もしかしてトホホ(http://blog.livedoor.jp/takurere1025/)の別館です。表現系に特化して更新します。


by koharu-annex

「バレエの神髄」

ルジマトフのガラ公演「バレエの神髄」に行って来ました。
2010年7月11日(日)午後3時~ @文京シビックホール

ライモンダに出演(都さんの相手として)を予定していたロバート・テューズリーは、ケガのために出演できなくなり、ライモンダにはキエフ・バレエのソリスト、セルギイ・シドルスキーが出演することになりました。こういうことって、公演にはつきものとはいえ・・・残念至極、でござる。


【第1部】

●「眠りの森の美女」よりローズ・アダージョ
音楽: チャイコフスキー
振付: プティパ
出演: ナタリア・ドラムチョワ
    4人の王子: セルギイ・シドルスキー、イーゴリ・ブリチョフ、オレクシイ・コワレンコ、チムール・アスケーロフ

ガラ公演でローズ・アダージョ見るのは、久しぶりで覚えてないくらい。
正直、「ガラでローズ・アダージョってちょっと古臭いよなあ・・・」と、微妙な心持でいたところへ・・・なんと、なんと、バランスを全く心配しなくて良い簡易バージョンの振付でした。
どう簡易だったのか説明してもいんだけど、説明するのもかったるいほど、脱力。

アチチュードのバランスを四人の王子全てで取れるか、そしてそのバランスがどれくらい綺麗なポジションでどれくらいの時間なのか、それを見せないローズ・アダージョなんぞ、ガラでやる意味あるの?

初っ端でこれやられて、ホント、こつまらなかったわ~


●「侍」
音楽: 鼓童
振付: ラブロフスキー
出演: 岩田守弘

岩田さんって、本当に身体能力高いですよねぇ~。
小柄な日本人らしいキレのある踊りで、気持ちいい。
舞扇を持って、時に扇そのもの、時に刀として扱いながら踊っていたのですが、お上手でしたね。
この点は、振り付けのラブロフスキーも褒めないと、ですね。

さて、この公演、私は旦那と行ったんだけど、私のジム友も取引先の社長さんに誘われて来場(彼女はいわば接待で来ていて、バレエを見るのは10年ぶりくらいだとか)。

彼女とインターミッションで会ったとき、この演目について、「江頭かと思った」との衝撃の感想が!

「ええっ!それはあまりに岩田さんに失礼じゃあ・・・」と言いかけたけど、ざっと思い返してみて、はっ!と気付いたのよね。
床にうつぶせになってエビ反りになり、小刻みに震えるシーンが、確かにあった、と。
そして、それが、江頭さんの例の特徴的な動きと、類型的に同じである、と。
(ちなみに上半身は裸で、衣装はピッタリめの細身の黒のパンツでした・・・ここも若干かぶるのよね・・・)

それで、彼女に、「確かに~」と相槌打ったのでした。

あまり鑑賞しない人の感想って、時々思いがけないものがあって、すごく勉強になるというか、目ウロコなことがあるんですよね。

意外な意見が聞けて、良かった。そして、それを全否定しなくて良かった。

鑑賞歴が長くなると、なぜだかどうしても、知らず知らずのうちに近視眼的になりますから。
(そのくせ、自分としては鑑賞の幅が広がったような錯覚に陥りがちなのが、人間の悲しいところですわね。笑)



●「海賊」よりパ・ド・トロワ
音楽: ドリゴ
振付: プティパ、チャブキアーニ
出演: エレーナ・フィリピエワ、セルギイ・シドルスキー、ヴィクトル・イシュク

海賊っていつ見ても楽しくて、私はとても好きな演目です。元気がもらえる気がする。

この3人はとても良かったです。
特にアリを演じたイシュクさんは、跳躍に回転を織り交ぜるのがお好きなようで、見ごたえありました。
完成度という点では、もっと高められると思いますが、海賊という個々のダンサーの能力を比較的自由に出せる振付で、ああいう独創的なことをしてもらえると、見ている側は本当に楽しい。


●「阿修羅」
音楽: 藤舎名生
振付: 岩田守弘
出演: ファルフ・ルジマトフ

音楽が、お能の大鼓の掛け声から始まります。これがいい!
伸びのあるお声で、あぁ、掛け声はこうでなくちゃ、というお声でした。

岩田さん、かなり振付家としての才能があるんじゃないでしょうかね。
ルジマトフの長くしなやかな腕を巧みに見せる振付が随所にありましたし、また、ルジマトフのエキゾチックさを際立たせながらも、能楽のお囃子を基本にした「ザ・にっぽん!」な音楽にしっくり溶け込ませる手腕は見事です。

