もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

ロシア杯 雑感 その6

ロシア杯 11月19日~21日
男子 ショート&フリー その4

フランス杯の結果がとっくに出てるのに、ロシア杯でうろうろしているワタクシ・・・。
ロシア杯については、今回が最後です。

●羽生結弦(15才) 日本
SPは白鳥の湖よりホワイトレジェンド、FPはツィゴイネルワイゼン。
白鳥の湖のアレンジは川井郁子さんだそうですが、今回聴いていてもやっぱりとても良いと思いましたね。
FPでも毎回思うのですが、羽生さんは、ヴァイオリンの高音の消え入りそうなギリギリの音が良く似合いますね。

羽生さんという方は、もともと柔軟性が高い(おそらく多くの関節のソケットが浅い)こともあって、腕のムーブメントが本当に美しいです。
加えて、男性には珍しく背中と首が、これまた美しいです。
が、特に首や背中のストレッチを入念にやっているようにも見えないので(想像ですが。笑)、やはり持っている資質でしょうね。
この手の柔軟性は、普通に意識してストレッチなどをしていても、年齢を経るごとにある程度なくなってしまいますから、今のうちに良く見ておかなくちゃ、ですよ。

FPは、NHK杯のときよりも、体力の分配を考えているようで、前半は動きを抑えている印象でした。
ただ、スピードは比較的出ていて、身体の伸びもあったと思います。
残念なのは、そういう「抑えた演技」でも、少々危なかったしいところがあることです。
身体の動きの全てをコントロール下におけていないというか、御しきれていないというか・・・。

前半抑えたにもかかわらず、後半は足に来たようで、ステップで転倒してしまったことも残念でしたね。
やはりスタミナの問題は急務でしょうか。
スタミナ強化がなされたら、一つ一つのポジショニングを大事にして、呼吸をためることも覚えると良いのではないかと。

●ジュレミー・アボット(25才) USA
SPは、ディエポス・アイレス。
身体を本当によくコントロールできています。
スピンが残念でしたが・・・。

前回よりもタンゴのセクシーさが出ていた気がします。もちろん、アボット君らしい端正さを感じさせる範囲でのものなので、清潔感のあるセクシーさというちょっと珍しいセクシーさですね。
それにしても、この演目、アボット君の新境地を開いたマスターピースであると、つくづく思います。

FPは、ライフ・イズ・ビューティフル。
照れ屋というかシャイなところのあるアボット君のグイドは、好感が持てますね。
ジャンプが残念でしたが、後半のひざまずくポーズが含まれた、情感あるステップは本当に素晴らしかったです。
ジャンプに失敗しながらも懸命にパフォーマンスするアボット君の姿が、家族のためにその場その場でやれることを必死でやっていくグイドの姿に重なりましたよ。

●コンスタンティン・メンショフ(27才) ロシア
SPは、シルバー・ギター。
様々な効果音を使った音楽が面白いですね。
この音楽を振付やムーブメントに生かし切れれば素晴らしいのですが・・・そこまで望むのは高望みですかね。

FPはスムーズ・クリミナル。
いわずと知れたMJの名曲ですが、バイオリン奏者のデイビッド・ガレットによるアレンジがユニークで良かったです。
SPに引き続きFPでも、音楽に強いこだわりを感じますので、そういうスケーターあるいは陣営なのでしょうか。

今季、MJの楽曲を使用した演目としては、アモディオ君、ベルネルさん、そしてこのメンショフさん、という3人のものを見てきました。
私は、この中では、メンショフさんのものを最も評価したいですね。
作品として志向しているレベルが非常に高い、と感じるからです。

MJって良くも悪くも強烈なので、MJの行った具体的表現をそのまま真似することは、文字通り「無謀」です。
無謀でなくするためには、生々しいMJ色をある程度排除した方が良い。

そのためには、一旦、MJが行った具体的な表現を抽象化し、その抽象化された(つまり具体的表現とは少し離れた)「本質的特徴」とでもいうべきものを、MJとは違うポイントに下ろしてきて、そこで改めて具体的表現として作り直す、という作業が必要になります。

メンショフさんのこの作品は、まさにそれをやってのけてる。
それも、音楽と振付の両面から。

まず、音楽については、ガレットさんによるアレンジが秀逸で、基本的に電子バイオリン(もしかしてシンセサイザー系?)でメロディを奏でているのですが、この音と編曲されたメロディが新鮮で、生々しいMJっぽさを払拭していました。

また、中間部に様々な鳥の声がたっぷり入っています。
もちろん、鳥の声は、MJを肯定的に評価した場合に欠くべからざる不可欠の要素で、実際MJの楽曲にも入っていたと思います。
が、MJの楽曲に入っていたものをそのまま利用するのではなく、別途、数種の鳥の声をあらたに採取して、複合して作っていると思います(違っていたら、コメントでご指摘下さい)。
これがまた秀逸な複合で、既存の音楽を切り貼りしたいかにも「適当にバックミュージックとして作りました」みたいな楽曲と、一線を画していました。

振付も、いかにもMJ風の振付は、極最小限に効果的に使用するにとどめており、センスを感じました。

惜しむらくは・・・メンショフさんに、この作品をこなしきれるだけの体力や技術が、少なくともロシア杯では見られなかったことです。
この作品の内容の濃さと、メンショフさんの年齢を総合考慮すると、これの完成形はなかなか見られないのではないかしら・・・。
それが、とても残念。
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by koharu-annex | 2010-12-03 02:22 | 2010-2011 フィギュアスケート