もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

カナダ杯 雑感 その3

カナダ杯 10月29日~10月31日
男子 ショート&フリー その3

●パトリック・チャン(19才) カナダ

他のスケーターと比べて、氷カスがあまり出ていないとか、かなりスピードに乗って滑っているとか、氷の上を磁石で浮いているように滑らかに滑っているとか、そのあたりは私レベルでも確認できるのですが、それ以外の「スケーティング技術」とか何とかいうものになると、私には相変わらず分かりません。
また、他の技術が高いと言われているスケーター(例えば小塚さん)と比べてどうか、ということについても、私には判断しかねます。

私が彼について言えることは、「スケーティング技術が高くても、舞踊的な魅力は薄い。」ということです。

私の感覚では、チャンさんって、キム・ヨナさんと以下の各点で共通するものがあるんですよね。

(1)下半身が安定している。 
   ⇒ 滑ること自体については、磐石の安定感がある。

(2)身体が全体的に硬い。 
   ⇒ 可能な動作の種類も幅も狭いので、表現手段が少ない。

(3)特に、肩・肩甲骨の稼動域が狭い。 
   ⇒ 腕の動きは基本的に前だけ。

(4)下半身の動きが上半身の動きと連動することが少ない。
  (身体全体で踊っていることがあまりない。) 
   ⇒ 各パーツを同時に動かすことについての器用さは、あまりない。

(5)できる動きの範囲内で綺麗に動きが収まるよう振り付けをこなしている。
   ⇒ 身体全体の動きを俯瞰して、コントロールする能力はある。
     (ただ、このレベルだと振り付けが簡単なだけ、という見方もできる。)

(1)(5)があっても、(2)~(4)の3つが揃ってしまうと、舞踊的な魅力はどうしても出てきにくいし、特に(4)があると、私がいつも言う「踊り心」の存在を見出すことは難しい。

しかも、(2)~(4)は改善がなかなか難しいものばかりで、劇的に改良されることは、可能性としてはあっても現実的には難しい。
そうすると、私の好みで言えば、「見ててあんまり楽しくないスケーター」、ということになっちゃうのであります。

そのため、その1で書いたように、チャンさんがカナダの次期エースと言われていることは承知していても、踊り心が感じられるレイノルズさんを推したい、と思う次第。

ただ、チャンさんは、他のスケーターの方々と比べて振り付けが簡単な分、それを消化しきって動きを洗練させていく時間があるのですよね。実際、チャンさんの振り付けのこなしは「こなれていた」印象でしたし、動きに端正な印象がありました。
そこが好きっていう人はいらっしゃると思います。

チャンさんの滑らかで氷の上を浮いているようなスケーティングに端正な動きが加味されると、それはそれで魅力的ですし、そこに更に、チャンさんの天然というか、あまり深く物事考えずに発言しちゃうような、ちょっとお調子者キャラが伺われるお顔が加わると、一定割合の人にとっては妙味があるだろうとも思います。

端正な動きつながりで、ついでに申し上げると、彼には、ちょっとだけ貴族的な雰囲気(=子爵・男爵くらいの低めな感じ。間違っても侯爵以上じゃない。)がある。
この(下級)貴族的な雰囲気は、FPの楽曲「オペラ座の怪人」の主人公ファントムと楽曲に合ってる。

でも、ファントムのキャラっていうのは、(下級)貴族的雰囲気だけでなく、好転し得ない不幸な宿命、報われない愛の暴走、それゆえの切なさと哀しみ、その先にある狂気の片鱗、みたいな複雑な要素で成り立ってる。
そして、「オペラ座の怪人」を彩る音楽にもまた、ファントムのこれらの要素が通底して仕込ませてある。

まあ、踊れない人に踊れと言っても無理なのと同様、表現の地力がない人に動きに情感乗せろって言っても無理なんですけど、端正な動きに、これらの情感を少し乗せられたら尚良いな、と思います。
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by koharu-annex | 2010-11-07 11:33 | 2010-2011 フィギュアスケート