんのあの振付の動作は、少々「惜しい・・・」と思わせるところがあったのですよ(全日本は未見だけど)。だけど、今回の安定具合だと、今までで一番、あの振付を素敵に踊れたのではないかと思うのですよね・・・。

だけど、翻って考えてみると、あの振付を氷上でばっちり決めるのは難しいかもしれませんね。スケート靴で「タタタ」をやって、軽やかに見せるのが・・・。なので、削除されたのも、やむなし、なのかもしれません。。。むー。

ちなみに、ロミオとジュリエットのバルコニーのPDDでは、どの版でも、この振付と似たような振付が組み込まれてあります。「14歳の少女ジュリエットが、一目ぼれしたロミオが自分に会いに来てくれた幸福感でいっぱいになって、ロミオのもとへと、階段を小走りに駆け下りていく」、というシーンですね。バレエダンサーは40歳を超えても、14歳のジュリエットになりきって、これをやりきるわけだな。決して、「ねえ、ちょっとは冷静になったら~?ジュリエットォ!」とか思わずに(笑)。
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by koharu-annex | 2011-03-01 01:57 | 2010-2011 フィギュアスケート