もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

新国立バレエ 「椿姫」

新国立劇場バレエ公演 「椿姫」
2010年6月29日(火)午後7時~ @新国立劇場

振付: 牧阿佐美
音楽: エクトール・ベルリオーズ
編曲・指揮: エルマノ・フローリオ
舞台美術・衣装: ルイザ・スピナテッリ
照明: 沢田祐二
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

【出演】
マルグリット: スヴェトラーナ・ザハロワ
アルマン: デニス・マトヴィエンコ

伯爵: ロバート・テューズリー
デュヴァル卿(アルマンの父): 森田健太郎
プリュダンス: 西川貴子
ガストン: マレイン・トレウバエフ

農民: さいとう美帆、大和雅美、八幡顕光、福田圭吾
ジプシー: 湯川麻美子、芳賀望
メヌエット: 厚木三杏、吉本泰久
チャルダッシュ: 川村真樹、近藤睦子、長田佳代、丸尾孝子
タランテラ: 小野絢子、八幡顕光、福田圭吾

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2幕はまだ良いとしても、1幕が圧倒的にあかんやろ~(なぜか関西弁。これ以上続けて使えないんだけど。笑)。
名作の誉れ高い先行作品のある「椿姫」について、日本メイドのオリジナル版を作ってカンパニーのレパートリーに加えるという心意気は買うけど、これは・・・つらい。

昨年9月にこの「椿姫」をひっさげて、あのボリショイ劇場で海外公演した新国立劇場バレエ団。
そのときも1日はザハロワちゃんが踊って、「大好評を博した」なんて意気揚々と報告してくれたけど(会報やネットなどでね)、正直、私は懐疑的。

何より私が最も問題だと思うのは、1幕でのマルグリットの人物造形がしっかり考えて固定されていない点です。そのため、彼女の人物造形を表す振付や構成が殆ど見受けられず、テキトーとしか思われない、こつまらない振付と物語進行に終始している。
この点、仮にこつまらない振付でも、そこそこのダンサーが情感をこめれば何とかなるかもしれないけど(2幕はこれで救われている)、1幕はそもそもの土台がグラグラなので、それも望めない。

● マルグリットが自分の病気についてどこまで自覚しているのか(死をうすうす予感して自暴自棄になって享楽的に生きているというストーリー設定もあるので、その点は結構重要)
● 自分を愛人として囲っている伯爵をどう考えているのか(単なる金づるなのか、それなりの情があるのか)
● 今の生活をどう考えているのか(とりあえず満足しているのか、病気が不安なのか、病気以外の点からも空しさを感じているのか)
● いきなり惚れてきた若者アルマンについて最初どう考えていたのか(それなりに歓待していたのか、単にあしらっていたのか、それとも華やかながら倦怠した生活の中で希望の星に見えたのか)

などなどについてよく考えて、かつ、こちら側にそれが伝わるようにしないと、あまりにも薄っぺらくて、見ていてフラストレーションが溜まる。

唯一、1幕で「お!」と思ったのは、音楽。
この椿姫では、ベルリオーズの様々な音楽が編集されて使われているのですが、アルマンがマルグリットに一目ぼれしたり、2人の視線が合ったりするところに、幻想交響曲における、超~有名な、「恋人のテーマ」(固定楽想。ソソードソミミファー・・・♪)が使われていました。恋人のテーマは、まさに「ザ・妄想ベルリオーズ」そのままに、素敵な女性をイメージさせる(そしてちょっと切ないニュアンスもある)メロディなので、若くまっすぐなアルマンが高級娼婦マルグリットにズキューン053.gifとやられちゃうという設定とぴったり合致。
(しかし、ベルリオーズが自ら「器楽によるドラマ」と呼んだ幻想交響曲の中でも、最も有名な恋人のテーマと重ねる点しか説得的な演出がないなんて。。。泣)

ちなみに、固定楽想は、後の歌劇やバレエ音楽などで使われるようになったライトモチーフの元祖ともいうべきもの(と私は理解しているんですが、違ってたらコメント欄でご教示下さいませ)。おそらくバレエ鑑賞者にとって最も有名なライトモチーフは、プロコフィエフのロミジュリの中のジュリエットのテーマ(3種類)ですが、これについては、そのうち別記事で書きたいかな、と(いつっ!?)。

最後に。
この日は旦那と観に行ったのですが、旦那は舞台では理解できなかったらしく、後にパンフレットを読んで、「なにこのストーリー。アルマンの親父が余計なことしなけりゃ良かっただけじゃん!」と。
いや・・・そうなんだけどね。
それ言っちゃ、どんな椿姫もなりたたんよ・・・。
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by koharu-annex | 2010-07-16 01:11 | バレエ(新国立劇場)