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by koharu-annex

英国ロイヤルバレエ「ロミオとジュリエット」

英国ロイヤル・バレエ団 2010年日本公演 「ロミオとジュリエット」 
2010年6月27日(日)午後6時~ @東京文化会館

振付: ケネス・マクミラン
音楽: セルゲイ・プロコフィエフ

【出演】
ジュリエット: 吉田都
ロミオ: スティーヴン・マックレー

マキューシオ: ブライアン・マロニー
ティボルト: トーマス・ホワイトヘッド
ベンヴォーリオ: セルゲイ・ポルーニン

パリス: ヨハネス・ステパネク
キャピュレット公: ギャリー・エイヴィス
キャピュレット夫人: ジェネシア・ロサート

エスカラス(ヴェローナ大公): ベネット・ガートサイド
ロザライン: タラ=ブリギット・バフナニ

乳母: クリスティン・マクナリー
僧ロレンス: アラステア・マリオット
モンタギュー公: アラステア・マリオット
モンタギュー夫人: ローラ・マッカロク
ジュリエットの友人: リャーン・コープ、ベサニー・キーティング、イオーナ・ルーツ、エマ=ジェーン・マグワイア、ロマニー・パジャク、サマンサ・レイン

3人の娼婦: ヘレン・クロウフォード、フランチェスカ・フィルピ、ラウラ・モレーラ
マンドリン・ダンス: ホセ・マルティン、ポール・ケイ、蔵健太、ミハイル・ストイコ、アンドレイ・ウスペンスキー、ジェームズ・ウィルキー

指揮: ボリス・グルージン
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

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この公演は、都さんが95年からプリンシパルを張っている英国ロイヤル・バレエ団からの引退公演になります(正確に言うと、この公演の翌々日29日のロミジュリが最後)。カメラが入ってまして、NHKの芸術劇場で今秋放送される予定だそうです(休憩中もホワイエの様子が撮影されていたので、隅っこに逃げたワタクシでありました…)。絶対に録画しなくちゃ!

さて。
最近、私は、都さんの踊りを見ると、漫画「のだめカンタービレ」のパリ編で、のだめちゃんが時折発っする「正しいカレー」というセリフを思い出します。

本当に・・・いつでも、何もかもが、「正しい」のです。都さんの踊りは。

「自己」の表出を極限まで抑えこんで、役柄の演技においても音楽のカウントについても、ここまで「安定して常に正しく」踊れるというのは、まさにクラシックの王道でしょうが、この王道の真ん中を通ることができる方は、実のところそんなに多くはない。

王道の真ん中を通るためには、その前提として、地味なものも含め全方位的に技術が高くないといけないんですが、技術が高いダンサーは、えてして自我や個性が強いことが多い。そういう方々は、バレエで許される範囲で、ムーブメントでオフバランス(いわゆる「タメ」ですな)を極めようとしたり、自分なりのアクセントを加えようとしがち。
ところが、都さんは、その手のアクの強さが全く無いんですよね。加えて、どこもかしこも正しく、しかも安定している。極めて貴重なダンサーです。もちろん、アクの強いダンサーの踊りもとても素敵ですが、都さんの路線は、現代においては地味かもしれないけど王道として称えられるべきだと思う。

今回のジュリエットも「正しい」お手本のようなジュリエットでした。一つ一つのパだけでなく、そのつなぎの部分まで、それこそ手首・頭の先の動かし方に至るまで、全く「正しい」の。おそらく、録画のどの場面で一時停止ボタンを押しても、画面上の彼女のポーズが「変」であることは有り得ないと思う。あそこまでずーっと正しいと、それだけで感動しちゃいますよ。

ロミオが若いマックレーだったので、大丈夫かな?と思っていましたが、この組み合わせは悪くなかったです。若さゆえの「つっぱしり感」に、まったく違和感がなかったですし。

ただ、相手が都さんで、しかも日本のファンの前でフェアウェルを踊るということで、「絶対にPDDでは失敗しちゃ行けない!」と思っていたでしょうから(笑)、緊張していたんでしょうね。都さんと一緒の場面では、とにかく踊りをきっちりしようと思うあまり、「演技」にまで手が回らず、ちょいと淡白だと感じました。特に、最後の墓場のシーンは、あまりに物足りない。

都さんが一緒じゃない場面での演技は一生懸命やってたような気がします。特に、ジュリエットの手紙を受け取って舞い上がっちゃうところなんか、スピーディーな回転で喜びを爆発させていて、とっても可愛らしかった。ただ、親友マキューシオが殺されたことに逆上して、ディボルトを殺しちまうところは、もう少し激情が欲しいところでしたね。
今後に期待しましょう。

マクミラン版を採用しているカンパニーって世界中にたくさんあると思いますが、カンパニーごとに比較的自由に振付が加えられたり演出が施されているのではないでしょうか。特に、私が印象に残っているのは、ABTのMetでの公演(鑑賞記録はこちら)で、とても素敵だったと思います(まあ、ABTって何もかもが派手華やかですからね)。

マクミラン版の本家である英国ロイヤルのロミジュリは、DVDを鑑賞したことがあるだけで、生舞台は今回が初見だったのですが、今まで観たマクミラン版の中でも地味シンプルな印象でした。あぁ、元祖バージョンって時々こういうことがあるよね、と妙に納得しちゃったというか、ある意味、感慨深かったです。

しかし、ジュリエットのショール、モスグリーンではなく別のダークな色の方がいいなあ。あのショールをなびかせてロレンス神父のところに駆けていく箇所、たなびくダークな色が後の悲劇を暗示する場面でもあるわけで、そこでモスグリーンというのは、むぅぅぅ。
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by koharu-annex | 2010-07-12 20:41 | バレエ(英国ロイヤル)