阿修羅というモチーフの選択がまたいい。
阿修羅は仏教に出てくる鬼神ですが、もともとペルシャ起源であることが指摘されていて、そもそもちょいと生い立ちがエキゾチック。
さらには、日本では、誰しもが思い浮かべるのが興福寺の阿修羅像だけど(こちら参照)、これはシルクロードの香り高い天平文化における代表的な彫刻で、ここからもエキゾチックな要素を感じることができる(日本限定だけどね)。

という次第で、「阿修羅」には異国の香りをまとっているイメージがあって、そこがルジマトフの持ってるオーラとピッタリ合致するわけですわね。

そうすると、ルジマトフも、自分そのまんまで踊ればいいので、まさに水を得た魚。
間の取り方、にらみの利かせ方、そんなところも含めて見事でありました。
ルジマトフの長い腕が、興福寺の阿修羅像をホウフツとさせて、また良いのですよ。
少なくとも、ルジマトフが現役である限り、彼以外は踊れないんじゃないかな~。



●「ディアナとアクティオン」(“エスメラルダ”より)
音楽: プーニ
振付: ワガノワ
出演: ナタリア・ドラムチョワ、岩田守弘

ドラムチョワは悪くないんだけど・・・ドラムチョワと岩田さんの身長が合ってなくて、岩田さんがものすごく大変そうでした。
サポートも必死な印象。
もちろん、岩田さんは、基本的にはボリショイのキャラクターダンサーですから、王子役のように女性をサポートして踊ることが日常じゃないとはいえ、ちょっと組み合わせが悪すぎましたね。

あと、この演目では、ライトが明るくて、岩田さんの頭頂部の薄さが目立って悲しかったです。。。(私、このとき2階席だったので、余計)
まあ、かなりの年齢ですから、当然なんですけど。


●「ライモンダ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
音楽: グラズノフ
振付: プティパ
出演: 吉田都、セルギイ・シドルスキー、キエフ・バレエ

キエフのコールドを従えての都さんのライモンダです。

この日は、チケットを取るのが遅くてS席取ったのに、2階席だったんですよ。
2階席から見るとねえ、都さんの「軸」がびっくりするほど、ビシッと定まっているのが見て取れる。
あれはすごい。

まず、脚が揺ぎ無く地面に向っていてポワントが地面に吸い付くようにきっちり安定している。腰から上は、空に向かってただひたすら真っ直ぐにぐーんと引き上げられている。これらの2つのベクトルが、矢印付きで、都さんの身体に重なって見えましたよ!しかも、そのベクトルが太くて安定しているの。
これがダンサーの基本とはいえ、ここまで出来てる人って本当に少ない。
これが、都さんの身体を貫いて、都さんの踊りを支えているのだわ~と、感動しましたね。

あのベクトルは2階席だから良く分かったんだな~。1階席じゃここまで分からないと思う。
時々こういうことがあるので、たまにチケット購入が遅れて2階席になるのも私はOKだったりします(笑)。

あと、特筆すべきは、都さんの腕のポーズの美しさですね。
ライモンダには特徴的な腕のポーズがあります。
「ライモンダ」で画像検索をかけて見てもらうのが一番早いかもしれませんが、腕を挙げて手の平を反転させて頭に向け、略三角形の空間を作るんですよ。

これ、単純なように見えて、綺麗に作るには難しいんです(ちょいと皆様、やってみて下さいまし。上で作ろうと思うと、結構、キツイはずですよ)。

事実、キエフのコールドの皆様は、体型的には腕が長くて恵まれているにもかかわらず、皆さんそれぞれ形がバラバラ、同じ人でも時に応じてマチマチ、安定して美しい形が作れている人は殆どいなかった。

しかし、都さんは!
腕が長い方じゃないので、あのポーズを美しく取るのはキツイはずなのに、舞台上のダンサーの中で最も美しい略三角形を、安定していつも一瞬で作り上げていました。
感服。


【第2部】

「シェヘラザード」
音楽: リムスキー=コルサコフ
振付: フォーキン
出演: エレーナ・フィリピエワ、ファルフ・ルジマトフ、オレグ・トカリ、ルスラン・ベンツィアノフ、ヴォロディミール・チュプリン、キエフ・バレエ

言ってみれば、「単にエロいだけ」、な演目でしかないんだけど。
魅力のある演目なんですよね。
特にフィリピエワの柔軟性のある体と、ルジマトフ(もちろん金の奴隷役だ)の発散する異常なオーラを見ただけで、元は取れた感じ(笑)。
よく考えたら、特に金の奴隷に関しては、取り立てて高度な踊りはないんですけどね。
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by koharu-annex | 2010-07-29 01:29 | バレエ(座長公演)