もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

NHK杯 雑感 その4

NHK杯 男子ショートプログラム 2010年10月23日(土) @日本ガイシアリーナ(名古屋市)

解   説: 本田武史さん
アナウンサー: 鳥海貴樹さん

これも地上波の方を録画していたんだけど、録画編集されたもので抜粋でした・・・無念じゃ。
(というか放送時間で気付かない自分が情けなくてクラクラしました・・・)

既にコメントを複数頂いていますが、今回の男子は豊作ですね。
候補も含めて「ダンサー」率が高かったです(笑)。

●無良崇人(19才) 日本
イタリア映画「La Califfa」よりラ・カリファ byモリコーネ

最初の4回転がとても綺麗で思わず拍手。
(無良さんもそうでしたが、4回転決めた後の3A、失敗する選手が多いですよね。。。やっぱり大変なのですね)

男性のスケーターによくありがちですけど、肩が硬いんですよね(もちろん肩甲骨も)。
こういう選手に、ちょっと肩の部分が目立つ(身頃と袖の部分が異素材のため、少し肩の部分がふわりとする)、今回の無良さんのような衣装はマイナスだと思いますね。
基本的にこういうタイプの肩・肩甲骨は、すぐに柔軟になったり稼動域が広がったりしないので、ちょっと衣装も気をつけてあげたら・・・と思います。

それにしても、今の若者のヒゲは、私には理解できん領域に入ってるよ・・・

●フローラン・アモディオ(20才) フランス
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・メキシコ byロバート・ロドリゲス

強気で野心家、明るくて、どっちかっていうとせっかち、そんな性格を、まんま出す人ですね~
あと数年たったら、これに色気が加わってくると思うので(日本女性が好むかどうかは別として)、そうなったら「セクシー、むらむら系」の踊りも似合うでしょうね(笑)。

音をほんの少し早取りするタイプですけど、それが上記のような性格に良く似合ってました。
また、早取りするタイプは、体力がもたなくなった場合がツライのですけど(早取りできなくなるので疲れが露骨に見える)、最期まできびきび踊れてとても良かったと思います。

●羽生結弦(15才)
「白鳥の湖」よりホワイト・レジェンド byチャイコフスキー

始まる前、十字切ってましたよね?・・・そうか、クリスチャンなのですね。
FPの衣装だけでなく、今回のSPの衣装もジョニー・ウィアーさんのデザインなのかしら?
普通の日本男児には到底着こなせない類だけど、よく似合っていますね。
今だけ存在する特別な「美」(COIの感想を書いたこちら参照)が、際立つようです。
ウィアーさんにあるちょっとしたセクシュアルな感じが羽生さんには無いので、ウィアー系の衣装でも上品ですよね(いや、別にウィアーさんが下品ってわけじゃないです。私、ウィアーさん、好きですし!)

羽生さんは、すごい表現者になると思いますよ。
もしかすると、何かが降りてくる「憑依」タイプかもしれないですね。
憑依タイプが気をつけなくちゃいけないのは、自分の中に降りてきた何かを「表現したい」と切迫したような気持ちにかられて、激情のまま、自分の技術とか体力とかおかまいなしに、爆発的に身体表現をしちゃうことがあることです。
ありていにいえば、ケガが心配ってことですな。

今回のSPでは特に後半のステップのところ、自分の現在の技術・体力以上に、生と死の狭間にいる白鳥を表現しようとする、彼の危ういほどの情熱が飛び出してくるような印象を受けました。
そのため・・・身体のムーブメントは荒いわ、筋繊維ぶち切れそうだわ、でも、情感がすごくほとばしってる、みたいな、ある意味とても贅沢なアンバランスさがそこに。
もちろん、そのアンバランスさも、ある種の「美」と言えるけどね・・・それじゃ壊れます、表現者が。
正直、ちょっとヒヤヒヤした。

自分の内面の「表現したい」という欲求を、自分の身体の範囲内に収めるよう、冷静に計算できるようになるといいですね。
もちろん、年々、技術も体力も向上するから、「自分の身体の範囲」も大きくなるでしょうけど。

音楽、これは編曲が素晴らしいと思いましたね。
原曲よりも、極限の生を表すような「か細さ」が強調されていて、羽生さんの演じた白鳥と大変よく合っていました。振り付けも素晴らしく、まさに「三位一体」ですね、羽生さん。

最初の3A、綺麗で距離のある山なりを描いてて美しかった。その直後、一時停止ボタンを押したんだけど、そのときの羽生さんの首筋がまた美しくて、絵みたいでした。

●ショーン・ソーヤー(25才) カナダ
映画「Mr.&Mrs.スミス」より アサシンズ・タンゴ byジョン・パウウェル

随所に盛り込まれるタンゴ風の振り付けを、キメキメに決めてくれるのが気持ちよかったです。
特に、膝を90度になるまで上げて2足くらいタンゴ風のステップを踏んだんですけど、そこがツボでした。

身体はかなり柔らかいのに、腕はわりと直線系にしか動かさないので、ねちっこくならず清潔感のある男性らしさがあって、そこも気持ちが良いです。
ちなみに、肩が上がらずヒジの位置が適正なので、腕の動きが直線系であっても、「腕ぶんぶん」の印象だけを残すという結果には決してならないですね。

最後の180度開脚のスピン、気持ち良過ぎです。

●デニス・テン(17才) カザフスタン
ブエノスアイレスの春 byピアソラ

えーとね・・・。
ある意味、若さ、ということなんでしょうけど。

言っても良いかな。
あの~、テンさん・・・ ちょっと落ち着こう!
そして、肩の力を抜いて、自分の演技をちょいと俯瞰して見てみよう!

