マラーホフの贈り物 Bプロ
2010年 06月 09日
マラーホフの贈り物 プログラムB
Aプロの記事でも書きましたが、当初出演予定だったニーナ・カプツォーワとイワン・ワシリーエフが、所属カンパニーであるボリショイの急なリハーサルのために来日できなくなったため、出演者と演目が一部変更しています。
詳細にいうと、ボリショイでは6月4日にプティ振付の「若者と死」を初演する予定があり、この「マラーホフの贈り物」の公演期間中に、プティがモスクワに出向き、急遽リハーサルが行われることになったそうで、この作品に出演を予定しているワシリーエフがモスクワに留まらなければならず、カプツォーワとともに来日が不可能となったとのこと。
ちなみに、「若者と死」は、映画「ホワイト・ナイツ」の冒頭でバリシニコフが踊ってるやつです。
【第1部】
●「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第1幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クロウディオ・モンテヴェルディより)
出演:ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ
Aプロでも書いたけど、「どの絵か分からん」です。
この振付と衣装だと露骨に、ポリーナの筋肉が増えてるのがよく分かります(笑)。
●「ディアナとアクティオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
出演:ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル
ヤーナさん、メリハリ、アクセント、タメ、全て修行の必要アリですね。
今のままじゃ、「よく出来たコンクールの出場者」を見ているようです。
頑張ってくらはい。
マタズラカルは技術は高いですが、1人じゃどうしようもないですな。
音楽と2人の踊りの間に距離ができて、単独で響きかけてましたよ。
●「カジミールの色」
振付:エリサ・カリッロ・カブレラ
音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
出演:エリサ・カリッロ・カブレラ、ミハイル・カニスキン
ごめん。眠かった。
演目のせいか体調のせいか、それは不明。
●「モノ・リサ」
振付:イツィク・ガリリ
音楽:トーマス・ヘフス
出演:マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー
タイプライターの音を模した、リズムだけでできた楽曲。
アイシュヴァルトは、体も小柄、顔も小さく、手足も長くはない。
ラドメイカーとは、身体的な大きさの違いから来るムーブメントの違いが、この演目では目立ってしまって、少々バランスが悪い。
しかも、アイシュヴァルトとラドメイカーとでは、この楽曲のリズムに対する感覚にちょっと違いがあるようで、2人の動きが微妙にずれることがある。
演劇的な演目では、バッチリなペアなんだけどな。不思議なもんです。
素敵な演目なので、この演目についてパーフェクトなデュオで観てみたい。
●「瀕死の白鳥」(2バージョン)
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:ベアトリス・クノップ
振付:マウロ・デ・キャンディア
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:ウラジーミル・マラーホフ
実は、プログラムには、ベアトリスの「瀕死の白鳥」しか書かれていない。
彼女のフォーキンの踊りは、「こないだのマラーホフのが最高だったからな~。見劣りするよな~」などと考えているうちに終了。
「まー、拍手しとくかー。合格点だったしな~」と思って拍手しようとしたら、サン=サーンスの「白鳥」が再び始まって・・・
カーテンが再び開いたら、スポットライトの中にマラーホフが!
そして、Aプロのキャンディア振付の「瀕死の白鳥」を踊っている!!!
むきゃーーーーー!!!嬉しい~~~~~~!!!!
ちゃんと目に焼き付けなくちゃ!
どうしよ、どうしよ、オペラグラスで細部を見るべき?
それとも普通に全体を見るべき?
あーもー、どうすればいいの!?
と、あたふたしているうちに、終わってしまいました・・・。あぁ・・・。
しかし。
拍手とブラボーは、特に多いとは感じられず。。。
マラーホフのサービス精神で、プログラムになかった演目を踊ってくれたのに。
なんだか申し訳ないような気持ちになったのでした。
わたしゃ、すぐ近くで鑑賞していた東京バレエ団の高岸さんに、思わず「マラーホフに白鳥をありがとうございました、と伝えて下さい。」と言いたい気持ちに駆られたのですが、結局言えずじまい。
【第2部】
「ラ・バヤデール」より“影の王国”
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
出演:ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ
第1ヴァリエーション:ヤーナ・サレンコ
第2ヴァリエーション:乾友子
第3ヴァリエーション:エリッサ・カリッロ・カブレラ
ほか東京バレエ団
群舞はさすがの仕上がり。さすがアンサンブルの東京バレエ団ですな。
ポリーナの古典を全幕でちゃんと見たいと思いました。
【第3部】
●「ロミオとシュリエット」より第1幕“バルコニーのパ・ド・ドゥ”
振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
出演:マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー
クランコ版は、マクミラン版・ノイマイヤー版・ヌレエフ版よりもずっと古いのですが、最も初々しいかも、と思いました。
ロミオに抱かれて、階段に腰かけさせてもらうジュリエットが可愛い。
アイシュヴァルトとラドメイカーは、こういうドラマチックな演目ではぴったりのペアです。
●「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第2幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クロウディオ・モンテヴェルディより)
出演:ベアトリス・クノップ、レオナルド・ヤコヴィーナ
●「レ・ブルジョワ」
振付:ベン・ファン・コーウェンベルグ
音楽:ジャック・ブレル
出演:ディヌ・マタズラカル
私は、技術が高いダンサーが踊る「酔っ払い」振付が大好き(例えば、「マノン」の中のレスコーの踊りとか)。
マタズラカルは、シャンソンの声に負けていないばかりか、フランス語の響きに良くあった素敵な踊りでした。
●「ファンファーレ LX」
振付:ダグラス・リー
音楽:マイケル・ナイマン
出演:エリサ・カリッロ・カブレラ、ミハイル・カニスキン
現代的でカッコイイ振付です。
男性も赤いレオタードを着ていました。別にどうでもいいですが。
●「ラクリモーサ」
振付:エドワード・スターリー
音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
出演:ウラジーミル・マラーホフ
音楽が・・・安藤選手の「レクイエム」です。
マラーホフが踊ってくれても、今年、この曲ではどうしても安藤選手のお顔が浮かぶのでした・・・。