今のテンさんの演技には、テンさん自身のambitiousな感じが出過ぎてる。
そのambitiousさは、演目そのものを表現しようとする心意気ではなく、「試合に勝ちたい!(=良い成績を取りたい!)」という、選手としての「素」の願望だと思う。
ambitiousであることは、特に競技選手にとってはとっても大切な資質だと思うけど、ダンサータイプが席巻している今の男子シングルにおいて、こんなに濃く前面に出るのは得策じゃない。
演目が要求する以上に、鬼気迫る表情になるのも、表現の幅を狭くする。

後半のアップテンポの部分、自分の中に湧き上がるambitiousな感情のまま、ただただ力まかせに動いて、あげく体力がなくなり、スピードが失速して終わるなんて、なんてもったいない。
これだけポテンシャルがあるのですから、冷静に「演目の表現」を追求する目を持つと、「引き算の美学」とでも言うべきものが必要であることが分かるはずで、そうすると世界がぐんと開けるのではないかと思います。

●アードリアン・シュルタイス(22才) スウェーデン
スキューバ byBonobo

相変わらず個性的で良いですよね。
電波系(主に両腕~肩の波打つ動き)、宇宙人系(主にジャンプとスピン時の頭の動き)、アナーキー的(主にピアスと風貌)ともいえるし、不思議ちゃん(全体)ともいえる(笑)。

ふふん・・・と雑音には何もとらわれずに片頬で笑っている感じというか、肩の力が抜けた感じというか、何も望んでいないような温度を感じさせない彼のイメージは、まさに独特で、得がたい存在ですね。

彼の表現するものは、大衆受けするものではないし、もしかするとジャッジ受けもしてないのかもしれないけど、私はちゃんとした評価に足るものだと思います。
適当に流しているように見えるところも、ちゃんと演目として練った結果であって、考えて表現している印象です。
まあ、運動量が特に多い振り付けではないので、それが競技という土台に乗ったときはネックになるのかもしれませんが。

自分の美学にこだわりがあって頑固そうだから、絶対やってくれないだろうけど・・・映画「トレインスポッティング」のサントラ、似合うと思うんだよね・・・。

●高橋大輔(24才)
ある恋の物語 byペレス・プラード /エル・マンボほか by DJ DERO
 
はっはっは。
見たまんまなんで、別に私が書く必要もないんでしょうけど。

えっと、頭からいきましょうかね。
竹中直人@Shall we dance? も別にいんでない?と私は思ってましたが、やっぱりカットしちゃったのですね。
あの路線も開拓すれば良かったのに・・・と、ちと残念(笑)。

あ、本当の頭ね。えっと、冒頭です。
あの「タメ」やられちゃあ・・・という気持ちは分かるけど、あれは黄色い声援送りすぎだぞ、女性諸君!!
王者を甘やかしちゃいかーん!
(彼が調子に乗ってすぐ天狗になるタイプでないことは分かっていますが、それでも、念のためね)

ぐーんとためる「タメ」が複数あったからその印象ないかもしれないけど、今回、彼は、最初から音楽を若干早取りしていたのですよね。
なので、前半でやっていたような早取りができなくなったため、後半に体力がもたなくなって動きが悪くなったことが、余計に如実に分かる結果となってしまいました。

このプログラムは激しいから消耗するんでしょうが、ま、彼のことですから、何とかするでしょ。

●ジェレミー・アボット(25才) アメリカ
ビエホス・アイレス byEnsamble Nuevo Tango

今回、一番びっくりしたのは、彼ですね。

こんなに踊れる人だったとは! 

本当に驚きました。私が知ってる彼とはまるで別人です。
なんでこれを五輪の時に・・・というのは禁句ですね。。。

最初、え?アボット君がタンゴ?と思ったのですが、ものすごくカッコ良かった!
彼の長い手足と端正なたたずまいに、内に秘めた強さと情熱の「外出し」が加わると、かくも変わるものですかね。
強さと情熱・・・昔からあったのに何故か外に出せなかったのか、深いところで眠っていたのを五輪の経験が覚醒させたのか。
よくわかんないけど、結論は、「すごくいいぞ!」ってことですわ。

またねえ、これまでの彼に見られなかった、ムーブメントの緩急と、良い意味での「ねちっこさ」があった。
情感あふれながらも、端正さがあって、素晴らしい演技でした。

いや~。人間、可能性の動物だね!
ここまで見事に再生してくるなんて。
五輪後、彼がクサらず、いかに大きな努力を重ねてきたか、一見して明白に分かるってもんです。
スピン、残念でしたが、今後の修正とそれによる高得点に期待です。、

あ、衣装、奇抜ですが、とても素敵ですね。
今回の劇的な復活劇(だんだん話が大げさになってるな、私)に、とってもマッチしていました。
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by koharu-annex | 2010-10-30 00:23 | 2010-2011 フィギュアスケート